東方湯煙録   作:鯖人間

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見学と妖精と紅魔館

朝、一悶着終えた後の博麗神社では…霞が紫達に、幻想郷の見所や珍しい種族などを聞いていた。

 

 

「うーん…それじゃあ紅魔館なんてどうかしら?あそこの主は吸血鬼なんだけど…あ、でも確か夜行性だったと思うから…昼間は寝ている可能性が高いわよ?」

 

「へぇ…!!吸血鬼か…それはまた、珍しい種族もいるものだね…?」

 

 

今まで色々な妖怪に出逢って来たものの、実際の吸血鬼を見たことが無い霞は…誰が見ても分かるほどに、両目をキラキラ輝かせていた。

 

 

 

「でも吸血鬼はプライドが高いから…迂闊なことをすると攻撃されるかもしれないわよ?それにあの館には吸血鬼以外にも手練れの存在が集まってるからね…万一戦いに発展したら、厄介よ?」

 

「それに以前、幻想郷中に紅い霧をまき散らす異変を起こした張本人なのよね……何でも吸血鬼である主が幻想郷で舐められないために決行したらしいんだけど…」

「でも、この博麗の巫女である私直々に異変解決に乗り出した結果。あの吸血鬼のプライドとか諸々、へし折ってやったけどね!」

 

ふふん、と。ドヤ顔する霊夢はスルーして置いて…霞はまず、紅魔館の事を頭の片隅へ置いたのだった。

 

 

 

「うーん…それじゃあ他の場所はあるかい?」

 

少し考え込む霞をよそに、今度は萃香が手を上げた。

 

 

 

「やっぱりせっかくだからさ!!勇儀にも霞と逢わせてやりたいんだけどさー…

ねぇ紫ー…?霞でも、地底に行くのは駄目なのかい?」

 

 

 

地底…?また霞の興味を引く単語が出てきた様だ…紫は頬杖をつきながら悩ましげな声で答える。

 

 

「本音を言うなら許可を出して上げたいんだけど…地上との不可侵条約があるからねぇ…取り敢えず許可を取ってくるから、行くのはもう少しだけ待って頂戴?」

 

 

「んよっし!だってさ霞!地底に行くことがあったら勇儀にも会ってやりなよ?何だかんだ言って絶対喜ぶと思うからさー」

 

「ああ…紫にも迷惑かけてしまったかな。昨日萃香と思い出話をしていたら、なんだかまた勇儀に会いたくなってしまってね…というよりも、鬼達に…かな?」

 

「大丈夫よ!何とか許可を取れるようにするから…トイウカキョカハスグデルトオモウケド…霞が幻想郷に来たことを天魔と鬼子母神に伝えればいいのよね?うげぇ…嫌な予感が止まらないわ…」

 

 

地底に行くための道は妖怪の山にあるのだが…その地底を治めているのは、数多の妖怪から最強の鬼と畏れられている…鬼子母神だった。

 

 

 

 

「…ん?2人ともここに居るのかい?それなら私が直接話した方がいいんじゃないか?」

 

 

全ての天狗を総べる天魔と全ての鬼を総べる鬼子母神。

 

 

しかしこの2人と霞は昔出会ったことがあるので、霞は紫にそう提案してみるが…

 

 

「ダメよ!あの2人に今の霞を会わせたら霞を独占されちゃうじゃない!今は私のターンなんだからね!というかずっと私のターンでいいのよもうッ!」

 

そんな事をのたまう紫を華麗にスルーして、霞はこれからの行き先を決め始める…

とは言うものの、候補は1つしか無いけれど。

 

 

「なら、先に紅魔館を見学してこようかな。実物の吸血鬼を是非見てみたいし…」

 

「そうね…ここから真っ直ぐ飛んだ所に、とっても霧が深い湖があるんだけど…そこまで行けばすぐに分かるわ。案内なんて無くてもね…

なんてったって、あんな悪趣味なお屋敷なんて他にないでしょうからね…」

 

どうやら紅魔館という建物はとにかくわかりやすいらしい。そんな説明で大丈夫か…?

