赤いベーシストはバンドもしたいけど恋もしたい!   作:倉崎あるちゅ

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少し遅くなりました。
今回は、次回のお話をする上でのお話なので、つまらないと思いますがよろしくお願いしますm(_ _)m

あ、あと、ランキング20位ありがとうございました! 凄く嬉しかったです。また入れたら嬉しいです。

では、どうぞー!!

※脱字ありましたので修正しました。6月24日現。


五曲 可愛い

「……あちぃ」

 

涼しい涼しいライブハウスのロビーから家に帰る最中、俺は背負っているベースケースを背負い直して独りごちた。

季節は夏。

リサ達と知り合って早三ヶ月が経ち、あと少しで夏休みに突入と来た。

北海道の時より夏休みが長くて若干嬉しいが、それより暑過ぎる。

ちなみに、俺は小学四年あたりまでこちらに住んでいたが、高校に入るまでは北海道で過ごしていた。

北海道は夏も十分暑かったが、こちらは別の意味で暑い。湿気やら、都心部に行けばビルに反射する日光やら、酷いものだ。

スーパーに寄ってスポーツドリンク買って行くか。熱中症にでもなったら大変だし。

 

で、スーパーに来たわけだが……。

 

「なんだこれ……」

 

レジに並ぶ人達と、特売に汗を流しながら奪い合う主婦達。

そんな光景を見てズルっとベースケースの肩紐がズレた。

 

「うっひゃあ〜! 凄い人だねー」

「……私帰るわ」

「待ってったら友希那ー! クッキー食べないのー?」

「……仕方ないわね」

 

チラリと視界に映る、カゴを乗せたカートを押す栗色の髪の少女とそれについていく長い白髪の少女。

どう考えてもリサと友希那だった。

俺は二人に近付き、二人の視界に入るようにして声をかける。

 

「よっ、二人共」

「あ、ショウじゃん♪ ショウも買い物ー?」

「スポドリ買いにな。ただ、人が多くて……。そういう二人は何買いに来たんだ?」

「アタシ達は友希那がクッキーが食べたいーって言うからその材料を買いに来たんだー! ね、ゆーきなっ☆」

 

そう言ってリサは隣の友希那の腕をくんだ。

腕を組まれた友希那はうっすら頬を染めてプイッと顔を逸らす。

 

「あー、そういや言ってたよな。クッキー作れるって」

「昔から作ってるからねー! 自信あるよ♪」

「一度俺も食べてみたいもんだな」

「あ、じゃあ一緒に買い物しよ? ショウが好きな味も作ってあげる!」

 

友希那もいいでしょー? とリサが確認を取り、友希那もえぇ、と了承してくれた。

……そういえば、俺って女の子の手作りクッキーって初めてじゃね……?

 

 

 

♪ ♭ ♪ ♭

 

 

 

なんとか買い物を終わらせ、二人を引き連れて買い物袋を持って俺の家に来ていた。

 

「……おっきくない?」

「……大きいわね」

 

玄関に着くと二人して目をぱちくりさせて固まってしまった。

確かに俺の家は大きいが、それでも一般家庭の家に一部屋増設したくらいだぞ。

 

「突っ立ってないで中に入るぞー」

 

最初はリサの家でクッキー作りをする予定だったのだが、どうやらお客さんが来てたらしく、彼女の家に行けなくなったのだ。では友希那の家は、というと、リサがせっかくだしショウの家でやろー! と言い出したため言えずにここまで来たわけだ。

鍵を開けて中に入ると、電源がオンの状態のエアコンが元気よく冷たい息を吐いていた。

おかしいな、ちゃんと家を出る時にエアコンは消したはずなんだが。もしかして両親のどちらかが帰ってきてたのか。あの二人は結構ズボラだしやりかねない。

 

「お邪魔しまーす♪ あ、あれ? 外からは大きく見えたのに中は結構普通?」

「元々普通の一軒家を改装してから増設したからな。そりゃそうだろ」

 

靴を脱いで廊下を歩き、リサと友希那が物珍しそうに見回す。

すると、友希那が重そうな扉の前で立ち止まった。扉に付けられているプレートには『防音室』と書かれている。

 

「……防音室?」

「ん? あー、親もベース弾くからさ、それでそこを造ったんだ」

 

二人は異口同音になるほど、と言って先に歩く俺の後を追ってくる。

リビングに入ると、廊下よりも室温が低く、体が震え上がった。

 

「さっむ……。なんでこんな寒いんだ……って!? なんで15度!? 頭おかしいんじゃねーのうちの親!!」

「うひゃー! これは極寒だねぇ」

「確かに、これは寒過ぎね……」

 

三人共同じように手で腕をさすり、少しでも暖めようとする。

肩出しの、ハートの絵柄が入った半袖シャツを着るリサは勿論のこと、長袖の友希那がぷるぷるしている。

俺はすぐに壁に掛けてあるエアコンのリモコンを手に取り、温度を適温に設定した。

少し経てば室温も程よくなるだろう。

 

「さて、少し寒いけどクッキー作りの準備しようか」

「そうだねー! 調理器具の場所教えてよ♪」

「リョーカイ。……友希那は──」

 

言いかけて、言葉を紡ぐのをやめた。

何故なら彼女は若干目をキラキラさせながらソファに座っていたからだ。

なにそんな子供っぽい事してんだ。普段とギャップ凄いからやめてくれないか。

俺がそんなふうに思っていると、隣からふふっ、と小さな笑い声が聞こえた。

 

「友希那、料理出来ないんだー。ああやって待ってる姿、結構可愛いでしょ?」

「ギャップが凄くてやられそうだな」

「うちの友希那はやらないぞ♪」

 

俺がふざけて言うとリサもノリノリでおどける。

 

