東方湯煙録   作:鯖人間

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巫女と式神と混浴風呂

博麗神社の境内に移動した紫たちの目の前で…霞は1人、大きめの温泉を創っていた。

それも全て、後ろで行われている女子達の会話が原因だろう。

 

 

「ちょっと紫!?どうして私まで、霞と一緒に温泉に入らないといけないのよッ!?」

 

顔を赤くして文句を言う霊夢に紫は、霊夢へと顔を寄せ…小さな声で囁き始めた。

 

「…いい?霊夢。貴方もこれから霞と関わっていくんだから…あの能力を1度は体験しておいた方がいいと思うのよ。あの温泉の効能は霞から聞いた限りだと…怪我の治癒だけじゃなくて、身体の活性化とか…呪いなんかにも効果があるらしいのよ?…それに、霞の温泉に入ったら…私みたいに、胸が大きくなるかもしれないわよ?」

 

「…ッ!そ、それは…」

霊夢は、反射的に服の上から自分の胸元を抑えた。そこには慎ましく、年相応といっていい程の…控えめな胸があった。

 

 

 

霊夢は少し考え込む。恥と欲を天秤に乗せながら……やがて、恥を忍んで顔を赤くしながら

 

 

「…そこまで言うなら、いいわ。入ってあげるわよ…あ、紫が進めたからよ!?胸のことなんて全然興味ないし、関係無いからね!」

 

 

 

「プフッ…」

あれ程混浴を恥ずかしがっていたのに…自分の欲をとった霊夢を見て萃香は1人、笑いを堪えていた。

 

 

 

「あの…紫様?私も一緒に入るのでしょうか…?流石に出会って直ぐの異性と入るのは、少し恥ずかしいのですが…」

 

そこへ、おずおずと手を挙げながら紫へと問いかけた藍に…紫は良い笑顔を向け、命令した。

 

「当たり前じゃない!本当はここに橙もいれば紹介する手間が省けて良かったんだけど…迷い家に居るなら仕方ないわ。紹介は次の機会にするとしましょう…

あ、見て!もうすぐ温泉が出来上がるわよ!」

 

少女たちが霞の方を見ると目の前には。全員が入れるくらいに広い温泉がそこにあった。

先程よりも大きく、広い浴槽がそこにはあった。

 

「ふぅ…3人以上で入るのは久しぶりだから、感覚を取り戻すのに少々手間取ってしまったけど、とりあえず完成かな。

もう入っても構わな…『うっひゃー!!!』」

 

霞が言葉言い終わる前に紫と萃香が飛び込んだ。2人は霞の両隣を陣取ると、満足げにふふん。と笑った。

 

この2人は全く…霞がもう入り方なんてどうでもいいかと悟り始めた時

 

身体を尻尾で隠しながら近づいて来た藍が、恥ずかしげに。伏し目をしながらも霞へと話しかけた。

 

 

 

「あの、霞様。私は狐なので…その、湯船に浸かると抜け毛が浮かんでしまうのですが…」

 

 

そう言われると確かにそうだと思う。ただでさえ九つもの尻尾があるんだから抜け毛の量も相当多いのだろう…

 

 

 

「ああ、その対策を考えていなかったな…すまない、私のミスだよ。

少しだけ待っててくれるかい?」

 

「は、はい?」

 

そう言うと霞は温泉に妖力を流すと構造を作り替え始める。霞達が入っている温泉に繋がるように、後ろへもうひとつの温泉を創り出した。

 

 

「ここを藍のスペースとして使ってくれ…折角大人数で入るんだから

皆と近い方が楽しめるだろう?」

「霞様…ありがたく使わせていただきます。」

 

 

 

 

そう言って藍は湯船に浸かると尻尾を伸ばして気持ちよさそうに伸びをした。全身がじんわりとした熱に包まれてとても気持ち良い…

 

それを見ていた萃香は…中々湯船へと入って来ない霊夢へ発破をかけ始めた。

 

 

「はっはっは!これで藍も温泉に入ったし…後は霊夢だけだぞー?霞の両隣と後ろは空いてないから…霊夢は前に座るのかな?」

「…!?ちょっとそれどういうことよ!?前なんて1番恥ずかしいじゃない!!」

 

「別にそんなことはないと思うけどねぇ?霞の足の間に座れば胸なんかは霞からは見えないし…丁度いいんじゃないかい?」

「そ、そんなこと言われても…」

 

 

萃香の誘いにまごつく霊夢。それを見かねた紫は

 

「あー!流石にもう焦れったいわ!!霞の膝へ1名様様ごあんなーい!」

 

 

「きゃっ!?」

突然霊夢はスキマの中に入れられると…次の瞬間には、温泉の中に移動させられていた。

 

