その日、少年は……運命と出会った




この作品は天地優介さんの読者参加型作品、『GOA〜ガーディアンズ・オブ・アース』へと投稿させていただいたキャラの番外編です。

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みんなも『GOA〜ガーディアンズ・オブ・アース』に参加、しよう!


Xボーグ ザ・ビギニング

『ボーグ……何故だ!?何故貴様ほどの勇士がこんな真似をする!?』

 

宇宙で、二人……いや、二体の戦士が対峙していた。

銀と白の戦士は、その全身は緑の返り血に彩られ、黒い戦士は、腹部から緑の血を流しながら。

 

『……この星の生命体は、我々と同じ、知性を持ち、社会を形成しているのです。交渉が可能なのですよ。

……それを無視して、殺戮を行うことなど……到底許される行為ではない』

 

『愚か者!種族の……我々の存亡がかかっているのだぞ!?貴様は同胞を、家族を見捨て、見ず知らずの低レベルな異星人を救うというのかぁぁぁぁ!』

 

『それでも私は……一人の父親として、理性ある生命として恥じることはしたくないのです』

 

『ボォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォグゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!』

 

『……許しは、乞いません』

 

そして、激突。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あのドケチハゲ親父め、なーにがエコ活動の推進だよ、要するに給料カットじゃねぇかよ。『時給が50円減るくらいだ』じゃねぇよクソッタレ」

 

夜道を一人で歩く青年。

青年の名は『月島誠司』。『メテオシティ』にある大学に通う普通の一般人である。

彼は薄暗い夜道を、ぶつくさと愚痴りながら歩いていた。

 

「あーあ、俺も能力者だったらなぁ……最も楽なバイトで給料も倍ぐらいなんだろうなぁ……」

 

『能力者』。

29年前、この地球へと落ちてきた隕石『Xーメテオ』。

その『Xーメテオ』から放出される波動『Xーウェーブ』を受けた一部の人間が、手から炎を噴射したり、腕が肥大化しトラックをも持ち上げるほどの怪力に目覚めたりといった超能力を使いだし、『能力者』として覚醒することが相次いで起こった……らしい。

その能力を悪用、犯罪へと転用する人間、俗にいう『ヴィラン』が現れだし、そしてそのヴィラン達に対抗して能力を行使し戦う『ヒーロー』も現れた。

この町、『メテオシティ』はそういった能力者の研究・保護を行うために作られたという。

 

「ま、無能力者の俺にゃ関係ないことだけどな。あーいよーなーヒーローって。どうせ超モテて能力使って便利な生活して、セレブな生活してるんだろ?本当羨ましいわ」

 

「あーあ、俺もヒーローなりてぇなぁ……昼間はヴィランどもを殴り倒して、夜は美人モデルを押し倒す生活とか最高だろうぜ?」

 

ヒーローへの愚痴を呟いて、ため息をつく。

その直後であった。

星が浮かぶ空に、一筋の流星が一瞬流れた。直後、耳をつんざくような爆発音が周囲にとどろき、一瞬回りが明るくなるほどの爆発が起こる。

 

「な、なんだぁ!?」

 

突如として起こった爆発に、慌てて周囲を見渡す誠司。

 

「ヴぃ、ヴィランが出てきたってのか!?ヒーローはなにしてんだよ!?」

 

情けない言葉とともに、慌てて自分も逃げようとした時。

 

『……こえるか……聞こえるか……こちらへ……来てくれ……』

 

「な、なんだってんだよ次から次に!クソっ!」

 

突如として脳へと響いてきた『声』に足を止める。

能力者の中にはテレパシーを使って人間の脳内へと直接語りかけることが可能な人間もいるらしい。

そして誠司は無意識にその声の方へと走り出していた。そんな声無視しろ、と思いはしたが、もしかしたら動けなくなった能力者が助けを求めているかも……そんな風に考え正義感に突き動かされたのだ……

 

(……こういうのはヒーローの役目だろうけどな。ってか、能力者でもどうにもならないような状況で俺が来たところで何の役に立つんだか……)

 

無能力である自分の矮小さを笑いながらも、足は止めず走り続ける。

 

「おい!だいじょう……ぶ……か……よ……」

 

駆け付けた先にいたものは。

 

「……ロボット、か?」

 

白と銀のカラーリングの流線型なボディ。

テレビでやっている特撮ものかロボットアニメに出てくるような機械的なボディのそれは、近くの木にもたれ掛かるようにして踞っていた。

 

(……来てくれた、のか。……ありがとう。本当にありがとう)

 

先程とは比べ物にならないほどにはっきりと聞こえてきたテレパシーに、はっと意識を戻す。

恐らく、このロボット……?がテレパシーの主なのだろうと推測する。

 

