赤いベーシストはバンドもしたいけど恋もしたい! 作:倉崎あるちゅ
Roseliaのファンミ、最高でしたね!
ライブビューイングでしたけど、100の質問や格付けクイズ、ミニライブ、とても充実した時間を過ごせました。
Roseliaを好きで良かったと思えました。
昼の部だったので夜の部のあけしゃんの、燐子を譲りたくないというお言葉は聞いていないのですが、Twitterやブログで知った時は泣きました。本当に燐子が好きなんだと。
さて、それでは本編にどうぞ!
※9/25
誤字修正しました。
ライブ終了後、俺は手早く片付けを行い、まりなさんにあらかた終わった事を伝えると友希那のところに行っていいよ、と笑顔で言われた。
ありがとうございます! と頭を下げて友希那の所に向かうと、ちょうど氷川さんと話し始めるタイミングだったみたいだ。
「……どうだった? 私の歌」
「何も……何も言う事はないわ。私が聴いたどの音楽よりも、貴女の歌声は素晴らしかった」
友希那の金色の瞳を見て、氷川さんはそう感想を口にする。よかった。友希那の歌が彼女に響いたようだ。
そのあとに氷川さんが友希那とバンドを組まさせて欲しいと言って、無事に友希那はバンドを組む事が出来た。
俺が微笑んでいると友希那が俺に気付いたのか、ほんの少しだけドヤ顔を浮かべる。
腹立つわ。普段そういう事しないくせに、こういう時だけやってくるの。
頬が引き攣りかけたが、顔に出さないようにして彼女達の下へ向かう。
「無事に組めたみたいだな。よかったよ」
「紅宮さん……はい、ありがとうございます」
「いやいや、俺は何も。ただ友希那に紹介しただけだし」
「それでも、です。ありがとうございました」
腰を折ってまでお礼を言われ、俺は素直にそのお礼を受け入れる事しか出来なかった。
ギターの音もしっかりしてたけど、こうも性格までしっかり者とは。でも、この人なら友希那と気が合いそうな気がする。
その後、二人は練習をするために予定を合わせてスタジオの予約を入れ、今後について話し合いを始めた。
「湊さん、他に決まっているメンバーは?」
「いいえ。まだ誰も。ベースとドラムのリズム隊、それにこのジャンルに重要なキーボードも。ショウにも探してもらっているけれど……」
そこで友希那が俺の顔を見る。他にいないのか、と金色の瞳が物語っている。
俺はその瞳から視線を逸らして左耳を触った。
「……一応、ベースは当たりを付けてる。けど、ドラムとキーボードはまだ」
「そう。私も探すけれど、頼むわ」
「私も力になれるかわかりませんが、探してみます」
友希那と氷川さんがそう言ってくれた。正直助かる。飛鳥と一緒に探しているが、どうもいまいちピンと来ないのだ。この人だと言える確証が。
三人であれこれバンドや曲について話し、俺は氷川さんの事を紗夜、と名前で呼ぶ事になり、紗夜は俺を紅宮くん、と呼ぶようになった。
さんがくんになっただけじゃないか、と文句を言ったら頬を赤くして、今まで男の子とここまで話した事がないので、だそうだ。通っている学校が花咲川女子学園という事から、俺も納得した。
話をしながらCiRCLEのカフェテラスに出ると、友希那の名を呼ぶ声が聴こえてきた。
「ゆ、ゆ、友希那だよりんりん……! ど、ど、どうしよう。ここで待ってたらもしかしたらって思ったら、本当に……!」
「あ……あこちゃん……わたし、もう……」
あれ、確かこの二人って……。
友希那のライブ前に来た二人だ、とわかった途端に頬が引き攣った。ライブハウスで見た、紫色に見える髪を両サイドに結った髪型の小柄な少女に長い黒髪が綺麗な大人しそうな少女。
「あのっ! あの……さっきの話って……本当ですかっ? 友希那……さん、バンド組むって」
「えぇ。その予定よ」
「……! あ、あの! あこっ、ずっと友希那さんのファンでした! ……だ……だからお願いっ! あこも入れてっ!」
あこ、と名乗る少女のその言葉で、俺は動転していた意識をなんとか切り替えた。
黒髪の子も驚きの表情を浮かべて小柄な少女を見ている。
「!? ……あこ……ちゃん……?」
「あこ、世界で二番目に上手いドラマーですっ! 一番はおねーちゃんなんですけど! だから……もし、一緒に組めたらっ」
ドラムか。こんな小柄な体型でドラムをやるなんて凄いな。しかも友希那に対してバンドに入れて欲しいなんて、それも凄いな。身長は俺より二十センチ以上も離れている、勇気ある彼女の行動に、おぉ、という視線を送る。
「遊びならよそでやって」
いいじゃないか、そう思った俺を裏切るように、友希那がバッサリ切った。
「私は二番であることを自慢するような人とは組まない。行くわよ、ショウ、紗夜」
「えぇ」
少女に見向きもせずに友希那と紗夜は去ろうとする。
「あ……」
それを見た少女が悲しそうに声を出して、二人を、友希那を見て目を伏せた。
