「ユルザネェ、ミナゴロシ、ミナゴロシダァ」
男の体には、自分の体や装備や顔が見えなくなるほど血が身体中にべっとりと染み付き、唯一見えるのは、男の紅黒く光る鬼の瞳。
そして男の体には、バリスタ、単発式拘束弾、大砲の玉の破片、矢、貫通弾、槍、太刀、様々な武器が体を貫いている。
それでも男が足を止める様子はなく、また一人、また一人兵が殺されていく。
「奴は不死身か·········!?」
「まるで不死身の化け物だ!」
「バケモノ··········?」
男は化け物と言う言葉を耳にすると、一度ピタリと体を止め、顔が歪むくらい口を釣り上げて、ニタリァ〜ッと、悪魔のような笑みを浮かべた。
「バケモノダト?チガウ、チガウチガウチガウチガウチガウ。オレハバケモノジャナイ」
あぁ、あいつは苦しまず殺してやろう。
何せ、いい思い出を思い出させてくれたからな。ご褒美だ♡
「オレノナハ、"バケモノ"デモ、"ケガレ"デモ、"龍夜 無門"デモナイ。オレノナマエハ、キョウカ、"狂花"ダ」
そう、師匠のくれた名前。
俺のいちばんのタカラモノ。
オレデアルアカシ。
くく、クヒヒ、ヒャハ、ヒャハハハハハハハハハハハ!
他人の言う化け物デモ、人間の言う汚れデモ、"弟"が付けてくれた、"祟羅"でもない。
俺の名前は狂花だ!
いつか師匠のようにと願い、師匠の名前をトッテ、"花"
"狂"は、俺の異名の"狂"。
師匠が付けてくれた異名
オレノイチバンノタカラモノ♡
「アレ?師匠?シショウハドコ?オレノダイジナ大事なダチジナ、アイスルヒト··········ァ、しんじゃったんだ。ナンデ?ナンデ?··········アァ、コイツラガコロシタンダ··········」
師匠···············
『私たちハンターは人を守る正義のヒーローだ。だからお前もいつか、壊すことばかりしてないで、人を守る正義のヒーローになれ。私とお前の、二人だけの約束だ。分かったらはい指切りだ!指切りげんまー、嘘ついたら針千本のーます、指切った!な、なにを笑ってる!G級に上がったからと言って調子に─────』
「···············アァ、俺、やくそく、ヤブッチャッタナァ。ゴメンナサイ、ししょー····················」
一人男は、そう呟きなが、目に映る人間の首を跳ねた。
しかし、その姿は、どこか幼く見えた。
だが、その一秒にも満たない次の瞬間に、男の紅い瞳は再び狂気と殺意の混沌の瞳に包まれた。
§
「それで?龍夜さん。新人ハンターにあそこまで罵倒された感想はどうですか?」
「何かに目覚めた気がしました!」
「そうですか、なら目覚めないようね眠らせてあげます。永遠に」
「すみません」
俺は今新人ハンターと隣り合わせで、看板嬢であるライラさんの説教中です。正直今のライラさんの顔はイビルジョーが尻尾食わえて逃げちゃいそうなほど怖い。
俺も今すぐ逃げなければ!だ、ダメだ!足が恐怖で動かない。
「今逃げようと思いましたね?」
「ま、まっさかぁ〜」
「確か銀嶺ガムートの依頼が来てるので、ちょっと裸で氷海行ってガムート倒してもらいましょうかなぁ?」
「思いました。すみません」
この頃ライラさんが俺の心を読み取ってくる気がする。てか氷海の平均温度知ってる?-50℃だよ?死んじゃうよ?裸で行ったら即低体温症で死んじゃうよ?「裸でも氷海なんぞ気合でどうにかなる!」とか言って即堕ち2コマシリーズみたいに「やっぱり寒さには勝てなかった··········」みたいなことになっちゃうからね?
