書き終わった直後の見直しなんて
全然アテになりませんね…反省反省。
「ねーねーお姉様!このおにぎり上手にできてるかな?」
「ん、どれかしら…あ、これね?うん、形も綺麗だし…凄いじゃない!文句の付け所がない最高のおにぎりよ!」
「えへへへ…そうかなぁ?私にもお料理って出来るんだね!これ、お姉様も食べたいと思う?」
「勿論食べたいに決まってるじゃない!フランが作ったなら絶対美味しいわよ!」
「じゃあ1つ食べてみて?はいこれ!中身はなーんだ?」
「いいの?…なら頂こうかしら。それじゃあこれを…あむ」
そう言ってレミリアはフランの作ったおにぎりを口に含む…その瞬間。
レミリアは、真理を知った。
「美味しぃぃぃぃぃぃいぃぃぃい!!!!!」
口に入れた瞬間、ほろりと崩れるお米と絶妙なバランスの塩加減。中に入っていたのは梅干しの様だが…酸味が食欲を刺激して、いくらでも食べられる気がする…ッ…!!
これ、私が作ったのより絶対美味しい。
「こ、これ物凄く美味しいわよ!?あまりにも美味しいからつい叫んじゃったじゃない!!こんなおにぎり、どうやって作ったのよ?」
「え?咲夜が作ってるのも見て真似したんだけど…あ、でも隠し味は入れたよ!お姉様分かる?」
「え、か、隠し味…?えっと…梅干しと塩と…え!?他に何か入れたの…!?クッ、これならもっと味わって食べれば良かったわ…ッ…!!!私のバカッ!!大バカァッ!!!」
「お、お姉様しっかりして!?そこまで考えなくてもいいよ!?…それにお姉様や咲夜だっておにぎり上手だし……私ももっとお料理出来るようになりたいなぁ…」
「わ、私はフランよりちょっと経験があるだけで、そんなに多くの料理は作れないわ…それにおにぎりはフランの方が美味しいでしょうし、咲夜の料理はもう。別次元だから…」
「だよねー…私、初めて咲夜が料理してる姿見たけど…あんな風に作ったんだ…とっても早いよねぇー…」
「…………」シュババババ
レミリアとフランはおにぎりを作りながらも目線を厨房の奥へと向ける……その先ではまるで、機械の様に高速でおにぎりを握り続ける咲夜の姿があった。
「そう言えばお姉様?私たちって日が沈んだ後に工事に参加するから晩御飯作ってるけど…一体どれくらいの妖怪が参加してるのかな?鬼ってとっても強いんでしょ?」
「そうね…けど、鬼子母神が連れてくるんだから相当強くて頼りになるやつなんじゃない?」
「そうだよね!それにもう1人の天魔?って人は天狗の中で1番偉いんでしょ?だったら沢山の天狗がそこに居るんだろうねーー……
お姉様、私って…また、怖がられたりするのかな…?」
「……ッ!!」
フランは外出を一切していない。そのため幻想郷にいる存在の中で、フランドール・スカーレットの姿を見たものは紅霧異変を起こした時にやってきた霊夢と魔理沙や八雲紫など極小数しか居なかった。
しかし紅魔館には気が触れた吸血鬼が居るといった噂は廻っていたため、その姿を知らない妖怪がほとんどだった。フランはそこがずっと気がかりに思っていた…
ただでさえ悪趣味な館に住んでいる厄介な連中…そう思われている紅魔館の妖怪達が、妖怪の中でも特に排他的な種族の天狗と仲良くなることなんてできるのだろうか…?
