赤いベーシストはバンドもしたいけど恋もしたい!   作:倉崎あるちゅ

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お待たせしました。

五話分を一話にまとめようとすると約8000文字いく事になったので分割します。





六曲 恥ずかしい

 

 

 

 アタシ達はNFOっていうゲームで、あこが欲しいというアイテムを手に入れるためにネカフェにやってきた。

 空いてる席がオープン席が二席、リクライニングが二席、ペアシートが一席しかないみたいで、アタシ達のうち二人がペアシートに行くようだ。話し合いの結果、アタシとショウがペアシートになった。

 先に燐子と紗夜がリクライニング席に入って行った。

 ペアシートってリクライニング席が二個繋がった感じなのかな。

 ふとアタシはそう考える。すると、もうすぐそこにアタシとショウが入るブースが見えた。

 

「アタシの職業は楽しみにしてなよー、あこ☆」

「うん! それじゃまたあとでねー!」

「友希那、わからなかったらあこに訊くんだよー」

「大丈夫よ。それよりリサ」

「ん?」

 

 ブースに入る直前にちょいちょい、と友希那がアタシに手招きして呼ぶ。

 

「なに、友希那?」

 

 近くに寄ると、友希那は耳元に口を寄せてきた。

 少しくすぐったい。

 

「ショウとの関係を進展させる絶好のチャンスよ」

「へっ!?」

「それじゃ、応援してるわ」

 

 肩を軽く叩いて、友希那はあこと一緒にオープン席に向かっていった。

 しょ、ショウとの関係を……って。何言ってるの友希那ってば。

 アタシがそう思っていると、ブースの方からショウが声をかけてくる。

 

「リサー、入るぞ」

「ぁ……う、うんっ」

 

 不思議そうに首を傾げているショウを見て意識してしまい、少し頬が熱くなる。ショウのところまで歩くと片眉を上げて質問してきた。

 

「どうかした?」

「な、なんでもないよ〜」

 

 もしかしたら今アタシの頬は赤くなってるかもしれない。悟られないようにあはは、と笑った。

 そんなアタシを見て、ショウはふーん、と言う。

 

「体調悪かったら言えよ」

「うん」

 

 最初にショウがブースに入って奥の席に座る。アタシも入ろうとして入り口に立つとブースの内装が全部見えた。

 二人が並んで座れるソファに二つ並んだパソコン。リクライニングの席を二個繋げた感じかなって思っていたら、そんな事はなく、リクライニング席よりほんの少し広いブースに二人が座れるソファと二つのパソコンを並べただけのものだった。

 え、こんな狭いところでショウと二人きりなの……?

 

「何してんのリサ」

 

 入り口で立ち尽くしているとショウが声をかけてきた。

 

「えっ、あ、いやーなんか思ったより狭いなって」

「そう? これでも広い方だと思うけど」

 

 これでも広いの? 二人座ったら近くない? いや、でももともと恋人同士の人達とかが来るような席だし仕方ないのかな。なんか、ショウの隣に座るのが緊張してくる。

 いつもショウの家に行き、頻繁に隣に座っているのに今更緊張してしまう。アタシはショウの隣に座った。ショウとの距離はもう十数センチしかない。

 そのあと、パソコンの電源をつけてゲームのアップデートをしている間、アタシとショウはドリンクバーにジュースを取りに行った。

 アタシはオレンジジュースでショウはジンジャーエール。いつもコンビニでコーラを買っていくのに、今日は珍しくジンジャーエールにするみたい。

 ブースに戻るとゲームはアップデートが終わっていつでもできるようになっていた。すぐにゲームを始めてショウの指示通りにキャラメイクまでいく。

 結構キャラメイクが凝ることができて、うまくアタシに似たキャラを作れた。

 ……そうだ、こういう時に距離を縮めた方がいいのかな。

 

「……ねぇ、ショウ。アタシのキャラこんな感じでいいかな?」

「ん、あぁ。結構リサに似たやつ作れたな。凄いなこれ」

 

 ほんの少し、ショウの方へ体を近づけさせる。しかしショウはなにも反応せず、キャラについての感想しか言わない。

 これくらいじゃダメ、なんだ。これ以上とか恥ずかしいんですけど……!

