その対魔忍、平凡につき   作:セキシキ

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ふ、ふぉぉぉ!?日刊ランニング1位!?お気に入り4000越え!?評価人数134人!?しかも滅茶苦茶感想来る!?やったぜやったぜ!\(^ω^\)( /^ω^)/
皆さん、本当にありがとうございました!SCP書いてて遅れてしまいましたが、ようやく出来ました!お待たせして申しわけないです。

あと、今回は前後編に分けました。本当は戦闘シーンとか書きたかったんですが、前段階で9000文字行ったんで流石に分けました。なので少し話の進み悪いですがご容赦下さい


何事も始まる前の準備は必要、しかし彼らは対魔忍である

五車学園の会議室。現在ここは、救出作戦に参加する実働部隊のブリーフィングルームとして利用されていた。

 

カーテンが閉め切られ薄暗い室内で、プロジェクターから投影された映像の反射光によって机などの備品や集められた対魔忍達が、うっすらと照らされていた。

 

そんな中、一人の女性が声を発した。

 

「はーいみんなちゅーもーく!これからブリーフィングをはじめるよー!」

 

ハキハキとした声が部屋に響き渡り、全員の視線がその声の発生源へと向けられる。

 

「ここにいる人はほとんど知ってると思うけど、私は蘇我紅羽。今回の作戦指揮と隊長を勤めることになったから、みんなよろしくっ」

 

そう言って彼女、蘇我紅羽はチェシャ猫のような笑みを浮かべながら、ミディアムボブを揺らした。事前に確認した資料によると五感を獣並に強化する忍法の使い手であり、本来であれば偵察や隠密行動を得意とする対魔忍だ。それが今回の任務に駆り出されたのは、おそらくその高い索敵能力による危機察知とその潜入任務で培った判断能力を買われたからだと思われる。

そしてそのまま隣に立っていた白髪の少女の背を押した。

 

「それで、こっちが……」

「同じく作戦に参加することになりました、七瀬舞です。私の『紙気』の力があればこの程度の任務など些末な事です。安心して任せてください」

 

背中を押された少女、七瀬舞は表情を変えることなく悠然と告げる。彼女は本人も言っていた通り『紙気使い』と呼ばれ、対魔粒子を充填した紙を操り戦う対魔忍だ。彼女の操る紙気は鋭利な刃や強固な結界、果ては爆発物にまでその姿を変えて高い柔軟性と応用力を発揮するらしい。俺含め数人いる学生を守り、かつ敵を殲滅するにはうってつけの能力だと言えるだろう。

 

朝早く、ブリーフィングだけとあってか、上忍二人は私服姿だ。蘇我さんはTシャツにジーパンというラフな格好でスラリと伸びた背丈と服の下からでもわかるメリハリのある体躯を併せ持つモデルのようなスタイルを見せつけ、七瀬さんはYシャツの上にカーディガンを着込み下はフリルのミニスカートという清楚な格好ながら幼さ残る顔立ちと豊満な肉体から来る妖艶さをどこか醸し出していた。

 

「……ぃでっ。おい、なんだよ」

「……別に?何でもありませんよ?」

 

何となしに二人を見ていると、隣に座った氷室が何故か小突いてきた。いや、俺は別にいいんだけどさ……。

 

「さて、早速だけど任務について説明するよ」

 

そう言って、蘇我さんはプロジェクターで投影された資料にレーザーポインタを向ける。壁に掛けられたスクリーンに映し出されたのは、救出対象である対魔忍の写真、能力を始めとした様々な情報が記載されていた。敵に捕縛された当時の状況まで簡潔に書かれた、言わばその少女の人生の縮図だ。

 

「今回の救出対象は杉山愛美。捕まったのは4日前、ノマド系列の組織への潜入及び施設の破壊任務中に捕縛されたみたいだね。木遁で作った木偶人形を操ることを得意とする子だったんだけど、施設内で人形が破壊されて補充する間もなくって感じらしいよ」

 

改めて投映された資料に目を向ける。木遁・椿舞という『木人』ーーーまあ木で出来た人形かーーーを作る能力を持っているらしい。捕縛されたときは蘇我さんが語った正にそのまま、限界が来た木人が損傷し周りに木のない地下施設内で敵に囲まれあえなく、ということのようだ。

 

