メイド学校に通う佐天さん   作:ラーフィ

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お久しぶりですね。

超電磁砲三期始まりましたね。

別にそれを見てモチベが上がったとかそんな単純な話ではないんですよ。

ただ三期の一話見たらなんかやる気出てきて急に書きたくなって書いただけであって、別に三期を見たからどうとかそういうわけではなくてですね!!



……えーーー何を言いたいかといいますと

やっぱり佐天さんは可愛い(絹旗推し)




第十二話 なんか様子がおかしいんですよね

お昼に御坂(?)と出会ったが、それ以外はなんの出来事もなく佐天は花火大会に行く準備をしていた。

 

しかし、彼女はメイド。あの時舞夏から受けた電話を聞いて落胆したのである。

 

「もー、なんでこういう日に限って夜店を手伝わないといけないの?」

「言うな佐天。私達もこればっかりはやりたくなかった」

 

佐天の隣にいる、タイ焼きを焼きながら首を振ったのは雲川鞠亜。彼女も今日の花火大会を楽しみにしていたのか、どこか元気がない。

既に河川敷に沿うように数多くの夜店が並んでいた。

定番の金魚すくいや仮面売りから、果物が入ったおにぎり売り場といった奇妙な店まで様々ある。

 

舞夏は隣の店で豪快に焼きそばを作っていた。あれに比べればタイ焼き屋はまだマシな方なのかもしれないが、

 

「ねえ鞠亜。なんで私達が夜店やんないといけないわけ?成夏祭みたいに手伝いってわけでもないんでしょ?」

「売り込み。なんか年々繚乱に受験する生徒が減ってるからみたい」

「結局大人の事情かー……」

 

だからといって嫌なものは嫌なのだ。

 

花火大会となれば必然と小学生も集まりやすくなる。ここでメイドの良さをしっかりアピールしようという作戦らしい。

 

「仮に繚乱に入ろうという子が現れて、入ったとしてもあの厳しさと恐ろしさを体験することになるだろうな」

「平日は授業、祝日はボランティア活動を含めた仕事。休みも月に一回あるかないかだもんねー」

「実施研修生になっても授業が免除になるわけでもないし、中間や期末テストは平等に行われるし」

「公欠は取りやすくなるけど、その分授業をカバーするのが大変なんだよね。ただでさえ覚えることが山積みだっていうのに」

 

ハァと二人は同時にため息をついた。まだ一年の夏休みだというのに既に憂鬱だ。これから全く先が見えない。

 

いいや、鞠亜は何かを決心したようだ。

 

「卒業したら絶対平凡な高校に行ってやる。じゃないと気が済まない」

「いや、案外鞠亜はそのままメイドしそうだけどね。何か先生探してるっぽいし」

「おい佐天。それどこで知った?」

「この前私の部屋で居眠りしたでしょ?その時にちょこっと」

「くっ……まさかこのルートからバレるとは……」

「その敵組織のスパイみたいな返し何?」

「あ、でもこれでまたレベルアップに繋がったのではないかね!」

「才能ある人ってどこかズレてるよね」

 

今頃御坂達は春上と一緒に夜店を楽しんでいることだろう。

 

佐天はメイドであることを、この上なく恨んだ。

 

 

 

――――

―――

――

 

 

 

時間は無情にも過ぎていく。

 

数十分前に御坂達が自分のところに来て綺麗な浴衣姿を見せてくれたがどうしてか心の底から喜べない。もちろん皆可愛かったしタイ焼きを買ってくれて売り上げに貢献してくれて助かったが嬉しい感情が湧き出ないのはあの四人の中に飛び込みたいからだろう絶対そうだ絶対そうに違いない間違いないあっ、

 

「(美琴さんにお昼のこと聞き忘れた……)」

 

お昼の御坂と別れてから考えたのだが、やはり御坂の様子がおかしかった。どう転んでも彼女があんな口調を取るとは思えない。まあ噂の彼氏さんの話もいつもはぐらかされるし、そこに何かしら秘密があるとは思うのだが。だが!

 

今の佐天にとってはそれを忘れるほど、佐天の心は沈んでいた。

 

ドン、という音が遠くから聞こえた。

恐らく花火が上がったのだろう。それをうちわで暑さを軽減しながらその花火を眺める。

 

綺麗だなぁ。あの四人は絶景スポットから見てるんだろうなぁ。こんな夜店と木の間から見える扇形の花火ではなく、全景が見える花火なんだろうなぁ。

 

あぁ。そんな愚痴を心のなかでこぼし始めてから何分ぐらい経っただろうか。

 

 

 

ドォン!!と、突如地面が揺れだした。

 

 

 

鞠亜と佐天は飛び上がるように立ち上がった。

 

火事が起きないように慎重に対応しつつ周りを見渡す。そこには祭りに来ていた人たちや屋台を出していた人たちがパニックになっていた。その場に蹲る者、逃げ出す者、助けを求めて叫ぶ者。対してメイドの恰好をした三人は冷静だった。

 

鞠亜が二人の方を向いて指示を出す。

 

「土御門は屋台のガスの元栓の確認。私と涙子はけが人がいないか確認する」

 

二人はコクっと頷くと早速屋台を飛び出した。舞夏は料理のセンスが抜群で知識もこの中でも一番豊富だ。鞠亜は格闘術を学んでいるので怪我やその手当に関して詳しいし、佐天も小さな怪我の手当てなどはお手の物。それぞれの得意分野を生かして自分たちの役割を果たしていく。

 

「大丈夫ですか?」

「は、はい……大丈夫です」

 

