爆豪くんが逆行しました   作:ネムのろ

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今回は続いてかっちゃんの戦い、戦い、戦いと、
かっちゃんだけのトリプルバトルとなってますw
そして最後に、ほんのちょこっとデク君の気持ちが…ね←


第3話 前世ヒーローの闘乱その2

ハッキリ言おう。俺は甘かった。

 

 

「かっちゃん!!」

 

 

たった4歳児のガキが、結構な組織相手にして無事に居られるわけねぇ。これは俺様の失敗だ。できると思ってた。だが、身体の違和感が邪魔してうまく個性を扱いきれなかった。

 

 

まだ幼児だからかもしれねぇな。クソッ!なんつー失態だ。元・プロヒーローが聞いて呆れるぜ。

 

 

「かっちゃん!!」

 

 

背中のほうで俺のことを呼ぶこいつの目は、きっとあの時のように怯えてても、助けたくてしかたがねぇヒーローの一面をしてんだろうな。

 

 

「うるせぇクソデク黙りやがれ」

 

「で、でも…かっちゃん傷…」

 

 

傷がひっでぇのはわかりきってる。だから、だからよぉ…これ以上その震えた声で心配そうに呼ぶな。今にも飛び出していきそうな声で叫ぶんじゃねぇよ…

 

 

「てめぇの心配なんかいらねぇんだよ」

 

「でも、かっちゃ…ぼくのせいで…」

 

 

クソッ!またか…またてめぇはッ!!

 

「だぁ!泣くなウゼェ!!」

 

 

誰のせいでもねぇ。俺の失敗。そんだけだ。だからてめぇがそんな顔してんじゃねぇよ。てめぇは悪くねぇんだよクソナード!

だから…あの時みたく…なんの力もねぇのに…

 

 

「オレの前に飛び出すんじゃねぇぞ…」

 

「え?で、でも…」

 

「約束しろ」

 

「でも、かっちゃ「やくそくしろ!!!」…ッ!!」

 

それなりに怒鳴れば、デクの野郎は嫌々コクリと頷いた。よし。それでいい。口約束でもしなけりゃてめーは何をしだすか分かったモンじゃねーからな…

 

 

もう一回だ。もう一回集中しろ。やれねぇ事は後回しだ。今はできる事だけに神経を集中させろ。こういう時こそ余裕な笑みをして、なんでもねーみてぇに笑って、相手がそれを見て悔しがる様を楽しまなきゃなぁ!

 

「こんな傷、痛くも痒くもねぇなぁ!」

 

「このガキ…っ!」

 

 

やっと平常心を乱してくれやがったか。そうだ。それでいい。あとはプロヒーローたちが駆け付けてくれるまで、俺がふんばりゃいいだけの話だ。一応念のために外からこっちまで俺のニトロを含んだ汗をばら撒いてきた。

 

 

プロだったら誰か一人でも変わった甘い匂いに気づいてくれんだろ。策は尽くした。後はヴィラン側に一切この事をバレちゃいけねぇ。泣きじゃくる後ろのクソナードを守りながら、必死に耐えて、時々あいつらの隙を見て攻撃をする。

 

 

注意をこっちにもってこさせてバレにくくさせるのが、今の俺の出来る事だ。ああ、でもやべぇな。血がとまんねぇなぁ!俺が倒れるのが先か、プロヒーローの誰かが到達するのが先か…確率は半々…てとこかぁ?

