12話目を投稿させて頂きます。
提督やっていたのでまたも遅れました。何度も申し訳ないです。
可奈美達の変装はアニメ本編14話に出て来た真希さんのフード姿みたいなものだと思っていただければ幸いです。
男の娘キャラのネタも結構好きなので、こういう男の娘が主人公のゲーム作ってくれないかなとか思います。
あと、優くんが一般人でも出来る刀使の倒し方を実演してくれるそうです。(やっと、オリ主を活躍させられる。ワーイ。)
援軍を待つこと数分、バラクラバを被り、野戦服とチェストリグ、銃を所持し完全武装した男達が現れ、可奈美と姫和は御刀を構える。
「待て待て、俺達だよ。」
その男達は、ロークとトーマスの二人と他四名であった。
「えっと、ロークとトーマスさんですよね?何しに来たんですか?」
「まあ、エレンの救助作戦の援軍に来たと言えば解るかな。」
「……なあ、援軍はこれだけか?」
見たところ六名しか居ないことに、憮然とした顔で薫を睨む姫和。
「仕方ねえだろ、一線級の部隊は直ぐこれねぇんだし、どうにかするしかねぇよ。」
「……まあ、言いたいことは色々あるだろうが、エレンは幹部の娘でな助けにゃならん、可奈美と姫和、薫はこの黒いコートを着てくれ、優はちょっとこっち来てくれ。」
トーマスは手招きして優を呼ぶ。
「うん、分かった。」
「ちょっ、ちょっと、優ちゃんに何をさせる気ですか?」
トーマスが、優を戦闘に参加させようとしているのではないかと思い、抗議する可奈美。しかし、
「……可奈美、少し話しがある。」
「?」
トーマスは可奈美に少し耳打ちすると、可奈美は一瞬で青ざめた顔になり、呆然としていた。それに気付いた姫和は可奈美に近寄る。
「おい、どうした可奈美、良いのか?」
「……どうすることも出来ないよ、あまり反対すると、優ちゃんの正体が皆にバレちゃう。」
可奈美はトーマスに協力しなければ弟の正体をバラすと脅され、従わざるを得なかった。そして、可奈美はこのとき思った、優の正体を隠すためには舞草に協力し紫を倒さなければならないことに。
そうして、可奈美と姫和、薫の三人は黒いコートにフードを被ったあと、御刀も刀身と柄といった部位意外は灰色のテープを巻いて変装をしていた。
「なあローク。爺さんはあの子をどうする気だ?」
薫は、まだ優と話し合っているトーマスは何をしているのか、ロークに訊ねていた。
「……トーマスは、親衛隊と特別機動隊を出し抜いてエレンの居る場所を見つけて欲しいって、言っているんだと思うよ。」
「……つまり、あいつに偵察させるってことか?」
「まあね。」
「そうか、ねね、あいつの護衛を頼んだぞ。」
薫はねねに、捕まらないように優の護衛として付けようとしていた。それを聞いたねねは優の元に近寄って行った。
「あれ?ねねちゃんも一緒に行くんだ。」
優にそう言われ、「ねー。」と胸を張るねね。優はねねと一緒に行けることに喜んでいるようでもあった。
「…薫ちゃん、ありがとう。」
「別に、こっちこそ巻き込んで悪いしな。」
顔を綻ばせながら感謝の言葉を口にする可奈美とそれをぶっきらぼうに返す薫。
「薫こっち来てくれ。」
トーマスに呼ばれ、薫は何事かと思い向かう。
「優にこの制服を着せてやれ。」
そう言われ見てみると、一体何処から入手したのか鎌府女学院の制服を渡されていた。
「……おい爺、そんな趣味があんのか?」
「違う、敵地に行かせる以上、変装しなければならんからな。」
薫に疑いの目を向けられ、否定するトーマス。理由は他にもあるが……。
「何で俺なんだよ。」
「女物の服はどうすれば良いか分からん。だから、お前に頼んでいる。」
トーマスにそう言われた薫は9歳の子供に女装させるのは流石に気が引けるため、共犯もとい援軍を呼ぶことにした。
「…そうかよ、お~い、ヒンヌー娘手伝ってくれ。」
「おい、誰がヒンヌー娘だ!」
薫にヒンヌー娘と言われ、怒りの声を上げる。
「いや、手伝って欲しいことがあってな、こいつをこの制服に着替えさせるのを手伝ってくれ。」
薫が姫和を選んだ理由は、可奈美だと怒られそうな気がしたからである。
「なっ、何!?」
アレ?何でこんな反応してんだコイツ、とか思ったが薫は特に気にしなかった。
