夜間の間苦しめたのは蚊でした。
…あれ、いつもどっから湧いてくるの…?
あと投稿始めていつの間にか1ヶ月経ってましたね…
これからも精進していきたいと思います!
「慧音さん…一体今日は何があったんですかい?流石にこんなのが普通だとは俺たちには到底思えないんだよ…」
「流石に1日にこれだけの天狗が買い物に来るなんておかしいに決まってる!食糧に関しては備蓄が沢山あるから問題は無いが…呉服屋の浴衣と古本屋の本なんかがあらかた買ってかれたんだ。そんなの天狗には必要無いだろう!?」
「ウチは儲けさせてもらったから良いがね…でも物騒なのには違いないよ。子供たちは大丈夫なのかい?」
「子供には見向きもして無かったよ…どの天狗も必死な顔して物資を山に届けていたぞ?」
今、慧音の前では村の男衆が集まって会議を開いていた。町民の中でも頼りにされている数人の男達が、皆の不安を払拭したいと慧音の家へやって来たのが始まりだった。
今までに類を見ない数の天狗の出現…それにしては不可解な事が多かった。天狗たちは何かに怯えるような顔をした者が殆どであり、どう見ても普通な様子では無かったからだ。
「皆、不安なのは分かった…だけど、一旦落ち着こうか。それに私もこの天狗の多さは流石に不可解だと思っていたんだ……今夜は私と妹紅が門番を務める。だから各自、自分の家族や隣人を安心させてやってくれ……いいな?」
これは、長きにわたって人間の里を護り続けてきた
人間を愛する、里の守護者としての言葉だった。
彼らは皆、最初は何か言いたげだったものの…真摯な目をした慧音と妹紅という単語を聞いたため、それに従うように立ち上がり始めた。もともとこの里に住む男衆は慧音の教えを受けて育って来たので、慧音の言いつけは破ろうとはしなかった。
…破るとどうなるかを知っているから。
「まぁ、慧音先生が言うなら仕方ねぇ…それに妹紅ちゃんもいれば安心だろう。…俺たちには護らなきゃならねぇものがまだ残ってるからなぁ…慧音先生、よろしく頼みますわ」
「そうだな…俺なんて最近2人目が生まれてな…?もうこれが可愛いのなんの!女房も安静にしなきゃいけないから…よし!俺、帰るわ!」
「あっコラてめぇ何どさくさに紛れて惚気てやがんだ…俺へのイヤミかッ!?畜生!俺は仕事と店が恋人なんだよォーーーッ!!!」
「お前はガツガツしてるから女が寄り付かねぇんだよ…ホントに凄く仕事は出来るのに…残念な男だよなぁ…お前」
里の中でも若い方の男達はそう言って足早に慧音部屋を出ていった。各自、命よりも大切な存在の不安を払拭するためにここへ来たのだが…その役目は慧音が引き受けた。なら、自分たちがする事はもうここに居座る事ではないから。
「ふぅ…若ぇのは愛が深くて宜しいねぇ…じゃあ慧音さん?俺たちじゃあ妖怪には絶対に勝てないので…代わりにこっちの事は俺たちに任せてくださいな」
「ああ、すまないな…」
そんな時、1人の男が首を傾げて怪訝な顔を慧音へと向けた。そして心に何か、決意を固めて…慧音へと話し出した。
「あの…俺、毎回思うんですがね?慧音先生が半獣とやらでとても強いってことはもう、俺たち男は身をもって知ってるんですが……流石に女として、簡単に男を家まで上げる癖は直した方がいいんじゃないですかね?」
「そうだ!俺も慧音先生は私は強いからと言っていたが…女としての隙が多いと思ってたんだよ!」
慧音は思いもよらない発言に面食らってしまう…
それ、今言うことか!?