 

「ハァ…!ハァ…ッ!!」

 

「随分と息が上がっているようだなクソガキ?本当は息苦しくって痛くてしかたがないんじゃないか?」

 

「ケッ…!ハンデだっつーの。俺が本気でてめーらを相手にすると思ってやがんのかああ?ロリコン野郎どもが!」

 

「お前…相当痛い目をみないとわからないようだな…」

 

 

ヴィラン側が何の個性かは戦いながら分析した。俺の個性だけじゃ不利だったが、生憎人生二度目の俺には個性だけじゃなく、経験と知恵と情報量が糧になってくれる。戦いはさほど難しいわけじゃねぇ。

 

 

問題なのがデクだ。

 

 

「おいデク」

 

「な…なに?」

 

「目ぇ瞑ってろ」

 

「え、なんd「いいから言う通りにしやがれクソが!」はわわわッ!わ、わかったよ…」

 

 

そうだ。それでいい。これからやろうとしてる事は、デクが見てたら少し目を負傷するかもしれねぇからな。

 

 

「なんの真似だクソガキ?」

 

 

ワラワラと俺たちを囲むヴィラン達と、それを少し先の方で観察してやがる研究者ども。ああそうだ。俺様に注目してやがれ。そんで

 

 

「ぶっ飛びやがれ」

 

 

手首に、いつもつけていた秘密兵器がある。これは一見するとただのリストバンドだが実を言えば、俺のニトロを存分に含めるようになってて、ある一定のニトロを保存できるようになってる。ババアと親父に頼んで特別に発注してもらった。

 

 

こんな時のために。

 

 

バシン!と俺は両腕をクロスさせて前へ伸ばす。これでリストバンドの中にあるスイッチは押された。

 

 

「食らいやがれ」

 

 

とたんに鳴り響く破裂音と破裂弾並みに発光するオレの手首。巻き上がる煙と、壁が少しばかり崩壊して煙幕が生じた。

 

 

見た目は爆発音と煙とで派手だが、威力はそんなにはねぇ。あくまでも逃げる時用と目眩ましのためのもんだ。だが、使いようによっちゃあ、色々とできることがある。今回みてぇに注意を散漫させるには、うってつけだ。

 

幸いこの組織は未来のデクと俺を欺いて罠にかけやがった危ねェ組織じゃねぇしな。正直あの最後の戦いはトラウマに近ェし。

 

 

ああでもッ…!衝撃波は俺の方に来やがるんだよなぁクソが!!傷に沁みやがる…

 

 

「グッ…!」

 

「かっちゃん?ど、どうかしたの…?目、もう開けていい?」

 

「まだ瞑っときやがれ!」

 

「ええぇぇ……」

 

 

デクの腕をとって隠れる。そんで俺は素早く違ェトコへ移動して思いっきしジャンプしながら積みあがった箱を蹴って一人の敵の背後をとった。そんで思いっきり俺の爆発をうなじに食らわせてやった。

 

 

「ゲハッ!」

 

「お、おい?!どうした?!」

 

 

まだ爆発の余波の煙幕で何が起こってるかはわかんねぇから、その間少しだけでもこいつらの急所狙って気絶させておかねぇと。数が多すぎるとデクを守りきれ…じゃねぇ。デクが邪魔になって俺が気が気じゃねぇ。戦いに集中できやしねぇからだ!

こんどは静かに相手の背後の壁を足で蹴って、宙でクルリ回転しながら踵落しだおらぁ!!死にさらせやクソロリコン共がぁああ!!

 

「フブッ?!」

 

「なっ?!おい!!一体何が起こって…」

 

 

今度はコイツだと、狙いを定めて。なるべく気づかれねぇように音を最小限に。素早く、そして一点の急所へめがけて蹴りを入れた。

 

 

「カハッ!」

 

 

うし。これで残りは…そう思いながら次の行動に移そうとしたその、瞬間だった。

 

 

「おらぁ!出てこい爆発のクソガキ!」

 

「うわぁ!?」

 

「緑色のガキがどうなっても知らねーぞいいのか?!」

 

 

あいつ…デクを人質にとりやがった!!

 

「何勝手に俺の足手まといになってやがんだクソデク!!」

 

「ご…ごめんにゃさいぃぃいいい…!」

 

 

デクの野郎。泣けば何とかなるとでも思ってやがんのか。つーかあの、大男(クソゴミ)デクを怖がらせやがってトラウマにでもなったらどうしてくれやがる爆発して死にさらしてやる!!