「どちらにしろ行ってもらいますから」
「嫌だあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「チッ」
「ん?なにか不安ですか?」
ライラは可愛らしく小首を傾げて、ジザクの方を見た。
ジザクはどう見ても不安げで、完全に苛立ちの表情を見せているが、ライラはそんなことはお構い無しだった
「こんな"人殺し"、人の屍を踏み台にして強くなった野郎だぞ!?そんな奴の弟子なんて··········」
その時、その場の空気がピシリと音を立てて凍りついた。
空気が重い、息がしずらく、背中には悪寒が走り、鳥肌がたち、恐怖で体の震えが止まらない。
ジザクはそこで初めて
"前回ハンターランキング上位ハンター一位"【冷酷のライラ】を相手をしていると自覚する。
上位1位が意味することは、G級に一番近いハンターと言うこと。例えそれが、怪我をしてハンターを退職したとしても、上位のリオレウス亜種当たりなら軽くピクニック気分で殺せるだろう。
そしてもうひとつ、ハンターは大きく二つに分かれる。
モンスターを殺すハンターと、人間同士の戦争にも参加するハンター。
ライラはその二つを両方経験している
つまり、ライラは殺すと決めたら、人を殺すのに躊躇しない人間だ。
何よりライラの顔は、まるで人を見下すような、心底絶望したような、ともかく言葉に出来ないようなある意味恐ろしい顔をしていた。
「龍夜さんを人殺しと言うなら、貴方はハンターは向いていません。今すぐやめてください」
「はぁ!?ふざけんな!なんで俺が「当たり前です」
激昴したジザクに、ライラは顔色ひとつ変えず、怒鳴るジザクに向かって淡々と言い放つ。
「私たちの職はほぼ自殺と同じ様なもの。しかも下位のハンターなんて稼げる金もたかが知れてる。目の前で仲間がモンスターに殺されて心を病む人も、自殺する人もいる。何より、狩りは誰も助けてくれない、自分を守るのが精一杯なんですよ。それなのに世間は、龍夜さんと組んだパーティーが龍夜さん以外全員死んだくらいで"同胞殺し"だとか、"人殺し"だとか、そんなこと言っている時点でおかしいんですよ」
全くもって正論。ハンターなんて死んでなんぼの職業。
生きて帰ってくる保証なんてこれっぽっちだってない。それどこかパーティーが全滅や、誰か一人だけ生き残るなど良くあること。
パーティー全員が無事に帰ってくる方が稀だ。
しかし、ジザクは反論した。
「じゃぁ、なんであいつはいつも一人だけ"無傷"で帰ってくるんだよ!!モンスターもしっかり殺して帰ってきて、報酬を独り占めしたいからじゃねぇのか!?おかしな話じゃねぇか!一人だけ無傷で、他の全員は「強いからですよ」ッ··········」
「ただ純粋に龍夜さんが強いから無事帰ってきて、パーティーの皆さんが弱いから死ぬんですよ」
それだけだ。言ってしまえば本当にそれだけなのだ。その一点に尽きる。
どれだけ反論しても、どれだけ抗ってもそれは自然界の掟であり、ハンターとして当たり前の“日常”にすら等しい。
弱いものは殺され、強いものが生き残る。今ジザクが踏み入れようとしているのはそういう世界なのだ。
「おい、その辺で··········「あなたもです!!」Hey!?!?」
龍夜がその辺でと、ライラを止めようとすると、今度は怒りの矛先は龍夜にロックオンされた。
「なにが無傷ですか!あなたはいつも仲間を助けようとして、腸ぶちまけても!体を抉られても!引き裂かれても!潰されても!裏切られても!あなたはいつもいつも!!目の前の人を助ける!」
「····················」
「あなたは正義のヒーローにでもなったおつもりですか!?ふざけるな!!」
「あなたは私たちを「ライラさん」··········ッ」
「ライラさん、こいつらが見てる。それにこんなに激情するなんてライラさんらしくもない」
「···············はぁ、そうですね。それでは龍夜さん··········いえ、祟羅さん」