「おお、そうだトーマス爺がやれって言うから困ってたんだ。」
「あ、ああ良いぞ。それくらいなら容易いことだ。」
姫和はそう言うと、優の上着、ズボンを脱がせ、トランクスと白いYシャツ姿になった優の姿を見つめたあと、鎌府女学院の制服を着せることに成功した。そこには、小さい頃のサイドテールの無い可奈美に鎌府の制服を着せるとこういう姿だろうと思えるような格好をした優が居た。
「どうかな?似合う?」
「あっ、ああ、似合うぞ。」
優は見せびらかせるように、スカートをフリフリさせて薫と姫和に見せていた。そのことに、姫和は何処か嬉しそうだったことに薫が気付かない訳が無かった。
(あっ、こいつそういう奴か。)
そう思った薫はふざけることにした。
「いやいや、メイクも施さなきゃダメだろう。」
そうして、どこから出してきたのかメイク道具を取り出し、優にメイクをした。
「口紅は濃い色は似合わねぇから、薄い色にして……目もパッチリにアイメイクをして……肌もスキンケアしないとな。」
「おお、可愛らしく仕上げていくな。」
段々と可愛らしさが上がる優に感動していた姫和は、薫に賞賛の声を上げる。その言葉を受け、薫は俄然やる気になっていった。
「へっへっへっ、こういうことは好きだぜ俺。」
メイクが完成し、優は元々可愛らしい子であったが更に自分達の手で可愛らしく仕上がったと思ってしまった姫和と薫。
「凄いな、お前のことを尊敬するぞ。」
「へへ、照れ臭えや。」
姫和に賞賛され、少し嬉しそうにする薫。9歳の男の子を上手くメイクしたということに喜ぶべきことかと思うが……。
「だが、ツインテールにするのはどうだろうか、似合うと思うのだが?」
「何!?髪型を変えるということは考えてなかった。そうだな、顔も可奈美と似てるし似合うかも知れん、……お前、天才かっ!?」
「フッ、それ程でもない。」
早速、姫和は白いリボンでツインテールにして結んでいく。
「これでどうだ?」
「ああ、完璧だな。俺達って天才じゃね?」
「そうかも知れんな。」
互いに互いを賞賛し合う薫と姫和。このときばかりは凄く仲が良さそうであった。
「ねえねえ、似合う似合う?」
「ああ、すごく似合っているぞ。」
「お前の姉も大喜びだぜ、きっと。」
薫と姫和は好き勝手なことを言っては大喜びし、自分達は最高の仕事をしたと思い込んでいた。そして、誰かに背中を叩かれ現実に戻されるまでは――――――。
「んっ?誰だ今良い……とこ……ろ……。」
「おい、どうしたヒヨ……ヨ……ン……。」
振り向くとそこには笑顔だが、恐ろしいオーラを放つ可奈美が居た。
「ねえ、何しているのかな?」
「あっ、えっと……その。」
「いや、なんていうか……。」
薫と姫和はとたんに居た堪れない気持ちになっていた。そんなことをしている場合では無いと思い出したからだが……。
その後は、ロークの取り成しにより可奈美の怒りは収まり、優に施されたツインテールは無くなり、メイクは完全に落とすことになってしまった。
とある野営テントの一室、真希と椅子に両手足を縛られたエレンが居た。
「ゲホッ!ゲホッ!!」
「……少しは何か思い出せたか?」
「……何の話なのかサッパリ。」
エレンは真希に過激な“尋問”を受けていた。
「舞草は人と荒魂の融合の実験に成功したのか?」
「貴女方のようなことは一切していまセンガ?」
「嘘を吐くな!昨夜は荒魂が中にいる9歳の子供と出合ったぞ、それはどう説明する?」
エレンの頭を掴み、顔を近付けさせた真希はそう恫喝する。
「……貴女達と一緒にしないでクダサイ。」
「まだ、そんなことを言うのか?…それはそうだ、お前達は刀使のあるべき姿だとか言っているが、本性は子供に荒魂を入れて兵隊にする過激なテロリストみたいな集団だからな。」
「……今の貴女達のことでは無クテ?」
それを聞いた真希は、親衛隊の仲間を侮辱されたと思い、エレンに容赦なく殴りつける。
「黙れ、皆確固たる信念を持っている。…理解出来んだろうがな。」
真希はそれだけ言うと、医療用ステンレス容器から一本の注射針を取る。
「!……そ、それで何をするつもりデス?」
「安心しろ、メスカリンだ。」
