赤いベーシストはバンドもしたいけど恋もしたい!   作:倉崎あるちゅ

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さてさて、一年生編改め、出会い篇が終わり、今回から第二章! Roseliaのバンドストーリーに入ります!
劣化版になる可能性大です。オリジナリティ溢れる作品にしたいと思っていますので期待していてください!

それでは本編をどうぞー!


追記:8月25日。
リサの誕生日回を投稿しました。1話に変更しましたので、そちらになります。


二章 青い薔薇 芽吹く
一曲 正確無比なギタリスト


 あの日、本屋でリサと出会ってから一年が経った。

 あの時以降から俺の周りはガラッと変わり、私生活もまたガラッと変わった。

 まず一つは登校時。リサと友希那と合流してから行くようになったこと。

 二つめは下校時。下校時もまた俺が羽丘に寄って一緒に下校するようになった。下校については、冬に友希那がファンの女の子にストーキング紛いの行為をされ、それを危惧したリサが俺も一緒に下校したらもしもの時の安全だ、と言ったためだ。

 最後の三つめは俺の食生活。お節介が増えたリサにより、休日以外はコンビニで済ませていた朝食がちゃんとした料理に変わり、学食で済ませていた昼食もリサ手製の弁当に変わった。夜もまた然りだ。

 コンビニ、学食で済ませていた俺を見かねてリサが強制……もとい提案してくれた。

 ほぼ全てにおいてリサか友希那が関わってくる。別の学校だというのにここまで一緒にいるのは凄い事なのでは、と思う。というより雨河さんにそう言われた。

 そして今、俺は友希那の家の前でリサと一緒に友希那が来るのを待っていた。

 

「はい、今日のお弁当♪ 少し多くなっちゃったけど、ショウなら食べられるでしょ」

「いつもありがとな、凄く助かる」

「別にいいってば、アタシがしたくてやってる事だし」

「それでもだ、ありがとう」

 

 毎朝言っている事だが、やっぱりリサには感謝しかない。

 朝と昼と夜。三食全て彼女の料理が食べられるのはラッキーとしか言いようがないだろう。ただ、やはりと言うべきかなんと言うべきか、自分で作った料理を食べると物足りなくなってしまったのはどうにかならないのだろうか。

 

「おはよう、二人とも……またやってるのね」

「だって、アタシがしたいだけなのにお礼を言われるとちょっとムズ痒いというか……」

 

 あはは、と笑うリサを見た友希那が、苦笑いを浮かべてこちらに歩いてくる。

 実際に助かってるわけだし俺は毎朝感謝を伝えるとも。

 行きましょ、と友希那が歩き始め、俺とリサは先に歩く彼女を追いかけた。

 

 

 

 ♪ ♭ ♪ ♭

 

 

 

 学校に着いた俺は教室の中に入り、自分の席に座って机に突っ伏した。まだ時間には余裕があるし、HRが始まるまで寝ようとする。しかし、バンッと突然机を叩かれた。

 

「……なんだ、朝から」

「なんだとは失礼だな!? 折角ギタリストの候補を教えに来たのに」

「用件を聞こうか」

「切り替え早……」

 

 俺の切り替えの早さに呆れる目の前の男子生徒は、去年から付き合いのある友人の香月(こうづき)飛鳥(あすか)だ。彼には去年からCiRCLE以外のライブハウスで有力なギタリストやベーシストなどを探してもらっている。名前が女子っぽい事にコンプレックスを抱えているらしいが、気にしなくていいと思うのは俺だけか。

 

「それで、どんな人なんだ?」

「まぁまぁ慌てんなよショウ。曲録音したから聴いてみてくれ」

 

 どれどれ、と差し出される端末とイヤホンを受け取り、録音された曲を聴く。

 イヤホンから流れる曲はとあるバンドのカバーだった。友希那の基準で言うならば、まだまだレベルが足りないバンド。しかし、ひとりひとり音を聴いていくとギターだけ頭抜けて上手い事に気付いた。

 一言で言うならば、正確無比。言葉通り正確で、まさにお手本のようなギターの音だ。

 どれだけ努力したらここまで上手くなれるのだろう。

 

「……凄いな」

「だろ? 名前は氷川(ひかわ)紗夜(さよ)。おれらと同い年らしい。結構練習とかストイックだって有名らしいぞ?」

「ストイック、ね。友希那と気が合いそうな練習スタイルだな」

 

 やっと、あの孤高の歌姫に見合うレベルの候補が出てきた。去年は見つけては却下され見つけては却下されの繰り返しだったからな。

 

「今日、CiRCLEでライブするみたいだし声掛けたらどうだ?」

「あー、確かリストに紗夜って名前あったな……。ま、友希那に相談してからだ」

 

