魔法科高校の劣等生〜影は夕闇に沈む〜    作:ジーザス

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自宅では毎月定期的に健康診断を兼ねて、魔法力の成長度を検査している。毎月といっても達也や深雪は入学式の前日に行っただけだが。幼い頃から続けているため、毎月と言ってしまうのだ。

 

「順調だな深雪」

「え、あの、はい、ありがとうございます///」

 

深雪が顔を紅くしているのは褒められて嬉しいだけではない。検査をするために、薄着になっていたから恥ずかしいのだ。診察着の下は下着のみであり、しかも診察機が勘違いしないように白色にしたのがマズかった。

 

仕方ないのだがそれが余計に深雪の羞恥心を煽っていた。只でさえ零と口添えをしたこともないのに、白の下着を見せるなど恥ずかしさの度を越えていた。

 

「前回より数値が上がってるから問題なしだね兄さん」

「ああ、順調でなによりだ」

 

身体的な問題も診られず、検査毎に成長していく婚約者を見て零は穏やかに微笑むのだった。

 

 

 

 

 

 

新入生勧誘週間。

 

これは各クラブが成績優秀者をこぞって勧誘する1週間のことを指す。この1週間以外でも入部することは可能だが、部活に入部する生徒の8割が、この1週間でどのクラブに属するかを決める。

 

風紀委員にとって1年の中で一・二を争うほどの多忙さであるため、卒業生分の補充が必須とされている。例年補充が間に合わないことも多いが、零の手はずのおかげで今年度は間に合っていた。

 

「…ということで私闘が多発するから君は放課後本部に来てくれ」

「分かりました。従兄さんはどうする?」

「俺は生徒会室でゆっ「零君にも巡回してもらうからよろしくね」…」

 

どうやら問答無用で駆り出されるらしい。

 

「俺は風紀委員ではありませんが?」

「サボるなら働け」

「生徒会室は少人数の方が楽だから」

「私は零従兄様の活躍を耳にしたいです」

「…」

 

完璧な包囲網だ。特に深雪に言われれば零はどうしようもない。

 

昼休みの間、零はややふて腐れていた。

 

 

 

放課後、零は摩莉の横に立ちながら演説を聴いていた(精霊と話しながら…)。

 

「今年もまたあの馬鹿騒ぎの1週間がやってきた。だが今年は卒業生分の補充か間に合った。紹介しよう1-A 森崎俊と1-E 司波達也だ」

「役に立つんですか?」

「長谷川、俺とやるか?」

「…やめときます」

「では出動!」

 

委員達は右拳を左胸。つまり心臓に当て本部を後にした。残ったのは達也と森崎を含めた4人だけだ。

 

「一応レコーダーを渡しておくが、無理に録画する必要は無い。風紀委員の証言は、原則としてそのまま証拠として採用されるからな。あと巡回中は腕章を両腕のどちらかに巻いておくこと。CADの使用は一々誰かの指示を仰ぐ必要はないが、不正使用が発覚した場合は委員会除名の上、一般生徒より厳重な罰が与えられる。まあ、去年約1名が軽い罰則を受けているがな」

 

意味ありげに視線を向けられた零は、窓の外を見ながら「今日はいい天気だな」と緊張感の欠片もない台詞を発した。何故除名されているはずの生徒が、今年も臨時風紀委員として役回りがあるのか。聞きたくなった達也だが、時間の無駄なので聞くのをやめた。

 

「質問があります」

「許可する」

「CADは委員会の物を使用させていただいてよろしいですか?」

「構わないが。あれは旧式だぞ?」

「旧式でもあれはエキスパート使用の高級品ですよ。調整や使用が難しいので敬遠されていますが、しっかりと使えるようになれば、今のCADとなんら遜色なく使用できます。それに従兄さんが調整していたならばそれ以上です」

 

実際、去年のうちに零は委員会の放置されていたCADの調整や故障品の修理を行っていた。そのおかげか風紀委員の会のCADmは型が古いにもかかわらず、現行CADとなんら遜色なく使える代物になっていた。

 

「そんなものを去年までゴミのように扱っていたのか。いいだろう許可する」

「では、この2つをお借りします」

「2つ?」

「達也は同時に2つのCADを使用できるんですよ」

「実技が良くないのにか?」

 

摩莉の言い分はもっともだが少しズレている。

 

「確かに達也は実技が不得手ですが。学校の評価基準とは違う方法で調べれば、達也はそこら辺の魔法師より上ですよ」

「おっと話が脱線したな。今はそんな話をしている暇はなかった。では頼んだ」

「「はい!」」

 

零を先頭にして、2人は巡回に向かうのだった。

 

 

 

 

 

そして帰り道、達也と深雪を待っていたレオ達とカフェに寄ることになった。話題は達也の無双についてだった。

 

「その上級生は、殺傷性ランクがたけぇ魔法使ったんだろ?よく無事だったな」

「よく切れる刀とそう大差ないからな。間合いさえ取ればそれほど驚異じゃないよ」

「…そんなこと言う達也君の方が驚異ね」

 

エリカの呟きは、自分の本心以外にレオと美月の内心を代弁した物でもあった。

 

「達也にとってあれは烏合の衆だからな。あの数なら余裕だ。むしろあれでかすり傷でも受けていたら、明日の朝まで稽古だったんだけどな。実につまらん」

「従兄さん、修行は死ぬからやめて本当に」 

 

達也の声音は本気でやめてほしいと訴えていた。

 

「明日からまた勧誘があるからな。あと6日間は気を抜かずにいないとな」

 

零の呟きを達也達は何も起きないことを祈りながら家路についた。

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