やはり俺がゴーストスイーパーの弟子になったのは間違っていた。 作:ローファイト
誤字脱字報告ありがとうございます。
タイトル名を変更しました。
ご意見を頂きありがとうございました。
GSが一番おおかったのですが、それをカタカナにしてみました。
よろしくお願いします。
修学旅行二日目は、ホテル近隣にある二条城の見学から始まる。
そして、バス移動で伏見稲荷神社だ。
ここはかなり場の霊気が濃い。
流石霊験あらたかな場所だ。
俺も少し油断すると、場に漂う霊気に酔いそうだ。
クラスの後ろの方で歩いていたのだが、海老名姫菜が俺を待ち構えていた。
「ヒキタニ(比企谷)くん、私の依頼聞いてくれる?」
「……奉仕部の部長は俺じゃない。あのつららのようにツンツンした部長に言ってくれ」
「じゃあ、ヒキタニくんにお願い!」
そう言って、海老名は俺にあれこれ訳がわからない説明をしだす。
男同士仲良くだとか、くんずほずれつやら、美味しいところやら言っていたが、要するに戸部の告白を止めてほしいらしい。
戸部……めちゃバレてるな、あいつが内通者だろうが……
「……このままというわけにはいかないだろう。今回はそのいいきっかけだとは思わないのか?」
「ヒキタニくんってドライだね。私ね。まだもうちょっとこのままがいいのせめて2年までは」
今の葉山・三浦グループ関係を崩したくないがために、戸部の告白を阻止してくれということだ。
だが、それならば戸部の思いはどうする。それはそれで大切なことではないのか、まあ、他人の俺が言うことではないが。
それにしても、人の名前わざと間違えるの止めてくれませんかね。俺はヒキタニではなくヒキガヤなんだが……それ流行ってるの?
「……はぁ、あまり変わらないような気がする……気に留めておく」
「うん」
そう言って海老名は走り出して行った。
「あれ、姫菜とヒッキー何話してたの?」
入れ替わる様に由比ヶ浜がこっちに来た。
「ああ、まあ、なんだ。なんかよくわからん相談事だ」
俺は由比ヶ浜に言うべきか迷う。
いや、ここは由比ヶ浜が自分で気がつくべき事だ。
もし、それがきっかけで、あのグループが微妙な空気感が流れたとしてもそれはある意味仕方がなかったことだ。
戸部についた由比ヶ浜は三浦達と仲違いするかもしれん。どうすべきか悩む。
できれば戸部が告白を今回見送ってくれればいいが………
「由比ヶ浜、もう一度よく、考えてくれ、戸部の告白についてだ。戸部が海老名さんに告白した場合どうなるかを」
「うーん。くっついたら幸せ?」
「そうならなかったらどうする」
「うーん。うーーーーん?どうなるの?でもそうならないようにするのがあたし達の仕事じゃないの?」
「違うだろ、飽くまでもサポートだ」
ダメだな。由比ヶ浜の頭の中はお花畑になっているようだ。
「うーん」
「じゃあ、海老名さんの立場になって考えてみてくれ」
「うーん………わかんないよ。姫菜じゃないし」
「そうか……結論は急ぎすぎないほうが良い」
俺が答えを出すのは簡単だ。しかし、それでは由比ヶ浜の今後のためにならん。
横島師匠が俺に修行を付けてくれたように……美神さんが仕事のやり方を教えてくれたように……自分で考えさせて答えを出させなければ、力にならない。
「そうだ、ヒッキー午後からの自由時間。ゆきのんと一緒に回ろうよ」
「すまんな。俺はちょっと行きたいところがあってな……夕方には嵐山に行く予定だ」
「ええええ!あたし達も一緒に行くよ!」
「女子禁制の場所のお寺なんだ」
今は、そんな寺なんて無い。これで引っかかってくれよ。
「えええ!ヒッキーは意地悪だ!」
流石は由比ヶ浜、見事引っかかった。
「かならず、4時位には嵐山に行く。それからでも良いだろ?」
「絶対だよヒッキーせっかく奉仕部で楽しもうと思ったのに」
ふう、今から陽乃さんに会いに行くなんて言えない。しかも雪ノ下も一緒だとか、やばすぎるだろ。
しかもGSってバレちゃうしな。
俺はこの後、JR線で嵯峨嵐山に降りて……陽乃さんが指定した場所に向かうために山手の方に歩き始める。
おい………ほんとこの住所で合ってるんだろな、スマホのナビ様は人気や建物がない方を指してるぞ。
暫く歩くと、人気が全くなくなり山門らしきものが現れる。
「…………………」
これって、あの~、もしや土御門家本家?めちゃ帰りたくなったんだけど………
大きな木製看板に土御門総本家と書いてあった。
山門の左右に関係者らしきそれらしい服装の男性が立っている。
「その目ゾンビ……いや、ちがう…人か……ここは霊験あらたかな場所、一般の方が入っていい場所ではありません。お引取りを」
なんでゾンビに間違うかな、ゾンビってまじ俺と同じ目をしてるのかよ。ゾンビにあったことは無いが一度確認しないとな。
「あの……ここに来いって、えーと、雪ノ下…………いえ、土御門陽乃さんに」
「ひぃーーー、は、陽乃様に?し、失礼しました!」
なに?陽乃さんの名前出したら怯えてるんだけど……あの人、ここでもいびってるの?