 

 

「それなら今日はここでお開きにしようか。泊めてくれてありがとうね…霊夢?」

 

「…ふん。別にいいわよ…それじゃあ私はもう一度寝てくるわ…ふぁ…」

「あ、んじゃあ私も付き合うよ。またね、霞!」

 

そう言って、2人は神社の中へ戻っていった。

 

するとその2人と入れ違いで、宴会明けの散らかった部屋を片付け終えた藍が戻って来た。

 

 

ヒュッ

 

 

「…ッ!?」

 

そして紫と目が合った瞬間。真っ先に紫の頭を掴んだ。

 

 

 

「さて…紫様。それでは早く家に帰ってきて…山積みの仕事と自室の部屋の掃除…してくださいね?」

 

「ら、藍!?まだその事根に持っていたの!?でも私、もう少しだけ霞とお話したいなーなんて思ってたりしてなかったりして……?」

 

 

「何 か 言 い ま し た か ?」

 

 

「ゴメンなさい!?!?あぁあ霞ぃぃぃー!!!助けてぇぇぇ!?!?」

 

そのまま藍に引きずられて、紫はスキマの中へと連れていかれてしまった。

 

 

南無。

 

 

 

 

 

 

誰もいなくなった広い神社の境内を見渡した霞は、昨日あった出来事を頭の中で思い浮かべつつ…霧の湖へと向かう事にした。

…その際。自分が飛べることをすっかり忘れていて、足場の悪い長い階段を…わざわざ自分の足で降りていく羽目になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

夕焼けが山を反射して輝き出す頃

 

相当長い階段を歩いて降りた後、しばらく森の中を歩き続けていた霞は自分が飛べた事をここに来て思い出して空へと飛び上がった。

 

「おっと…こうして空を飛ぶのは一体何年ぶりなんだろうか…?」

 

 

 

 

感覚を取り戻しつつしばらく飛んでいると下に霧が広がる湖を見つけたので、休憩がてらそこへ寄ってみることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間の間。ひたすらぼんやりと、夕日の光を反射して煌めく湖を眺めながら…霞が木陰でのんびりと涼んでいると、急に霞の周りの温度が下がり始めてきた。

 

 

「…うん?まだそんなに冷え込む時期じゃな『ちょっとアンタッ!!!』

 

 

不審に思い何事かと周りを見渡そうとした時。霞の目の前に、見覚えの無い2人の少女が立っていた。

 

 

…というより、浮いていた。

 

 

「そこのアンタ!!ここはあたい達のナワバリよ!しんにゅーしゃは凍らせてやるんだから!覚悟なさい!」

「ち、チルノちゃん…い、いきなり攻撃するのは良くないと思うよ…?」

 

 

ふよふよと浮いている2人は、どうやら妖精のようだった。きゃーきゃーと騒ぐ姿が見ていてとても面白い。

 

 

妖精は幻想郷に沢山いると聞いていたけど…まさか、こんな近くで出会えるとは。

 

 

さっきから霞の周りを凍らせている少女は…どうやらチルノと言うらしい。背はせいぜい霞の腰くらいまでしかなく、肩まで伸びた透き通るような青髪にリボンをつけていた。

そして背中には妖精らしい、6つの小さな氷の羽を持っていた。チルノはとてもお転婆というか、怖いもの知らずというか…色々と、面白そうな女の子だった。

 

 

「何言ってるのよ大ちゃん!だってさっきから、コイツ凍らせようとしてるのに全然凍らないのよ!?絶対何かおかしいもん!」

 

「…えぇ!?そんなことしてたの!?けど、この人さっきから何も喋ってないから…私、てっきり凍ってるのかと…ひゃっ!?」

 

「だ、大ちゃん!?わぷっ!?むー!!!!」

 

 

様子を見に霞の方へと近づいてきた…大ちゃん。と、呼ばれていた少女は…霞の羽衣に巻き付かれて拘束されてしまった。

それを見たチルノは急いで助けようと近づいてくる…ところをまた、霞は羽衣で捕まえた。

 

 

緑の髪をサイドテールにしている方…大妖精は、なんとかして抜け出そうと透明な羽をパタパタと動かしてみる…が、びくともしない。

そして妖精の中でも頭一つ抜けて強いはずのチルノがあっという間に捕まったのを見て、すぐに霞が大妖怪の類だという事に気がついた。

 

 

 

宙ぶらりんで動けない2人へと、霞はゆっくりとした口調で話しかける…

 

「んー…ちょっとそこの君達…少しでいいから、人の話を聞いてくれないかい?」

 

