東方湯煙録   作:鯖人間

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ストック切れと少し忙しくなってきたので
少しペースが落ちます…
投稿自体は続けますので…


孤独と狂気と運命の先

「…私の名前は霞。ただの温泉好きな妖怪だよ。試しに一緒に入ってみないかい?」

 

 

「まぁ!いいの?私、誰かとお風呂に入るなんて初めて…!ねぇねぇこのオンセン?っていうのを湧かせる事が出来るのって、霞の持っている能力のおかげなの?」

 

「あぁ…そうだよ?まぁ、それだけじゃないんだけどね…それじゃあ、濡れると困るから。今着てる服を脱いだ後…ゆっくり入ってくれるかな?」

 

「はーい!分かった!!!」

 

 

 

そう笑顔で返事をしたフランドールを見て、霞が湯船に身体を沈ませると…フランはいつの間にか服を脱いでいた。

 

 

 

「ほら、出来たからゆっくり入って…」

 

 

バシャーン!!!!!!!!

 

 

「凄い!温かい!本当に温泉が湧いてるー!きゃはははははは!!!!!」

 

 

 

霞の言葉を聞かずに一直線に飛び込んできたフランを受け止め…誰も静かに湯船へ入らない事に溜息をつきつつ、霞はフランへと話しかけた。

その身体はまだ幼く、とても小さかった。

 

 

「もう、別にいいか…それでフラン?お前はどうしてこんな暗い地下室で…たった独りで過ごしてるんだ?」

 

 

 

霞がそれを聞くと…少し哀しげな顔をしたフランは、自分の身体を縮こめながら…理由を吐露し始めた。

 

 

「 ぇと…私は危険な能力を持ってるから…お姉様に、能力をきちんと制御出来るようになるまでお外に出ちゃダメって言われたの。制御が出来ないなんて、危ないから…」

 

 

ここは概ね聞いていたとおりだった。若干、レミリアが思っていたよりもフランはその事を重く、受け止めてしまっているようだが…

 

 

 

「私、495年間1度もお外に出たこと無くって…いつも独りで絵本を読んだりして毎日を過ごしてたんだけどね?

…ずっと前は、皆が地下室に遊びに来てくれてたこともあったの。だからまだ、皆と会うために能力の制御を頑張ろうって思ってたんだけど…」

 

 

ここで、フランの目に涙が潤み始めていた。辛いだろう。寂しいだろう。

この子は、まだこんな幼いのに…産まれてからの長い時間。延々と続く孤独に凍えてきたのだろう。

…霞には、今のフランの抱えている気持ちが、心の叫びが…痛いほどに、よく分かっていた。

 

 

 

「もう、随分昔からお姉様もパチュリーも、咲夜も美鈴も皆会いに来てくれなくなっちゃって…いつも夜になると独りで目が覚めるの。

私、やっぱりお姉様達に嫌われてるのかな……?だって私、今までお姉様達と一緒にお風呂に入ったことなんて…一回もないんだよ…?」

 

俯いたままそう語ったフランの目には…今にも決壊しそうな程に深い、悲しみの涙が湧き出していた。

そして、何度も堪え…決壊してきたのだろう。

 

 

「そうか……それじゃあ今度は私の事も話そうか?」

 

「…え?いいの?聞きたい聞きたい!!!」

 

 

フランはくるりと霞へと向き直り、そのまま霞を見上げた。それを見た霞はフランが聞き取りやすいように、ゆったりとした口調で自分の事を語り出していった。

 

 

「私がこの幻想郷に来たのは昨日でね?それまでは外の世界で、悠々気ままに過ごしてきたんだよ」

 

 

 

霞はフランに自分の過去を語っていった。過去の友人の話から、自分の存在が必要とされなくなってこの幻想郷へと流れてきたことまで…色々な事を。

 

 

 

しばらく話をしていると…フランがポツリと呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私も、お友達が欲しいなぁ……」

 

 

 

 

寂しげな顔をしながら、そっと触れるように。無意識に霞へともたれかかってきたフランを見て…霞は腹を決めた。

 