しかしこの能力ピーキーだな。確かに戦闘能力のある人形を作って戦わせる方法は自身が強くなるより確実で破壊されても再生成すればいくらでも戦えるけど、材料が木だからそれがない所だと壊れればそれまでだ。街中には街路樹があるとは言え、公共物をおいそれと破壊などしていい訳ではない。何もないところから木がニョキニョキ生えてくるわけじゃあるまいに。

 

「しかし、ノマドかぁ……」

 

聞きたくなかった単語に、他の奴に聞こえないよう密かに嘆息する。

 

ノマドは原作にも登場したとてつもない規模を誇る多国籍企業であり、対魔忍アサギシリーズラスボスにしてシリーズ一理不尽とも言われている吸血鬼の王、エドウィン・ブラックの所有物である。

 

表向きには普通の企業を演じつつ、裏では日夜人間を食い物にして利潤を貪る魔族の巣窟。当然対魔忍や米連にとっての仇敵であり、何としても打倒しなければならない相手である。

 

しかし俺個人にとっては、出来れば関わりを避けたい相手でしかない。だって下手に目を付けられたら面倒事しかないんだもん。間違ってブラックに目を付けられたなら、俺は自決する以外に道が無くなってしまう。

 

閑話休題(それはさておき)

 

「そこで、その施設から東京キングダムへ輸送されるところを強襲して彼女を奪還、五車学園まで連れ帰る事が今作戦の目標になるね。何か質問は?」

「すみません、一つよろしいでしょうか」

 

作戦の概要を説明しメンバーに視線を向けた蘇我さんに対し、氷室が物怖じせずに手を挙げ発言の許可を求めた。

 

「おっいいよ。たしか、氷室ちゃんだっけ。何が気になったの?」

「はい。護送されているところへの強襲が必要ですが、輸送が行われる時間や経路などはわかりますか?」

「うん、それについては大丈夫。これを見て欲しいんだけど……」

 

蘇我さんが手元のPCを少し弄ると、個人情報が満載された画面が切り替わり地図と表が記載されたものを映し出した。恐らく、これが輸送経路とスケジュールなのだろう。湾岸を表す地図には、東京キングダムへと続く道筋が赤い矢印によって示されていた。

 

「これが護送車の経路とスケジュールの情報。これによれば、22時頃には廃棄された工業地帯を通過するから、ここで攻撃を仕掛けるよ。で、護衛してるであろう敵を殲滅して対象を救出、撤退するのが大まかな流れかな。他に聞きたいことは?」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

「そっか、ならよかった。じゃあ次は細かい所も詰めちゃおう。皆も、何かあったら遠慮なく言っていいからね」

 

そこからは蘇我さんが地図を示しながら配置や突入及び撤退経路を説明していく。作戦というには大雑把だが、これを叩き台にして詳細を詰めていくのならば十分だ。

 

蘇我さんが説明を行い、部隊のメンバーがそれに対し質問や提案を行いながらディスカッション形式で会議は進んだ。と言ってもメンバーの中で意見を出しているのは氷室他数人程度で、他は頷いたり感嘆符出したりしてるだけだった。おいお前等、自分達の任務なんだからもっと頭使えや。ちなみに俺は静観中、少し気になることがあったから様子見してるところだ。

 

「……よし、いい感じに纏まったかな。他になければこのプランで最終決定するけど、何かまだある人ー?」

 

と、どうやら様子見してる間にブリーフィングも終盤、決定案として纏めに掛かっているようだ。この作戦なら俺としても十分だとは思うけど、一つ確認しなきゃいけないことが残っている。誰も聞いてくれてないからなー。

 

「すみません、一ついいですか?」

 

……おい、何で俺が手を挙げただけでギョッとするのか教えて貰おうか。氷室もお前、その心配そうな眼差しは何だよ。そんな「何もしないで」みたいな表情すんなよ流石に失礼だぞ。

 

「おっ、どうしたの?ずぅっと機を窺うように沈黙していた田上君?」

「別にそういうわけでは……ただ聞きたいことが残っているだけです」

「へえ?ここまで結構話詰めたのに、まだ残ってる疑問があると。何かな?」

「この情報、ソースはどこですか?もっと言ってしまえばどれくらい信憑性がありますか?」

 

俺の言葉に、弛緩しかけていた部屋の空気が凍った。更に七瀬さん含めたメンバーが厳しい視線を俺に向けてくる。まあ割とよくあることだからいいんだけどさ、にんまり笑ってる蘇我さん、確信犯だよね?