 全部俺が決めるわけにはいかない。それに、あの友希那の事だし演奏を聴いてから決めるって言うだろうな。

 チャイムが鳴るまで飛鳥と他の候補について話したが、まだ見つかっていないようだ。

 俺もCiRCLEに出入りする人達に声をかけてはいるが、効果は見られない。

 過去最難関の人助けだ、これは。まぁ、友希那には悪いが、その方がやり甲斐もあるし、楽しめる。

 

 

 昼を食べ終えて、あっという間に放課後になった。

 最近、紅宮って昼食べた後柔らかく感じるよな、とか言われるようになった。何故かは俺はわからないが、飛鳥は毎回俺の弁当見ては割り箸を握り潰している。

 そんな飛鳥とも教室で別れ、俺は羽丘まで走って行った。今日は友希那もCiRCLEでライブがある。ストーカーも居なくなりつつあるが、もしもの事があったら大変だし一緒に行くようにしている。

 羽丘の校門まで来ると、リサが同じ羽丘の生徒と話しているのが見えた。

 すると、彼女も俺の事を目視したようで、手を振ってくれる。

 

「やっほー! ショウ♪」

「よう、リサ今朝ぶり」

 

 軽く手を挙げて応えると、羽丘の生徒が驚いたような顔をしてリサに質問する。

 

「え、もしかしてリサの彼氏? いつできたの!?」

 

 あー、そういう感じか。そう捉えられても仕方ないと思う。ただでさえ羽丘は女子高だし、恋愛云々は興味津々だろう。

 質問されたリサは、頬を染めて慌てふためく。その姿が面白くて、俺はつい口を挟めた。

 

「あぁ、そうだよ俺ら付き合ってるんだ」

 

 リサの隣に立ち、彼女の肩を抱くとビクッと震える。

 

「ちょっ──!?」

「おめでとうリサ! あ、じゃあわたしはお邪魔みたいだし帰るねー!」

 

 そう言って羽丘の生徒は走っていった。

 すると、ドカッと足の甲を思い切り踏まれた。俺の靴の上には小さなローファーが置かれていて、それがグリグリと動かさられる。

 

「いつつ……。強すぎないかリサ」

「ショウがいきなり変な事言うからでしょ! 凄い驚いたんだけど!」

「悪いって、ちょっとした出来心というか! だから靴退かして下さい潰れる」

 

 最後にふんっ! と強く踏まれ、俺は痛みで悶絶する。痛過ぎ。

 

「どーすんのさ、誤解解くの大変なんだけど?」

「……そ、そこはほら、俺が発端だし、勿論協力するから」

 

 腰に手を当ててリサは、悶絶する俺に見下ろしながら言う。

 やばい、足ヒリヒリする。まだ痛い。

 

「はぁ……ほんとショウって最初の頃と印象違い過ぎだよ」

「学校じゃ、その印象通りだぞ。最近はそうでもないらしいけど」

「んー、確かに最初の頃はクールっぽかったっけ? 今じゃポンコツ化してきてるけど」

「ポンコツ言うなよ……」

 

 飛鳥曰く、俺は最初の頃は刃物みたいだったようだ。近寄れば切る。そんな雰囲気だったそうで、そんな奴が教師の手伝い、いじめの撲滅、商店街などで人助けをしていたのが異常に見えるらしい。

 そう教えてくれた彼は、学校で教師の手伝いをしていた時に知り合った形になる。

 で、今じゃポンコツ化してきてる、と。……自覚あるけど。元々こういう性格だし。

 

「あ、いけない! 友希那追いかけなきゃ」

「は? なに先に行ったのあの子?」

「うん、新しく出来たアクセショップいこーって言ったら、入りの時間早いからって袖にされちゃって……」

 

 ストーカー行為が減っていってるから良いけど、彼女には気を付けてもらいたいものだ。ただでさえ孤高の歌姫などと言われて有名になってるというのに。

 リサに追いかけるぞ、と言ってライブハウス『CiRCLE』まで走る。

 ダンス部とテニス部を掛け持ちする彼女は、俺が少し早めに走っても横にピタッとついてくる。

 ホント、運動神経もいいし世話焼きだし、性格明るいし、勉強もある程度出来るみたいだし、お洒落だし、ダメな所ないんじゃないかリサって。

 これで彼氏がいないのだから世の中不思議なものだ。……いや、周りで俺がうろちょろしてるから男が来ないのか……? どうなんだろう。

 むむむ? と首を傾げながら走っていると、少し先に歩く色素の薄い長い髪を揺らす後ろ姿が見えてきた。

 

