赤いベーシストはバンドもしたいけど恋もしたい! 作:倉崎あるちゅ
文頭に空白入れてなかったのが辛い。平成最後に投稿した意味が無い……。
「じゃ、そういう感じで」
「「「「ありがとうございました!」」」」
滞りなく打ち合わせを終え、Glitter*Greenのメンバーはばあさんに頭を下げる。
「本番、よろしくお願いします」
七菜さんがそう言うと、ばあさんは頼もしく頷いた。
まだライブをした事がない香澄はリハーサルを終えて凄いと感じたのかパチパチと拍手する。
すると、フロアの扉が開いて見慣れた女の子達が中に入ってきた。
「Roseliaです」
「よろしくお願いします」
入ってきたのはRoseliaのメンバー。紗夜の挨拶を皮切りに五人とも頭を下げた。
五人を見た途端、Glitter*Greenのドラム担当の
「Roseliaちゃーん!」
「ハウス!」
飛びかかる寸前にリィさんがひなこさんを言葉で抑えた。ひなこさんはすぐにUターンしてリィさんの下へ戻った。
「よっ、皆」
「あー! ショウ兄! 先に来てたの!?」
「あぁ、諸事情でな。で、この五人と開店準備してた」
駆け寄ってくるあこの頭を撫で、顔を後ろに向けてポピパのメンバー達を紹介する。すると香澄が出てきてポピパです、と大きな声で自己紹介をした。
そんな香澄を友希那は値踏みするように数秒見つめる。
「よろしく」
「よろしくー♪」
小さく、確かな声で友希那は香澄を見て言葉を紡いだ。リサも続いて軽く手を挙げて明るく挨拶をする。
その後、リハーサルをするためにRoseliaのメンバー達はそれぞれ準備をし始めた。Glitter*Greenが前にリハーサルをしていたため、機材の準備は不要だ。
「有咲、燐子もキーボード凄いから見てるといいぞ」
「別に私は……!」
気にしてねーし、と有咲は頬を染めて小さく呟く。こんな事を言う彼女だがその視線は燐子の方を向いている。
素直じゃないなこいつは。
素直じゃない有咲を見て笑うと凄いジト目で睨まれた。
「わ、笑わないで下さいよ!」
「悪い悪い、面白くて」
「面白くねー!」
「あんた達、騒ぐならどっか行きな」
「「すみませんでした」」
騒ぎすぎたせいでばあさんに怒られてしまった。ばあさんに向けて苦笑いを浮かべていると隣の有咲にド突かれた。
「紅宮先輩のせいで怒られたじゃないですか!」
「えー、俺のせいなの?」
「アンタのせいでしょ!?」
有咲とそんな会話をしていると、ばあさんがこちらを睨む。
俺は肩を竦めて口を閉じる事にする。これ以上ばあさんを怒らすのは行けない気がした。
「むぅ……」
「ごめんって有咲。あとでジュース奢ってやるから」
「……いいですけど」
ありがとな、と有咲の頭に手を置く。やめろ! って顔を真っ赤にして退かされたけど。
♪ ♭ ♪ ♭
なに、なんなの。なんでアタシこんなイライラしてるんだろ。
ライブまで時間があるから、緊張を解消するためにショウの家でちょっと練習してから行こうと思って連絡したら用事があるからって断られた。
ライブハウスに着いてもショウは来ないし、仕方ないから中に入ったら知らない子達と楽しげに話すショウがいるし。
今だってアタシ達Roseliaがリハの準備してる最中に金髪の子とあんなに楽しそうに話してるし。
「ありがとな」
「やめろ!」
ははっ、と笑って金髪の子の頭に手を置くショウ。そんなショウの手を顔を真っ赤にして払う子を見て、アタシは変な気持ちになる。
ジリジリと焦らされてるみたいでどうしたらいいかわからない。
「──い、──サ?」
周りの音もあまり聞こえない。ベースのネックを持つ手にも力が入らない。
「リサー? 大丈夫か?」
「えっ?」
急に肩に手を置かれ、下に向けていた視線を上げるとショウの顔が近くにあった。
意外と長いまつ毛。怖く見られやすい切れ長の眼。整ったその顔が近くにあって、頬が熱を帯びる。しかもふわりと、ショウの服のさり気ない柔軟剤の匂いか香ってくる。
アタシが使ってる柔軟剤と同じ匂い。
柔軟剤が切れたってこの前言ってて、一緒に買い物してる時に同じやつにしてみようかなって言ってたやつだ。
きゅぅ、と胸が苦しくなる。
「な、なんでもない、なんでもないよー!」
アタシがそう言うとショウは、そうか、と言って不思議そうな顔をして壁際に戻って行った。
心配してくれてたみたいで少し嬉しい。
オーナーさんがPAをしてくれて、みんなそれぞれ音を出していく。アタシもベースの弦をピックで弾いて音を鳴らす。
最後にLOUDERを軽く流して、リハーサルは終わり。
オーナーさんと細かい打ち合わせをしている最中、横目でショウがポピパの子達に指示を出して最終チェックをしているのを見た。ふいにショウがこちらを向いて目が合いそうだったから慌てて目を逸らす。
今はライブに集中しなきゃ。失敗なんてしたくないもんね。
打ち合わせが終わったあと、紗夜がアタシのところにやってきた。
「今井さん。さっきぼーっとしてたみたいでしたが、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫。なんともないよ。ありがと♪ 紗夜」
失敗できないんだからしっかりしないと。ショウの事は一旦置いておこう。
──でも、なんでアタシこんなのにも、まだ心臓がドキドキしてるんだろ。わかんないよ。
皆がフロアから出ていく中ただ一人立ち尽くし、アタシは思わず胸付近の服を、シワができる事を気にせずに握り締めた。
令和最初になっちゃった。
もっとリサには悩んで欲しい。
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