やはり俺が魔法科高校に通うのは間違っている。   作:ガタオガタ

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番外編(1)

さて、突然だが、比企谷八幡という人物について紹介していこうと思う。比企谷八幡16歳。比企谷家という錬金術師の名家の出身で、現代では存在が伝承となった時に、1種の先祖返りで生まれつき錬金術に関する頭脳が発達していた。また、錬金術の扱えることに付随して、解析眼という特別の眼も備えている。この眼は見た対処の構成物質を全て把握する。しかし、人体の構成物質を把握した所で相手の力量が分かるわけでもなく、ただ人体としての仕組み、構成物質を理解するに留まるのでサイオン保有量などは知る事は出来ない。更には、構成物質を解析した所で、その物資がなんであるのか理解していなければ謎の物質のままなのである。そのため八幡は血の滲むような努力の結果、この世に存在するありとあらゆる物質を理解している。

 

八幡は小学校時代、いじめを受けていた。まぁよくある話だ。八幡の保有する力を、恐れた愚かな餓鬼共が結託していじめていただけである。しかし、八幡は1人耐えていた。自分がその力を行使すればどうなるのか、幼いながらにも類まれなる頭脳で理解していた。しかし、その我慢も終わりを告げた。妹である小町がいじめの対象になったのである。それも、八幡に対するいじめよりも苛烈に。それを知った八幡は初めて人に己の力を行使した。解析眼で人体を把握。武術を習っていないにも関わらず、何処をどのようにすれば人体が破壊されるのか、理解した。してしまった。その結末は、全ての関節を外された哀れな糞餓鬼の、山である。当然それ以来、いじめは無くなった。しかし、恐れられた。八幡を見るだけで逃げ出すものも数多くいた。授業中では、八幡が怖くて授業に集中出来ない者が続出した。それを見兼ねた学校はある提案をした。学校長は魔法師に理解のある人物であり、その学校長が提案したのは、魔法師が数多く在籍しているとある小学校である。その名も『小中一貫総武校』。勿論、八幡達にこの学校にいる意味もない。答えは直ぐに出た。そしてその総武校では八幡に沢山の試練を与え、八幡を人として大いに高めてくれた。それと同時に八幡は、大切な人の為に自分の身を削る事を良しとした。高校生になった今でも八幡は大切な人達の為に己を力を行使する。八幡はヒーローになったのだ。ただ、それを認知されていないだけで。知られなくていい。理解されなくていい。自分がただ、初めて大切だと思える人達に出会えたのだから、八幡はそれを守るべきだと、己の身を契約の材料とした。今まで沢山の厄災を招き込んだこの力に、八幡は初めて感謝していた。そしてその力は今も尚、高められていく。影の薄いヒーローは今日も行く。己の正義を振りかざす為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「比企谷君、今日もお疲れ様」

 

時刻は深夜2時。明かりもない場所での会合の為、八幡に語り掛けた人物の顔は分からない。それでも、八幡は声で理解した。

 

「いえ、自分で望んだことですから。今更出すけど、ありがとうございます」

 

「なぁーに?改まってお礼なんて、君、お礼なんて言う柄だっけ?」

 

そういう謎の人物は実に楽しげな声をしていた。

 

「自分だって感謝ぐらいしますよ。ただそれを言葉にするのが苦手なだけです。でも、貴方には素直に言える。ま、キャラじゃないのは分かってますけどね」

 

八幡は、苦笑いを浮かべながらそう告げた。自分は感謝しているのだと、貴方になら素直になれる理由があるのだと。

 

「ま、こっちも素直に受け取っていてあげる。でも、私がした事は貴方に自分の仕事を押し付けただけ、私は、逃げ出しただけ」

 

「仮に、貴方が本当に逃げ出したのだとしても、自分に押し付けただけだとしても、それを受けたのも自分の判断です。それに、貴方が俺に押し付けたものは俺が欲しくて欲しくて堪らなかったもの。男なら一度は憧れるものでしょ?ヒーローになりたいって」

 

「私は男じゃないからわからないけど、そんな風に聞くね。ほんと、男の子って馬鹿ばっかりだよね?」

 

「いや、男の俺にそんな事言わないでくださいよ」

 

またしても八幡は苦笑い。折角カッコつけた事を言っても、結局この人には通じない。

 

「まぁこんな話はいいとして」

 

「いや、こんな話で終わらせないで」

 

八幡の抗議を無視して会話は進められる。

 

「この人達、どうしよっか?一応お目当ての人物は捕縛してるし、必要無いでしょ?」

 

「まぁそうですね。なんかこいつ等特にいい情報持ってませんでしたし、要らないっすね」

 

「だよねー。なら比企谷君、よろしく」

 

「了解です。雪ノ下さん」

 

そう八幡に告げた雪ノ下という人物は怖いくらいの笑顔で、それと反対に八幡の顔は恐ろしい程の無表情だった。

 

「まっ!まって……」

 

何かを言いかけていた人物に向けた黒い物体が火を吹き、その人物は絶命した。全部で5人いる要らない者達。最初の1人が絶命したことにより、残りの人物達も自分のこれからの運命を悟った。答えはさっき殺された仲間が証明しているのだから。

 

「じゃあ、今後ともよろしくね!八幡」

 

雪ノ下という女性は最高に八幡をしたの名で呼ぶ。それに対して八幡は驚愕し、挙動不審に。その反応を楽しんだ雪ノ下は八幡からの返事を聞かずに、一瞬でその場から消えていた。

 

「やってやるさ、これからもな」

 

そう最後に言った八幡も、いつの間にか消えていた。その場に残っていたのは、5つの死体と、捕縛された要る人物3名、そしてそれを回収しに来たスーツ姿の男達10名程で、スーツの左胸には全て、雪の結晶と太陽を掛け合わせたマークが掲げられていた。

 

 

 

 


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