「おーい、ゆっきなー! はぁ、はぁ……やっと追いついた!」

「歩くの早すぎないか、友希那……」

「……! リサ、ショウ」

 

 俺とリサで立ち話してたけど、そんな時間も長くはなかったし、この子どんだけ早く歩いてんだ。

 

「幼馴染置いてくとかひどいぞー? ……って、何回も置いてかれてるか〜」

 

 あはは、とリサが笑う。俺も知り合ってから、リサよりは少ないだろうけど、毎回毎回三人で集まる時俺が置いていかれるんだが。今日だって、友希那が一緒にアクセショップに仮に行ったとしたら、俺が置いていかれる構図だっただろう。なにそれ悲しい。

 

「行かないわよ、アクセサリーショップには」

「うん。ただ、アクセショップ、ライブハウスの手前にあるんだよね♪ それまで一緒に行こ?」

「……わかったわ」

 

 仕方ないと言った表情で、友希那は頷いた。

 三人でテストの話をした。リサは国語の点が思ったより高かったようで嬉しそうに話してくれた。友希那は音楽活動に支障が出なければいいという考えなので、点数はまあまあ低い。俺はほぼ全て平均点は越すようにしているので心配はない。

 そして、話の話題はリサが避けているバンドメンバーの事になった。

 

「もう既に、『フェス』に向けたコンテストのエントリー受付は始まってるからな。条件は三人以上」

「今年こそ見つけるわ、必ず」

「そんな仲間が欲しい孤高の歌姫に、嬉しいお知らせだ」

 

 冗談めかして言うと、友希那がじっと俺を見る。その金色の瞳が変な事を言うな、と言っているようで背筋がゾクリとする。

 

「ギタリストの候補が挙がってきたよ。今回は、友希那も欲しがると思うぞ」

「そう。ありがとう。でもまずは演奏を聴いてからよ」

「言うと思ってましたー、それ。で、その候補──氷川紗夜っていう女の子なんだけどさ。その子も今日のCiRCLEのライブに出るんだ」

 

 続けて、演奏は氷川紗夜さんが前で、友希那が後という事を伝えた。

 友希那はそう、とだけ答えて足を止める。すぐ横には、俺がバイトをするライブハウス『CiRCLE』がある。

 

「ライブハウスに着いたから行くわ。それじゃあ、リサ、また明日」

「あ、うん。またね♪」

 

 笑顔で友希那に手を振って、彼女を見送る。そんなリサの笑顔は、どこか影がさしているように見えたのは気のせいではないはずだ。

 俺は少し残って、リサに話しかける。

 

「なんか、言いたい事あるんじゃねーの?」

「っ! あははー、わかっちゃう?」

「そりゃ、バンドメンバーの話になってから少し暗くなってたし」

 

 一年間接してきたからわかる。彼女がどれだけ友希那を大切に思っているか。

 

「友希那、お父さんのためにってずっと音楽をしてきて……本当は辛いんじゃないかなって……」

「あぁ……やっぱあの湊か」

「知ってたの? 友希那のお父さんの事」

「……俺の親も音楽で生活してるから、名前だけは知ってた。けど、それが友希那の父親とはな」

 

 一度だけ、両親に聴かせてもらった曲があった。もう歌詞もろくに覚えていないけど、音楽が好き、という気持ちが凄い伝わってきたのは今でも覚えている。

 しかし、そんな音楽が好きなバンドはメジャーに行き、しばらくして解散してしまった。辛い思いをしたに違いない。あれほど好きだっただろうに。

 

「アタシもさ、友希那のお父さんは辛かったと思う。でも、だからこそ友希那には、音楽で辛い思いをしてほしくない」

 

 リサ自身もベースをやっていたからこそ、わかる所もあるのだろう。

 

「でもね! ショウが友希那に協力してくれて良かったって思ってる。今まで友希那は一人で抱えてたから。ショウがいれば大丈夫かなって」

「……俺だけじゃない」

「え?」

「なんでもない。俺も行くよ。それじゃあな」

「あ、うん」

 

 俺だけじゃない。リサもいるから、友希那は音楽に真剣に向き合えるんだと思う。リサが見守っているから。それこそ、陽だまりのように。

 

「あ、弁当、今日も美味しかったぜ。明日もよろしくな!」

「──うん!」

 

 ライブハウスの入口手前で、リサに向かって言う。彼女も笑顔で応えてくれた。

 

 その笑顔に影は見えなかった。

 

 

 




今日からドリフェス……。しかもドリフェス終わったら、リサの水着復刻……。来てくれるかな……?

☆4リサをもっていないというリサ推しにはあるまじき事なので今回引けたらいいなと思います。
書いたら出る!!! そう信じて引きますわ!!!
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