お互いライバル意識が葛藤(かっちゃんの取り合い)するデクと轟!
ここからさらにどう悪化(笑)していくのか楽しみで仕方ありません(ゲス顔)
なにが…起こった?
オールマイトは唖然と、液晶画面を見つめるほかなかった。それは他の皆にも言えることで。
(爆豪少年が有利だったのを、緑谷少年が底力を発揮して圧倒し始めたころ、爆豪少年が笑った…)
彼が不敵に笑った瞬間、目にもの止まらぬ速さで、指をパチン!と鳴らして小さな爆発を指先に起こしたその瞬間、全てが崩壊したのだ。
壁や障害物だった岩もすべてが消し飛んで、その影響は上の階まで広がって…お茶子と飯田が落ちてきたのを爆豪が見て、何かを飯田に呟いた。
『このままなにもすんじゃねぇ』
「なっ?!負けろというのか?!」
『どっちみち、建物壊しちまった俺たちの負けだ。』
彼曰く、たとえヴィランでも大事な核兵器を壊しかねないこんな攻撃をしかけない。売り物に傷をつけるヴィランはバカだと。
『今回は俺たちの負けだ』
「…わかった。君に従おう。君は無駄な事はしなさそうだからな」
『知った風に言うんじゃねーよ…』
結果は、爆弾回収したヒーローチームたちの勝ち。しかしヴィランチームは作戦もさる事ながら、潔く負けを認めて身を引いた事により、みんなの高評価を会得した。それもこれも爆豪の作戦や行動が語った事が大きかったりする。
「ボロボロだな爆豪少年」
オールマイトが彼へ声をかける。
「…あー久々に疲れたわ」
そう呟く彼を見ながら、少し考えた素振りをしたオールマイトは結果を伝えた。
「…キミに得点は入らないが、緑谷少年チームのほうは逆に点数をマイナスさせてもらう」
その言葉に食って掛かったのは出久だった。
「え?!な、なんでですかオールマイト?!」
今度は出久の方へと歩いて近くで止まった彼は、ジッと見つめる。
「…理由くらいは君がわかっているんじゃないかな?緑谷少年」
その言葉に、出久はシュン…と顔を伏せた。
「君は、爆豪少年があそこであんな無茶な行動をした本当の理由を、早く理解したほうがいい」
「…え?」
「ヒントをあげよう。もしあのまま続けてたら、君は何をしてた?」
「あのまま…?それは…」
そして出久はハッと何かに気が付いた。気が付いて青ざめた顔でブツブツ言い始めた
「そんなだってかっちゃんはそんな事知るハズないしそれにもし何か感づいたとしても僕に気遣うなんてそんなのかっちゃんじゃないしましてやそんなのは」
「ストップストップ!ここでそれはナンセンスだよ少年!」
オールマイトはなおも、出久と向き合って話す。
「君の中の爆豪勝己という少年を、もう一度見返す必要があるのではないかな?」
「僕の中の…かっちゃんを?」
「ああ。彼は君が思うほど…無慈悲でもないし無謀でもないし優しくないワケでもないと思うんだ」
逆に優しすぎるんではないのかな?とオールマイトが発して、反論しようとした出久の声を遮ったのは轟焦凍だった。
「緑谷」
「な、なに轟くん…」
何故だか二人の間に嫌悪な空気が流れる。
「俺はきっと、お前の知らない爆豪を知ってる」
「?!」
ギロリと睨む焦凍。
「爆豪は、優しすぎて空回りするが、アイツのやる事はすべてが繋がってんだ。俺でも不思議と馴染めた。そんで色々教わった。だからわかんだ…あいつ、結構繊細で傷つきやすいぞ」
「?!かっちゃんが…傷つきやすい……?」
「虚勢貼って内心なだめようとするのがあいつだ。しかも自分の心、本音を隠すのが上手すぎんだ」
だから、あいつをこれ以上傷つけるな。
「…キミに、何がわかるんだよ」
今まで静かだった出久が、その言葉を発して素早く焦凍の胸倉を引っ掴んだ。その緑の瞳は静かに揺らめいていて、焦凍さえ怖気づいてしまったほどだった。
「仲良かった幼馴染が…急に自分だけに冷たくなって、あげく自分の隣にくるなって突き飛ばしてきたら…キミだって…!!!」
そこまで言って、出久は首を振った。
「もう、いい…もうわけがわからない。疲れた」
そう言いながら壁にもたれて、ずるずると崩れるように地面に座った。焦凍はというと少しそんな出久を見つめてから、何も言わずに自分の番が回ってそこを去った。
「…何ケンカしとんじゃアイツら」
遠くから眺めていた爆豪がそう言えば、尖水がアハハ!と笑いながら肩を組んだ。相変わらずダルそうな声を出している。
「お前本当、気づいてないんだなぁ。平和だなぁ…」
「はぁ?どこが平和だ。お前の頭の中だけだろ平和なのは」
「へいへい…優しい爆豪さんは皮肉さえも真面目に答えてくれるんですねー」
「おい、それどういう意味…「ところで勝己」?!」
急に名前で、しかも真剣な声色で話し始めた尖水を、勝己は驚いて見つめ返した。
「出久に個性使わせないために無茶しすぎだろ…もっと方法あっただろーが」
アイツの個性、ヤバいんだろ?と尖水が問う
「…ああするしかなかったんだよ。」
チラリと、肩を落とした出久を見つめる勝己。
「ああしなけりゃ、あいつは自分の個性使ってアソコぶっ壊して作戦を成功させようとしたハズだ。だからこっちが…」