「大丈夫だ、見向きもされないさ」

「その時は慰めてあげよーか?」

「遠慮しとく」

「えー、なんで?」

 

実際、万が一そうなった時は俺が惨めだろ。リサに慰められるとか……あれ、なんか心地良さそう。

血迷った考えをしていると、足に何か擦り付けられるような感覚を覚えた。下を見るとそこには、右前足が靴下のように白い毛並みの小さな黒猫が、俺の足に擦り寄ってきていた。

 

「なんだ、上から降りてきてたのか」

 

そう言うとみゃぁ、と甘えるように鳴く。

 

「んん? わっ、猫だー! 可愛いなぁ」

 

鳴き声で疑問に思ったのか、リサが足元の黒猫を見て破顔した。抱っこしていー? と訊かれたので頷く。

 

「わー! もふもふで可愛い♪ ほら友希那も! すっごく可愛いよー!」

 

言いながらすりすりと頬擦りをする。リサもどことなく猫っぽいから、親猫が子猫を可愛がるようで微笑ましく見える。

友希那の方を見てみると、ソファから立ち上がってこちらに来てうずうずしていた。

 

「……可愛い

 

リサが抱く猫を見て、友希那が小さく、微かに聴これるか聴こえないかの声で呟いた。

 

「前足、靴下みたいで可愛いだろ」

「えぇ……そうね」

「ほら友希那も抱っこしなよ♪ 人懐っこくて可愛いからさ!」

 

頬に前足を置かれながら、リサが友希那に猫を抱かせようとする。

なにこの光景。写真撮りたい。

 

「ショウって猫飼ってたんだねー。名前はなんていうの?」

「つい最近だけどな、飼い始めたの。名前はナウってつけた」

「ナウちゃんかぁ♪」

「……にゃあ……何故その名前にしたの? 他にも色々つけられる名前もありそうだけれど」

 

小さく鳴き声の真似をして頬を緩めている友希那からそう訊かれ、俺はすぅ、と視線をリサに移して、すぐに逸らす。

 

「……直感だよ」

 

言いながら左耳に触れる。

 

「ふぅん……」

「……なんだよ、リサ」

「べつにー? 今度ちゃんと聞くからいいかなーって」

「何を聞くつもりなんだ……」

 

なんだかリサにバレかけてるけど、大丈夫だよな?不安に思う。バレたらすげー恥ずかしい。

何故ならナウの由来は、リサと再会したその後に公園で拾って来た事から来ている。

ナウが目を細めた時など、リサが笑う時の目元に少し似てるため、今井リサの『今』を英語にしてつけたのだ。

まぁ、目を細めた時にあ、リサに似てるなとピンと来たから直感と言えば直感なのかもしれん。

 

「友希那はナウの相手しててくれ。リサ、さっさと準備済ませよう」

「あ、クッキー作るんだったね、忘れてたや」

「今日のメインだぞ……」

「あはは、ごめんごめん☆」

 

 

 

♪ ♭ ♪ ♭

 

 

 

その後、クッキーを特に怪我もなく作り終え、三人でコーヒーや紅茶を飲みながら談笑していた。勿論、クッキーは今まで食べたクッキーの中でダントツに美味しかった。それと、友希那が苦いものが苦手というのがわかった。クールな雰囲気のわりに舌はお子様らしい。バレたら殴られそうだな。

そんな彼女はさっきから話しかけても、ナウを抱いたまま上の空。談笑と言っても俺とリサが話しているだけだ。

 

「でさ、雨河さんの後輩の娘──青葉(あおば)モカっていうんだけどさ、その娘がもうもう雨河さんの性格とそっくりで! 雨河さんだけでも苦労するのに、その娘まで追加されちゃって大変だったよ〜」

「俺達の一個下だから、中三か。もしかしたら来年はそのモカって娘もバイトし始めるかもな」

「……その時はショウも来ようか」

「……CiRCLEだけで手一杯だ」

 

頼むよ〜、と懇願されるが断る。あの雨河さんの後輩の相手なんて想像するだけで疲れる。

 

「お願いだから! このとーり!」

「そんな上目遣いで見てもダメ! やらねぇからな!」

 

そんなふうに騒がしく談笑していると、唐突にリサが、あ、と声を上げた。

 

「そういえばさ、ショウって夏休みの予定何かある?」

「無いな。バイトも人手が足りてるみたいで休みにされたし」

「良かった〜! いやぁ、友希那のお父さんから良かったら友達と一緒に、ってこれ渡されちゃってさー?」

 

これ、と言って四枚の、デザインは違うが見慣れた紙切れ──チケットを見せられ、一緒に行かない? と言われた。

 

「へぇ……。あ、これ今人気のバンドじゃん。良いのか、俺なんか誘って。女子の友達を誘えばいいのに」

「私がショウを誘おうと思ったからよ。一緒に行くなら知ってる貴方を誘った方が気が楽だもの」

「そういう事! 会場は新しく出来たビーチでやるみたいでね、足は用意してあるから安心して♪」

「あー、つい最近出来た所か」

 

と言っても、距離はとても高校生が行ける距離ではない。足がある、という事は車で行くのか。誰が運転するのだろう。

……海か。水着用意しておこう。

 

──リサと友希那の水着なんて期待してないからな。……期待してないからな。




さてさて、次のお話は私としても楽しみにしてた回です。プロットはもう既に出来てて、多少書いてありますので投稿するのが楽しみです。

あと、小説と関係ないですが、Roseliaの新曲「R」のBlu-ray付き、予約できました。7月25日が楽しみでなりません。ライブ映像がONENESSというのもありますね。
もう一個、紅宮くんのイラストがあと少しで出来そうです。出来ましたら、挿絵にしておきます。

では、次回にお会いしましょー!
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