やはり俺が魔法科高校に通うのは間違っている。 作:ガタオガタ
第一高校生が利用する駅の名前はズバリ「第一高校前」。駅から学校まではほぼ一本道だ。一昔前の電車内で友達と合流することなどなくなってしまったが、駅から合流して学校へ向かう学生たちは今でも数多く存在する。それが新入生ともなれば少しでも新しくできた友達との情報交換の場として、登下校の時間は大切な時間なのだろう。まあ、必要としていない者も存在するが。八幡はいつもと同じように登校していたのだが、運悪く?司波御一行に捕まっていた。ただでさえそのせいで気分が下がっていたにもかかわらず、新たな問題が発生していた。
「司波、お前は一昨日だけでどこまで生徒会長様と親睦を深めたんだ?まさか元々知り合いだったのか?」
「いや、一昨日が初対面だが、この展開に俺も疑問しか感じない」
現在、会話をしていたのは八幡と達也だが、登校中の生徒はみな達也に注目していた。別に達也自身が目立つようなことをした分けではない。司波御一行の背後から今も達也の名前を大声で呼びながらこちらに走ってきている生徒会長、七草真由美が原因である。達也は流石に無視するわけにもいかないためその場で立ち止まったが、八幡はお構いなしに歩を進めていた......所をエリカに襟を引っ張られ、グエッとカエルのようなうめき声をあげその場で倒れていた。過剰なボケに対する制裁ツッコミである。実はここだけの話、エリカと八幡の相性は非常に良く、八幡のATフィールドを軽々と突破した為、仲良くなっていた。
「痛てぇ……もうちょいやり方あるだろう?」
「勝手に1人で行こうとするからでしょ?大体、なんか面白そうじゃない!この展開」
「いや全然」
エリカの考えには頑なに乗らない八幡であった。
八幡とエリカがそのようにやり取りをしている間に、何故か達也と深雪は昼休みに生徒会室への招待権を獲得していた。さらに八幡にとっては嬉しく無いことに、いや、多分誰でも嫌だろう風紀委員長からの招待権を獲得してしまっていたのである。八幡の知らぬ所で勝手に決まったことなので、八幡が怒る?のも当然であったが、達也からの回答は簡単なものだった。それに実に達也らしくない回答だ。
「ただの道連れだ」
これには流石の八幡も開いた口が塞がらなかったという。
それからは特に何もなく、昼休み。司波兄妹と、八幡は生徒会室の前に来ていた。八幡からは溜息が、周期的に出ているが、達也は無視して生徒会室をノックした。
「どうぞ」
生徒会室からの入室の許可が降りた為、3人は入室する。達也、八幡は一般的な礼儀作法で、深雪に関しては何処ぞの令嬢かとツッコミたくなるほど繊細で華麗な作法を披露していた。深雪の外見の美しさと完璧にマッチしたそれは、達也と八幡を除き、その空間に居るものは思わず見惚れてしまっていた。
「……ご丁寧にどうも」
いち早く再起動したのは、少し全体的にキツめの印象があるが、手足も長く、美少女というよりは美人である生徒会役員であった。それに続いて生徒会長である七草真由美も動き出し、達也たちを席へと促す。真由美の提案で、今回の用事は食事をしながらということになった。生徒会室には自販機が設けられていてメニューは精進、魚、肉である。達也と深雪は精進を選び、八幡は肉を選んだ。3人のメニューを壁際の箪笥型の自販機で操作するのは、2年生の書記である中条あずさである。
食事の準備が整うまでの間、生徒会室では改めて自己紹介が行われていた。
ホスト席に座る真由美から自己紹介を行い、どうやら真由美が一人一人紹介をしていくようだ。
「まずは私の隣にいるのが、会計の市原鈴音、通称リンちゃん」
真由美は満足気に市原のあだ名を紹介したが、
「……そう呼ぶのは会長だけです」
そう言った市原の表情から察するに、どうやら嬉しくないあだ名のようだ。そんな市原鈴音のことなどお構い無しに真由美は進めていく。
「そしてその隣が風紀委員長の渡辺摩利、それから書記の中条あずさ、通称あーちゃん」
「会長〜。お願いですから下級生の前であーちゃんはやめてください。私にも立場というものがあるんです〜」
この時紹介を聞いていた3人が、市原鈴音のリンちゃんに疑問を感じたのに対して、中条あずさのあーちゃんに疑問を抱かなかったのは仕方の無いことだろう。中条あずさの見た目は小柄な体型に、オドオドとした態度、更には童顔である。皆納得してしまったいた。
「それと、副会長のはんぞーくんを加えたメンバーが、今期の生徒会役員です」
「私は違うがな」
そう否定したのは風紀委員長である渡辺だ。生徒会役員の紹介を聞く限り、どうやら真由美は役員全員にあだ名を付けているようだった。
「そうね。摩利は別だけど。あっ準備が出来たようです」
ダイニングサーバーから、6つの料理がトレーに乗って出てきた。いまこの部屋にいるのは7人。ひとつ足りないと思ったがまぁいいだろう。答えは直ぐに分かったのだから。
「そのお弁当は渡辺先輩がご自分でお作りになられたのですか?」
深雪の発言は、単に会話を円滑にする為のセリフでしかなく、他意は無かった。それまで行われていた会話は先輩後半の壁に関係なく現在食べている料理の話だったので、話題を変えたに過ぎない。因みに八幡は生徒会室に入室してから一切言葉を発していない。黙々と料理を食べていた。何ともこの部屋で異質の存在である。
「そうだが……意外か?」
深雪の質問に実に意地悪な答えを返す摩利。どう返そうかと迷っていた深雪に助け舟を出したのは……
「いえ、まったく」
まぁ、当然達也である。達也の視線は摩利の手に注がれており、その視線に気付いた摩利は恥ずかしそうに手を隠した。
それからは達也と深雪のイチャイチャや、深雪の生徒会役員へのお誘い、達也の風紀委員所属に関する話、などなど色々あったのだが、結局八幡に話を振られる事は無く終わった。一体、八幡は何の為に摩利に呼び出されていたのか、それは結局謎のままである。
そして八幡は完全に忘れ去られていた事に、家で密かに枕を濡らしたとか濡らしてないとか。