せっかく自分から声掛けてきてくれたのに、あんまりじゃないか。それに、まだこの子の音を聴いていない。
「待てよ、友希那」
パシっ、と俺は友希那の手を掴んだ。
友希那と紗夜が俺の行動に目を見開く。
「俺達はまだ、この子の音を聴いていない。判断するのはそこからでもいいんじゃねぇの?」
「……言ったでしょう。二番を自慢するような人とは組まないって」
「現状、ドラムとキーボードを探すのは時間がかかる。ベースだって当たりはあるけど、決まっている訳でもない。コンテストの日まで刻一刻と迫っているのに、贅沢言ってらんないだろ」
友希那の手を離し、次に小柄な少女を見る。
「悪いけど、自己紹介してくれるかな。なんて呼べばいいかわからないし」
「あ、うん! あこは
ハキハキと元気よく自己紹介をしてくれる、宇田川あこさん……あこでいいか。
にしても、宇田川、って事はやっぱりそうか。凄く嫌だけど仕方ない。
「宇田川か。じゃあお姉ちゃんは
「っ! うん! おねーちゃんの事知ってるんだ!」
「あぁ、
「雨河さんからたまに聞いてる。巴の妹も凄いって事」
俺があこにそう言うとぱあ、と表情を明るくさせてわーい! と喜んだ。
さて、友希那もAfterglowについては少し知ってるし、これで説得しやすくなるな。そう思って振り返ると、ジトっとした目で見られた。
「ショウ、雨河さんにそう聞いていたなら何故私に紹介しないの?」
紹介していたならもっと早く練習出来たのに、とまで言われた。
やはりそこを突いてきた。俺が彼女に言わなかった最大の理由。なんとか避けたい。友希那にはこの理由を言いたくない。
「ちょっと色々立て込んでてな。とにかく、一度聴いてから判断してもいいと思う。聴いてもいないのに拒否するのはあんまりじゃないか?」
友希那と紗夜の目を順に見て訊く。紗夜は不満そうに眉をひそめているが何も言わない。おそらく友希那に任せようとしているのだろう。
対して友希那は少し目を閉じ、目を開けてあこを見つめた。
「……わかったわ。私も紗夜に歌を聴いてもらってバンドを組んだ以上、フェアじゃないわね。……あこ、って言ったわね。一度貴女の音を聴かせてもらう。都合のいい日をショウ経由で教えて。紗夜も、それでいいかしら」
「湊さんがいいのでしたら、私は構いません」
それじゃあ、と友希那と紗夜は帰っていった。
ふぅ、と軽く息を吐く。なんとかあこにチャンスを作ってあげられた。結構なゴリ押しだったし失敗に終わるかと思ったけど、そもそも友希那も紗夜に歌を聴いてもらったしそこを引っ張れば良かったな。
「あ、ありがとうございました!」
友希那達の後ろ姿が小さくなったのを確認し、あこが俺に頭を下げて来た。
「別にいいって。ただ俺は、あこの音も聴かずにあしらうなんてあんまりだ、って思っただけだし」
「それでも! ありがとうございました!」
「…………おう」
純粋な笑顔で言われ、思わず左耳に触れる。
「あの……少し……い、いいですか……?」
「ん?」
「あ……そ、その……何故さっきの、人に……あこちゃんが……ドラムやってるって、言わ……なかったんですか……?」
あこの隣の少女、あこはりんりんって言ってたな。その子が俺に、先程の会話の事を訊く。
友希那相手なら彼女の性格も知ってるし、少し罪悪感湧くけど誤魔化す事は出来る。しかし、ここまで突っ込まれた質問となると誤魔化す事が出来ない。
……言いたくないけど、言うしかないのか。
はぁ、と溜息をついた。
「君達二人……NFOっていうゲームやってるでしょ……?」
「「えっ?」」
「あこが、聖堕天使あこ姫だろ? んで、君がりんりん」
「「…………」」
「俺が、ジョーカーなんだよ。二人のフレンドの」
ガシガシと頭を掻いて言うと、二人がぽかんと口を開けて立ち尽くした。
軽蔑されたかな。女性だと思っていた人が実は男でしたー! なんて。俺のNFO生活終わったなぁ……。
内心そう涙していると、
「や、やっと会えたー! やっと! やっとだよりんりん!」
「うん……そう、だね……会いたいって……言ってたもん……ね」
「えっ?」
あこのキラキラとした眼を見て、今度は俺がぽかんと口を開ける。りんりんも怯えたような表情だったのが、少しだけ柔らかくなっている。
「あこ、本当にジョーカーさんに会いたかったんだー! いつもあこ達の事を手伝ってくれて、助けてくれたりしてくれてたし!」
「わたし……も、少し……怖かったけど……会いたいかな……って」
「実際会ってみてどうだ……? 女性だって思ってたろ?」
「確かに……そう思ってた時も、ありました……。けど、所々男性……なのかなって、思う時も……ありましたよ……?」
「あこはどっちなんだろ? ってわからなかったけど、実際に会ったみたらゲームの時と変わらないなって思ったよ! 友希那さんに説得してくれたし!」
嘘だろ……。絶対軽蔑されるって思ってたのに、そうでもなかった……?