…よりにもよって霞の膝の上へ。

 

 

 

顔を真っ赤にした霊夢が大声で悲鳴を上げようとした所。

「むぐぅっ!?」

隣にいた萃香によって口を塞がれた。

 

「ちょっと霊夢?耳元で叫ぶのは流石に勘弁して欲しいんだよねぇ…最初は恥ずかしいのかもしれないけど、ホラ!!とりあえず呑めば気にならなくなるって!!」

 

そう言った萃香は、いつの間にか手に持っている酒の入った瓶を霊夢へ突きつけた。

 

 

「むうぅ…ぷはっ!わ、分かったわよ!呑めばいいんでしょ!?貸しなさいよもう!」

 

霊夢は受け取った酒瓶をゴクゴクと音を立てながら一気に呑み干していく…

 

「ひゅう!いい飲みっぷりじゃないか!」

「っぷはぁ!!これでいいんでしょ!?あーもう恥ずかしいなんて言ってられないわ!というか霞だけ浴衣着て入るなんてずるいわよ!何なのよそれ!何で濡れてないのよ!?それに霞!この温泉に浸かったら胸が大きくなるってのは本当なんでしょうねぇ!?」

 

酒を飲み干した勢いで、霊夢は霞へと問い詰める。もうこうなったらヤケだ。裸で入るのも、裸で引っ付くのもそう変わらないだろう…

 

 

「…とりあえず、私にくっつくのをやめなさい。浴衣に関しては私の特性で、着ている服が濡れる事がないから脱ぐ必要が無いだけだし…それに、流石にこの温泉にそんな効能は無いんじゃないかな…?」

 

 

そう告げる霞を見て霊夢の顔が歪んだ。

 

 

霊夢の肌にはシミひとつなく、細身の身体は滑らかさを合わせ持っていた。

そんな同世代の女子達が羨む程のとても綺麗な身体をしているのだけれども…胸だけは、慎ましい。

 

霊夢は幼い頃から神社に来ていた紫や藍の巨大な果実を見続けたことにより、小さい自分の胸にかなりのコンプレックスを持っていた。

 

 

しかしらそれも萃香が来たことにより少しは改善されていたが……萃香?あれ?………確か、萃香もこの温泉に入り続けてたのよね?

 

 

まさか。霊夢の顔が固まった瞬間。

 

萃香が遂に噴き出した。

 

 

 

「あっはははは!!!今更気づいたのかい?この温泉に胸が大きくなる効能なんてあるわけないじゃないか!!はっはっは!!はー…おかしいねぇ……もし、本当にそんな効能があれば…今頃、私だって、紫くらいのバインバインに………なってるだろうさ… チッ」

 

大笑いした後萃香は自分の胸元に手を当てた後、露骨にテンションを下げながら紫の胸を見て舌打ちする。それを受けた紫は…無自覚なまま、2人へ火に油を注いでしまった。

 

 

「え、そうなの!?私は霞の温泉に入った頃に、丁度胸が膨らみ始めたから…

てっきり霞のおかげだと思ってたのに?」

 

「「紫ィィィィイッ!!!!!」」

 

 

ブチィと何かが切れた霊夢と萃香は紫目掛けて飛び込んでゆく…自分たちには無い、紫の巨大な胸を親の敵でも見るように揉み始めた。

 

「この胸が悪いのか!私たちを見下し続けるこの胸が全ての元凶なのかッ!?」

「いつもいつも揺れやがってッ!!私が普段どんな気持ちでこれを見てると思ってるんだ!!」

「ふ、2人ともごごめんなさいってば!!れ、霊夢!?ちょっと!?萃香まで何するのよ!ちょっと待ってもげちゃうッ!!!霞!藍!助けてぇぇぇぇえッ!!!!!」

 

 

 

揉みくちゃにされている紫を見た霞は、呆れた顔をしながらも1つため息を吐いた後。

 

…それをスルーした。

 

 

「…この3人は本当に仲がいいんだろうね?私もここに来るまで、数百年誰とも一緒に温泉に入っていなかったから…この騒がしさが何だか心地よく感じるねぇ…やっぱり温泉は、誰かと一緒に入るのが1番だな…」

「そうですね…」

 

意図せず言葉が零れた。そこへ、霞の背後で温泉に入っていた藍が現れれると…霞へと話しかけてきた。丁度背中に寄りかかるように話しかける藍の肌が霞へと触れた。

 

 

 

「霞様が幻想郷へ来てくれて私は嬉しいですよ…?今朝から紫様も元気になられましたし…それに、この温泉は…とても気持ちがいいです。日頃から紫様によって溜められたストレスが、湯に溶けていったようで、心が軽くなりましたよ?」

