遅くなってしまい、大変申し訳ございません。
またプロットを練り直し、当初の予定よりも大幅に展開を変更した関係上、本編に全面的な改稿を行なっています。そのため元々の『緑谷出久はサイコな二重人格のようです』とは、いくつかの点においてニュアンス、展開ともに異なったものとなっております。むろん、元々の原稿あってこそのこの作品ですので、極力その内容を破壊することがないように努めてはおりますが、それでも大幅な変更を余儀なくされた部分はありました。
この話の前の話は、特にそれが顕著な部分です。本編最新話は体育祭の真っ只中ですが、それよりも先に、新生『サイコ・デク』をお楽しみいただくために、この話と合わせて前の話を読むことをお勧めいたします。
「ひどいな……」
すえた臭いに顔をしかめ、その男は神社の境内の一角にある「現場」に入っていった。
抹消ヒーロー:イレイザーヘッド。対
そこには、数人の男たちが──否、さっきまで男たちだったものが横たわっていた。全員、急所を武器で破壊されて死んでいる。
(ナイフ……いや、違う。止めはあくまでも拳だ……どういうつもりなんだ、この
考えつつ、イレイザーはさらに奥へと進んでいく。
「失礼、ヒーローライセンスを拝見させていただきます」
ふと、所轄の刑事からそう言われ、彼はポケットからライセンスを取り出した、会釈してそれを受け取る男を横目に、イレイザーは現場を一瞥した。
「イレイザーヘッド……なぜここに?」
「まあ職場の近くなんで、気になってな……」
ふと、彼は言葉を切った。気になるものを見つけたからだ。手袋をはめ、彼はそれを拾い上げる。
「ナックルダスター……」
「ナックル……ああ、メリケンサックですか。たしかに、なんでそんなところに落ちてるんですかね」
それは死体の横に、まるで現場の発見者に拾わせることを目的としたかのように堂々と、ある種の作為の匂いを伴って落ちていた。
「犯人からのメッセージか、あるいは……」
そこで、イレイザーは嫌悪感を露わにした。
「……どうしました?」
「いや、なんというか……嫌な奴の顔を思い出して」
「はあ……」
あいまいな反応を返した後で、彼は再び口を開いた。
「しかし被害者の打撲痕……たぶん拳でやられてるんですが……ここ数年、このような事件が各地で頻発してるんですよ。何か知りませんかね」
「……このような、というのはつまり、不良やチンピラの類いを撲殺している輩について、と──」
「まあ、そうなります。ただのいざこざならいいですが──被害者が死んでるとなると話は変わってきますからね」
「なら知らないな。そんなチグハグな奴は」
「チグハグ、ですか」
「ああ。拳での犯行というのは、示唆的で──こう言って良ければどこか英雄的だ。自己顕示欲か、承認欲か、あるいはその両方か……とにかく、人殺しまでやるような奴の武器としちゃ二流だな。刀傷もあるんだとしたらなおさらだ。そいつは刃物やら何やらを使うような
「流石、専門家ですね」
バツが悪くなり、イレイザーは一つため息をつき、
「とにかく、個性犯罪かどうか分からん相手は、一先ずはあんたらの仕事だ。後は任せたぞ」
と言い捨て、その場を足早に去っていった。
なお、今後は隔日更新になります。