そんなフランを見たレミリアは握っていたおにぎりを一旦置いて、フランの手をそっと握りしめた。フランがいきなり包まれた手に驚いていると、レミリアは力強くそれに応えた。
「フラン、大丈夫だから。例え何があってたとしても…誰にも、貴方を傷つけさせたりなんてしない。私はそう誓ったの…だから、私が絶対にフランを妖怪達の輪の中に入れてみせるから!安心してお姉ちゃんに全部任せなさい!!」
レミリアは変わった。以前のように自分のプライドが傷つかないよう、誰彼構わず最初は高圧的に出る事を止めると決めていた。フランがこの幻想郷に溶け込めるように、馴染めるように。そしてフランが1番欲していた「違う種族の友達」が出来るように。
そのためなら他の種族の妖怪にだって頭を下げる事も厭わない。何故ならレミリアの中で1番己のプライドを傷付ける行為は…「フランを幸せを守り通す」
そう誓った決意を濁らせる、浅慮だから。
全身全霊で自分の事を守ると言ってくれたレミリアを見て、フランの心から不安は消え去っていった。
「お、お姉様……うん、そうだよね…いつまでもうじうじしてちゃダメだよね?…よし!私も精一杯仲良くなれるように頑張る!だからお姉様も…一緒に頑張ろうね!」
「その意気よフラン!やっぱり貴方は最高の妹だわ……そう言えばフラン?貴方、なんだか随分と前向きになったわね…?…やっぱり、霞のせいなのかしら?」
実に嬉しい変化だけれども、フランも昔とは違っていた。短期間でここまでフランが変わった理由…それがレミリアには霞としか考えられなかった。
「うーん…そうかな?確かにちょっと前までは誰かと話すのとか、友達になることなんてぜーんぶ諦めてたんだけど…今は辛いことなんかを考えると、なんだか胸がぽかぽかしてくるの。そしたらまた頑張ろうって気持ちが湧いてくるの!!えへへ……これって、霞のおかげなのかなぁ?」
手を顔に当てて幸せそうに笑うフランを見て、レミリアは納得した。心がぽかぽか…言い得て妙だ。何故ならレミリアの心もまた、何かによって暖かな気持ちを感じていたのだった。
「…ホントに霞って、変わってるわよね…人の心に取り入るのが上手いというか、やたらと世話を焼きたがるというか…」
「私も霞のおかげで救われたけど…けど霞、私と話していた時にね?自分も孤独の寂しさや虚しさなんかを知ってるって言ってたんだけど……どうして孤独なんて感じたんだろ…?ここに来てからはいっつも周りに人がいるのにね?」
そう話していた時、話に咲夜が割り込んできた。どうやらおにぎりは既に握り終えてしまったらしく、厨房のテーブルにはズラリとおにぎりが並んでいた。
……何このメイド有能すぎる!?
「その事なのですが…今朝、霞様から聞いた限りでは…鬼子母神様と出会った時に何か色々とあったらしいですよ?」
「…色々ってどういう事よ?」
「実は、その話になるまでは鬼子母神様のことを微笑みながら話してくれたのですが…そこで少し暗い顔を見せたかと思ったら、そのまま話を切り上げてしまったんです…」
「…?そうなの?私の前では結構色んなことを話してたんだけど…」
「うーん…霞がね?昨日話してくれた中で、色々な妖怪と友達になった事やとか幻想郷に来た理由なんかを教えてくれたんだけど…霞は幻想郷に来るまで独りで数百年も過ごしてたから、私みたいな子は見逃せないって言ってたの。…霞って他人の心を癒せるのに、自分の心は癒せないのかな?」
「そう言えばそうね…それに賢者の札を使って幻想郷に来たらしいけど…どうしてそこまで外の世界に執着してたのかしら?」
しかし当人のいない話など推測しかできないため、逆に新たな疑問が浮かぶばかりだった。そんな中、咲夜は素早く話を切り上げると意識をおにぎりへと移した。
「…ここで話してもキリがありませんね。もうすぐ日が沈み始めますから…料理を詰めて、山へ持っていく準備をしましょうか。失礼ですがお嬢様、おにぎりを詰める木箱を半分ほど持ってきていただけないでしょうか?」
「分かったわ……って、意外と軽いわね。これならさっさと詰めちゃいましょ?おにぎりの量もオカシイし…こんなに大量の木箱やお米を持ち歩けるなんて、規格外にも程があるでしょうに…」
レミリアと咲夜はそう話しながら大量の木の箱の中におにぎりを詰め始める…それを見ていたフランは1つ箱を取ると、そこへ自分の作ったおにぎりを詰め始めた。
「どうしたのフラン?」
「ねぇお姉様、咲夜、妖怪の山へ行く前に…私、先に大図書館に寄ってもいい?…霞に、私が作ったおにぎりを食べて欲しくって」
「…ええ、勿論構いませんよ。…なら早めに出向いた方が良いですね…少し詰める作業を早めますので、お嬢様。妹様のために私のスピードについてきてくださいね?」シュババババ
笑顔でそう言ってくれた咲夜は直ぐに表情を、切り替えるとまた、先程のように高速でおにぎりを詰め始める…山のように詰められていったおにぎりを見てレミリアは
「そんなスピードで出来るわけ無いでしょッ!?!?」
重ねて言うがこのメイド長、有能である。
★
その頃、大図書館では小悪魔が魔理沙が盗んだ魔導書をすべて片付け終えていた。…小悪魔は張り切りすぎてしまったのか終盤、ヨロヨロになりながらも無事に仕事をやりきった。そしてソファーへ座っていた霞の隣へ座ると
「か、霞さん?少しお耳を貸してくれませんか?」
そうお願いしてきたので… 霞が耳を貸すと小悪魔は小さな声で囁き始めた。
「か、霞さん…私、お仕事とっても頑張りましたよね……?それでその、あの…ご、ご褒美とか、頂けないですかね…?」
「ん…褒美かい?うーん…生憎今は渡せるものを持っていなくてね…」
「そうですか……ひぃーん…私、昨日魔理沙さんが倒した本棚とか散らばっていた本とか徹夜で直してたんですよー…?私ももっと報われたいー…高価なものが欲しいとかじゃなくてただ……褒められたいんですぅ…」
涙目でそんな事を言ってきた小悪魔を見て、霞は流石に不憫だと思ってしまった。そんな時、霞はふと昔の出来事を思い出した。確かあの時は……
「…ん、小悪魔。手持ちがなくて申し訳ないけど…これでいいかな?」
霞は小悪魔の頭へ手を乗せると、そのまま梳くようにして撫で始めた。
「ふひゃん!?…び、びっくりしました…あの、霞さん?これは一体…?」
「昔、友人に言われてよく頭を撫でていてね…やたらと好評だったからどうかと思ったんだけど…不快だったかな?」
「い、いえ!!全然不快なんかじゃ無いですよ!?むしろ気持ちいいですし……それに、何だかとっても心地よくって……ふぁ…」
小悪魔の頭を撫でる手は大きく、そして暖かい。ゆっくりと手が後頭部を下がるとなんとも言えない快感が小悪魔へと流れていった。
(あ、これやばいやつだ。霞さんってもしかして天然なのかな…?ナチュラルに頭撫でる人なんて初めて……というか上手い…!?)