 

「ふー…」

 

 

ひとまず、一呼吸して冷静さを取り戻す。

 

 

さて。どうやってこの状況を回避する?

デクを傷つかせず、尚且つこの大男(ソダイゴミ)をグチャグチャに原型とどめていらんねぇほどに叩き潰して爆発させる方法。

 

 

「クソが。デクに気安く触ってんじゃねーぞ」

 

 

4歳児をなんだと思ってやがる。この歳でトラウマにでもなったら治るのに相当時間かかりやがるんだ。面倒くせぇことになるじゃねぇかよ。俺様が一体なんのために何年こいつの傍に居たと思ってやがる?

 

「そいつをボコるのは俺だけで十分だ」

 

 

そんでてめーは刑務所(ゴミバコ)にでも入ってやがれ。

 

いきり立って、そのまま戦い続けた。だがやっぱ確実に仕留められるような技もねぇ。身体も個性も育ち切ってねぇ。なにより体格差がひでぇ。おまけに俺は怪我だらけで血を流し過ぎた。

 

結果的に、そんな俺が倒れて起き上がれなくなるのは、そう時間がかからなかった。

 

 

「かっちゃん!」

 

「へっ。達者なのは口だけかよ」

 

「ゲフッ!」

 

 

俺は今、敵になぶられていた。ああ悔しいじゃねぇか。なんなんだクソ。何が足りなかった?やっぱ4歳児の身体じゃあ…大人には勝てねぇのか?

 

「カハッ!」

 

 

勝てると信じて疑わなかった。

 

 

「かっちゃん!もうやめて!!やめてよ!」

 

 

横目で、泣き叫ぶデクを見る。ああ、あんなに泣きやがって。目元真っ赤じゃねぇか…ホント、お前は泣き虫だよな…

 

 

「おらおら!まだまだ痛い目見てもらうぜクソガキが!」

 

「グアッ!!」

 

 

腹に強烈な蹴りが入って、そして勢いよく壁にぶつかった。口から血がタラリと出てきて、腹は痛ぇわ、頭は朦朧とするわ、背中も痛ぇわ…腕も痛みでか、それとも受けた攻撃でか、痙攣しはじめてやがった。

 

 

「かっちゃん!!やめて!やめてよお!かっちゃんが、しんじゃう…しんじゃうよぉおお!!」

 

 

策はあった。何通りか作戦は考えていたし、攻撃パターンも変えて色々ためした。だが…やっぱ身体が個性についていけてねぇのが現状か…

 

そのせいで、このザマだ。ハハッ。完全に俺の敗北かよ。クソ……こんなみっともねぇ形で敗北するなんてよぉ…クソっ!クソが!!

 

「ゲホッ…!ゲホゲホ!」

 

「かっちゃん、血だらけだよ…もう、やめて…だれか、だれか…たすけてぇ!」

 

「ハン。馬鹿かてめぇは。ここは誰にも知られることはねぇんだよ。特殊な加工してあるからな。子供には気が付かれるが大人にゃ感知されねぇ。無駄なんだよ!いくら泣き叫ぼうがな!!」

 

 

ああ、クソ…もう身体が動かねぇ。

 

 

「いず、く…」

 

「かっちゃん?!」

 

 

護れねぇのか。あの時も…今も。お前を危険な目にあわせてばっかで…ホント、クソ弱ぇ自分に反吐が出るッ!!

 

「ごめ、ん…」

 

「かっちゃ…?!」

 

 

でもよ…それでも立ち上がるしか俺に選択はねぇんだよ!!

 

「かっちゃん!!ダメだよ!!逃げて!!」

 

「ウグッ…ぐがぁあ!クソがぁあ!!」

 

 

フラリとしながら、膝を手で支えながら立ち上がる。そんで背筋をまっすぐ伸ばす。

 

ああ、身体が痛ぇなぁ…頭がクラクラすんなぁ。だが、敵の驚いた顔を見て、思わず笑みがこぼれる。そうそう。その顔が見たかったんだよ俺は!!

