赤いベーシストはバンドもしたいけど恋もしたい!   作:倉崎あるちゅ

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今までストライク・ザ・ブラッド等々を書いてた倉崎です。初めましての方も初めましてじゃない方も、よろしくお願いします!

では! どうぞ!


一章 出会い
一曲 人は見かけによらぬもの


 高校に入学してしばらく経ったある日。

 俺──紅宮(あかみや)将吾(しょうご)は趣味の読書のため、ショッピングモールにある本屋に赴いていた。

 前回読んだものが伝記物だったから今回は恋愛物に手を出してみようかな。

 そう思い、恋愛小説が多く並べられている本棚に向い、良さそうなのを探す。

 伝記物やミステリー、ホラー、ライトノベルは読んできたけど恋愛物は初めてだな。慣れるためにラノベみたいな恋愛物を探すか。

 しばらくの間探していると、表紙に可愛らしいイラストが描かれた小説が、他の小説と一緒に積み上げられていた。

 運のいい事に現在出されているのがこの一冊だ。人気なのだろう。

 その一冊を手に取ろうとした瞬間──

 

「「──っ!?」」

 

 自分の手と自分のではない、ほっそりした白磁のように白く、可愛らしいネイルが施された手が触れ合ってしまった。

 急な事に驚いた俺は手を引っ込め、反射でその人物を見やる。

 容姿は先程のネイルである程度察していたが、予想通りのギャルだった。

 染めているのかどうかはわからないウェーブがかかった茶色の長髪。それを頭の高い位置で結った髪型をした、どことなく猫のような少女だ。

 彼女も驚いたのか目を見開いて固まっている。

 いち早く硬直から回復した俺は、取ろうとしていた本を再び手を伸ばしてそれを少女に差し出す。

 

「はい」

「……え、えっと?」

 

 俺の行動の意味がわからなかったのか、彼女は目を瞬かせる。小首を傾げるのがあざとくなく、可愛らしく見える。

 

「これ、取ろうとしたんだよな? どうぞ」

「え、えっと……い、いいんですか?」

 

 戸惑いつつそう訊いてくる。派手な見た目に反して、存外礼儀正しいようだ。

 

「あぁ。ラノベみたいだなって思って取ろうとしただけだから」

 

 はい、と言って少女の手に小説を握らせる。

 

「え、えぇっと……。ありがとう、ございます……?」

 

 まだ戸惑っているのか、感謝の言葉が疑問形になっている。

 そうだ、少し思い付いた。

 この人他にも恋愛小説読んでそうだし何か良い本がないか訊いてみよう。

 

「俺さ、恋愛小説ってあまり読まないんだけど何か良いのあるかな?」

 

 すると、彼女は少し驚いたように目を開いた。

 

「恋愛小説読むんですか?」

「恋愛物だけじゃないけど……他には伝記物や神話物、あとはラノベとかかな」

「へぇ、そうなんですね。……ちょっと意外かも」

 

 最後は小さく言ったつもりだろう。しかし残念、俺は生まれつき耳が良い。バッチリ聞こえている。

 まぁ、外見だけ見れば俺が本を読んでるだなんて意外だろう。

 如何にも人を殺しそうな目付きの悪い眼。片耳だけ付けたピアス。適当なシャツの上から着た黒のテーラードジャケットに黒のスキニーパンツ。これでギターケースやらキーボードケース背負ってたら何処かのバンドメンバーだ。

 

「ええっと……これ、シリーズ物で三巻目なんですよ。なので一巻目のこれどうですか?」

 

 そう言って少女は俺に一巻目らしき小説を手渡した。

 表紙を見れば似たタッチで描かれたイラストが表紙を飾っている。

 なるほど、俺はシリーズ物の途中から手を出そうとしていたのか。あぶねぇな。

 

「あー、シリーズ物だったのか」

「結構内容良いんでオススメですよー! アタシなんて何度も読み直しちゃうくらいだし♪」

 

 好きなのだろう。さっきまで戸惑っていたにも関わらず機嫌良く話している。

 