なんか、良かったのか良くないのか、どちらかわからない。少なくともりんりんにはバレかけていた訳だし。
「それじゃあ、改めて! 聖堕天使あこ姫、宇田川あこです!」
「りんりんの名前で……やってます。
あこ、りんりん──燐子が笑顔で自己紹介する。
俺は今まで必死に隠してたのが馬鹿馬鹿しく思い、思わず吹き出してしまった。
「……ははっ、もっと早くオフ会に参加してたら良かったな。ジョーカーこと、紅宮将吾だ。大体の人はショウって呼ぶかな。それと、あこは巴と雨河さんもそうだけど、リサから聞いてる。ダンス部なんだってな」
「リサ姉の事も知ってるの!?」
「あこが、あこ姫だって知ったのはリサからなんだよ。だから、さっきの話になるけど、あこがドラムやってるって言ったら避けてる意味が無いからさ」
「……そういう……事……だったんだ」
なるほど、と燐子が頷く。
すると、あこがじゃあ! と声を上げた。
「じゃあじゃあ! あこ、ショウ兄って呼ぶ! リサ姉とも知り合いだし、なんだかリサ姉みたいな感じする!」
「リサみたいな、ってなんなんだ……」
そう言うと、彼女はうーん、と唸って雰囲気? と首を傾げながら言った。自分でも感覚的なものらしい。
「わたし……は、ショウくんで……いいかな……?」
「あぁ。よろしく、あこ、燐子」
二人と握手をし、俺は無事にたった二人のフレンドを失わずに済んだ。
こんな事なら、早く二人に会いたかった。その事で少し、俺は後悔した。
♪ ♭ ♪ ♭
あこと燐子と連絡先を交換し、メッセージアプリの方に『NFO! 』というグループチャットが追加された。
そろそろ帰るか、と言ったところで、ライブハウスの出入口付近でキョロキョロと周りを確認している人物を発見した。
その人物の影が見覚えのあるものだったので、辺りが暗くなってきいるので少し目を凝らして見る。
「あ……」
「……ん?」
俺を見たのか、その人物は慌てたようにライブハウスに引っ込んだ。
「ショウ兄どうしたの?」
「誰か……いた……?」
「いや、なんか見覚えのある人影が……」
言いながらライブハウスの中に入る。すると、わわっ、と慌てて物陰に隠れようとするギャルがいた。
「……なにコソコソしてんの? リサ」
「あれ? リサ姉じゃん!」
呆れ気味にそのギャル──今井リサに言うと、彼女は頭に手を当ててあはは、と困ったように笑う。
「い、いやー、そのー、なんと言うか……」
「友希那にバンドメンバーが集まるかもってなったから気になったか?」
「……はい」
「全く、それならそうと二人で話した時に言ってくれれば良かったのに……」
「だ、だって……」
「あ?」
「ごめんなさい」
恥ずかしいのはわからなくもないけど、何もコソコソしなくてもいいだろうに。
しゅん、と縮こまるリサの頭を乱暴に撫で回す。
「ちょ、ちょっと……! 髪崩れるよ!」
「何も心配する事ないよ。無事にギターは集まったし、友希那とも気が合うはず。それに、あこがバンドに入りたいって自分で言ってきたし」
な? とあこに言うと元気一杯にうん! と返事が返ってきた。
リサから手を離すと彼女は複雑そうな顔で髪を直す。
「友希那がバンドを組めるのは幼馴染として嬉しいけど……なんか複雑……」
「アタシの友希那がーって?」
「だって、友希那だよ? 言葉足らずな時だってあるし、アタシとしてはちょっと心配で……」
……まぁ、そうなるよな。家族以外で一番近くで友希那を見ていた訳だし、心配はもちろんするよな。
いっちょ、ここで言ってしまおう。
「そんなに心配なら、見守るんじゃなくて、自分で支えてみたらどうだ?」
「自分で支える……」
「言ってただろ? 友希那には辛い思いをさせたくないって。だったら、リサがそうさせないようにするんだよ」
「そ、そんなのどうやって……」
困惑するリサに、俺は一拍置いてから彼女の目を見つめて口を開く。
「リサが友希那のバンドに入って、ベースを弾くんだよ」
あこと燐子を堂々と出せて良かった……。これでRoseliaメンバー全員出せたよ……もう満足……………………しない!!!! まだ書くから安心してください。
NFO早く書きたいな。その時は戦闘描写書きまくりたい。