慌てて、山門を通される。
高いな、山一つが敷地じゃないか……俺はしばらく山道を歩き屋敷の門まで出る。
門には式服を着た20代の男が数人並んで、恭しく俺に礼をしてくる。
「比企谷くん。やっほー!時間どおりだね」
式服姿の陽乃さんが屋敷の玄関で待っていた。
「……ここ、土御門の本家ですよね。俺みたいな他人が入って良いんですか?」
「良いの良いの。さあ、入って入って」
なんか、陽乃さん何時もと雰囲気が違うな。外面笑顔も出さないし、リラックスしてるようにも見える。
俺は靴を脱ぎ、陽乃さんの後に付いていく、やたら長い廊下を歩き奥の別棟に通された。ここは神社のお社のような作りだ。
「師匠!入りますね」
「お入りなさい」
中年ぐらいの女性の声がする。
師匠って、陽乃さんの?ということは………
陽乃さんがそう言って、一度正座をしてから、襖を開ける。
陽乃さんが座したまま、中に入り、俺を室内に通す。
「師匠、連れてきました」
板の間の30畳程の部屋奥には大きな神棚があり、その前に式服姿の女性が座っており、その左右、離れた場所に若い男が1人づつ座っていた。
その神棚の前に座っている女性を俺は知っている。
この前のGS資格試験の会場で特別審査委員として座っていた。
この人が西日本唯一のSランクGS。現土御門家当主、土御門風夏(フウカ)だ。超大物じゃねーか!!なんで俺なんかをこの人の前に連れてきたんだ陽乃さんは?
「始めまして、私は土御門家当主、土御門風夏。この陽乃の師匠を務めております。この前のGS試験の試合は本当に素晴らしかったですね」
温和そうな女性だ。とても戦う人間には見えない。御年60程だが、そう見えない。40代前半にも見える。
しかし、戦後、没落の一途をたどっていた土御門家を一代で立て直した女傑なのだ。
全盛期は攻の美神美智恵、防の土御門風夏と言われていたほどだ。その結界術は超一流らしい。
「美神令子除霊事務所所属、比企谷八幡です。お初にお目にかかります」
「あらあら、あの令子ちゃんのところの子にしては、行儀が良いのね」
「それで師匠、彼が私のお婿さんよ!」
陽乃さんは俺の横で笑顔を向ける。
「……………………おいーーーーーーぃ!!!!!!」
「なに?八幡。大声だしちゃって」
「聞いてない!!いつ、俺があんたの婿になったーーーーー!!」
「あらあら、本人はちがうと言ってるけど陽乃」
「あっ、本人に言ってなかったわ。師匠、八幡は将来、必ず私の婿になって、一緒に土御門をもり立てていきます」
「あらあら、頼もしいこと」
「ちょ!!かってに話を進めないでください!!」
「八幡、ってば恥ずかしがって」
何この陽乃さん。おかしくない?もしかしてこれが素の陽乃さん?何はっちゃけてるの?