「な、何だって…!?し、しかし皆が慌てて来るものだから…それなら中に入れた方が、話しやすいだろう?」
「かーっ!!!慧音先生は男心ってやつを全くと言っていいほど理解してないんだよなぁ…!…いいですか?こうなったら自分、言わせてもらいますけどね…」
男達はそう叫ぶと、なんと言うか…今まで溜まっていた悶々とした感情に対して、火をつけていった。幼少期から教えを受けていた身の上の仲間達と語っていた慧音についての意見を爆発させた。
「こうなったら思ったこと全部言わせてもらいますけどね?客観的に見て慧音先生はどえらい程に美人さんなんですよ!ええ…それも里の女とはまた、一線を画した美人さんでね?ぶっちゃけると里の男の初恋は殆どが慧音先生なんですよ!!何なんですか先生って背はちっこいから少年たちに親近感を湧かせるくせにおっぱいはめっちゃデカいし!もう里の男の代表として言わせてもらいますけど先生の家に呼び出された男は何かが起こるんじゃないかと胸に期待を膨らませてここに来てたんですよ!!!けど呼び出した理由が『最近点数が落ちてるぞ?ちゃんと授業を聞いておけ…これは宿題だ。きちんと次の授業までにやってくるんだぞ?』…ってアレ何なんですか!そもそも教科書の中身そのまま聞いてるような分かりにくい授業しておいてそりゃないでしょう!というか皆授業の時は慧音先生のおっぱいばっかり見てましたよ!同世代の女がツルツルまな板の時にあんなばいんばいんは卑怯ですってほんと…女達だって『慧音先生みたいなおっぱいにはどうやったらなれるんだろ?』みたいな会話してる奴が多々いましたし…これもうぶっちゃけますけど里の男達の初めての手慰みで真っ先に思い浮かべるのは皆、慧音先『天誅ッ!!』ッグバッ!?」
1人の男は胸に溜まっていた思いの丈を全て、慧音へとぶちまけた。しかしその結果、脳ミソがぶちまけられたんじゃないかと思うほどの頭へと激痛と共に……意識を失ったのだった。
「……他に、何か…言うことは?」
ゆらりと慧音の目の光が赤く染まり…残った男達を見据えると、皆は震え上がった。
「な、何でもないですッ!!!」
「お、お疲れ様でしたァーーーッ!!」
「畜生誰だよ『初心な慧音先生を真っ赤に染めて思いきり愛でよう』なんて最初に言い出した馬鹿野郎はッ!!!」
『『お前だよこの馬鹿野郎ッ!!!!!』』
崩れ落ちた男を抱えると、そそくさとその場に居た全員が慧音の家を後にしたのだった。
…最後の奴は今度会った時に天誅すると決めた。
「はぁ…全く、急に何を言いだすんだバカモノが…」
顔が茹でられたかと思うほどに赤く染まった慧音は外へ出る…もう日が落ちてきたようで、涼しい風が慧音の火照った肌を撫でていった。その心地よい感触に心做しか頬の熱が安らいだため、顔に手を添えながら荒い息を何とか鎮めようと試みたものの…中々上手くいかなかった。
教え子のあまりにも色々とぶっちゃけた発言によって今。慧音は完全に冷静さを失ってしまっていた。先程から羞恥の感情が暴走して顔の熱が全く引かない…可愛く思っていた教え子達の心の底からの暴露は、この里の中でも1番の初心な慧音には重すぎる話だった。
「ま、まさかあんな風に思われていたとは……し、思春期というものには驚かされてしまうな……しかし私の授業、分かりにくいのか……いかん。これはかなり心にくるな…」
そんな事を考えながら、慧音は妹紅の元に向かうことにした。里の心配が無くなった今、1人で門番をしている妹紅が心配になってきたからだった。
「妹紅の所に着く頃には、この顔の熱も引くだろう……はぁ。妹紅に少し話を聞いてもらおう…」
慧音は急ぎ足で門へと向かって行った。もう一刻も早く妹紅に会って心の平穏を得たかった…
しかし、すれ違う町民と何度か挨拶をしていると…その中で、何やら不穏な話を聞いてしまった。
「あ、慧音先生!1つお話があるんですよ!」
「ん、何だ?今、少し急いでるんだ。手短に頼む」
「さっき畑の様子を見に行ったんですが…門の先に1人の男が突然現れたんですよ。そしたら急に妹紅さんが走り出して、その男に強烈な膝蹴りを食らわせてて…」
「…え?」
妹紅が突然…男に膝蹴り?