 

 

そう言いながら…藍は先程よりも更に、霞の背中へと身を寄せた。

 

 

今までの紫は笑顔を見せながらも…極偶に、その顔に影が見えていた。藍はそれを見る事しか出来ず、何も出来なかったので…いつも歯がゆさを感じていた。…しかし今日、突然紫は家から出ていったかと思ったら…帰ってきた時には、これ以上無いほどの満開の笑顔を藍へと見せてくれた。

 

それを踏まえて藍は霞にそう伝えた。

…すると霞は微笑んでいた顔を苦笑に変えて

 

「そう言って貰えると私も嬉しいね…

…けど藍?折角自分のスペースがあるのに…どうして私にもたれかかって来るのかな…?

…藍はかなりの美人さんなんだから…みだりに男に近づいちゃあいけないと思うよ?」

 

世辞ではない、素直な褒め言葉と…

自分のしている行動を再確認した藍は、真っ赤になりながらも直ぐに背筋を伸ばした。

 

 

「そ、そうですね。あまりにも温泉が気持ち良いので…少し、逆上せてしまったのかもしれませんね…あはは…」

 

 

藍のバランスの整った細くしなやかな身体や濡れた髪。豊満な胸と谷間などは、男なら誰もが生唾を飲み込むほどの色香を匂わせ。女性なら、誰もが憧れるほどに美しかった。

 

 

…霞を除いて。

 

 

 

揉みくちゃにされながらもそれを見たいた紫は

 

「あっ!藍ってば霞を独り占めして!ずるいわ私だって霞とお話したいのにぃ!ちょっと萃香ってばいつまで触って…って何で霞はこっちを見てくれてすらないのよ!?」

 

自分が嫉妬の鬼と化した2人に襲われている間に、仲睦まじく話して全く自分を助けてくれない藍と霞。そんな2人へ紫が文句を言うと

 

 

「…紫?一応、私も一緒に温泉に入ってくれる人がいないと、困ってしまうからね?

まずはこの温泉と…私を信用して貰わないといけないだろう?誰も自分の事を不埒な目で見てくる奴となんか一緒に温泉に入りたくはないだろうからね…

…だから今のお前の姿を見るのは…世間体とやらが許してくれないだろう?」

 

「それはそうだけど…って、女子4人と混浴してる癖して何を言ってるのよ貴方は!

えっと、そういう話じゃなくて…私は…!なんて言うか、その…あのね?」

 

言葉に詰まったのか、紫が口をモゴモゴとさせている…と、萃香がそれを勝手に代弁し始めた。

 

 

 

「あー、そりゃあれだよ霞……紫はあんたにだったら、むしろもっと見て欲」

「萃香ァァァァァァァッ!!!!」

「ぎゃあああああッ!?!?」

 

 

紫が、そんな萃香口と胸を強引に押さえた。

いきなりの行動に、萃香の口から悲鳴が上がる…

 

「おわっ!?ちょっ紫ッ!?何処触って…! あ、ごめんごめん謝るから!許してって!というか今謝ったじゃん!?なのに何でまだ触ってるんだよ!?そっちがその気ならこっちだって本気でやるよ!?」

 

紫に飛びかかられ謝ったのに手を止めない紫。色々と触られた萃香は

すぐさま反撃に出た。

 

 

「きゃあッ!?ちょっと!そもそもあなたがバラそうとするのが悪いんじゃない!何で反撃するのよ!?」

「謝ったのに紫が揉み続けるからだろう!?だいたい霞はどうせそんな事気にしないんだからそれくらいは言っといた方がいいんだよ多分!!」

「多分って何よ萃香のバカァ!」

「バカっていう方がバカなんだよ!」

 

 

ヒートアップした2人を見て霊夢は自分はさっきあんな感じだったのか…と逆に頭が冷えてきた。…しかし、とんでもなく騒がしいはずなのに…決して、不快な気分にはならなかった。

 

 

「霞の周りは本当騒がしいわね…」

 

そう呟くとそれが聞こえたのか

 

 

「そうかもしれないね…けど、私はこれが好きなんだよ。皆が好きに騒げるような時間がね…」

 

微笑む霞を見ているとふいに言葉が漏れ出した。

 

「…あんた達今日どこで寝るの?」

「紫の家…と言いたいけれどあの部屋の有様だとなあ…」

 

少し考え込む霞を見た霊夢は

 

 

「…ウチに泊まってけばいいじゃない。宴会事が多いから布団はあるわよ」

 

そう、誘ってみた。

 

「…ん?いいのかい?なら、お言葉に甘えようかな…よろしく頼むよ、霊夢。」

 

