黄昏のガラクタ   作:末期(現在亀投稿中)

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この話は身内が書いた方です。
次回は自分が書く予定ですが忙しいのでいつになるか…。


エピローグ

神奈川県

 

日本と言う国の関東地域、首都圏と言われる人口密集地帯の一角、レジャースポットや観光地が有名であり、首都に近いこの場所で、事件が起こった。

 

連続児童惨殺事件

 

今、世間で話題になっている事件の名前。そして、この神奈川県で起こっている前代未聞の事件。

始まりは一週間前、一人の行方不明だった小学生が、あまり使われていないコンテナ群の一角で、バラバラに解体されている所を、作業員が目撃したのを皮切りに、連日子供が行方不明になり、次の日バラバラになって見付かると言う事が、一週間続いている。

 

被害者は小学3年生から、付近の高校に通う女子高生まで、七名。

全員一人の所を狙われている。

 

警察の捜査も虚しく、未だに犯人を逮捕したと言うニュースは無く、マスコミは警察の批判にうるさい。

同じ神奈川県に居る武偵は、いつそれが調査協力している武偵に向くか、戦々恐々とする毎日を過ごしている。

 

「安藤、未だ手掛り無いのか!!!!」

 

四十代程の、短髪の髪が逆立って、ライオンにも似た雰囲気の、野性味溢れる筋骨隆々の男が、俺の名前を叫びながらデスクを叩く。

 

「こうも行方不明になった場所がバラバラだと、分担しても調査に時間掛かりまして、今の人数だとこの速さが限界でして………申し訳ありません」

 

俺が報告書を提出して、事情を説明して頭を下げると、男は報告書を流し読みして、舌打ちをするとデスクの上に有ったブラックコーヒーを、一気飲みする。

 

「武偵はこう言うのが仕事だろ!神奈川県警()から応援(邪魔)が来る前に、何とか現場(俺達)で対処すんだよ!!」

 

こいつ出世欲が本音かよ、嫌になるな。

 

思わず(しか)めそうになる顔を、仕事だからと無理矢理取り繕う。

 

割りが良いからって、考え無しに任務(クエスト)を受注した三日前の自分を、思わず殴り飛ばしたい衝動に駆られるが、もう後戻り出来ない事も分かってるから、仕方無いと割りきって、クレーム処理(仕事)に頭を切り換える。

 

粗方の愚痴を、定型文の受け答えで流して、男の気が済んだ辺りで、こっちの要望を言う。

 

「こちらとしても、早期解決の為に尽力を尽くします。捜査の為に類似事件の事件記録を、閲覧するための許可が欲しいのですが」

 

それを聞いて男が面倒臭そうな顔をすると、コーヒーをコップに注ぎながら言う。

 

「小鳥遊に言えば、許可が下りる……ただし!!持ち出しも口外するのも厳禁だ!!」

 

その言葉に、へこへこ頭下げて、部屋出て、人気の無い廊下を歩いて捜査本部に入ると、中にいた人達が、目の下に隈を作りながら、気の毒そうにこっちを見てきた。

 

「安藤、報告お疲れ様」

 

同じチームの一葉(ひとつば)が、苦笑いしながら、ぬるくなった缶コーヒーを渡してきた。

こいつとも長い付き合いだよなぁ、中学から今年で四年目か。クラスはバラバラだったけどな。

 

ぬるいコーヒーを一気に飲み干して、軽くなった口で愚痴を言う。

 

「あのライオン頭、怒鳴る時までライオンみたいにバカでかい声出して、耳がいてぇよ、ったく」

 

俺がそうぼやくと、部屋にいた連中が笑い出す。

でかい声は出してないが、何しろ皆死んだような目をして、幽霊みたいに不気味な静けさで資料を纏めたり、探したりしてるんだ。それもこれも全部あのライオン頭の男こと、警察署長の足立空政(あだち からまさ)と、事件の犯人のせいだ。

 

「あのクソライオンも、元々神奈川県警察本部(本社)勤務だったのを左遷されてこっちに来たんだ。その時左遷したのが今の本部長、神奈川警察署(ここ)とは犬猿の仲だ。今頃、ここの手柄を横取りするって躍起になって、派遣する人員の最終調整でもしてるんじゃないか?」

 

今回の事件の、警察側の対策チームの一人、中年のおっさんがそう言う。

 

最初の事件から一週間、手掛りも無い今の状態じゃ、正直猫の手も借りたい位なんだがな。

 

本部でも何でも、この事件解決出来るなら、早くしてくれよって感じだ。八方塞がりで、どこに手をつければ良いかすら分からなくなる。

 

現場には大量の血痕、解体は現場で行われていて、指紋も()()()()()()()()。あるのは裸足の足跡一人分。足の大きさは27.5㎝、事件発生推定時刻の前後に、付近の聞き込みでは、怪しい影一つ無い。

 

足の大きさからみても、人を解体するという力の要る事をしているという意味でも、男の可能性が高いが、推定犯行時刻に、周囲に怪しい男の影があるなんて、聞き込みでは上がっていない。周囲にあった監視カメラの映像を、無理言って確認もしたが、それらしき人影は居なかった。

 

被害者が行方不明になる時間は、バラバラで、朝学校に行くために家を出たら、そのまま行方不明。学校帰りに行方不明になり、友達と遊びに行った帰りにも行方不明になっている。

 

行方不明になる直前の場所に、関連性は無く、強いて言えば人気が少ない位。

 

被害者同士の関連性も無い。

 

これは迷宮入りも有り得るなぁ。なんて、現実逃避しつつ、小鳥遊さんの居場所を聞くと、資料室に居る様ようだ。

 

部屋に居る連中にエールを送って、部屋を出て廊下を歩いてると、後ろから肩を叩かれた。

 

「なんだ、一葉か。お前も資料探しか?」

 

「そうそう、息抜きも兼ねてね~。ここの所ずっと座って報告書と資料作りしてたから、身体凝っちゃって。久し振りに運動したいなぁ」

 

確かに、探偵科(インケスタ)でも無いのに、こんな事させられるとか、強襲科(アサルト)の人間には辛いわ。

 

「強襲科にはデスクワークは拷問だ」

 

「安藤脳筋(バカ)だもんね~」

 

バカとはなんだ、バカとは。考えるより動く方が好きなだけだ。普通科目の成績は良いんだぞ?