ライラは一呼吸置くと、いつも通りの天使のような美しいく、可愛らしい顔に戻る。
さっきまで一点の光もない冷徹な眼ではなく、自分が嫌でも耳に入る美しいギルドの看板嬢であり、ギルドの責任者でもあるライラさんに戻っていた。
すると、今度は龍夜がなにかぎこちない笑みで困っている。
「あの、その名前は··········」
「別にいいじゃないですか。ユクモ村の村長はまた“別の名前”で呼ばれてる訳ですし」
「いや、でも··········」
どこか龍夜は祟羅と呼ばれるのを嫌っているようで、どこかやめてほしそうにしているが、ライラはそんな龍夜の姿を見てどこか満足そうにしている。
「それともユクモ村の村長は良いんですか?」
「ぐ、そ、それは··········」
そうそう、貴方は一生私の手のひらで踊っていればいいんですよ。
ライラはそう思いながら、龍夜さんの困っている顔はいつ見ても背筋がゾクゾクして、とても気分が良くなります。と思いながら、狂気に満ちた笑みをライラは必死にこらえるのである。
「それでは二人を立派なハンターにしてくださいよ、た、た、ら、さん♡」
「ぐ、··········はい」
そうしてライラはマイハウスを出ていった。
「で、俺が師匠で異論のあるやつは?」
「「いません」」
そうして新しく龍夜の弟子となった二人と、二人の師匠になった龍夜の生活が始まる
※
過去のG級ハンター逹
G級16位【狂気の祟羅】祟羅のち、自ら名前を改名 狂花と名乗る。そしてその後、上位ハンターに堕落。
現在では上位ハンター 1位【ハンター殺しの龍夜】と呼ばれている。
G級15位【???】???=???
???
G級14位 【???】???=???
???
G級13位【半裸の英雄】???=???、龍夜とは深い中だと言われているが、真実は定かではない。
現在と変わらず、G級13位の席は変わらない。
G級12位【狂犬】ランスロット、国を滅ぼそうとした国家反逆罪として、無門を殺しに行くも、返り討ちにあい、利き手と左眼、そして臓器を複数負傷し、無門を後から応援で来た【半裸の英雄】と何とか捕獲。
しかし、無門の兄であり、弟である【モンスターハンター】龍夜 時衛門は無門との戦闘があったらしく、既に意識不明の重体。
傷が深く、治療するも、死亡。
ランスロットも傷が酷く、後にハンターを退職。退職後は一時期無門の師匠として、自分の剣技を教え、後に行方不明
G級11位【???】???=???
???
G級10位【美妖】ハスナ=フェルミーラ
24歳という若さでG級10位になるも、あまり姿を見せない。
無門と良く接触していたという目撃情報が相次ぐが、これもまた真相は定かではない。
G級9位【侍】無事藁 雪娜
無門をライバル視しながらも、影では尊敬している。未だなぜ国に逆らったのかはわかっていないが、それでもきっとなにか理由があると信じている。それ以外は全てが謎。
G級8位【???】???=???
???
G級7位【黒鬼】靱
無事藳とは師弟関係。こちらもそれ以外は謎に包まれている。礼儀正しい穏やかな男
G級6位【狂騎士】ジェイド=フランケスト
こちらもまた、無門と同じ一夜を過ごしたと一時期噂になったが、真相は定かではない。
G級5位【???】???=???
???
G級4位【銀終】ヒト
未だ行動がわからず、制御がきかない。
無門にどこか興味を抱いている。
G級3位【紅き破壊の流星】レオン=ニルナード
無門に溺愛している。それ以外は不明。
G級2位【雷神王】???=???
こちらもまた無門に溺愛している
G級1位【白き滅びの姫】ナシェエルカ=ファミエルナ
姉のG級一位空席により、代わりとはいえ、その実力は姉より格段に強くなっている。
しかし、姉である花恋の実力はそこがしれず、本当に上かどうかは分からず、それは妹も同じであり、欠点といえば、妹のナシェエルカは制御が効かず、一時期は無門を姉の仇として殺すと思われていたが、逆に無門に興味を持っている。
ナシェエルカはこの頃も今も“人間嫌い”で有名