 

「…なら、私がフランの友人になろうか?」

 

 

「え!?」

 

 

 

フランが思わず霞の顔を見上げる…と、霞は先程のように。微笑みを浮かべてそう言った。

 

 

 

「私でよければフランの友人になりたいんだが…と、思ってね?私は今まで、沢山の種族と友人関係になってきたのだけれども…まだ、吸血鬼の友人は居なくてね…

私の吸血鬼の最初の友達…フラン、どうかな?」

 

フランの目の前に、そっと手を差し出す霞。

それを見て、フランの目に浮かぶ涙は決壊した。

 

 

「…ッ…うんッ!!なる!私…霞と友達…なるッ!!」

 

そう言って、フランは感極まったのか…そのまま霞へと抱きついてきた。霞の背中に手を当てながら、胸に顔をすり寄せるフランを見て…霞がフランの頭を撫でていた時。

 

 

 

 

ズドン、と嫌な音が響き…霞の胸をナニかが貫いた。

 

 

 

 

 

ゆっくりと霞が胸元を見た時。

…フランの右腕が、今まさに自分の身体を貫いている…そんな光景が広がっていた。フランは透き通っていた真紅の瞳に、黒く濁った狂気を浮かべると…その口元を、今にも裂けるかと思える程に大きく歪めていた。

 

 

 

「霞は、私の友達なんだヨネ?なら、ずっと一緒にいてくれるんだヨネ?独りぼっちにしないでくれるんダヨネ?私が能力を使っちゃっても壊レタリしないよネ?昔、ここに来ていた嘘つキミたいに、私を残して壊レテいったりなんかシナイヨネ?ねぇ、霞は…私と一緒に温泉に入ってくれた霞ハ、…アンナ嘘ツキ達トハ違ウヨネ?」

 

 

どうやらフランが心を狂気に蝕まれていたのは本当だったらしい。しかもかなり深刻な様子だった。長い間狂気に苛まれた反動は大きく、これは放置する事は出来ない。

それに孤独の感情はより一層強くなっている為、なんとかしなければならない。

 

口に溜まった血塊を吐き出し、霞は力強い目でフランの姿を見据えた。

 

 

「ゲホッ…ああ。私は壊れないから心配はしなくていい。けどフラン?温泉に入る時のマナーは最低限、守るべきだと私は思うんだけどね…?」

 

霞は引き抜かれた胸から温泉に流れ込む大量の血液になど目もくれず、フランへと話しかける。

 

 

それを見たフランは、勢い良く引き抜いた右手に付いた霞の血液をペロりと舐めながら…狂ったような笑顔で笑い始めた。

 

 

 

 

「アハハ!ゴメンね!!私オンセンノマナーなんて知ラナかったノ!でもそんなノは仕方なかったノ!気になってタノ!霞の血ってどんな味ナンだろう…ッテ!今まで来た妖精や妖怪はみーんなみーんなこれで壊レチャッタモノ!嘘つきばっかりガここへ来てたノヨ?ずっと仲良しだとかもう友達ダトカ……霞は嘘つきじゃないんダカラ私を楽シマせてくれるんダヨネ?ソウナンデショ?霞?」

 

 

 

そう言いながら霞へと話すフラン表示の中に。霞は一瞬だけ!酷く寂しそうな顔をしたフランを見つけた。…それを見た時、霞の腹は決まった。

 

 

「…フラン?聞こえてるかな?君は心の底からそんな事を思っていたのかい?レミリア達と一緒に過ごすために。狂気になんかに飲まれないように。能力を制御出来るようになるんじゃあ無かったのかい?