「なるほどなぁ」
勝己の肩から腕を放しながら、コキコキと腕慣らしをした尖水
「お前さ、このままいけば…壊れるんじゃね?精神。てか心」
「は?」
「もう耐えられないって顔してんぞ」
「!!」
咄嗟に顔を伏せた勝己の頭に、軽く手を乗せる尖水。その瞳は…とても優しい光を宿していた。
「頼れよ!俺とかさ。お前はもう一人じゃねーんだぜ?」
「…!」
一人じゃ…ない。そう勝己が噛みしめるように呟いて。
「わかったら俺の戦いもちゃんと見てろよ~?」
気ダルそうにそこを出ていった。
「…やっぱお前には敵わねぇな……」
尖水の背中を見つめながら、勝己はそう零していた。それを聴いている者がいると、その時の二人は気が付いていなかった。
(かっちゃんは、一体僕の知らない間にどうやって轟君に出会って何を教えたんだろう?そしてなんでかっちゃんは尖水さんにああも信頼を寄せてるの?分からないことだらけだ…悔しいな…一番傍にいたのに、僕はかっちゃんを本当の意味で見ていなかったんだ…)
出久がマシンガントークのごとく考えて少し音量低めのブツブツを言いつつ焦凍を見れば、焦凍も不満そうに顔をしかめていた。
「うわーやべーツユちゃん可愛いって思っちまったー」
はぁ~と溜息をしながら頭を抱える尖水を見ているのは、同じチームの
「君はその子の事が好きなのかい?」
「好き?いや…まだそこまでじゃねーと思うけど…まぁ、友情関係の好き嫌いで言ったら好きの方が今格段にあがってっかなー」
ポリポリと頬をかく尖水。
「あんなに優しく触れられたの…初めてだったからさ…」
スリ…と先ほど梅雨が優しく触れた手をもう片方の手で撫でる。まるで先ほどの事を思い出すように。
「君はかなり彼女の事、好きだと僕は思うけど」
「ははっ。なんだよお前。面白い奴だな~俺が誰かを好きになる?それは危険だぜ?」
フッと一瞬、尖水の顔から笑顔が消えて能面みたいな表情をした。その顔を見てゾクリと悪寒が走った優雅は、固まってしまった。
「俺は誰もを不幸にしかしない存在なんだから…誰も好きにならないさ」
「へぁ?!」
そして冷たい眼差しに当てられて優雅が身震いしたところで、パッと明るい表情に変えた尖水は、苦笑しつつ優しく相方の頭を撫でた。
「冗談だって!怖がらせてゴメンなー?大丈夫か?」
「…だ、大丈夫さ」
「そっか。じゃあ作戦はどうしようか」
「んー…そうだね。じゃあ僕が「オレ突撃に回るから、お前ここで核兵器守ってくんねー?」あ、うん。いいよ」
尖水が体を慣らす。そして
「うしっ!いくぜ~」
間延びした声をしながら、なんとも気が抜けるような、やる気がないような声色を発して尖水は脚力を発揮し、その場からシュッと音を出して消えた。
「へ?」
優雅もポカンとするしかなくて。そしてしばらくして、またシュッと音がしたと思ったら彼は終わったと言いながら拘束していたヒーローチームを床に置いた。
「いま…何が起こったんだ?!」
切島が驚いて声を張り上げた。
「あいつ…なにか足元に使ってたぞ」
滑るように高速で移動しやがったと、焦凍が言うと出久が続けた
「うん。なにか液体のようなものだった。それを地面に流すように…いや、地面に触れた時は固くなってた。そして敵のチームの方へ素早く移動して…」
「手を前に出して液体みてぇなもんを使って、ヒーローチームを包んだな」
最後にまた焦凍がそう言うと、出久と焦凍は顔を見合わせた。
「どうやら君にも見えてたみたいだね。」
「てめぇがどんな奴なのかはわからねぇけど、高い分析力は持ってるようだな。あと目も良いみてぇだ」
またも険悪な空気になると思いきや、焦凍がすぐ背を向けた。今度は彼の番だからだ。その背中に声をかけるものが居た。勝己だ。
「おい轟、お前俺が言ってたトレーニング、やってねーな?」
「……」
「無言は肯定ととんぞ」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………努力はしてる「嘘つけ半分ヤロウ!!」いや、してる」
「つーかなんだその間は…あーまったく。お前ホント石頭だな。まぁいい。今回じっくり見てやんよ。もし左半分使ってなかったら…どうなるかわかンな?」
「…………………努力は、する」
「お前…ああ、もういい。早よいけや」
勝己は自分の後ろを見る事を忘れていた。そう、彼は思いもしていなかった。出久が自分を怖いくらいジッと見つめていたことを。勝己に声をかけてもらった焦凍に嫉妬していたことを。
「なにあれ轟君には助言とか手伝ったりするのにどうして僕の事は邪見にするのっていうかかっちゃんにトレーニング手伝ってもらえるなんてなんて羨ましいんだっていうかかっちゃんに声をかけられるだけで僕だったら緊張しちゃうかもしれないけどやっぱり心の奥底は嬉しさでいっぱいになるよああもうホント羨ましいよなんで僕は違うの何でそんなに扱いが違うのさ…ブツブツブツ」
それ以上は怖くて誰も出久に近づこうとは思わなかった。