全教科、偏差値50台。学校平均40以下のバカ高校にしては、上の成績なんだぞ?

 

「バカじゃねえよ、身体動かすの好きなだけだ。お前も去年まで強襲科(死ね死ね団)だったろうが」

 

「私は今は、知的な研究部(リサーチ)超能力捜査研究科(SSR)ですぅ!」

 

そう言ってフグみたいに頬っぺたを膨らませる一葉。

 

本当に知的な奴はそんなことしねぇよ、つか頬っぺた膨らませるって、幼稚園児か。

 

「今の顔、鏡見てから言え」

 

「私の顔がバカっぽいって言うの!?」

 

心外だとばかりに、プンスカ怒る一葉を無視して、資料室の扉をノックする。

 

「大丈夫ですよ~」

 

中から声がしてから、扉を開けると、ボサボサの髪を後で無理矢理纏めたような髪型の、眼鏡を掛けた女性が、資料に埋もれていた。

 

「倒したんですか、資料棚」

 

「これで今日二回目だよ、重くて普通倒れないと思うんだけど」

 

小鳥遊真綾(たかなし まや)、この資料室の管理人擬きであり、警備部警備課所属の現役警察官。欠陥魔術師(スクラップウィザード)と呼ばれる、魔術的な欠陥のある人間。

 

本来、魔術を使う時式力と呼ばれるものを操作することにより、魔術師は魔術を使う。式力を操作するのは天性の才能が必要で、遺伝する才能の一つ。

 

ただ、遺伝するという事は、()()()()()()()()と言うことでもある。それはつまり、遺伝子を上手く継げない場合もあると言うこと。

 

欠陥魔術師とは主に、そういう遺伝子異常によって生まれる存在である。

通常なら、式力を思うように使えなくなる事が多い欠陥魔術師は、社会から見れば危険因子であり、よくて隔離、悪ければ抹殺。小鳥遊さんは本当に幸運な部類で、式力が全く使えない代わりに、常に身体機能を常人の数十倍強化されるというものだ。

 

 

「このメガネ、度があってない無いんですよぉ」

 

涙目になって、床に散らばった資料を集める小鳥遊さん。力加減が難しいのか、はたまたメガネのせいで遠近感が狂ってるのか、時折床に指をぶつけては、「あ!?」なんて声出して、指が床にめり込んでる。

 

「あってないんじゃなくて、()()()()()()()()んでしょう?」

 

一葉が呆れながら手伝い始めたから、俺は倒れた棚を起こそうと力を込めるが、重過ぎてピクリともしない。俺一応、筋トレしてダンベル120㎏なら持ち上げられるんだけど。この棚一体どんだけ重いんだよ。

 

つか、床が凹んでるんだけど。めり込んでるよこれ。よく見ると床があちこちめり込んでるし、落とす度に床がめり込むとか、床材張り替えないと、ヤバイぞこれ。

 

「ふぐぅッッッ!!!がは、ハァ………ハァ……………なんだこの重さ。」

 

俺が息切れしてると、「普通の人には無理ですよ~」何て言って、小鳥遊さんが本棚の縁を片手で持つ。

 

「よいしょ!!……っと、ふぅ。この棚は合金製でして、454カスール弾までなら弾けます。京菱重工の新合金でして、従来のより性能据え置きで値段が二割引きの、お財布に優しい本棚なんですよ。重量は三割増しですけど」

 

改めて、意味不明なレベルの怪力具合に、唖然としてしまう。

 

それにしても防弾性能か、マグナム弾弾けるレベルとか、そりゃ重いわ。

つか、京菱重工って、日本の銃器関係開発の最大手かよ、政府御抱えの会社の一つだぞ?

要人警護の時の車両とかも、全部京菱重工が造ってるって話だし。

 

「本当にアホみたいな力ですね」

 

呆れを通り越して、一週回って感服したような表情で、一葉が言う。

 

「私は普通が良いんですけどね、良いこと無いですもんこんな力」

 

小鳥遊さんは苦笑いして、資料集めを再開する。俺と一葉は、小鳥遊さんの言葉に言い返すことが出来なくて、気不味くなって、資料を集める。

三人で分担したからか、ドジっ子が一人いても、大分早く作業が終わった。

 

「ありがとうございます。そういえばここには何のようで?」

 

「今回の事件(やま)の、類似事件の資料を探しに、署長から許可は貰ってます」

 

本来なら、警察の人間じゃない俺や一葉は、資料を探す何て出来ないんだけど、今回は例外だ。

 

「署長から、ですか。類似事件ですね、それだと、一番奥の棚の、凶悪犯一覧から、探しましょう」

 

流石、署内の人から、主なんて呼ばれるだけある。頼りになるなぁ。

 

小鳥遊さんに案内された棚から、事件への手掛りを探すこと、二時間。やっと一人の男の影が出てきた。

 

「こいつかも、知れないね」

 

「手口も、こいつの性格も、今回の事件の犯人にドンピシャだな」

 

八桐 凱(やきり がい)

 

過去に外国で七ヵ国、20を超える事件に関わり、30人以上の()()()()()()()快楽殺人犯である。




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