暫くそのまま撫でられていると、ぽー…っとした眠気が小悪魔を襲って来た。緩急のついた手の動きによって次第に瞼が重くなってくる……
(い、いけない!このままじゃ…こんな所で眠ったら、パチュリー様に…おこ、られちゃ……う……………すぅ……すぅ…)
そんな甘い誘いに徹夜明けの小悪魔が耐えられるはずも無く、そのまま霞へと寄りかかった状態で眠ってしまった。爆睡である。
するとそこへ、貸出カードに今まで盗んだ本を全て書かされていた魔理沙が戻ってきた。
「霞ー…!!取り敢えず本は片付けたぞー?さぁ、混浴の件について話してもらおーー……って、何やってんだよお前ら…?」
「ん…ああ、魔理沙かい?お疲れ様。もうこんな時間になってたのか……やはり本を読んでいると時が経つのが早く感じるね?」
そんな霞の話など気にせず、若干額に汗を滲ませながらも魔理沙は霞へと問い詰めていった。特に今、霞へとしなだれかかって寝息を立てている小悪魔についてだが…
「お前、この私がせっかく真面目にカード書いてたってのに…何で2人してイチャイチャしてんだよ!?」
「しーっ…魔理沙、大きな声は出さないでくれないか?小悪魔も疲れていたんだろうし…寝かせてやろうじゃないか。それに、元はと言えば昨日魔理沙がこんな所で弾幕ごっこなんてするから…小悪魔の仕事が増えたんだぞ?」
「ぐッ!?そこを突かれると痛いが……けどおかしいだろ!?お前昨日までそいつに毛嫌いされてたじゃないか!それに昨日霊夢に聞いたけど、アイツ結局一緒に風呂に入ったらしいな!?お前の周りの人間関係どうなってんだよッ!?たった1日で変わりすぎだろ!?」
「そうだね……まぁ、人の気持ちってものは移ろいやすいものだからね。関係なんてものは1日置きに変わったって不思議ではないよ……それより魔理沙はこれからどうするんだ?もう家に帰るのかい?」
「唐突に何だよ?何か釈然としないな……まぁいいか。今日はもう帰るところだぜ?香霖とこに寄ってからだけどな」
「香霖…?」
魔理沙は霞の目の色が変わった事に気がついた。馴染みのない名前に興味津々になっているとみた。
「ああ。私の住んでる家の近くに『香霖堂』なんて店を開いてる変人の事だよ…ちなみに男だぜ?」
「へぇ…少し、興味あるね。…何処にあるのか聞いても構わないかな?」
「ん?別に構わねーけどお前……男とも風呂入ってんのか?」
魔理沙の純粋な疑問は、霞の顔をなんとも言えない微妙な顔にしたのだった。
「…今の発言で魔理沙が普段、私の事をどう思っているのかが分かったよ。私だって昔から男女区別なく入って来たけれどね…昔の妖怪は今の妖怪よりもずっとプライドが高かったんだよ」
「そのせいかどうにも男と2人で入浴する事や情けを受けること…そういった事を理由に結構拒れてしまってね。中には怪我を癒した途端に攻撃してきたり襲いかかってくるような奴もいたよ…まぁ、昔の話だし、一緒に入ってくれた、気のいい奴も沢山いたんだけどね?」
なんだか魔理沙までブルーになるような話を聞かされてしまい、魔理沙はさっきまで考えていた事を改める事にした。
「す、すまんかった…何か、色々と複雑なんだな。私が悪かったよ……けどお前、霊夢から聞いたけど一昨日入ったのが白狼天狗に萃香に紫に藍に霊夢…そんでその様子じゃ小悪魔とパチュリー以外にも入ったんだろ?」
「まぁそうなるけど…女は男と違って温泉を本能的に好んでるからね、昔からよく私と入ってくれたんだよ。中には紫や萃香みたいな長い付き合いになってる存在もいるしね?…そう言えば私はまだこの幻想郷にきて男の姿を見ていないんだけど…幻想郷は男女比が偏っているのかい?」
「いや、天狗や河童みたいな妖怪にも男はいるぜ?それに人里なんて男がいなきゃ成り立たないだろ?」