そして、エレンは両手足を椅子に縛られているため、ろくな抵抗もできずにクスリを打たれてしまう。
「なっ、ナンデスカコレ……?」
「今さっき打ったやつは自白剤にも使われてた物でな、意識が朦朧としてきただろう?少し静かにしていろ。」
真希にそう言われたエレンは、言われた通り、意識が朦朧としてきたが、何故だか多幸感と気分のよい浮遊感を感じていた。その後、酩酊状態に近いエレンは真希に黒い袋を頭に被られる。
「貴女という人は、限度というものを知らないんですの?」
「……何の用だ?」
寿々花が来た時には、真希と椅子に両手足を縛られ黒い袋を頭に被らされたエレンが居た。そのうえ、エレンはところどころに殴られた跡があった。
「そこまでやる必要があるとは思えませんが?」
「口を割らないからさ、そうすれば痛い思いをせずに済んだだろう。」
「クスリも使ったんでしょう?」
「……ここまで強情ならこのエセ外人を本部に送った方が良いだろう。そうすれば、時間と物は幾らでもある。」
「……つまり、お仲間が此方に来ると?」
「援軍が来る前にここを撤収しようと思う。自白剤を使った理由はこのエセ外人をあいつらの荷物にするためさ。」
つまり、真希の考えはこうであった。今頃、可奈美達四人は薫当たりが舞草本部から援軍を呼び、エレンの救出作戦を実行するところだろうと踏んでいた。そのため、その援軍が来る前に早期に本部まで撤収しようとしていた。当然、その動きは察知され、エレンの救出に向かい奪還されることも考えられるので、真希はエレンに自白剤で意識を朦朧とさせ、エレンの戦闘能力と思考を奪い逃亡を阻止し、尚且つ可奈美達の誰かにエレンを担がせ移動速度を落としたうえ、エレンを庇うように戦わせれば上手く行けば全員捕縛することが可能かも知れないと思い、エレンに自白剤を投与していたのだった。
「こんなところに何時までも居て舞草の援軍がやって来て、血の池になるよりマシさ。……あと、寿々花、ここにSTTの男性隊員は立ち入らないようにしてくれ。」
「了解しましたわ。」
だが、真希はこのとき気付いていない、少数だが援軍が既に到着していて、エレン救出作戦を練っていることに。
そして真希は、国家公務員の一員として問題のある尋問を遠くから見ていた者が、寿々花意外に二人居ることに気付いていなかった。ソフィアと静である。
「……なあ、静、あんなので口を割ると思うか?」
「無理でしょ、ただ殴っているだけとか、まるで青春漫画の一ページみたいだぁ。としか思えませんけど?」
「……お前なら、どうする?」
「そーですねぇ、せっかく縛っているんですから。……立った姿勢のまま、大音量の音楽か録音した彼女自身の悲鳴を何日間も聞かせて楽しませてあげたり、お外に出して鬼ごっこを何度もしてあげたり、犬と一緒にお散歩するのも良いと思いますよ。」
分かりやすく言うと、大音量の音で睡眠妨害して思考をまともに考えさせなくさせるか、悲鳴を聞かせて不安にさせたり、わざと逃がして何度も捕まえて逃亡の意志を無くさせたり、狭い個室で凶暴な犬をけしかけて捕虜を襲わせ怖がらせるところを見物するといった内容であった。
「どれもこれも、凄いことをやるな。」
「でしょ?これをやると反抗的な子も大人しくなって、素直になるんですよ?“しつけ”の素晴らしさ、理解できました。」
「ああ、本当にな。」
ソフィアも微笑みながら、静に返した。
その後、別の場所で昨日から仮野営地を監視していたスナイパーチームの『STTが撤収を始めている行動をしている。』という報告を受けたトーマス達は行動を開始する。そして、トーマスの作戦の説明を受けた可奈美と姫和と薫は位置に付き、優とねねは仮野営地に向かって行った。
「……おい、上手いこと行くのか、この作戦?」
トーマスの言っていた作戦はこうである。
フェーズ1、トーマスと可奈美達とは別に居るスナイパーチーム2名による、ドローンも使用しての監視をし、フェーズ3の可奈美達の突入を援護し誘導する。可能であれば写シを張る前の真希・寿々花の二人のどちらかを“無力化”(尚、写シは集中力が途切れたりした場合は強制的に解除されるということなので、胴体に当てることも“無力化”したとして考えても良い。)する。
