やはり俺が魔法科高校に通うのは間違っている。 作:ガタオガタ
風紀委員長である、渡辺摩利が去っていった後、西城にCADを向けた一科生、森崎駿は司波に対して何やら言っていたが、内容は知らない。ただ、その後何故かみんなで帰ることになったんだが、一科生の女子二人が一緒に帰っていいか、許可をもらいに来た。それ+自己紹介。ちなみに俺は噛まずにちゃんと自己紹介をする事が出来た。成長した兄の姿を小町に見せれないのがとても残念だ。そして今まさに、その一科生の二人を加えたメンバーで駅へと向かっている。
「達也くん、あたしのホウキも見てもらえない?」
千葉が司波に対してそう言った。なんでも司波は妹のCADを調整をしているらしい。
「無理。あんな特殊な形状のCADをいじる自信ないよ」
「あはっ、やっぱりすごいね、達也くんは」
司波にお願いを拒否された形になったのにも関わらず、千葉は笑顔を浮かべ、裏表のない賞賛を送っている。それに対して司波は
「何が?」
何とも簡潔に纏められた回答だ。少々冷たく感じる口調だが、それが司波達也の口調だとみんな理解しているためか、そのまま会話は進む。ちなみに俺はみんなの会話を聞いているだけで学校を出てから一言も発していない。
「これがホウキだって分かっちゃうんだ?」
そういった千葉は先程森崎駿のCADを弾いた警棒のストラップを持って、クルクルと回している。しかも警棒は柄の長さに縮まっている。ってか、え?あれがCADって普通にわかる事じゃないの?
千葉のその行動、言動に素直に驚いたのは、柴田だけだ。それに続いて西城も問いかける。
「……何処にシステムを組み込んでいるんだ?さっきの感じじゃ、全部空洞ってわけじゃないんだろ?」
「ブーッ。柄以外は全部空洞よ。刻印型の術式で強度を上げてるの。硬化魔法は得意分野なんでしょ?」
二人の会話に耳を傾けながら、俺は別の事を考えていた。本当に今更だが、司波は発動中の術式を読み取る事が出来る『眼』を持っている。それだけでも異常なのに、その読み取った術式がどんな魔法なのかが分かるということは、術式を完璧に覚えているということ。ただ記憶力のいい人間では絶対に成しえない技術。司波は特別な『眼』に、特別な『頭脳』を持っている。『眼』に関してはもしかしたら俺と似たような物かもしれないが、そうだと判断するだけの材料がない。『頭脳』に関してはあれだな。完全記憶能力。多分、いや確実に司波は、一度見た物は、忘れる事がないのだろう。
「……まん!……おい!八幡!」
「うおっ!なっなんだよ西城」
「なんだよって、何回も呼んでるのに返事しないからだろ?」
どうやら俺は、考え事をしているうちに周りの声が聞こえていなかったようだ。
「あ、ああ。そうか、すまん。それでなんか用か?」
「ああ、俺からって言うよりはみんなからだろうな。あの壁を作った魔法が気になって仕方ないんだよ」
あーなるほど。錬金術についての説明を求めていると。西城の話を聞いて周りに視線を回すと、皆が俺を見ていた。
「あーまぁあれだよあれ、気にすんな」
俺は適当に誤魔化して(誤魔化せてない)この話を無かったことにしようとした。どうせこいつの事だ、後で説明するって俺が言ったことも忘れてるだろう。しかし西城は俺の名推理を完璧に覆しやがった
「おいおい、お前後で説明するって言ったじゃねぇか」
はい。ちゃんと覚えてましたね。こいつがっつり体育会系の癖に馬鹿じゃないからムカつく。まぁなんにしても、覚えられていたのなら説明せざるを得ない。俺は諦めて錬金術についての説明をする事にした。
「あーあれは錬金術だ」
「錬金術?お前錬金術ってフィクション中だけのものだろ」
「いや、違う。ちゃんと昔から錬金術は存在している。色んな文献にもちゃんと理屈やら載ってるだろ?」
「確かに、錬金術の理屈や、歴史は様々な文献で記録されている。ただ、ここ百年近くは錬金術に関して研究が進んでいないはずだが?」
「あーまぁ進んでないな。というか最近の研究者共は深く考え過ぎなんだよ」
「というと?」
「司波、錬金術については何処まで分かってる?」
俺は皆への説明をする為に、まずは少しでも理解出来ているであろう司波へと話を振る。
「錬金術を発動するには、錬成陣を用いること、またその錬成陣にエネルギーを送る事で錬金術が発動すること。さらに細かく言えば、錬金術を発動させる対象を理解し、分解、そして再構築するという所まで理解している。合っているか?」
あら、司波が俺の説明する所すべて説明しちゃったよ。
「おっおう。ほぼ満点だ。一つ付け加えると、錬金術は等価交換の上で成り立っているという事だな」
俺のこの言葉に、司波兄妹以外は首を傾げていた。このまま質問がないようなら、無視しよう
「?つまり、どういうことだ?」
このメンバーには、真面目な奴しか居ないのか!しかもいつも聞いてくるのが西城とか!なんの間違いだ!そう思いながらも口は勝手に動いていた
「あーつまり、地面に錬金術を施して土の何かを作ったとするだろ?」
うんうんと頷きながら話を聞いている西城達。こんなに真剣に話を聞いてくれるのは、中々どうして、悪くない。
「まぁその何かがー西城の土像だったとしよう。そしたらその土像を作るのに必要とした土の分だけ、地面から土が無くなる、というか西城の土像の材料だ。だから地面にはクレーターとか目に見える変化が現れるんだ」
「ふむふむ、つまり錬金術も結局魔法みたいなものってこと?」
千葉が話を纏めたのかそう言った。
「ああ、錬金術は魔法に似た技術だと思うぞ」
この俺の言葉を最後に、西城達はしっかりと錬金術について理解が及んだのか、質問してくる事は無く、程なくして駅へ着いた為解散となった。ただ司波兄妹が何かこそこそと話をしているのが俺には気掛かりだった。