「晴明さん達来てたんですか。言ってくれれば挨拶したのに」
「ああ。そういえば柳さんあの人達に呪術学んでましたね。色々手を出して中々器用貧乏ですよね」
「まあ鬼灯様の手伝いするなら色々出来た方が良いですしね……」
上空の魔法陣から現れ捕まり、新たに現れ捕まるを繰り返す魔法使い達を尻目に会話する柳と鬼灯。と、不意に鬼灯の携帯が鳴った。
「はい、もしもし………ああ。解りました」
鬼灯は携帯をしまうと外を見る。
「どうやら予想していたより数が多いようです。術式を編み直すのに時間がかかるようなので、少し時間を稼いで来ます。それと、件の吸血鬼は何処に?」
「あの旧校舎だ」
「成る程」
鬼灯は窓を開けると縁を蹴り旧校舎に突っ込んだ。
旧校舎から人が数人程吹っ飛ばされてきて、暫くすると女子制服を着込んだ少年を抱えて戻ってきた。
「……………」
「それでは私は外の掃除を。此方に来たらお願いしますよチュンさん、柳さん」
「はい」
「あいなー。私達師弟に任せるよ」
鬼灯はチュンの言葉に頷くと外の魔法使い達をボコボコにし始めた。普通に捕縛されてた方が天国だったかもしれない。
「………あれ?」
「あ、動いた」
と、漸く動き出したイッセー。曲がりなりにも赤龍帝と言う事だろう。
「あ、あれ……ギャスパー?何でここに……」
「きゅう……」
「お、おいしっかりしろギャスパー!」
「ああ、成る程。気絶させた方が早いというあれか……」
鬼灯が神器の暴走を止めた手段が解った柳は肩を竦める。と、その言葉に反応してイッセーが柳を睨んだ。
「てめぇら、ギャスパーに何しやがった!」
「いやだから気絶させたんだって。鬼灯様が」
「私の可愛い下僕に、よくもやってくれたわね」
「可愛いなら近くに置いとけ。それが今回の事件の原因だろ」
「だからって傷つけて良いと思ってんのか!」
「え?うん、思ってるけど……」
イッセーの言葉に柳が困惑したように返すとイッセーは柳に掴みかかろうとして、チュンに蹴り飛ばされた。
「イッセー!よくも──!」
「イッセー君!」
「やめないかリアス!」
魔力を迸らせたリアスと聖魔剣を生み出した木場は魔王の言葉に止まる。
「今は味方同士で争っている場合じゃない」
「ですが!」
「柳様……」
魔王の言葉に食い下がり、自分への敵意を収めようとしないリアスを無視していると、三子が袖をクイクイ引っ張ってきた。しゃがむと耳の周りを手で隠し口を近づける。
「これ
「間違いなく。まあ、頑張れ……」
「柳様知ってたの黙ってたこと言う」
「………………」
柳は三子の目をジッとみる。三子もその目を見返す。
「………手柄を立てよう」
「ん」
「ここに今回の件の首謀者が現れる。せーの、で倒すぞ」
「解った」
三子はコクリと頷く。
「ごきげ──」
「「せー──」」
「え?ぐは!」
「「──の」」
会議室の床に魔法陣が浮かび上がった瞬間、柳と三子は駆け出す。そしてどや顔で現れた女性に向かって『せ』の時点で殴りかかった。息ぴったりの二つの拳は女性の腹に一瞬の差もなく当たり女性を校庭に吹っ飛ばした。
「おや?」
地面に頭からめり込んだ女性を見て鬼灯は首を傾げる。その手には今回最後の魔法使いの首が握られており、その魔法使いも次の瞬間光の縄に拘束された。
「ああ、術式を書き換え終えたのか。しかしこの女性には必要なかったろうに………」
もはや動ける状態ではなさそうな女性を見て、もう少し角度を変えてみるかと足を掴む鬼灯。と、そこへ柳と三子がやってきた。
「鬼灯様。今回の襲撃の主犯です。俺と三子で倒しました。三子は抜け駆けしようとしたけど」
「我と柳様でワンパンだった。柳様抜け駆けしようとしたけど」
「ふむ……」
なら取り敢えずもう少し厳重に縛り付けておこうとした時、カランと何かが落ちる。
「「──!」」
それは蛇の入った小瓶だ。柳と三子はソーッとその場から去ろうとする。小瓶を拾った鬼灯がそれを三子に向かって投げると中の蛇はガラスをすり抜け三子に吸収された。
「三子さん、柳さん。フンコロガシ屎泥課一週間勤務………おっと」
鬼灯の言葉に柳と三子が同時にうなだれるとその頭上を通過して魔力の固まりが飛んでくる。鬼灯がそれを撃ち返すと上空にいたヴァーリが弾く。
「流石だな。死角を突いたのに、反応するか」
「どういうつもりですかヴァーリさん」
『やめろヴァーリ!地獄に落ちるぞ!本物の地獄はなぁ、地獄じゃなくて彼奴を相手にすることだぞ!』
「ふっ。地獄、か……二天龍のお前がそこまで言う相手だ。挑まぬ訳には行かないな」
と、その瞬間には鬼灯が目の前にいた。
「くっ!」
『Divide!!!』
半減した瞬間鎧の宝玉が全て砕け散りエネルギーを排出する翼が暴発し、鬼灯がヴァーリを吹っ飛ばした。
そしてそこに中華風の鎧を着た男が現れた。
「ヴァーリ、迎えに来たぜぃ………っておいどうした!?」
「おや新しい人が。まあとっつかまえれば同じか」
「ッ!まさか此奴、爺の言ってた敵に回しちゃ行けねー常世の鬼神か!?」
と、男はヴァーリを抱えると逃げようとする。当然追おうとする鬼灯。が……
「こ、の……なめるなぁぁぁ!」
三子と柳の拳を食らい気絶していた女が目を覚まし大量の水を放つ。鬼灯が拳を振るった拳圧で水を吹き飛ばす。ヴァーリ達はその間に逃げた。
「っく、拘束を解きなさい!私は真なる魔王、レヴィアタンの末え……ぐげ!」
何か訴えようとした女性の顔面に鬼灯の金棒の先端がめり込む。
「何が真なる魔王ですか!貴方達、ベルゼブブさんが一人では纏めきれないと選んだ四天王の末裔でしょう。ああ、そういえばあなた方の祖先は彼奴が過労死した途端魔王を名乗り始めたんでしたっけ」
「な、何を言って………ぐへ!」
「しかもマモンがサタン様の旧名を名乗って自分はサタン様と同等などと言い出す始末。そのくせやったことは過去の改竄と我々への迷惑」
「いた!やめ、ちょ……助け──!」
ズンズンと何度も金棒の先端を顔に叩き付ける鬼灯。三子は無表情で柳の後ろに隠れグイグイ柳を前に押し出した。
「魔王を名乗るなら王らしく、統治をして欲しかったものです」
「ぐべぇ!」
トドメに腹を踏みつけ気絶させる鬼灯。そのままクルリと振り返り柳達と三大勢力を見る。
「では我々はここで帰ります。堕天使は裏切り者を出した責任。悪魔は騒動の元凶を監視もせず放置していた責任。キッチリ取ってもらいますからね」
「では皆さん。また何時か」
五道転輪王が優しい笑みを浮かべるが、誰一人安心できた者は居ない。チュンは五道転輪王を担ぐと窓から飛び降りて鬼灯達の後を追った。
「おれ、会談から戻ったら総督辞めるわ」
「殺すぞ。逃げるのは、返って逆効果かと」
「お前今めっちゃドスの利いた声で殺すとか言わなかった?」