フェーズ2、優とねねが仮野営地に偵察に向かい(この際、優は親衛隊に捕まっても良しとする。)、エレンの居場所を突き止める。
フェーズ3、ねねと合流した後、トーマス達の火力支援で親衛隊の何名かSTT隊員の多くを負傷させ、写シを張った可奈美達も突撃しやすくし、エレンを救出。可能であれば優の救出もする(例え救出に失敗しても、幾らなんでも子供相手に尋問せず、保護するだろうというトーマスの説明で薫は納得している。)。
フェーズ4、エレンの救出を確認した後、トーマス達も発煙弾と発煙手榴弾で煙幕を作り、可奈美達の森の中への撤退を援護しつつ撤退。
フェーズ5、そのまま、石廊崎まで走り、撤収を支援するチームの支援の元、迎えの“バス”に乗り撤収する。
以上が、トーマスの作戦である。(但し、可奈美達は知らないが、これは表向きの作戦である。)
「……大丈夫だよ、姫和ちゃん、優ちゃんは人を殺さないって誓ってくれたから。」
可奈美は石廊崎に向かう途中の道路で約束したことを思い出し、少し微笑みながら語っていた。
「……ああ、それは大丈夫さ。そして、必ず優を見捨てず助けよう。」
「俺もそれには賛成。」
姫和と薫はトーマスの“表向きの作戦”に逆らい、優が囚われたら必ず救出しようとしていた。9歳の子供を見捨てることはしたくないという理由だが。
エレンに殴られ、気絶していたフリをしていたSTT隊員は休憩をしていた。まだ、エレンに殴られた頭部が痛む、医務室に行くべきだったかと思っていたがそれほど酷くはないのでテントの裏で休憩していたが、突然後ろから物凄い力で引っ張られ、転倒してしまい、一瞬気を失ってしまう。
後ろに居たのは、鎌府女学院の制服を着ている“少女”だった。そして、その“少女”に首を物凄い力で絞められる。
STT隊員は「かはっ、」という声を出すのが精一杯だった。
可笑しい、STT隊員はそう思った。見たところ鎌府女学院の制服を着ているが、御刀を持っていない。御刀を持っていない刀使は普通の少女と変わらないハズなのは、エレンで証明されている。なのに、振りほどけないし、首を掴む手を離すことができない。それに、何か呟いているようだった。聞いてみると確かにそう言っていた。
「…殺さないように、…殺さないように。」
少し低いソプラノボイスでそう呟いているのが聞こえ、STT隊員はこの“少女”に不気味さを感じていた。そのため、恐怖に駆られたSTT隊員はこの“少女”の腹に殴打するが、効いていないのか、表情は眉一つ動かさず、無表情だった。そして、腹を殴った報復か顔を何度も殴られ、STT隊員は抵抗する意志を削がれ、気絶していった。
気絶する前にSTT隊員は思った、人を痛め付けるのに、なんら良心の呵責も無く、ただ流れ作業の様に遂行するこの“少女”は荒魂に化けた人間か悪魔ではないかと思った……。
そして、優は若干ビクついているねねのことを不思議に思いながら、そのねねの誘導の元、エレンの居るテント内に侵入。そこで優は痣だらけで両手足を縛られ、頭を黒い袋で被されたエレンを発見し、救助しようとするが。
「そこまでだ。」
何処からともなく、真希、寿々花、夜見の三名が現れ、囲まれる。
「降参してください。」
夜見が無表情で言う。
「抵抗するのは痛い目を見るだけですわよ?」
寿々花が抵抗は無意味だと言ってくる。
「……エレンおねーちゃんを傷付けたの?」
優は静かにそれだけ言って、親衛隊の3人に聞いてみた。
「ああ、僕がやった。君には手荒な……。」
マネはしないから、大人しくしてもらう。というセリフを言い終わる前に、発砲音が数回鳴り響く。
寿々花は優を見ると、優の履いているスカートに穴が三箇所空いていたことに気付く。つまり、優はスカートのポケットの中に拳銃を隠し持っていたのだ。
「ぐっ……うぅ……。」
優は真希に向けて銃弾を3発撃って、腹に当てていた。写シを張る前だったので、真希の腹部は赤く染まり、呻き声を上げていた。
優くんは女装させましたが、敵地に潜入する意外の理由は他にもあります。
あと、最後に出てきた拳銃は気絶させたSTT隊員から奪っています。9mmのP226です。