…私はフランとの約束を守るよ。何があっても私は壊れない。それに、私はレミリア達との約束があるから、フランの攻撃なんかじゃあ死んではやれないよ。

…だから、フランは心を強く持て!!!流されるな!飲み込まれるな!全力で私にぶつけてこいッ!!!…フランは、レミリア達に…会いたいんだろうッ!?」

 

 

 

そう言って霞は妖力を解放すると一気に温泉へと流し込んだ。温泉が急に輝き出したかと思うと…湯に使っていた霞の胸に空いた傷が、みるみる内に塞がっていった。

 

 

 

 

「…何を言ってルノ?私は私デシょ?こんな風に人を殺シテ、妖怪も壊シテ…みんなみんな私を遠ざけて誰も私の近くになって…偶に来てくれてたお姉様も最近は来てくれないし…ああもう訳がわカラない!!!!!!どうして私はこんな目に…!私だって皆とお話しタイ!一緒に過ごしたい!!触れ合いたい!!!なのに…ッ霞ハ、コンな私を受け止めてくれるっていうノッ!?」

 

 

 

狂気に染まった顔の中に一瞬だけ孤独に震えているような顔が混ざった。それを見逃さなかった霞はまた、フランへ笑顔を向けると…

 

 

 

 

 

「ああ。お前を全身全霊掛けて受け止めてあげるから……だから、そんなちっぽけな狂気の力に……負けるんじゃないぞ!!フランドール・スカーレット!!!」

 

 

 

それを聞いたフランの顔は、また狂気に歪んだ。

 

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

そして、フランの右手が不自然に動いた。まるで目に見えない何かを、自分の右手へと手繰り寄せたように…

 

 

 

 

「霞イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィ!!!!!!!」

 

 

「………はッ!!」

 

 

 

 

霞は目を閉じ、纏っていた妖力をフランへとぶつける。その妖力で出来た弾の内、フランの小さな体へと何発かの弾幕が直撃する…が、

 

 

 

「ソンナ薄イ弾幕ナンテ効かナイ!!ソレニ、コレデ皆…ミンナ砕ケルノ…!!

きゅっとして………ドカーン!!!」

 

 

 

 

それを受けたフランが弾幕等気にせずに、その右手にある「何か」を握り潰した。確かなぐちゃりとした生々しい感触を…フランが感じたそよ瞬間。

 

 

 

 

霞の体が破裂して、鮮血と肉片を散らした姿がフランの目の中へと飛び込んでくる。

 

 

フランは自分が、自分の手によって破壊してしまった霞『だったモノ』を呆然と見つめていた。

 

 

その瞬間、フランの頭の中に。突然今まで心に蓋をしながら閉じこもっていた頃の自分の姿が…映りこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、レミリアは霞の運命を見ていた。やはり、何度運命を見ても…フランと出会うと霞の体が爆散する未来しか見えなかった。

 

 

 

「…どうしてよッ!!!何で、何でこうなるの…ッ…!」

 

霞は、いい妖怪だったと思う。今まで幻想郷で見たこともなかった雰囲気を纏うかなり変わった妖怪だった。多分色々な人物と関わりを持っているだろう…そんな彼が、この紅魔館で死んでしまうなんて、考えたくもなかった。

 

 

 

 

「…あ」

 

 

そんな時、霞の運命が見えなくなった。

 

 

…どうやら、霞が…死んだのだろう。

 

 

 

 

 

 

そう思った時、レミリアの頬を涙が伝った。高貴であり、その種族気位ゆえに、他人の為に泣いた事など無かったはずなのに。

 

絶対に助けるって、霞は言った筈なのに。

 

 

 

「…ッ…ぅ…ぐずっ…どうじで…ッ…約束ッ…したのに、バカァァァァァァァァ!!!!!」

 

 

 

レミリアがそう叫んだ時、ノックもしないで慌てた様子の咲夜が部屋に入って来た。

 

 

「お嬢様!!今、霞様の運命は見えますか!?どうしてお泣きに…まさか!?」

 

 

「………えぇ…霞の運命が…見えなくなったの。霞が…ッ…死んじゃったの…ッ!」

 

「…ッ!!…お嬢様、それは違います…!!」

 

そう、咲夜に告げた時。

昨夜は、勢い良くレミリアへと切り返した。

 

 

「…霞様は自分の運命が見えなくなった時にレミリアお嬢様を連れてくるようにと私に頼んできたのです!!ですから早く、一刻も早くお嬢様も地下室へ行きましょう!」

 

