メイド学校に通う佐天さん   作:ラーフィ

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どうも、お久しぶりです。三期を見てたらやる気が出てきたので書きました。

しかし三期のテンポ早いですね。早すぎません?早すぎでしょ(三段活用)。テッラの話から第三次世界大戦まで24話でやるとか無謀すぎる……折角ならSAOと同じく48話で新約1巻までやって欲しかったですね。キリもいいですし(それだと逆に尺が余るかも?)

物語を圧縮ゥ!


第十一話 そう言えば新しい友だちが出来たんですよ!

 

 

ギラギラと照り付ける夏の日差しを全身に浴びながら佐天、御坂、白井の三人は初春の寮へと向かっていた。

その理由はというと。

 

「今日は楽しみですね!初春の学校にやってくる転校生!」

「やけに嬉しそうですわね佐天さん」

「そりゃそうですよ!」

 

興奮気味に話す佐天に白井は相変わらずだなと思った。彼女の明るさは自分たちの倍はあるような気がする。

 

「そういえば最近地震多いですわね」

「そうなんですか?私達のところではそういうのはなかったんですけど」

「そうですの?同じ第七学区ですのに不思議ですわね。このことについて私達風紀委員も調査に当たっていますの」

「へー」

「何かあれば連絡くださいな」

「はい!」

 

いつも繰り広げるような会話を話す白井と佐天だったが、御坂は眉をひそめてずっと佐天の方を見ていた。

それに気づいた白井は思わず声をかける。

 

「どうされましたお姉さま?」

「……ねえ涙子。間違ってたら悪いんだけどさ」

「はい?」

 

御坂は一拍置いてから、改めて問う。

 

「何か隠してる?」

 

足を止めて彼女の方を見つめる。

げっ、と顔が佐天の顔が突然歪んだ。この辺りがまだメイドの見習い故の未熟さかもしれない。

 

「い、いやあ……何のことかさっぱり」

「ほう?」

「待って、タイム。頭ぐりぐりは勘弁。それはダメだっあたたたた!!」

「話さないならずっとこのまま……」

「話します!話します!だからこれ以上は危ないです!」

 

握った拳を佐天の頭から解放し、御坂は改めて問う。

 

「で?何があったの?」

「……えっと、私がある人の世話係として雇われているのは知ってますよね?」

「そりゃまあ」

「ずっと思っていたんですが『ある人』っていうのは一体誰ですの?」

「禁則事項です。『上』からそう言われているのでこればかりは言えません」

「……まあいいわ。それがどうかしたの?」

「……実は、最近世話係として行ってないんですよ」

「行ってないって……?」

「ここ最近ずっと連絡取れないし、寮の方に行ってももぬけの殻。ずっと避けられていまして……」

 

そう言う佐天の表情は先ほどの明るさと比べてもかなり暗い。

 

「心当たりはないの?」

「うーん……幻想御手の時にちょっと迷惑かけましたけど、そんなことで怒る人じゃないしなぁ」

「ですが連絡が取れないのは心配ですわね。もしかしたらその人が何かの事件に巻き込まれているのかも……」

「いやそれはないと思います」

「即答!?」

 

思わぬ返事に御坂は道端だというのに大きな声を上げてしまった。

 

「その人強いですし」

「……一応念のために誘拐事件がないか調べてみましょうか?」

「いやあ、多分時間の無駄じゃないかなぁ……?」

 

御坂と白井には内緒にしているが、佐天が世話係として仕事をしている相手は学園都市の頂点に立つ男なのだ。その男が簡単に誘拐されるとは思えない。

でも仕事相手の事は他言無用にするようにと『上』から言われているのでどうも相談しづらい。相手の特徴を教えるわけにもいかないし、何より同じ超能力者が仲良くするとは思えない。もちろん御坂と彼の性格を考慮した上での考えだが。

 

「だから連絡が返ってくるまでは待つことにしたんです。結構気まぐれなとこがあるのも確かですし」

「……まあ涙子が良いって言うならこれ以上詮索はしないけどさ」

 

と、佐天の悩み事も解決(?)したところで彼女たちは再び歩き出した。

 

 

 

――――

―――

――

 

 

 

寮で待っていたのはこちらに手を振り、柵川中学の制服を身にまとい、風紀委員の腕章を付けた花飾りの少女、初春飾利。

そして初春の隣にいるのが。

 

「えっと、この人が?」

「はい。春上さんです」

「春上衿衣なの~」

 

おっとりした表情と声で話す春上はどこか不思議な感じがする少女、というのが第一印象だった。

御坂達も自己紹介を済ませて初春の部屋に入る。春上の引っ越しの荷物の整理を済ませてから親睦会も含めて五人はデパートへと遊びに出かけた。

 

ゲーセンにプリクラ。途中白井と初春が風紀委員の仕事で抜けることはあったものの無事合流。

 

その後、花火大会のポスターに釘付けになる春上を見て花火を見に行こうということになった。

 

浴衣を着るために五人は一度それぞれに寮に戻ることになった。

 

 

 

――――

―――

――

 

 

 

デパートで買い物を済ませた後、佐天は浴衣に着替えるべく、一度寮に戻るために道端を歩いていた。通行人がチラチラこちらを見ているような気がするがもう日常茶飯事なので気にしない。

そうして歩いていると、前方に見知った後ろ姿を見かけた。

 

「あ、美琴さーん!」

 

声を上げてそちらへ駆け足で向かう。

普段なら名前を呼んだ時点でこちらを振り向くのだが今回は振り向かないことに疑問を覚えた。だが構わず向かう。

 