 

そう言って口元の羽衣を取り外すと

 

 

「このへんたいッ!?あたいに何する気なのよ!!はーなーせーこーのーやーろー!!!」

 

 

チルノは話を聞かずじたばたと暴れるだした。霞はチルノをまた拘束すると…今度は大ちゃんへと話を続けた。

 

 

「私はここで休憩していただけなんだが…急に凍らせるなんてどうかと思うぞ?…君たちは一体誰なんだ?」

 

 

 

そう言ってむーむー叫ぶチルノを無視して、大ちゃんと呼ばれていた少女は近づいてきた霞に対して、若干涙目になりながらも必死に答え始めた。

 

 

 

「は、はい!私は大妖精と言いまひゅッ!!!そ、それでこっちがチルノちゃんと言って…あの…チルノちゃんは少しお馬鹿な所があるので、それに関してはご、ごめんなさいッ!

…ほら!チルノちゃんも早く謝ってッ!!」

 

「え!?なんであたいがこんな奴に謝らないといけないのよ!?だってそもそもこいつがあたい達のナワバリに侵入したのが悪いんじゃ」

「チルノちゃんのお馬鹿!!」

「ひぃッ!?」

 

大ちゃんはチルノを一喝すると、チルノの頭を強引に下げながら霞へもう一度謝った。

 

 

「本当にごめんなさい…チルノちゃんもこの通りなので、どうか食べるのは勘弁してくださぃぃぃ…」

 

 

涙目な大ちゃんを見て霞は少し考える。元々実害が無いために怒ってなどいないのだが…

…それに、そんなに自分は妖怪を食べるように見えるのだろうか?…若干凹んでしまう。

 

 

「それについては許すし、食べたりもしない。…その代わりと言ってはなんだけど、1つ、お願いを聞いてはくれないかい?」

 

「…お、お願いですか?」

 

 

さっきまでプルプルと震えていた大妖精は許してくれたのを見て.少しだけ安心したのかコテンと首を傾けた。

 

 

 

「あぁ。私は紅魔館って場所が知りたくてね…何処にあるのか知らないかい?」

 

 

大妖精は森の先を指さし。道を教え始めた。

 

 

「こ、紅魔館ならこの先の森を抜けてすぐに見える…真っ赤なお屋敷のことですけど…

あ、あそこには吸血鬼が住んでいるらしいので、近寄るのは危険ですよ…?」

 

「その辺はまぁ、大丈夫だと思ってるよ。それじゃあ、今回はこれでさよならだね…今度出会った時にはまた。ゆっくりと話そうじゃないか?」

 

「は、はい!」

 

 

そう言って霞は2人に巻きついていた羽衣を優しく外すと…大妖精の頭を一撫でしてから、紅魔館を目指して歩いていった。

 

 

大妖精は頭を撫でられたことに驚きながら、霞の後ろ姿を見つめていると…

さっきから黙っていたチルノがいきなり顔を上げ、遠くの霞に届くような大声で叫んだ。

 

 

 

 

「絶対次に会った時は、アンタの事カチンコチンに凍らせてやるんだからあぁぁぁあッ!!」

 

「ひぃっ!?」

 

 

 

 

霧の湖の水面に、チルノの咆哮が反響した。

 

 

 

 

 

 

 

チルノの咆哮を聞いた霞は笑いながらまた、この湖を訪れようと決めた。

そしね森を道なりに進んでいると…遠くに、紅魔館と思われる館を見つけた。

 

 

 

その館の壁は全て真っ赤に塗られており、窓すら数える程しかついていない…見た目がとにかく不気味な雰囲気の館だった。

 

 

「…ふむ。ここが紅魔館で間違いなさそうだね…?悪趣味、という訳では無いけど、かなり個性的な感じのする館だねぇ…」

 

 

霞が紅魔館へ入るための門を探していると…突然、背後から声をかけられた。

 

 

 

「そこの見慣れない妖怪さん?ここは紅魔館ですが…一体ここへ何の御用でしょうか?」

 

 

どうやら門番をしていたらしい赤色の髪のストレートで淡い緑色をした、幻想郷では珍しいチャイナドレスと星のついた帽子を身に付けている…

 

 

そんな少女が、霞の振り向いた先に立っていた。

 

 

 

 