 その後、あこと燐子、紗夜と友希那と合流してあこと燐子と話していると、友希那と紗夜が何も言わない事に疑問を持ったショウがチャットを飛ばす。

 

『ってか、紗夜と友希那さっきから黙ってるけど大丈夫か?』

『友希那ー、紗夜ー? エンターキー押してキーボードで打つんだよ?』

 

 アタシがそう言うと、まず最初に紗夜からチャットが来た。

 

『なるほど。こうしてチャットをするんですね。どうですか、湊さん』

『nnn』

『『『『『?』』』』』

 

 どうしたのかな友希那。nを三回続けるなんて。

 

『nihongo ga syaberenai』

 

 ぶっ、とアタシとショウは飲んでいたジュースをコップの中で吹いた。

 

『あこ、教えてあげてww』

『はーいw』

 

 あちゃー、普段パソコンなんて作曲の時にしか使わないもんねー。それはわからないか。あこに教えてもらってかな入力の切り替える事ができたみたいでよかった。

 くすくすとアタシは友希那の発言で笑い声を漏らす。

 

「はー、nihongo ga syaberenaiだって……! 笑っちゃうよ〜。ね、ショウ?」

「キーボード打つ時手が震えたくらいおもし──」

 

 二人して顔を向け合うと互いの顔が近く、見つめ合ってしまう。切れ長の綺麗で、吸い込まれそうになる翡翠色の瞳。優凪さん譲りの長いまつ毛。

 キャラメイクの時に近くに寄ってたの忘れてた……! 眼、逸らせない。

 ドクン、と鼓動する。

 さっき落ち着いたばかりだと言うのに、頬がまたしても熱を持ち始める。

 

「ぁ……」

 

 ぎゅぅ、と胸を締め付けられる感覚に襲われ、アタシはふいに声を小さく漏らした。

 

「な、なんか悪い」

「い、いや、アタシこそ……」

 

 うぅ〜、やっぱりここ狭いなぁ。

 嫌ではない。けれどドクン、ドクン、と鼓動する心臓の音をもし聴かれでもしたら恥ずかしい。

 アタシはこんなにもショウの事意識してるのに。ショウはアタシの事、意識してくれてるのかな。

 そう思っていると、アタシはいつの間にか自分の茶色の髪の毛先を弄んでいる事に気づいた。

 

 

 

 


♪ NFO 【アゼミチ村道】 ♪

 

 

 

 

 雨河さん達と少し喋り、燐子からこのゲーム、NFOの説明を受けてからアタシ達は村を出てロゴロ鉱山っていうところに向かっていた。

 その時に光っている草を見つけるとそれは薬草って言って、HP回復ポットになるらしい。

 そのやり方をショウに教えてもらうように燐子が言って、アタシはショウに教えてもらうためにショウの服の袖を引っ張った。

 

「ねぇねぇ、ショウ。取った薬草ってどーしたらいいの?」

「アイテム欄開いて、薬草を選択して」

「こう?」

「そ。そしたら薬草の欄の横に調合、って所があるんだけど……」

「えーっと……これ?」

「あ、それカーソルもう少し上にして。じゃないと捨てちゃうから」

 

 マウスを調合のところに合わせていると、どうやら今合わせているところだと捨てるところになるみたい。

 すると、横から手が伸びてマウスを使っているアタシの手をショウが握ってマウスを少し上に動かしてくれる。

 急な事で心臓が止まる勢いで胸が苦しくなった。

 

「ぁ……」

「ん? どうかした、リサ?」

「い、いやっ、その……」

 

 ダメだ。ショウに手を握られてるって思うとにやけてくる。抑えたくてもできない。

 見られたくなくて、アタシは口元に手を当てて顔を背ける。しかし、ショウはアタシの顔を覗き込んできて、あー、と申し訳なさそうに声を出す。

 

「その、ごめん」

 

 違う。別に手を握られるのが嫌だったわけじゃない。アタシはただ、にやけた顔を見られるのが恥ずかしくて……。

 

「なんでもない、なんでもないからっ。調合のところクリックしたらいい?」

「あぁ、それで回復ポット作れるから」

 

 そう言ってショウはアタシから離れた。もしかしたら誤解されてしまったかもしれない。

 などと思いながら調合していると、ショウから声をかけられた。

 

「ちょいちょいリサさん? 何してんの」

「え? 回復ポット作ってるんだけど……」

「なんで君、そんな作ってんの?」

 

 あ、いつの間にかこんなに作っちゃってた。

 考え事をしている間にアイテムを入れるスロットがいっぱいになっていた。アタシは考え事をしていた事を誤魔化すようにカラカラと笑う。

 

「えー? いっぱいあった方が良くない? ほら、ショウにもあげる!」

「えぇ……」

 

 ショウと燐子、あこに呆れられたような反応をもらったけど、アタシは気にせずに友希那と紗夜にもあまった回復ポットを譲った。

 

 

 

 

 





次の更新は一日置きます。

アンケートとります。よろしくお願いします。

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