 

「この情報は、ノマドに潜入している対魔忍が持ってきたものだよ。流石に名前までは出せないけど」

「その対魔忍が敵方に寝返ってない保証は?後、その人だけですか?他の情報源はありますか?」

 

ざわざわと室内にどよめきが広がる。仲間を重んじる対魔忍にとって、裏切ったことを前提に考えるのは割と異端というか、あってはならないことだ。故に過半の対魔忍は味方が裏切るという発想が致命的に欠如している。あのアサギが敗北したのも、味方であるはずの井河当主の裏切りだというのに。

 

「聞き捨てなりませんね」

 

と、今まで傍観の姿勢を取り続けた(作戦を詰める必要性を考えてなかったと思われる)七瀬さんの声が、凛と響き渡る。

 

「今回の任務はアサギ様の勅令、つまりこの情報はアサギ様が信頼に足ると判断したものです。それを咎めるということは、アサギ様を信頼出来ないと言っているも同然です」

 

そう言ってるんですけど、と言いたいのを何とか堪え、可能な限り当たり障りのない言葉を選びながら話を続ける。

 

「この際校長は関係ないです。実働部隊である我々が信頼に足ると納得できるだけの理由が聞きたいんですよ」

「アサギ様が認めている情報です。それで十分でしょう?」

 

十分じゃないからこうして突っかかってんだよ……!校長だって戦闘はともかく後方での情報精査なんてからきしだろうに!それが出来るんなら対魔忍シリーズは発生しない。

 

ああ……これ面倒くさい、どうせ捕まんの俺じゃないし、適当に放り出してとんずらしたい……。多分無理だろうけど。わざわざ校長ご指名ってことは、逃げ場ないんだろうなぁ……。

 

それに、アサギが何故俺を救出部隊に入れたのかは何となく察しがついている。他の対魔忍に俺の度を越した臆病さ、慎重さを学んで欲しいのだろう。現に俺のそれを間近で見た氷室は、少しずつだが変わろうとしている。僅かでも俺の行動から何か学び育てば、という思いが読み取れてしまうのだ。そしてそれは、俺にとっても多大なメリットを齎す。何せ周りが有能(優秀にあらず)になれば、俺に回ってくる仕事が減るからだ。そうなれば必然この危険も減るだろうし、何より味方が捕まらなくなれば俺が楽できる。結果、ここで少し手間をかけるだけで将来への投資になるのだ。

 

問題は、ここから何かを学びとってくれるかが微妙な連中だということなのだが……。

 

「そもそも、潜入している仲間の裏切りを疑うことこそ言語道断。彼女らは魔族を倒すという固い決意の元に身を危険に晒しているのです。それを疑うということは、彼女らを侮辱することと等しい行為だとわかっているのですか?」

 

媚薬ぶち込まれただけで即オチ2コマ晒す奴らの何を信頼すればいいんですかねぇ(白目)。決戦アリーナ見てみろ、一回は必ず犯されて高確率で落ちとるんやぞ。例えIFの話だったとしても、それやられればすぐ心折れるってことだろ?画面上なら笑い話で済むけど、現実でそれやられたらダメダメじゃん。

 

だが周りの連中はそんなこと露ほども思わないらしく、殆どが首を縦に振り賛同の意を示している。いや、君らもうちょっと現実見よう?相当数の対魔忍が米連や魔族に寝返ってるんだぞ?もう少し危機感もってくれます?

 

……仕方ない、ぶっちゃけもうやめたいけど乗りかかった船だ。アプローチを少し変えてもうちょっと続けよう。

 

「ではわかりやすいよう例を変えます。潜入がばれていて、偽の情報が流されている可能性は?連中だって馬鹿じゃない、罠を張って我々を誘い込もうとしている可能性だって十分にあります」

「そのための私です。私の紙気は、複数との戦闘ならば更なる力を発揮出来ます。敵の増援が来たとしても、それを破るなど容易いことです」

 

なぁんで増援が来る可能性を考慮して正面突破しか選べないのぉぉ!?強襲ポイント変えるとか敵を無力化する方法考えるとかあるじゃん!正面戦闘出来ないクソ雑魚マンもいるんですよ!俺とか!