「……あんたは、一体?」

 

(私の名は、『ボーグ』。……信じてもらえないかも知れないが……『宇宙人』というやつさ)

 

「マジかよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(……これが、私達……『ゾーマ』の話だ)

 

「……」

 

信じがたい話だった。

『宇宙人』……『ボーグ』と名乗ったそいつの話によると、『ゾーマ』という惑星が終焉を迎えようとしており、そのために移住できそうな星を探している。そこで地球へと目を付けて、地球の人間を皆殺しにしてから移住しようという。

 

「まるでSF映画か何かの脚本だな……んで、それを俺に伝えてどうするんだ?お巡りさんにでも話すか?」

 

(……君には、やつらと戦ってほしいのだ)

 

「…………はぁ?」

 

皮肉で返したところ、まさかの提案である。

 

「おいおいちょっと待てって!俺はただの何の能力もない一般人なんだぞ!?戦えっつったって……」

 

(時間がない。私も……そろそろ限界が近いのだ……!)

 

絞り出すようなボーグの一言。

誠司がちらりとボーグの全身を見てみれば、緑色の液体が足元に貯まっている。あれがボーグ達ゾーマ星人とやらの血だとすれば、かなりの量になる。

 

「……あんた、怪我して……」

 

(……奴等と戦ったときに、ドジってね。今回は何とかなったが……重ねて頼む。君に、このスーツを託す。この星を、守ってはもらえないだろうか?)

 

穏やかな口調で、しかし力強い意思とともに誠司へと語りかける。

その言葉を聞いて、誠司は一瞬迷いはしたものの、頭をわしゃわしゃとかきむしって、

 

「……ああ分かったよ!やってやるさ!」

 

答えた。

 

(……ありが、とう………………)

 

その答えを聞いて、ボーグは満足そうに呟いた。

ボーグの体から、力が抜けていき、そして……地面に溶けるようにして、銀色の液体が流れていった。

 

 

 

残ったのは、ボーグの来ていたスーツのみ。

そのスーツも、すぐさま光に包まれて、小型化し、銀色に輝く腕時計へと変わった。

誠司はその腕時計を拾い上げ、軽く弄んだ後、左の手首に付ける。

 

「……やってやるさ……!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

数日後。

 

『殺せっ!原住民を皆殺しにするのだっ!』

 

メテオシティの一角は、悲鳴に包まれていた。

黒い機械的な鎧を着た異形の戦士が、突如として街へと襲来、殺戮を始めたのであった。

一部の能力者等は抵抗しているものの、戦士のもつ武骨な形状の鉈に切り裂かれ、血を吹き出して倒れこむ。

 

「……あうっ!」

 

「!ユイ!大丈夫!?」

 

狂乱しながら逃げ惑う住民達の中で、一人の小さな子供がなにかに引っ掛かったのか転ける。

母親らしき女性が子供へ駆け寄ろうとするが、それよりも一瞬早く、黒い戦士の一体が、子供の前へと翔んでくる。

 

『……殺す!』

 

「ひっ……!だ、だれかたすけ……」

 

振り下ろされた鉈。目をつむる子供。

……しかし。

 

「………………?」

 

その鉈は振り下ろされない。

横から、銀色の刃に留められているからだ。

 

『き、キサマ……ボーグ!?』

 

その刃の主……銀色のスーツを着た戦士は、いとも容易く鉈を弾き、黒い戦士を蹴り飛ばす。

 

『ぐぉっ!?』

 

蹴り飛ばされた戦士は数メートルは吹き飛び、コンクリートの地面へ派手な音をたててめりこむ。

その様子を一瞥した後、銀色の戦士は子供の方を振り向く。

ゆっくりと子供へ近づいて、体を起こしてやり、安心させるように頭を撫でる。

 

『……今度はお母さんの手、離すなよ』

 

「うん!ありがとう、ロボットさん!」

 

子供はお礼の言葉を銀色の戦士に告げて、母親の元へと走り出していく。

その様子をどこか優しい眼差しで見送った後、正面へと向き直る。

 

『ええい、先発隊がボーグの妨害でやられたというのは事実だったか……!全体、ボーグを敵と認識せよ!』

 

『……俺は、ボーグじゃない』

 

 

 

 

 

『俺は……Xボーグさ!』

 

銀色の戦士……『Xボーグ』は力強く語り、黒い戦士、『レプトル』へと突進していった。

 

 

 

これから、彼は地球を守る戦士として、様々な事件に巻き込まれていくが……それは別のお話である。




クッソ酷い駄文、恥ずかしくないの?

それはともかく、天地優介さんの『GOA〜ガーディアンズ・オブ・アース』、皆も参加しよう!
↓ここから参加できるゾ(多分)

https://syosetu.org/novel/157741/


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