確かにそうである。今、宿を作っている面子の殆どが男だろうし……人里か。
「魔理沙、1つ頼みがあるんだけど良いかな?」
「ん?何だ?」
「家に帰る前に私を人里に連れていってはくれないか?人里については調べてみたんだけど、ここの夜道はわかり辛くてね…」
この幻想郷は夜間、電気を付ける文化は存在していない。
妖怪の賢者の手によって人間と妖怪…餌と捕食者の相容れない関係を微妙なバランスで均衡を保っているからである。そのため外の世界のような科学技術を過度に進歩させてしまうと、今度は妖怪が消えてしまう。
だから今、日が沈みかけている状態で人里まで行くとなると…新参者としては中々に難しいのだ。
「ん、まぁ構わんけど…それじゃあ私もお暇しようかな。このままだと晩飯にありつけなくなっちまうぜ…」
「そうだね…それじゃ『かすみぃーーーッ!!!』グフッ
霞が小悪魔をソファーに寝転がらせ、自分の羽衣を破ってその上にかけていた時。大図書館の扉をぶち抜いて、1人の少女が霞の元へと突進してきた。そのまま羽衣をかけ終わって無防備な霞の腹へと直撃した。
「フ、フランじゃないか……こら。人にこんなスピードでぶつかると…危ないだろう?」
フランはぐりぐりと顔を擦りつけながら笑って
「えへへ、ごめんなさい?でも霞に早く会いたかったの…」
そう、上目遣いで霞へと甘えていた。怒るに怒れないとはこの事なのだろうか…魔理沙が目をパチクリさせているのが地味に面白い。
「あ、そうだ!霞…?私、初めておにぎり作ったの。だから霞に食べて欲しくて」
「ん、いいのかい?それはありがたいね…」
「う、うん!どうぞ!」
霞がそう言った瞬間、咲き誇らんばかりの笑顔になったフランが霞へと木箱を差し出した。霞はその中から1つを手に取るとそのまま口へと運んでいった。そしてフランへと微笑みを向けると
「…美味しいよ、フラン。ここまで美味しいおにぎり、私は初めて食べたよ…凄いじゃないか」
「やったぁ!!」
ゆっくりと味わうように食べている霞はフランへ笑顔でそう言ってくれた。フランの心にむくむくと、嬉しさがこみ上げて来た。そしてフランは霞に、レミリアは分からなかった問題を出してみた。
「実は隠し味を入れてるんだけど…分かる?」
「隠し味かい?そうだねぇ…」
霞はもう一度おにぎり咀嚼すると
「うーん…『真心』…かな?」
思わずフランは目を見開いてしまった。霞の言った答えは…フランがおにぎりに込めていたものの正体に他ならなかった。
「な、なんで分かったの?…お姉様も分からなかったのに…?」
それは昔、まだ地下へ幽閉される前にレミリアが語っていた事だった。
『フラン!私今日初めてお料理を作ったのよ!…味は多分、美味しいと思うけど…真心込めて作ったから美味しい筈よ!さぁ、召し上がれ!』
そんな昔の大切な思い出を、フランは思い出しながらおにぎりを作っていた。
「さぁ…少なくとも私にはここまで食べて幸せな気持ちになる料理に、真心が入ってないとは思えなくってね…ってフラン?どうした?どこか痛いのかい?」
「痛くないよ。けど、嬉しくって…」
突然また抱きついてきたフランを見ると、フランは泣いていた。しかしフランは泣きながらも…顔は笑顔に染まっていた。
「…美味しかったよ、フラン…感謝してるよ」
「…うん!」
霞はそのままフランを撫で始める…と、フランの顔がにへらと笑顔になった。
そのまま涙が止まるまでの間、フランはずっと霞へ抱きついていた…
UAが1万超えてることに驚きつつ
見てくれた方に感謝を。
最近、中々寝られないんですよね。
どうせ寝られないんだからこの際もう眠らないで
続き書いちゃえばいいじゃないかと思い実行。
それで結局体調崩すハメに…
…馬鹿なのかな?皆様も不眠には気をつけて。