佐天は色んな人を見て回っていた。しかしどうこうする必要はなかった。大きな地震がありながらも近くの建物等は倒れなかったし、けが人もいなかった。

 

少ししてから、舞夏、鞠亜と合流した。

 

「涙子、そっちは?」

「みんな大丈夫みたい」

「皆優秀だったからな、ガス栓も私が指示する間もなくみんな締めていたぞー」

「じゃあ私達がやれることはこれぐらいかね?」

「まあ、そうなるだろうなー」

 

しかし気になることがないと言えば嘘になる。

 

例えば。

 

「あそこの高台、落ちたけど大丈夫なのかー?」

 

そう、花火を見るのには絶好の場所、高台が土砂崩れのように落ちていたのである。

 

「……下には誰もいなかったはずだけど」

「上にいた人は多分大丈夫だと思う。白井さんがテレポートで避難させていたのが見えたから」

「じゃあ、後は警備員の管轄だ。私達は大人しく戻るとするかね」

 

そう言って三人は冷静になり始めた人達を避けながら自分たちの屋台へと戻っていく。

 

鞠亜も舞夏も佐天も、これは単なる地震だと思っていた。

 

しかし無情にも、事実は佐天の予想とは異なっていた。

 

 

 

――――

―――

――

 

 

 

次の日のことだった。佐天は御坂と一緒にレストランで涼んでいたのだが、話題はやはり昨日の花火大会のことになった。

 

「ポルターガイスト……ですか?」

「そう。別名RSPK症候群」

 

バニラアイスが載せられたメロンソーダをストローで飲みながら御坂は言った。

 

「能力者が一時的に自律を失い、自ら能力を無自覚に暴走させる現象よ。普通は同時多発するものじゃないんだけど、AIM拡散力場に干渉があった場合はそういうこともあり得るらしいわ」

「はぁ……」

「幻想御手の時の事件に似てるわね。あれも結局はAIM拡散力場に干渉した犯罪だったし、木山も『手段は選ばない。気に入らなければまた邪魔しに来たまえ』って言ってたし」

「じゃあ美琴さんは木山先生が犯人だと思ってるんですか?」

「……確証はないからまだ何とも言えないけど、でも木山は第十七学区の特別拘置所に勾留中。木山が犯人である確率は限りなく低いでしょうね」

 

もう一ヶ月前の事であるが佐天は未だに鮮明に覚えていた。事件の被害者だからかもしれないが、アレは永遠に忘れることの出来ないような、そんな事件だった。

 

「難しい話でしたけど、何か怖いですね。あんな地震が色んなところで起こるなんて」

「そうね。私も一刻も早く事件が解決してほしいと思ってるんだけど……」

 

昨日はたまたま被害がなかったものの、他の場所で昨日のような地震が起これば無事じゃ済まされないだろう。最悪死人まで出るかもしれない。そうなった場合、表向きにはただの事故と済まされていたのが一変する。恐怖に怯えた生徒たちがパニックになり、そのストレスからRSPK症候群――ポルターガイストを発生させてしまうという悪循環が生まれる可能性も出てくる。

 

「そういえば、その時いた春上さんの様子もおかしかったのよね」

「春上さんの?」

「そう。なんていうか、ここにいない誰かを探していたみたい」

「誰かから呼ばれてた的なやつですか?」

「分からないわ。本人に直接聞いたわけじゃないから。でも……」

「……でも?」

 

そこまで言って、御坂は言葉を濁した。

 

実は昨日そのことで白井と話し合っていたのだが、木山の次に怪しんだのが春上なのだ。

 

今まで第十九学区で多発していたポルターガイストが最近になってここ第七学区で頻繁に起こるようになった。それも、春上がこちらに転校してきたタイミングで。

 

もちろん御坂も白井も春上のことは友達と思っているし、春上がそんなことする人物じゃないことは最近の付き合いで分かっている。だからその可能性を否定したのだが……

 

「(それは根拠ある否定じゃないのよね……)」

 

論理的な説明で否定できない以上、可能性として捨てきれない。

 

だが、友人としてこのことを話したくはなかった。

 

「何でもないわ。ただの勘違いだったみたい」

「……本当に?」

 

しかし相手は佐天だ。御坂が佐天の僅かな反応を見逃さないように、佐天も御坂の反応を見逃さない。自分では平常心を保ったつもりだったが、どうやらバレていたようだ。

 

ふぅと息を吐き、隠すことを諦める。

 

「……実は、春上さんが犯人である可能性があるのよ」

「え?」

 

御坂の言葉に、佐天は一瞬自分の耳を疑った。

 

どういうことか聞いて、その理由を耳にして、しかしほんの少しだけ、筋が通っていると思ってしまった。

 

「確かに、その可能性はなくはないですけど……」

「もちろん春上さんを疑ってるわけじゃないわよ?ただそうとも考えられると思っただけでね」

「分かってます。でも、これは初春に聞かせられませんね……」

「……そうね」

 

風紀委員として働いていることもあるが、初春は春上に対して特に世話を焼いていて、誰よりも春上を大切に思っているのだ。そんな初春がこの事を聞いたら、きっとこの上なく怒るだろう。

 

それをしっかりと頭に入れて、腕時計で現在時刻を確認してから、残りのオレンジジュースを一気に飲み干した。

 

「それじゃあ私メイドの仕事に戻りますね」

「うん。また明日ね」

 

御坂に手を振ってから、佐天は自分のジュース代を置いてレストランを後にした。

 

 

 

 

 

一方通行の家には、今日も誰もいなかった。

 

 

 

 




(一年のブランクのせいか)なんか書き方変わった

あと多忙なため感想返せてませんが、すべて読ませていただいております。

本当にありがとうございます!

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