 

援護してくれる奴が誰もいない孤立無援の戦いは、俺の勝利という未来がまったくないままそれでも一時間以上は続いたのだった。

 

 

 

 

「それじゃあ作戦決行は今夜、フタサンマルマルに集合して出撃するよ。それまで各自英気を養って万全の状態にしておくように。解散!」

『はい!』

 

蘇我さんの号令と共に、班員は各々部屋から退出していく。勿論、その前に俺を一瞥するのを忘れずに。そうして部屋には俺と氷室、そして終始俺と七瀬(敬称つける気無くした)のやり取りを眺めていた蘇我(敬称つけry)が残っていた。

 

「……だぁぁぁ~」

 

思わず、大きな溜め息と共に机に突っ伏す。流石に長時間ディベート(言葉の殴り合い)するのは精神的にキツい……そもそも俺話し合いとか得意な方じゃないんだよなぁ。相手がまともに話を理解してくれないのならば尚更だし、そもそも理解出来る保証もないままやってたんだよなぁ。

 

「これでは道化だよ……」

「だ、大丈夫ですか……?」

 

総帥してた赤い彗星の如く自身の行いを嘆いていると、隣でずっと心配そうにしていた氷室が此方を伺ってくる。

 

大丈夫だ、という一言を何とか絞り出す。そして机から体を起こすと、ポケットに何故か入っていた飴玉の包装を雑に破き口の中に放る。ああ~練乳の甘ったるさが脳みそに沁みる~……。

 

「あははは。ごめんね、無理させちゃって」

 

そんな心底疲れ果てた俺に、蘇我が笑いながら話し掛けてくる。なにわろとんねん。

 

「いいですよもう。自分の利益のためにやったことでもあるんですから。まあまさか、あそこまで理解力のない脳筋対魔忍だとは思ってもみませんでしたけど」

「……いや、流石にそれ本人の前で言っちゃう?せめて隠さない?」

「大丈夫ですよ、きっと自分が馬鹿にされてることも分からないアホですから」

「聞こえてますよ。紙気の錆にしてあげましょうか?」

 

何故か急にキレ出すじょーにんナナセ=サン。きっとカルシウム不足なんだろう、ほねっこたべりゅ~?

 

ちなみに、この部屋には前述の三人と俺がシカトしていた七瀬の計四人が残っている。「~が残っていた」とは言ったが、三人『だけが』残っていたとは言ってないのである!(叙述トリックごっこ)

 

「かなりキてるみたいだね……ホントにごめんね?アサギ様から頼まれてたんだ、田上君の意見を可能な限り引き出すようにって」

「まあそんな気はしてました。ずっとニヤニヤしてましたもんね」

「えっそんな顔してた、私」

「一目瞭然でした、腹芸向いてないですよ。あと、情報のソース言わなかったの、ワザとですよね?」

「あっ、そっちもバレてた?」

 

参ったね~、とカラカラ笑う蘇我。その態度からは悪気が全く感じられず、こちらも毒気を抜かれてしまうだろう。まあ、俺は彼女を責める気は全くないからいいのだが。

 

十中八九、彼女は俺達全員を試していたのだろう。対魔忍の卵である俺達学生が、与えられた情報をどれだけ理解し、自分で考えることが出来るかどうかを。だからこそ最初に出す情報を最小限にし、質問に答える形で情報を小出しにしていったのだ。学生がどれだけ情報を引き出せるかを試すために。実働部隊の指揮官としては赤点ものだが、テストとしては満点と言っていいだろう。

 

「でもまあ、情報の正確性を疑問視する意見が出なかった時はどうしようかと思ったけどね。最初から其処まで考えてた子がいて何より何より」

「分かってて俺に"あれ"を言わせるとか、あくどいことしやがる……ということは、情報の不正確さを把握した上で今回の任務を?」

「うわ、そっちも気付いちゃうのか、スゴいね君」

 

今度は本気で感心したようにこちらを見る蘇我。そんな目で見られたくて言ったわけじゃないんだが?というかこの人ホントに思ってること顔に出やすいな。付き合いやすくはあるんだけど、娼婦とかで潜入とかさせようものなら一発でバレそう。ま、能力適性考えればそんなこと有り得ないけどな!