「その男、そのまま手前の森まで吹っ飛ばされてったんですけど…妹紅さん、追いかけて山の中入っちゃいまして…」
「わ、分かった。お前も今日のところは家に帰った方が良い。…この門には今夜人を近づけないように言ってくれないか」
「分かりました…慧音先生も気をつけて下さいや」
「ああ。情報ありがとう…それじゃあ」
慧音はそのまま先程よりも急いで門へと向かった。あの妹紅がいきなり膝蹴りする相手なんて聞いたことがなかったから……もしかしたら、里を襲いに来た妖怪かもしれない。
「妹紅ッ!!!門に…いない!?まさか本当にこの森の中に入っていったのか!?」
辿り着いた門には誰も居なかった。おかしい…妹紅はいつも夜間の森の危険性を皆に説いていたはずなのにッ!?
…しかし、門から直線上に行った先の草陰から…膨大な妖力と白い、煙のような物が慧音は見つけてしまった。
慧音はそれを見た途端、走り出す…もう、一直線にその煙の方向へと……するとその煙に対して1つ、気づいた事があった。
( ん…これ、温かい?もしかしてこれは湯気の類か何かか…?)
こんな森の中では感じる事が無いはずの湯気に対して、慧音は驚いていたが…その煙の先に誰かの人影が見えた。
「妹紅ッ!?一体何がーーーーー…え?」
慧音の目に入ってきたのは………見慣れない姿の浴衣を着て温泉に浸かっている…慧音の知らない妖怪と
「ん?慧音じゃん…どうかした?」
その妖怪の膝の上で、ニコニコしながら温泉に浸かっている……裸の妹紅の姿だった。
★
「……ん。知らない森の中だな…」
霞が目を覚ますと、そこは森の中だった。…どうやら強烈すぎる膝蹴りを受けてそのままここまで吹き飛ばされてしまっまようだが……そこで霞は起き上がろうとした時、自分の胸の上で抱きついている人物を見て苦笑を浮かべながら声をかけた。
「…久しぶりだね…妹紅。挨拶にしては少し、激しすぎるんじゃないかな。…もう少し体に負担がかからない挨拶だと助かるんだけどね?」
「…無理。というか、何で突然居なくなったの?私、寂しかったし心配してたんだよ?」
目に涙を浮かべながら自分に擦り寄る妹紅を見た霞は…そんな妹紅を抱きながらも起き上がった。そして羽衣で妹紅の涙を拭き取ると…昔、妹紅と出会った時と全く変わらない微笑みを浮かべて
「色々と悪かったね…けど、その話は湯に浸かってから話さないか?」
挨拶するように、妹紅を温泉へと誘ってきた。妹紅はジト目で霞を見つめながらも…着ていた服を少しだけ緩めた。
「霞…それ、数百年ぶりに出会った女に対しての発言としては赤点だよ?……まぁ、それでも私に対してだったら満点なんだけどね?」
「それは良かったよ。じゃあ温泉を創るから服を脱ぎながら待ってて……どうして皆、脱ぐのがそんなに早いんだ…?」
霞の言葉が終わる前に妹紅は緩めた服を一気に脱いだ。傷ついても再生して決して老いることのない肌が霞へと晒される…
オシャレなんて全然興味が無いけれど…女として、それなりに肌や傷なんかは気になっていた。まぁ不老不死なため傷痕なんて全く残る事は無いのだけれども。
しかし、妹紅の裸を見ても霞は…何も感想が無かった。
( …昔から動じなかったけど、感想すらないとは…ッ!!…流石にこれだけやってこれだと私、やっぱり魅力無いのかな…?)