 

「…え?……ッ…ええッ!すぐに行くわよ!!」

 

 

 

 

そう言われたレミリアは、すぐに自分を切り替えると…飲んでいた紅茶が冷えること等気にせずに。そのまま地下室目掛けて走り出した。

 

 

その時、フランに爆殺され見えなくなった運命の先に…ぼやけて見えづらい何かの姿が見え始めていた。

 

 

 

 

 

 

──────────────────────

 

 

フランドール・スカーレットの心の中はいつも孤独だった。

 

 

 

 

自分が生まれてから共に過ごした愛する姉には、能力の暴走によってフランが人を殺していた様に見えていたのだろう…

…それは間違っていない。確かにフランは自分で能力の制御が出来ないために探検をしに紅魔館にやってきた近くの人間や、この紅魔館で働いていた妖精メイドの

『目』をこの手で握りつぶしてしまった。

 

 

 

 

それ以来フランは狂気の力に侵されていて気が触れているから近づいてはいけない。話し掛けてもいけない。…能力を制御出来るまで、誰とも会ってはいけない。

 

 

 

 

そう、思い続けてきた。

 

 

 

 

そうしていると、お姉様も、パチュリーも、咲夜も、美鈴も、小悪魔や妖精メイド達にすら会えなくなった。

 

 

 

 

もう誰も会いに来てくれない。自分なんか他人を殺すだけの「バケモノ」なんだ…一生このまま地下室で一人で生きていかなければいけないんだ…

 

 

 

 

そんな事を考え続けていたフランの部屋へと、誰かが向かってくる足音が聞こえた。

 

 

 

 

( …誰だろう。こんな足音聴いたこと無い…また、紅魔館に探検に来た人間かな…?)

 

 

 

そんな事を考えていた時、ドアが開かれた。そこに居たのは今まで見たことの無い、男の妖怪…そんな妖怪がフランを見つけると。ニッコリと微笑みを浮かべながら、フランへと話しかけてきた。

 

 

 

 

「初めまして。私は吸血鬼と話がしたくて、ここに来たんだけど…構わないかな?」

 

 

「………?貴方はだぁれ…?お姉様のお友達かしら…?」」

 

 

 

 

見かけない妖怪だと思った。静かなのに深みを感じる妖力が今までに会った誰とも違っていてフランはそれがとても新鮮に思えた。

 

 

 

「私の名前は霞。ただの温泉好きな妖怪だよ。…良かったら一緒に温泉に入らないか?」

 

 

 

それから霞はフランに対して優しく微笑むと、一緒に温泉に入ってくれると言った。フランはそれがとても嬉しかった。

だから、すぐに着ていた服を脱いで霞の膝の上に飛び込んだ。フランを抱きとめてくれた霞の体は…温かかった。

 

 

 

 

それから霞はフランに色々な話をしてくれた。鬼と出会った話や土地を治める神に会った話などの、色々な種族の神や妖怪の話をフランに聞かせてくれた。どの話をしている時も霞は懐かしむようにずっと笑っていた。

 

 

 

 

そして1番フランの心を惹き付けたのは…霞が人から必要とされ無くなって、この幻想郷に来たという話だった。

『廃れた山奥で数百年過ごしてるとね…案外、心が疲れてしまったよ…』なんて話してる霞は…その口調とは裏腹に、とても寂しい目をしながら苦笑いをしていた。

 

 

 

そんな霞の話を聞いたフランは…多分、霞の事をずっと強い羨望の眼差しで見ていたことだろう。

沢山の友人。便利な能力。どれもフランには欠けているものばかり…けれどそれは、霞にしか出来ないことであり…そしてまた、自分にはそんなものは出来ないと絶望していた。

 

 

 

でも、そんなフランに対して霞は…自分から、友人になってくれると言った。

 

 

感情が揺さぶられた結果、急に訪れた狂気に心を飲み込まれてしまったフランが、霞の胸を。フランの右手が、その霞を貫いてしまったのに…霞は微笑みながら、そんな自分に負けるなと、叱咤激励をしてくれたのだ。