「…………帰らせてもらいます」
このままだとこの人、いやこの人達のペースだ。もしや、これか?死ぬほどひどい目に会うというのは、ある意味いきなり人生の牢獄だぞ。
「待ってください。冗談はさておき、GS試験で見かけた時から、比企谷くんとこうして話をしてみたいと思っておりました」
「師匠、冗談じゃないですけど」
「陽乃、ちゃんと比企谷くんを落としてから言いなさい。落とすなら、最後まで納得行くまでとことん落としなさい」
………なにそれ、めちゃ怖いんですけど。この人も十分怖いんですけど。
「分かりましたわ師匠」
この師弟なに?親子より気の置けない関係なの?陽乃さんが無条件で慕っているんだけど…………流石、SランクGS?いや関係ないか………何このアットホーム感は……………
「陽乃!将来、土御門をもり立てるとはどういう事だ。分家の分際で」
当主の左に控えていた若い陰陽師が陽乃さんに声を低くしていう。
「あら、数馬兄上。霊能者は実力主義の世界ですよ。私はまだ見習いとはいえBランクGS。立場は同じBランクの兄上と一緒ですよ」
「この!!言わせておけば!!」
「数馬!お客人の前ですよ。陽乃もやめなさい」
「しかし、母上」
「母上ではありません。師匠と呼びなさい」
………なんだこれ?親子喧嘩?あの数馬とか言う人はこの当主の息子で、好き勝手やってる陽乃さんが気に食わないという構図か?
「もういい。こんなどこの馬の骨かゾンビかわからんやつを家に入れる事すら、間違っているのだ!」
数馬はそう言って俺を一瞥してから横の襖から出ていった。
「済まなかったな少年。弟が粗相を働いた」
右に控えていた20代後半の男性が俺に謝ってきた。
どうやら、この人も、当主の息子、さっきの数馬の兄らしい。
「いえ…………」
「ごめんなさいね。比企谷くん」
当主も俺に謝る。
まあ、名門大家だこんなこともあるのだろう。
跡目争いとかに巻き込まれたら一大事だ。
「比企谷くんごめんね」
陽乃さんも八幡呼びをやめ、俺に普通に謝ってきた。
「まあ、良いですよ。俺に用とはなんですか」
「さっきも言ったのだけど、せっかく京都にくるんだったら、ちょっとお話したいなと思ったの」
そう言って当主が手を叩くと、後ろの襖が空き、料理が運ばれてきた。
「はぁ」
まあ、ちょうど昼食べてないし……
「ちょっとした。おもてなし。昼食まだでしょ?」
………出てきた料理はちょっとしたものじゃない。めちゃ豪華な懐石料理なんですが…………
「比企谷くんあーん」
「しませんよ。そういうのはいいんで」
「比企谷くんつめたーい」
なにこの陽乃さん。なんかちょっとバカっぽい女子高校生みたいになってるんだけど、由比ヶ浜みたいになってるんだけど………これが素の陽乃さんか………これを見たら雪ノ下は卒倒するんじゃないだろうか?でも、こっちの方が自然体でまだいいか………
あの外面仮面は異様だからな………
「あらあら、おほほほほっ……」
めちゃアットホームなんだけど。あの数馬とか言う人以外。
「令子ちゃんはどう?」
当主は俺に話を振ってきた。
「厳しいですけど。俺に良くしてくれますよ」
「じゃあ、横島くんは?」
「俺の師匠は横島忠夫なんで、ここまで霊能者として育ててくれたのは横島師匠のお陰です」
「……あの横島くんがあなたを………………」
この人、横島師匠を知ってる。しかも変態レッテルではない横島師匠を。
「俺は1年半前の事故で意識不明になって、霊能が発現して、そして暴走しました。それを助けてくれたのが美神さんであり、横島師匠なんです」
「まさか……一年半前って、あの時の………それ家のせいじゃない」
陽乃さんは初めて知ったのだろう。驚き、申し訳無さそうにする。
やっぱり、自然な表情だなここでは………
「だから、雪ノ下には言わないでください。それと俺はそのおかげで、横島師匠や美神令子除霊事務所に入れたのだから、感謝してるぐらいですから」
「でも、暴走まで行ったってことは一つ間違えば………ごめんなさい比企谷くん」
陽乃さんは俺にまた謝る。
「…良き師匠に恵まれましたね。比企谷くん」
「はい」
これだけは、はっきり言える。
次は、結衣と雪乃と合流展開。