「美琴さーん?」

 

隣に立って、ようやく彼女がこちらを向いた。しかし、その格好……というか雰囲気はいつもと違っていた。

 

「それは私のことでしょうか?とミサカは確認を取ります」

「……んん???」

 

何だろうこの違和感。

 

外見は常盤台の制服を身にまとった御坂美琴だ。だが何かがおかしい。

 

まず表情。こんな感情のない真顔なんて見たことない。

 

次に声色。何時もは心電図のように、声に弾みがあるのだが今は真っすぐ一直線、声の起伏が一切ない。

 

さらに口調。こんな変な喋り方をしていただろうか。

 

極めつけは頭の上にかけているゴーグルだ。スキーで付けるようなゴーグルを、それも夏休みになんで付けているのだろうか。

 

中身がごっそり入れ替わってもこんなに極端に変わらないだろうに。一体何があったのだろうか。

 

「えっと、御坂美琴さんですよね?」

「ミサカはミサカです。とミサカは自己紹介をします」

「……え???」

 

同じ日本語を喋っているはずなのに言っていることが全く理解できない。具体的には突然動き出す点P並に意味が分からない。

姉妹の可能性も考えたが御坂の話では一人っ子のはずだ。つまりこの御坂美琴は先ほどまで会っていた御坂美琴と同一人物ということになる。

 

じゃあ彼女がこんなことをするメリットは?

 

そういえばこの方向は常盤台中学の寮とは逆方向であり、どちらかと言えば佐天の寮へと向かう方向なのだ。そう考えれば佐天に会いに来たと考える方が自然である。

 

じゃあ何のために?

 

この後待ち合わせしているから無理に自分に会いに来る必要はないわけだ。つまりそうでもしないといけない理由があり……

 

いや。

 

佐天ではなく他の人に会うためにこのキャラを作っている可能性があるのでは?っていうか、むしろそうとしか考えられなくなってきた。

そして御坂の性格を考えたら同性にこんなことをするとは考えにくい。

 

つまり。

 

「(まさか……噂の彼氏さん!?)」

 

そして不幸にも。

 

佐天涙子は何時も通りの佐天涙子なので。

 

「(こんなレアな美琴さん滅多に見られないし、こっそり録画しちゃお♪)」

 

ポケットの中にあるスマートフォンを操作して、ばれない位置からカメラで録画を開始する。

 

「それで美琴さんはどこに行くんですか?」

「研修です。とミサカは曖昧な言葉で逃げようとします。腕を掴まないでください」

「まだ逃げられちゃあ困るよねぇ。取れ高少ないんだから」

「……とても面倒くさい匂いがします。とミサカはあからさまにため息をつきます。はぁ」

「待って本当に待って」

「それでミサカに何か御用ですか?とミサカは早く用件を終わらせるように急かします」

「いやー、研修って何かなー?って」

「……ZXC741ASD852QWE96'3。と念のためミサカは符丁の確認を取ります」

「……へ?」

「やはり関係者ではないのですね。ですので先ほどの質問にはお答えできません」

「えー……」

「ではここで失礼します。とミサカは丁寧にお辞儀をしてこの場から去ります」

 

そういって御坂は去っていった。結局最後の最後まで御坂はあのキャラを押し通していた。

きっとそうしなければならない理由があるのだろう。御坂美琴が単純勝負で負けて脅されてああいう恰好をしているとは思えないし。

どういう経緯であんなことになったのかは全く想像できないが。

 

プルルルと電話が鳴り響く。

 

「もしもし舞夏?どうしたの?」

 

電話を取る頃には、推測することも忘れてしまっていた。

 

 

 

――――

―――

――

 

 

 

そして。

 

御坂美琴だと勘違いされたミサカは交番の前に来ていた。

 

「落とし物です。とミサカは女性が使いそうなハンカチを渡します」

「そうか。どの辺で拾ったか覚えてるか?」

「ここから50mほど行った交差点を右に曲がって――」

 

指さしながらメモを取る警備員に説明する。

 

それはメイド少女と出会う少し前に彼女の横を駆け足で通り過ぎた高校生ぐらいの女性がハンカチを落としたのだ。

直ぐに渡したかったが人混みに直ぐに紛れて捜査困難になった。

だから、ここは普段通らない道なのだがルートを変更してこちらに来ていた。

 

警備員の人からお礼を言われて交番から離れていく。

また感情のない表情を浮かべながら先ほどの少女について考え始めた。

『実験』に関して支障が出ているという報告があり、ミサカももちろんそのことについての事も頭に入っていた。

 

それが先ほどの少女。

 

具体的に何がどうなって彼女が支障を及ぼすほどの力を持っているのか理解出来ない。『実験』の符丁も知らない彼女がどうして?と何度も疑問に思うが、今日少し話した限りでは答えが見つからない。

研究者が言うにはあの少女を始末すべきか放置するべきか『上』が悩んでいるらしい。

始末した際、どう彼に影響を及ぼすか推測出来ないからだそうだ。だからといってこのまま放置するわけにもいかない。

 

実験は、見えるところで少しずつ綻びが生じていた。

 

 

 

 

 

そんな曖昧な状態の中で、無慈悲にも『実験』は行われていく。

 

ミサカはコインロッカーに置いていたギターを入れるようなカバンを手に取って、指定の場所へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 




禁則事項と聞いて朝比奈さんを思い出した人は少なからずいるはず。

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