 

 

 

 

 

だからこそ、今、湯船にバラバラになって浮かんでいる霞を見てフランの心が強く軋んだ。さっきの身体に弾幕が撃ち込まれた部分がいきなり熱を持って、フランの心を焼き始める。

 

その瞬間、狂気に塗れた心の奥底で、固く閉じこもっていたフランの壁にヒビが入り、ずっと抑え込んでいたフランの本心が呼び起こされた。

 

 

「あああああッ!?霞ッ!?霞ってば!!ねぇ!しっかりしてよ!霞ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいッ!!」

 

 

フランは湯船に浮かぶ霞を頭を抱きしめて、喉が裂けんばかりの絶叫を上げた。

しかし、現実は残酷だった。大量の霞の血液が、湯船を紅く染めてくのを見て、フランの動揺は止まらない。出血量からしてもう、どう見たって助からない。

 

 

 

 

 

フランが霞を殺してしまった事を理解した時。

 

 

 

フランの心が、凍りついた。

 

 

 

 

 

「また、私が殺しちゃったの………?」

 

 

 

胸の中で抱きしめていた霞はボロボロになっていた。やっと、やっと狂気に塗れた心を押さえつける事が出来たのに…フランはもう濁っていない、透き通った真紅の瞳から…ポロポロと、大粒の涙を零し始めた…

 

 

 

 

 

( やっぱり…私に友人なんて出来ないんだ…独りで、生きていかないといけないんだ…)

 

 

フランが現実にもう耐えられないと、再び心を閉ざそうと腕の中の霞を手放した時…

 

 

 

 

 

カァッー……

 

 

「…ッ!?」

 

突然フランが入っている湯船が輝き始め、湯船に浮かんでいる霞の身体がみるみる内に再生していった。

 

 

爆散していた身体が引っ付き、霞の身体が元に戻ったのを見て…フランは驚いた。

 

 

 

「な、何……?これ…ッ!霞ッ!?どうして怪我が……ッ!?ねぇ、しっかりして!!かすみぃッ!!」

 

 

 

 

フランは怪我がすっかり治った霞の身体を何度も揺すった。それは、先程まで触れていた筈の元の身体だった。胸に耳を当ててみると微かに心臓の鼓動が聴こえてくる…そして

 

 

 

 

「…ん、フランじゃないか…『目は覚めた』かな?」

 

 

そう言って、ゆっくりと微笑み。その笑顔をフランへと向けてくれた。

 

 

 

 

 

 

「か、霞いいいいいいいいいッ!!!!!」

「ウグッ…」

 

 

フランは霞がゆっくりと目を開けたのを見て、そのまま霞を抱きしめた。何度も頭を擦り付け、肌を密着させた。1秒でも長く、生きている霞の体温を感じていたいと、心の底から強く思ったから。

 

 

 

「こら。痛いよ…フラン。いくら私が生きてるからって体を爆散させられたのなんて初めてなんだから…もう少し優しく抱きついてくれないかな…?

ってこら、今は私も裸なんだから、そんなところに抱きついちゃいけません……って、ああ、もう、しょうがない。羽衣で隠すか…」

 

 

 

なぜ生きているのかは、わからない。さっきまで赤く染まっていた温泉の湯は透き通った綺麗な湯に変わっていた

 

 

 

謎だらけだ。この妖怪は謎に包まれている…

 

 

 

けれどフランはこの日のことを決して忘れない。初めて狂気の心を抑えられたこの日を。

そして、霞と名乗った妖怪が…自分にとって、かけがえのない存在になったこの日のことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

この後地下室へレミリアと咲夜が飛び込んできて

レミリアが霞を見て安堵したのか泣き出して咲夜が裸のフランと身体に羽衣を巻いた霞の姿に顔を真っ赤にするのだが……

今は、後回しで良いだろう。




今まで書いたやつの手直しなんかも進めていくので
これからも頑張りますー
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