 

まあそれはともかく、早く吐くんだよという念を込めて見つめると、思いが届いたのだろう。苦笑い気味に説明を始めた。

 

「これもアサギ様からね、情報の正誤を見極めるための特訓なんだって。情報持ってきた対魔忍も、不確実な情報だって上げてきたらしいし」

「信憑性の低い情報を持ってきたんですか?」

「護送が行われるのは間違いないらしいんだ。ただ、対魔忍を運ぶには情報が拡散しすぎててルートもお誂え向きだから、罠の可能性が高いって。それでも、東京キングダムまで運ばれるよりは救出の目は高いから、判断はお任せしますって感じかな?」

 

確かに、魔族の巣窟である浮島東京キングダムに潜入して取り返すよりは、罠であってもそこに突っ込む方がまだマシと言えるだろう。

 

「……待って下さい。そんな話、私は聞いていません」

「まあ言ってなかったし。それ知ったところで、バカ正直に言っちゃうでしょ?気付くかどうかも含めて特訓なんだから、教えちゃダメだよ」

「むむむ……」

 

話がようやく飲み込めた七瀬が食ってかかるが、蘇我が図星をついた一言で一瞬のうちに歯噛みすることとなった。『私達がまだ提示していない情報があります。どのような物だと思いますか?』とか素直に言ってる様子が目に浮かぶようだ。本人も自覚があるのだろう、ざまぁ。

 

「そう言う点じゃ、氷室ちゃんは合格かな。質問回数も一番だし着眼点もいい。あとは経験を積めば戦闘中でもその思考力を維持できるようになると思うよ」

「あ、ありがとうございます……」

 

唐突に矛先が向いた上にべた褒めされ困惑しながらも礼を返す氷室。辛辣にディスくらった七瀬とは大違いである。

 

「でも、私に田上さんのような事が出来るかどうか……」

「ちゃんと情報精査して、事前準備十二分に行って、リスク管理ちゃんと出来てりゃ十分だろ。そもそも俺は弱っちいからこんな七面倒なことしてるだけで、異能持ちで近接出来るんなら俺みたいにならなくてもいいだろ。最悪危機管理が出来てりゃ何とかなる」

 

うーん、何か氷室が俺を目標に頑張ってる感がある……油断なく慎重に動けるようにはなって欲しいけど、俺みたいにならなくてもいいんじゃないかなぁ。自分で言うのも何だけど、俺のは生き残るための戦い方だからかなり外道混じりなんだよね。

 

「そうだ、作戦のプランて結局このままなんです?敵の増援、確実に来ると思うんですけど」

「まあそうなんだけど、多少の危険は承知の上でもやらなきゃいけないからね。とりあえず強襲前に敵を察知出来たら即撤退、人質を確保した後だったら舞を殿にして全力で退避ってところかな。増援の規模がわからないから詳細まで詰め切れないんだよねー」

「敵が来るタイミングは十中八九人質確保してからでしょうね。地形から考えれば、前後からの挟撃が最有力かな」

「中忍の中に火遁使いが何人かいるから、片方に最大火力叩き込んで包囲に穴開けれると思うんだ。で、そこを突破して一方向だけになった敵を舞に足止めして貰いつつとんずらしようかなーと」

「……まあ、現段階だとそれがベターか……情報が足らなすぎる、数で圧殺されたら詰みだな」

「強力なのが一人だけだったらやりようは幾らでもあるんだけどね」

 

……おかしいな、何でブリーフィング終わった筈なのに、まだ作戦詰めてるんだろ。俺、仕事しすぎじゃね?あー頭が痛い……。

 

「まあ、何かあったら私たちが身体張るから、あまり気にしないで!」

「いや凄く気になるんですけど……はぁ。わかりました、よろしくお願いします、蘇我さん」

「かたいなー。気軽に『紅羽』でいいよ」

「いやいや、別にそこまで仲いいわけじゃないですしいきなりそんな」

「紅羽」

「実は自分他人のこと下の名前で呼ぶ習慣がなくてですね……」

「紅羽」

「いや、あの……」

「こーうーはー!」

「…………紅羽さん」

「よし!」

 

何だこの唐突な名前を呼んでイベントは……ノリで書いてみたはいいけど後々見直してみたら自分でも訳わからなくなった、みたいな訳わからなさだぜ(直喩)……。

 

「ほら、舞も!これから背中預ける仲間なんだからさ!」

「……わかりました。いえ、私には特に蟠りなどありませんが、紙気がどれだけ優れているかその目にしかと焼き付けましょう。私個人はまったく気にしてはいませんが、ええ」

「滅茶苦茶気にしてるじゃねぇか」

「ちょっ田上さん!」

 

あやべ、ついツッコミが漏れた!仕方ねぇじゃん、あんな「私凄く気にしてます~」みたいなオーラ出されたら!顔と言葉違いすぎるんだもんそりゃつっこむでしょ!