ケッ!と笑ってやる。手から小いせぇ爆発を起こしながら、俺はニヤリ笑ってやる。

 

 

「んだよ…それだけかよてめぇの個性。『身体の能力を向上させる個性』、地味だが使い勝手良いハズだろうが。瞬発力あげれば素早く動けるし、防御や攻撃も自分の身体張ってできる。自由自在じゃねーか。なんでもっと頭つかわねぇんだよゴミ。」

 

「…っ」

 

「それこそ『誰かを守る』ために使ったほうが良い個性だろうが。ヴィランなんて似合わねぇ…個性が、血が泣いてるぜ?」

 

「……ッ!」

 

 

目を見開きながら驚き固まる目の前のヴィランは───少しだけ殺気が薄くなった。

 

 

少なくとも、前世じゃ無個性でも誰かの役に立とうとしていたデクのほうが、何倍もマシだったな。あいつは、出来る限りで人を助けて守ろうとする奴だった…

 

 

「お前…何者なんだ?!普通のガキじゃねぇ…誰だお前は?!」

 

 

ニヤリ笑ってやる。俺が誰かだって?

 

「爆心地」

 

今も昔も、それは変わっちゃいねぇ。

 

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 

 

 

 

ああクソ…体中痛ぇ…もうたっていらんねぇ。他の奴らが俺を取り囲んできやがった。この状況でデクをどう助ける?どう助けられる??クソ…頭がうまく回ってくれねぇ…

 

 

「一斉に攻撃するぞ」

 

 

ああ、マジでやべぇ……こんな時にまさか敵方のボスが出てきちまうとはな…

 

 

「まぁ、てめぇには驚かされたよ。俺たちの邪魔しなきゃそのまますげぇヒーローになれたのにな。残念だ」

 

 

そんなこたぁ微塵も思ってやがらねぇニヤリ顔をしながら、そいつが合図した。

 

直後に襲ってくるのはこいつらの個性や武器の攻撃───

 

 

ここまでか。

 

 

短い人生だったな。

 

 

何でか分かんねぇが、俺はそんな事を呑気に考えていた───…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果的に俺は総攻撃にあって死ぬ……

 

 

 

 

 

 

ハズだった

 

 

「…?」

 

 

いきなり攻撃音が止んで、ピタリ止まる周り。そしてどこかの壁が破壊される音と、敵が持つ武器がドロリと熱で溶けるという、異常な光景。

 

 

「まったく…どこの誰かは知らんが、場所を報告してくれて助かった」

 

 

そいつはそう言いながら、壁が破壊されて出てくる影とは別の方向からやってきた。

 

 

「エンデヴァー…」

 

 

そして、崩壊した壁のほうから見知った声が

 

 

「ハァ―ハッハッハ!!私が来た!!」

 

「オールマイト…」

 

 

そして、オールマイトの後ろに少し若い、誰かが。でも、どことなく知ってんぞ。おい、まさかあいつは──

 

 

「まったく。いい加減『何かを壊しながら登場』するのやめてくれません?オレの個性使った意味ないじゃないですかヒーロー意識低いんじゃないんですか??本当のヒーローなら壊さず救えよこれだから筋力バカは」

 

「ハァ―ハッハッハ!相変わらず相澤くんは辛口だねぇ。早く救助した方が良いだろう?」

 

「……はぁー…」

 

「…あの、頭抱えて深く溜息はかないで相澤くぅん…さすがの私でも落ち込むから…」

 

 

なんで?なんで相澤センセーが…こんなところに…よりにもよって…きっとまだヒーロー活動あんまししてねぇ時に…

 

 

「すまないね少年。」

 

「…あ?」

 

 