「ああ、突然来てしまってすまないね?実は吸血鬼に会ってみたくてここまで来たんだけど……今、面会は可能かな?」

 

「お嬢様は現在お休みになっておりますので、面会は出来ませんね……」

 

 

どうやら吸血鬼はまだ寝ているらしい…霞は肩をガックリと落とすと

 

 

「そうか…それなら今回は出直してまた来るよ…」

 

かなり残念そうな顔をしながらそう言って、その場から立ち去ろうと踵を返した霞。

 

 

それを見た門番は

 

「あ!ちょ、ちょっと待ってください!それでしたら図書館で時間を潰していかれては?」

 

気の毒に思い他の候補を出してみる。すると、それを聞いた霞の目が輝いた。

 

 

「…ここには図書館があるのかい?それは…とても興味深いね。是非、寄らせてもらえると嬉しいんだけど?」

 

 

さっきまでの残念そうな顔が180°変わって、一気に楽しげに変わった霞は…数百年ぶりに本が読めることに強い喜びを示していた。

 

 

…本を読めるのは、本当に久しぶりだ。

 

 

霞のあまりの変わりように、門番が心の中で不思議な人ですねぇ…なんて考えながらも大図書館へと案内しようとした時。

 

 

「はい、それではご案内しま…痛ァ!?」

 

 

少女が急に叫んだ。すると、少女の頭に1本のナイフが深々と刺さっていた。

 

「何するんですか咲夜さん!?今は私サボってなんかないですよ!?」

 

 

門番は目に涙を浮かべながら咲夜へ話しかける。確かに、普段は勤務中に居眠りをしてサボっている時もあるけれど…今日はわりと真面目に仕事をしていたのにッ!

 

 

「…美鈴?仕事中に自分の持ち場を離れるなんてどういう事?そしてそのまま客人と呑気にお喋りをしているなんて…職務放棄とそう変わらないでしょう?…さっさと仕事に戻りなさい」

 

 

言われてみれば確かに、そうかもしれない。

…いや、本当は分かっていた。自分は門番であって、案内をする役目は妖精メイド達で万事事足りるのだ。

それでも自分がこの妖怪を引き止めた理由は…ぶっちゃけて言うと暇だったからだ。紅魔館は来客自体がとても少なく門番は普段。武術の鍛錬や花の世話をして過ごしていたのだが…今日は、久しぶりの来客が来たので、少し会話をしてみたかった気分だったのだ。

 

「えぇ…わ、分かりました…あ、なら咲夜さんがこの人を図書館まで案内してくれませんか?」

 

「分かってるわよ。それが私の仕事だもの…そこの妖怪さん?図書館まで案内をするので…私に着いてきて下さい?」

 

 

 

銀のナイフを持ちながら美鈴に命令していた銀髪のメイドは霞へと向き直ると

 

「私はこの屋敷のお嬢様に仕えるメイド長を務めている、十六夜咲夜という者です。

…貴方が何を目的にここへ来たのか知りませんが、見学は等はご自由に。…しかしもしこの屋敷の中で問題を起こしたり、狼藉を働くようなことがあれば……即座に殺しますので、ご注意下さいませ?」

 

 

そう言った咲夜は冷たい微笑を浮かべながら、1人で図書館の方へと歩き出した。

 

 

銀色に輝く髪とメイド服が強く印象に残ったが…何よりも霞の興味を惹いたのは、主人に対しての深い…忠誠心だった。それに音もせず霞達の前に現れたことにも、霞は興味を惹かれずにはいられなかった。

 

 

「それにしても…突然現れたのは驚いたね。えっと……美鈴?でいいのかな…生きてるかい?」

 

 

美鈴は頭から血を流しながらも、また先程のように笑顔を見せると

 

 

「あ、はい大丈夫ですよ!もう何年もやってるコミュニケーションの

一環みたいな物ですので…それに、私は頑丈なのが取り柄なんですよ!」

 

…怪我も大したことなく、美鈴はケロッとしていた。

 

 

「それでは図書館を楽しんで…あ、そう言えば自己紹介がまだでしたね!私は紅美鈴という妖怪で、この紅魔館の門番をしている者ですが……貴方のお名前は何ですか?」

 

 

 

美鈴は先程からこの妖怪が気になっていた。今まで長いこと門番をしてきたのだが…吸血鬼に会いたい、なんて理由で紅魔館を訪ねてきた妖怪など、久しぶりだったからだ。

 