「ええ、温泉の見返りってことにしとくわ…結構、気持ちいいし…」

 

 

 

その言葉を聞いた霞は満足げに微笑んで静かに夜空を見上げたのだった。

 

 

 

 

 

それからしばらく温泉を楽しんでいたものの霊夢が逆上せたらしくとりあえず皆上がることとなった。

 

温泉から出た霊夢と藍は急に裸が恥ずかしくなってきたので体を拭くためのタオルは何処かと紫へ聞いてみた所。

 

「ねぇ紫?私達タオルを持っていないんだけど…どうやって身体を拭けばいいのよ?」

 

「あ、それなら大丈夫よ?私たちが温泉から出たら自動的に霞の羽衣が拭いてくれるシステムになってるんだから!」

「「え?」」

 

2人は呆けて霞の方を見ると、紫たち目掛けて4つに分かれた羽衣が

飛んで来ていた。全員の身体に羽衣が巻きついた瞬間。水分を拭き取ろうと身体中を動き回る。

 

 

「あっ…こ、こんな風に立ってるだけで身体中の水分を吸い取ってくれる…の…ッ!べ、便利でしょうッ!?」

 

「ちょっと!それ先に言ッ!?やっ!この羽衣胸に巻きついてきて…

そ、そこはダメだってば…ひゃん!」

 

「紫様っ!?私はこんなの聞いて…ッ?あっ!?尻尾の付け根は自分で出来…ひぅっ!」

 

 

3人の身体を丁寧に拭いていく羽衣によってゾクゾクとした快感を感じている中。

 

萃香だけが

 

「あー…やっぱりこれは便利だよねぇ…んっ…はぁ。やっぱり風呂に入って後にこの羽衣で体を拭かれるのは至高だよ…」

 

 

肌に触れる羽衣の感触を楽しみながら満ち足りた顔をしていた。

 

 

 

 

 

少し大型の風呂だったので消えるまでに時間がかかってしまった霞は少し早足で4人の所へ戻ってゆく。

 

 

「おい紫?もう夜中だからお前の能力で皆の寝巻きを…って、何で倒れてるんだ?」

 

霞の目の前にはすっかり息の上がった3人の少女が地面にへたりこんでいた。

 

 

「あ、霞ってば遅いじゃないか!皆を運ぶから手伝ってくれないかい?だらしないことにこの3人腰が抜けちゃったらしくてね…あ、霞の羽衣のせいだよ?」

 

 

羽衣は普段なら水分を拭き終わると同じ頃に温泉が消えることが多かったので、前もって温泉が消えるまでは動くように。そして温泉が消えると自動で霞の元へと戻るようにと術式が命令されていた。

 

しかし今回は温泉を消すことに時間がかかっていたため停止の命令がなかなか送られず、羽衣は4人の身体に巻きついたま水気を感じた部分を拭き取り続けていたようだ。

 

「あぁ…すまない。これは完全に私のミスだな…」

 

「紫と藍は私が神社に運ぶから…霞は霊夢を任せたよ」

 

そう言って自分よりも大きな2人を「よっ」の一言で軽々と持ち上げた萃香は呑気に神社の中へ帰ってゆく。

 

 

霊夢を持ち上げて神社の中へ戻ろうとした時。霞の耳元で小さな声で

 

 

「霞のバカ……」

 

 

ちょっと涙ぐむ霊夢の声が聞こえたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

神社の中へ霊夢を運んで着替えさせた後。 顔を羞恥で真っ赤に染めた

紫と藍に恨みがましい視線を向けられ居心地の悪さを感じていると、復活した霊夢に飛び蹴りを食らわされた。

 

紫達に怒られる霞を見ていた萃香は

 

「まぁとりあえず呑もうじゃないか?」と大量の酒を持って来たところ

 

それを見た少女達の目の色が一瞬で変わり急遽宴会が開催されることになった。

 

 

 

 

「全員お酒まわったわね?それじゃあ…乾杯の音頭は霞が取って頂戴!」

 

そう言われた霞は突然のアドリブに驚きつつ皆の方へ向き直ると

 

「そうだね…なら今ここでの出会いと、これからの新しい出会いを祝して…乾杯!」

 

「「「「「かんぱーい!!」」」」」

 

 

微笑みを浮かべて乾杯をしたのだった。

 

藍が作った料理を食べ、萃香の持ってきた酒を呑む…

 

 

 

数百年振りの人との騒がしい食事を、霞は心から楽しんだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…朝起きた時…霞と萃香以外の三人が二日酔いでダウンしてしまったためまた温泉に入ることになるのだが…それはもう、割愛。

 

 

 

 

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