オールマイトは、立ち尽くす俺の前に屈んでくれて。頭をそっと撫でてきた。傷のせいでちょっと痛かった事は内緒にしておこうと思った。

 

 

「遅れてしまってすまない。どうも敵の個性で邪魔をされてしまって。」

 

 

ああそうか。だからオールマイトでもこの場所を把握するのに時間がかかったのか。

どうりで…おっせぇなって思ってたんだ。予定より十五分持ちこたえなきゃいけなかったからな。

 

 

「不覚にも俺でさえも場所がわからなかった。唯一ここだとわかった理由は、薄い甘い変わった香りが空気中に混ざっていて、それが道しるべとなったが…」

 

「変だと思って、一応その場で調べてごく薄いニトロがばら撒かれてることがわかって、それでもしかしたらと、この二人を呼んだわけだ。」

 

 

エンデヴァーと相澤センセーが代わるがわるそう言う。

やっぱニトロを空気中にばら撒いておいて正解だったな。気が付かれない場合は最終的にそれを起爆剤にして無理やり居場所を教えてたがな。

 

 

「こいつから匂ってくるってことは、やっぱりお前がワザと振りまいてくれたって事か。そして時間稼ぎと、相手の注意を外の俺たちから外すためにも、攻撃し続けてここまでボロボロに…お前、本当に4歳児か?」

 

 

センセーはすぐに俺が何をしていたか推測しちまった。さすが相澤センセー。俺が認めただけはある。

 

 

「それに、君は凄い!!プロヒーローのような意志で守ってくれたな」

 

「…あ?」

 

 

オールマイトがことさら優しくなでる。え、この人って人の頭、撫でんのこんなに好きだったか?

 

「他の子供たちを、君に注意を向かせることで、酷い実験から守ってくれていたし、君のお知り合いであるあの、泣きじゃくる緑色の髪の少年も君が守ってくれた。」

 

「べつに、そんなつもりは…」

 

「そんなつもりはなくとも、君はよく戦ったさ!!君はもう立派なヒーローだッ!!」

 

「…っ!」

 

 

ホント、あんたって人は俺の欲しい言葉を…どーしてこうも簡単にくれんのか…わかんねぇ。

それから、オールマイトは俺たちが憧れ続ける、輝かしい笑顔を晒して

 

 

「ありがとう。ここからは私たちにまかせなさい」

 

 

そう、言ってくれた。

ああ、やっぱこの人は最高のヒーローだ…俺を、俺たちをこんなにも安心させてくれる。じゃあ…もういいか

 

 

「わかった…後は…まかせる」

 

 

休んでも、いいか…

 

 

「デクを…いずくを…助けてやってくれよ…ヒーロー」

 

「もちろんだ!」

 

 

倒れかけた俺の身体を支えて壁に移しながら、オールマイトが笑顔をくれる

 

 

「もとより、そのつもりだ。我々はヒーローなのだからな」

 

 

エンデヴァーが負けじと身を乗り出す。

………アンタ、オールマイトをライバル視してるだろ…

 

 

「…まぁ、まかされちゃ、やらないわけにもいかないしな。できる事はする」

 

 

センセー…あんた相変わらずだよ…

そんで、そこで俺の意識はブラックアウトした。

 

 

 

あれから、誘拐事件は事なき終焉を迎えたらしい。子供たちを攫ってたヴィラン達はヤクザ共ともつながってたらしくって、科学兵器まで子供たちに使おうとしていたところに、俺とデクが現れたと。

 

マスコミには俺とデクの名前を伏せてくれと頼んだ。あと、個人的にオールマイトと相澤センセーとも時々連絡できるように相澤センセーとオールマイトとSNSの連絡先を交換した。

最初は渋って、「いや、個人でかかわるつもりは…」と断られそうだったのを、今までのデクと俺(おもにデクがツッコむ)事件遭遇確率と、デクの奴が異様に事件ホイホイだという事を今までの事柄を含めて説明してお願いしたら即答でOKもらえた。