 

(それにこの人の気の流れ…さっきからずっと落ち着いていたのに、さっきの話で好奇心が刺激されたのか今はとっても楽しそう…)

 

 

 

美鈴は『気を使う程度の能力』を持っている。

だからこそ、相手の気を読むことによって敵意や害意などの感情をある程度読み取ることが出来た。

そんな美鈴から見たこの妖怪の気の流れは…話す相手をゆっくりと覆うように、周りへと広がっているように見える。

今、この空間にいる美鈴自身の気の流れも…おそらく、落ち着いているのだろう。

 

 

「私の名前は霞。ただの温泉好きな妖怪だよ…それじゃあ、また後でね?」

 

「はい!」

 

元気に返事をした美鈴は晴天のような笑顔を見せ。元気に門番の仕事へと戻っていった。

 

 

 

 

 

紅魔館の中に入ると外装よりもかなり広い印象を感じたので霞は咲夜に聞いてみた。

 

「この廊下。外から見た時よりも随分長くないか?…これにもなにか仕掛けがあるのかい?」

 

 

「えぇ。お嬢様が『もっと広い館に住みたいわ!』と私に仰られたため、私の『時間を操る程度の能力』で空間を弄って広くしております」

 

 

どうやら時間を操る能力を応用して空間を広げているらしい…時間と空間は密接な関係にあると聞いた事があるが…そんな事が可能とは。凄い能力を持っているんだな…

 

 

時間を操るなんて高等な技術を持つ咲夜を見て、とても便利な能力だな…なんて、霞は考えていた。

 

 

 

「ここが紅魔館の誇る大図書館です。何か質問がある際は、司書の小悪魔へ聞いてください。私はこの事をお嬢様にお伝えして来ますので…それでは、ごゆるりとお過ごしくださいませ…」

 

 

咲夜は丁寧な動作でお辞儀をして、くるりと踵を返す…

 

 

すると目の前から一瞬で咲夜の姿が消えてしまった。それを見届けた霞は大図書館の扉を開ける…

 

 

すると、その部屋に入った瞬間。霞の眼前には数え切れないほどの本が目に入ってきた。

 

 

「ふむ。ここが大図書館か…確かに普通の図書館とは比べ物にならない程の本が並んでいるねぇ…というか、本の種類が多すぎて…どこに何の本があるのか全く分からないな…」

 

 

霞がそう思いながら図書館内を歩いていると遠くから弾幕の弾が飛んでいるのが見えた。

 

 

何事かと思い大きな本棚の後ろへ霞が回り込んだその時。

 

ふと、見覚えのある少女が霞の方へと飛び込んで来た

 

 

「おっと!?」

「おうっ!?」

 

 

ドスッと音が鳴るほどの衝撃が霞のお腹襲った。そして本棚を巻き込みながら倒れ込む…

 

 

倒れた本棚の上で霞が目を開けると、霞の胸の中には頭を押さえながら起き上がる…大図書館屈指の本泥棒こと、霧雨魔理沙がそこには乗っかっていた。

 

 

 

 

「おっと、霞じゃないか!昨日ぶりだな!お前、一体どうしてこんなカビ臭い図書館にわざわざ来てるんだよ?」

 

「それはこちらも聞きたい所なんだけどね…魔理沙。重いからとりあえず退いてくれないか?」

 

「 …おい霞。私は軽いからいいんだが…女の子に重いなんて言うのはデリカシーの欠けらも無い発言だぜ?ちょーっと男として、それは無いんじゃないか?」

 

「なら、まず突然ぶつかってきたんだから…一言謝ったりはしないのかい?それにいつまでも私の上に乗り続けるのは、女としてはどうなのかな…?」

 

 

霞と魔理沙がちょっとした言い争いをしていると

 

 

 

「ちょっと魔理沙さん!今日こそは勝手に本も持っていかせませんよ!いい加減に本をー…?」

 

 

赤みがかった髪に黒い翼をした少女が現れるやいなや、急に顔を真っ赤に染めると…

 

 

 

 

 

「と、図書館内で貴方達は何をやってるんですかあぁぁぁあッ!?!?」

 

 

倒れた霞の上に馬乗りになる魔理沙を見て、絶叫を上げたのだった。

 

 

 

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