 

「……まあいいか。宜しくお願いします、お二方。頼りにさせて貰いますね」

「応!お姉さんにまっかせなさい!」

「紙気使いの力、特等席で魅せてあげましょう」

 

俺の割とおざなりな期待の言葉に、上忍二人は意気揚々と応えた。これで対魔忍じゃなきゃ、安心して背中預けられるんだけど……。

 

とは言え、能力や戦績だけ見れば二人はかなり優秀な部類だ。五感全てが獣並に強化された索敵能力はほぼ視覚と聴覚便りの俺よりも範囲が広く正確だし、紙気のあらゆる場面で活躍出来るオールラウンド性は才能を持たない俺では決して真似できないものだ。そしてその若さながらそれなりの場数は踏んでいるし、根本的に俺よりも経験が違う。ここは先達である彼女たちに任せるのがベストであるはずなのだが……。

 

「……大丈夫でしょうか、これ」

 

氷室のそんな一言が、俺の中に巣くう不安を的確に表していた。

 

 

改めて解散し自室へと帰ってきた俺は、装備の最終点検をしつつひたすらに頭を回していた。

 

ハッキリ言って、嫌な予感しかしない。地獄のような鍛錬で鍛え抜かれた俺の生存本能が大声で警鐘を鳴らしている。そして、これが外れた試しは只の一度もないのだ。

 

まあ、十中八九罠なのは分かり切ってるんだけど。はてさて多数で包囲してくるのか、それとも強力な魔族を差し向けてくるか……いや、人質の価値が低いから、名の知れた奴を出す必要性がない。普通にオークとかの物量攻めかな。

 

しかし何というか、仲間を餌にして敵兵を引きずり出して狙い撃つ。まるでベトコンだな……。(いせスマ感)

 

万が一訪れるかもしれない惨劇に臍を噛む。ここで部隊が壊滅でもしてみろ、面倒ごとが死ぬほど増えるぞ……。

 

与えられた情報と自軍敵軍の取りうる戦術とを照らし合わせながら、こちらが確実に勝利する方法を頭の中でこねくり回す。今回の勝利とは敵の殲滅ではなく、捕虜の奪還及び全員の生還だ。

 

そのために必要な要素を必死に考えて、考えて、考えてーーー携帯を取り出す。仕事に使うものとは別の、プライベート用である。

 

電話帳に設定されている番号をタップしてコール。端末を耳元に当てて待つこと数秒……ガチャリ。

 

「あ、もしもし……おう、久しぶりだな。急で悪いんだけど、ちょいと頼みたいことがあってさーーー」

 

相手の戯れ言を適当に流して、サッサと話を詰める。あまり時間がないんだ、テキパキいかないとな。

 

話が纏まったところで電話を切る。

 

「さて、行こうか。勝利の法則は決まった、ってね」

 

 

 




若干対魔忍アンチが多めだったけど、特に嫌いでも何でもないものをディスるのは精神的に疲れる。あと感想めっちゃ来てたけど、皆頭対魔忍ネタにしてディスりまくってんのには草生えた。お前ら対魔忍に恨みでもあんのかよぉ!

それと、約束通りまともそうな上忍だしたぞ!ホントはもっとしっかりした人出したかったんだけど、そう言う人たち諜報メインみたいだから出しづらいし。次点として弱点とかしっかり考えてそうな紅羽さんと、多数の戦いで力発揮しそうな舞ちゃん連れてきてみた。きっと活躍してくれるはず!尚二人のキャラは例のごとく他の対魔忍ssを参考にしています。紅羽さんはともかく、舞ちゃん持ってないからね、仕方ないネ。

次はできる限り早く投稿するつもりですが、lobotomyの続きとかシンフォギアのとか書きたいし、スニークユキカゼちゃんドロらずカテジナさんドロった悲しみで筆遅くなるかもです。ユキカゼ欲しかった……ちなみに4周年はA○凛子選びましたけど、皆さんはどうでしたか?
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