 

 

彼らの目が俺を憐れんでいたのは見なかったことにする。

 

 

ちなみにエンデヴァーは何故かチラチラとすみっこで、色々話し込む俺たちを観察しながらため息を吐いてて、なんかウザくてそのまま無視(え?こいつとSNS交換?冗談だよな??)してたらデクがてくてくそいつへ歩いて行って(なんでソイツの事かまうんだほっとけよクソデクが)首を傾げながら何か話してた。

 

 

それから数分後に、「天使かッ!!」と言いながら胸押さえて打ちひしがれてるエンデヴァーの様子を見るに、デクの気まぐれ天然にかかったと見た。

 

 

…わかる。デクの気まぐれ天然はたまにしか発動されねぇが、発動したらしたで恐ろしいくれぇの破壊力を発揮するからな…アレで萌え殺され(やられねぇ)のはバケモン並の精神のヤツだけだろ。

 

 

それになぁ、俺はエンデヴァーとは関わる気はねぇ。事情は深くは聴かなかったが、舐めプ野郎に色々腐った親の代表者みてぇな事した奴だって知ってっから。

まぁ、でも、ちょっと言いてぇことがあったから丁度いいな。前世じゃ言えなかったし、まぁ良いだろ。

 

 

「エンデヴァー」

 

「なんだ」

 

 

すかさずジャンプして足蹴りをあいつの顔面に向けてやってやった。サッとよけられた。もちろんムカつくがナンバーツーヒーローの名に恥じないほどには強い。避けられるのは知ってた。

 

だから後ろの方で小さな爆発で少し上のほうに浮いた。それから踵落し。まぁ、威力は蚊ほどもねぇ。今度は避けられもしなかった。ダメージ入らねぇこと見越したって処かよ。

 

 

クソ…筋肉ウラヤマシイ……

 

 

「なにをする」

 

「テメーに言いてぇ事がある」

 

「?」

 

 

ニヤリ笑いながら、手で小さな爆発をいくつか起こした。そんな俺を見ながらデクが「Σ(゚∀゚ノ)ノキャー!!かっちゃんかっくいい!!」とかなんとか言ってやがったがちょっとお前黙れ。

軽くエンデヴァーを威嚇してヴィランみてぇなニヤリ顔をして。

 

続け様にソイツめがけてジャンプしながらキック、パンチをかまして。避けられて、そんでエンデヴァーが攻撃態勢に入った直後にすんでで向かう軌道を爆発で変えながらそいつの顔面に蹴りを入れた。

 

エンデヴァーは再び目を丸くして驚いてやがるが、それ以上の表情は見せねぇ。つーことは痛くねぇっつーことかクソが!

まぁ、制裁はここまでにしておいてやらぁ。

 

…筋肉ウラヤマシイまじムカつく!!

 

「テメーの息子、もし嫌な目してんなら何とかしてやれ。苦しそうに顔をしょっちゅう歪ませてんだろ」

 

「!!」

 

 

俺の言葉に、エンデヴァーは目を見開いて驚くばかりだ。

 

 

「なぜ…そのことを…」

 

「別に。カマかけただけだ。それよりなんとかして痛みを和らげてやれよ。父親だろうが」

 

「……」

 

 

何かを考えてやがるこいつの顔を見るに、父親がどういうものかよくわかってねぇみてぇ。おいおい…てめーどういう状況で育ってきたんだぁ?そんな事もわかんねーくれぇの変な環境で育ったのかよ?