「へぇ、そこまでオススメされたら買うしかないな」

「その方がいいですよ!」

 

 そう言う彼女は微笑む。

 この人って見た目派手だけど、見かけによらずしっかりしてて礼儀正しいんだな。人は見かけによらぬもの、とはよく言ったものだ。

 すると少女は思い出したように、そういえば、と口を開いた。

 

「さっき言ってたラノベって何ですか?」

「ん? ラノベ? ラノベってのはライトノベルの略称で、これみたいにアニメ調のイラストを用いた小説の総称だよ」

 

 手にしていた恋愛小説の表紙を指し、軽く説明をする。

 

「……恋愛小説みたいなのってあります?」

「んー、恋愛小説がどんな形式をとってるかは解らないけど、大体は複数の女子が一人の男子に恋をするというのが多いかな? まぁ、必ずしもそうとは限らないけど」

 

 大半はハーレム系が占める。さもそれが王道だ、とでも言いたげだ。

 しかし、俺はそうは思わない。読者の数だけ王道がある。これが王道だと思えばそれは王道となる。俺はそう思っている。

 少し脱線したが、俺が以前読んでいた、一途なラブコメを描いた作品があったはずだ。人気もあり、少し有名になったからそれを勧めるとしよう。

 そう思った俺は早速話しをしようと口を開いた時に、彼女が手首に着けていた可愛らしい腕時計を見て、ギョッと目を剥いた。

 

「あっ! ご、ごめんなさい! アタシ、バイトあったのすっかり忘れてた!」

「じゃあ、早く行かなきゃな」

「走って行ったら間に合うかも! それじゃあ、また今度会ったらラノベの事、教えて下さいねー☆」

「リョーカイ。……気を付けて」

 

 俺の最後に紡いだ小さな言葉が届いたのか、去り際にこちらを向いてパチリとウインクをし、パタパタとレジに走っていった。

 

「さって……。別の本も見ておこうかな?」

 

 そう独り言ちり、俺は別の本棚へ足を向けた。

 

 

 

 ♪ ♭ ♪ ♭

 

 

 

 タッタッタッ、と軽快な音を立て、少女──今井(いまい)リサはバイト先であるコンビニへ走って向かっていた。

 ウェーブのかかった長い栗色の髪を靡かせ、彼女は先程出会った少年を思い出す。

 

──さっきの人、アタシとそんなに歳が変わらない感じだけど、あの見た目で読書するのってなんか意外かも。

 

 黒のテーラードジャケットを羽織った、薔薇色の石──ロードナイトのピアスを身に付けた少年。

 最初、切れ長の眼で見られた時は少し冷や汗を流したリサだったが、話してみると案外優しく、最後には去り際に気を付けて、と言ってくれた。

 

──少し面白そうだったなぁ♪ 今度会えたらラノベについて教えてもらおーっと!

 

 無事にバイト先へ着き、遅刻も無く、彼女はバイトに精を出した。




読んで下さりありがとうございます。

今までSF系、ファンタジー要素のある戦闘物ばかり書いてきましたが、今回、初めて純粋なラブコメ物を書いてみました。
拙いところが目立ちますが、どうか暖かい目で見てくださいm(_ _)m
本当は5月13日に投稿したかったのですが、完成しなかったのでこの日にちになりました。ほぼ一週間ですね。

さて、タイトルでお分かりの通り、ヒロインはリサを置いてます。
元々私自身がリサが好きだっていうこともあるんですが、声優の遠藤ゆりかさんがご引退されるという事もあり、さらに好きになってしまって書いた次第です。
今日発表された一章の動画を見て、涙ぐんでしまいました( ^ω^ ) 何せ、もうストーリーでゆりしぃの声が聞けないんですから。
まさか、思い出の方も差し替えとは驚きましたけど。
中島由貴さんのリサも若干幼くなった感じで好きですけどねw

今回の引退の件があり、ますますリサやRoseliaが好きになったので筆を取りました。他の小説同様、不定期になりそうな感じはしますが、仕事も安定してきたので大丈夫!(と思います)

では! 長文失礼しました。また次回にお会いしましょう!
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