「ちょっとしたコツだよ…それじゃあ早く!温泉と理由!教えてくれるまで引っ付いてるからね?」
頭によぎった考えを振り払い、妹紅はそのまま温泉を創るために地面へと妖力を流している霞の胴体へと貼り付いた。自分のそこまで大きくない胸でも直接当てれば何か動揺するかなー…なんて考えていたけれど…霞は全く動じることはなかった。
(…やっぱこれ、枯れてるなぁ )
「分かった分かった…それより妹紅?何だかお前、昔よりも口調が柔らかくなってるけど…何かあったのか?」
「そ、それは…今は関係無いだろ!?いいからはーやーくーッ!もっと押し付けるぞこんにゃろう!」
「はいはい…」
霞は裸でくっつく妹紅に手を焼きながらも少し大きめの温泉を創り出した。…どうやら昔よりも妹紅の夜の森に対してのトラウマはかなり薄れているらしい。それなら星を見ながら入るのもまた、良いものだろう…
そう思い、霞が先に入ったのだが…妹紅はすぐさま飛び込んできた。
…霞の膝の上へと。
「ひゃー…久しぶりだねぇ…この温泉。あ、霞さー…ちょっと抱きしめてくれない?なんか今凄いいい感じなんだけど」
「…どうしてお前はこんなに広く作ったのに、わざわざ私の膝に座るんだ…?」
「だってその方が話を聞きやすいし…それとも私、霞に近づいちゃダメなの?」
「…いや、そんな事は無いけどね?お前も女なら、少しくらいの恥じらいは持った方がいいんじゃないか…?」
「色んな女と混浴する男に言われたって信憑性がゼロに等しいよね、それ。」
「……そうだね。どうやら私が悪かったよ」
…この言葉って実は最強なんじゃないだろうか?してやったりと言っているかのような顔を霞へと向ける妹紅はふふん、と笑って霞へともたれかかってきた。
「それじゃあ理由…教えてもらおうかな?」
「分かったよ……って、ん?この妖力…誰かがこちらに向かってきてるな。妹紅…どうする?逃げるかい?」
遠くからこちらへ向けて、誰かが一直線に向かってきていた。逃げるという判断が1番に出るのも自分の情けない所だなぁ…そんな事を思いながら、霞が妹紅にそう聞いてみたものの…妹紅は全く慌てた様子を見せなかった。そして何事も無いように口を開くと
「あ、大丈夫だよ。多分これ、私の友人だから…」
友人、という単語に霞がピクリと反応した。妹紅は内心でやっぱりかー…なんて考えながらも霞の質問を待ってみた。
「…友人かい?そうか。やっぱりお前の事をきちんと理解してくれる人はいたんじゃないか…良かったな、妹紅」
割と素直に褒められてしまった。妹紅自身が昔、友人が出来るなんて全く考えていなかった。自分は独りで生き続けなければいけないと本気で信じていた位だった。
…その考えも、一人の温泉好きな妖怪に変えられてしまったけど。
「…うん。けど、私が今ここにいられるのは…霞のおかげなんだよ?その辺ちゃんと分かっておいてね?」
「そうか…なら私にも紹介してくれないか?私もこの幻想郷に腰を据えることにしたからね。出会いは多い方が良いだろう?」
「え!ここに住むの!?イイじゃんそれ!で…一体何処に住むっていうの?やっぱり人里に住みたがってる感じ?」
昔から霞は人里に住んでみたいと零していたことが何度かあった。だから霞が人里に住むのならこちらとしても喜ばしいことなのだが…
「ああ、人里ではないよ?私が住むのはーーー」
霞がそこまで言いかけた時…草をかき分けて1人の少女が2人の前に現れた。その少女は必死な顔をしながらこちらを向くーーーが、その瞬間に固まってしまった。
『妹紅ッ!?一体何がーーーーー…え?』
霞と妹紅の状態を見て、ぐんぐんと少女の顔が茹だってゆく…真っ赤に染まった顔がなんとも新鮮だった。最近、顔を赤くしていた椛や霊夢、パチュリーやレミリアを遥かに越える程に真っ赤だった。
「ん?慧音じゃん…どうかした?」
何事もないように少女……慧音へと話しかけた妹紅を見て、慧音の口が開く……
『何をやってるんだお前らはぁーーーッ!!!!!』
森の中に、慧音の絶叫が轟いた。
ソシャゲのイベントが終わったのでこちらに力を…
作者は気分屋なのでペースもまちまちになると思います。詰まる事はあってもエタる事は無いでしょう…とか言っておくと後にやる気が出るのでここに書いておこう…