まぁ、俺はデクみてぇなお人よしのヒーローじゃねぇし。てめぇのメンタル気遣うような真似しねぇしするつもりもまったくねぇ。

 

俺がなにかすんのは、舐めプ野郎のこれからを少し変化させるだけだ。他はするつもりねぇ。

俺はデクみてぇなお節介焼きじゃねぇから。

 

 

「子供は道具じゃねぇ。大人みてぇに丈夫でも、精神が強ぇわけでもねぇ。全部が全部、弱ぇんだ。だけどそれは、まだ色んなモン吸収して育ってるからだ」

 

 

親を見ながら成長するんだ子供って奴ぁ。だからけっこう、侮れないし、かといって厳しすぎるのもかえって逆効果だ。心が……壊れるぞ。

 

 

「だから、今のクソみてぇな態度しかとれねぇお前を見ているだけじゃ、そいつ、大きくなったらテメェのこと恨むぜ?そんで父親認定されねぇだろうな。想像してみろよ。子供に、まるで居ないかのように振るまわれる自分自身を」

 

「うっ…ウグぅ…」

 

 

簡単に想像できたんだろう。目の前の男は顔を歪ませて、汗までかいていやがった。相当辛ぇ事だと気が付いたか。

そんな何も言い返せないエンデヴァーを見て、オールマイトはポカンと呆けていた。

 

 

「少年…爆豪といったか…キミ凄いじゃないか!あのエンデヴァーを口でねじ伏せるとは!」

 

「…お前、本当に子供か?まるで大人が子供に戻ったかのような…」

 

 

相澤センセー…相変わらず、鋭いな…

 

 

クソ。

 

 

 

 

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

 

 

 

 

また、僕はかっちゃんに守られた。

いつも守られてばかりだ…

 

 

「だぁ!ひっつくんじゃねーよ!!オールマイト!!!」

 

「ハッハッハ!!いいじゃないか!君の頭は結構、撫で心地いいんだ!」

 

「知るか!!」

 

 

いつか。いつかきっと

 

 

「俺はどうすればいいのか、ぜひ君の意見を…」

 

「知らねーよエンデヴァー!!てめぇで勝手にやりゃあいいじゃねーか子供に頼んな!!」

 

「しかしキミは…」

 

「だぁ!!うっせー!!4歳児が大人相手に何ができるんだっつーの!」

 

「いや、しかし君は見事にこの事件を解決に導いたじゃ…」

 

「だぁ!てめぇはホント!!まったくもってしょうがねぇほどに!!くっそぉお!!舐めプ野郎はそこん処だけてめーとソックリだよ!」

 

「…? 誰だソレは?」

 

 

いつかきっと、かっちゃん…

 

 

(キミを、超えてみせる…)

 

 

本当は知ってた。僕は無個性なんだって。知っててあのおじさんが言う誘惑に負けてホイホイついていこうとした。そんな僕や、他の皆を守るために君は戦ってくれた。

 

 

キミはボクのヒーローでもあるんだよ。かっちゃん。

 

 

無個性でも諦めたくない。諦めたりしたくない。

今まで僕や皆を一生懸命守ってくれた君の努力を無駄にはしたくはない。

 

 

だから

 

 

だから、かっちゃん

 

 

(辛そうな顔…してほしくないよ)

 

 

僕が弱いばっかりに、いつも君を苦しめちゃう。傷つかせてしまう。

ごめんね、かっちゃん

 

 

(笑ってる顔、見たいなぁ)

 

 

いつか、君が背負うものを僕も一緒に背負えるように。支え合って、笑いあって、背中を預けられるように強く。

もっと強く強く

 

「『ぷるすうるとら』だ。」

 

僕は、相澤って言う男の人と、憧れのナンバーワンヒーローであるオールマイトに、もみくちゃにされて慌てて反逆しそうなかっちゃんを見ながら、意気込んだ。

あ、かっちゃん顔真っ赤だ。久々に見たなぁ。あんな顔なんだなぁ。かっちゃんの照れた顔って。

 

「照れてる。めずらしいなぁ」

 

そう言いながらクスッて笑ったら、エンデヴァーさんが隣で「天使がいる…っ」ってまた意味の解らない事を言ってた。

 

天使がいるって、どういう意味なんだろう?

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