リリスという悪魔がいる。
元々は聖書における原初の女であり、
その後数々の悪魔と交わり多くの悪魔を生み出した女の大悪魔だ。ここまでが本来のリリス。
そしてその後、浮気を許すという条件の下ベルゼブブと婚約し、ハデスと食事したり魔女から変なクスリ貰ったりする。これが鬼灯の冷徹の設定。
息子を生んだ後、前ルシファーによる術式と儀式で「初代」と呼ばれる上級悪魔たちを産み出したが、無茶な実験の副作用で醜悪な肉塊の状態になってしまう。
これがハイスクールD×Dの設定だったような気がする。
柳は記憶を何とか絞り出し、鬼灯に尋ねる。
「因みにリリス様と誰の子ですか?」
「ルシファーを名乗り始めたマモンの子です。彼奴とは結局子が出来なかったんですよね……」
「ん?じゃあ旧ベルゼブブって……?」
「リリスさんと夫婦関係だったことを知っているんですか。旧魔王のベルゼブブは養子ですよ。仕事が増え、プライベートも減り、しかしまた上を失うことを恐れた周りに催促され養子を取ったんです」
「……………」
何かもう、旧魔王派、何というか………うん。
まあそれでも、一応高い力を持つ悪魔の血は引いているのだろう。柳は取り敢えず魔王の血筋であると思うことにした。負けてるけどね。
「因みに現在フンコロガシ屎泥課で働いています。まあ、お二人が行った材料集めの場ではなくその奥、より臭いを追求した研究所ですが」
「何でそんなところに!?」
「元々は息子に『子供の才能が怖くて付き合い方が解らない?夕日の中殴り合え』と、暴力を促したとして刑罰を与えようと思ったのですが何分悪魔の王の一人の血族。取り敢えずフンコロガシ屎泥課に送ったのですが、自分の作ったウ○コの出来で苦しむ亡者を見るのが楽しかったらしくてそこに就職しました。一部の獄卒達からは畏怖と敬意を持って『ウ○コ潜り』と呼ばれています」
それ絶対畏怖と軽蔑だ、と三子と柳は思った。
「おーい鬼灯様、俺を呼ぶなんてめっずらしい事もあったもんだねぇ!見てくれこれ最新版の屎泥!ふたを開ければここら一帯が無人になること間ちが───!!」
ドゴォ!と鬼灯の金棒が銀髪の男の顔面を捉え、男は吹っ飛ばされていった。持っていた瓶は割れないように配慮されているのかゴムに包まれておりボトッと虚しく落ちた。
「持ってくるなと何時も言っているでしょう!」
「さーせん。俺アンタに怒られるのが大好きなもんで。何つって、本当は人を怒らせるのが好きなのさ!死なない程度でだけどね!」
ケラケラ笑った男は三子と柳に気付き、ん?と2人を見る。2人はそっと距離を取る。
「おやおやおやまあまあまあ!まさか噂の生きた人間君かい?めっずらしいねぇ!たか君以来じゃね?あ、たか君ってのは篁の事ね。彼奴も一応地獄の飯食ってたけど短期間かつ本人自身生成りの才能ないから妖怪にならんかったけどね。あ、俺っちリゼヴィム!ルシファーの子だよん。ま、ママンから聞いた話によると本当はマモンらしいけどね。いやしかしあのクソおやじ強欲だよなぁ。本物の魔王の昔の名を欲しがるんだもんよ!」
「早い早い!情報量が多すぎる!篁さんが何だって?」
「そうそうたか君と言えば美人の嫁さん持っててさぁ?俺も誰か嫁見つけたいんだけど仕事先のせいで出会いがなく───ぐへ!」
リゼヴィムは鬼灯のビンタに吹き飛んだ。
「失敬失敬。ここじゃ俺ちゃんを魔王の子として崇める奴とかいないからさぁ。普通に接してくれる奴らが多くてついお喋りになっちまって」
パンパンと埃を払いながら立ち上がるリゼヴィム。ニヤリと笑った後、鏡を取り出し少し違う表情でニヤリと笑う。
「俺はリゼヴィム・リヴァン・ルシファー!フンコロガシ屎泥課の「ウ○コ潜り」たぁ俺の事よ!」
「…………臭い」
「ああ、消臭剤ぶちまけたみたいな臭いがする」
三子は鼻を押さえ柳の後ろに隠れる。リゼヴィムからは、くどいほどのフローラルな臭いがする。くどすぎて最早悪臭の域だ。
「ん?でもウ○コの臭いよりはましだろ?俺毎回出る時に消臭剤で満たした浴槽に五分は浸かるのよね」
そりゃここまで臭くなるわけだ。まあ確かに糞尿の臭いよりはマシかもしれない。
「ところで、何で地獄に?」
「ああ。俺っち戦争終わると同時にクソおやじに肉塊にされたママンを連れて地獄に来たんよ。ママンが言ってたからねぇ、日本の地獄は世界中の神話が不可侵にする程って聞いてたからさ」
「その辺はハイDなのか……」
「ママンは今治療中だぜ」
「まあ、旧魔王派の襲撃の責任として魔王の地位と財産で集められるだけフェニックスの涙と血を受け取ったので、これも試してみましょう」
「……お、マジで!?もう人型には戻ってるしそれで目覚めるかもな!」
「……………」
嬉しそうにするリゼヴィムを横に、柳はん?と首を傾げる。母親が目覚めない、何か似たようなキャラが居たような。
「目覚めたらお前にも紹介するぜ。ママン男が好きだからなぁ……あの偏屈なハーデスとも食事したことあるんだぜ、すごくね?」
「まあハーデスさんって逸話的に考えて面食いでしょうからね」
「会ったことは無いんですか?」
「ありますがその時別に女性を連れていたわけでは無いので」
会いはしたのか。やっぱりこの人凄いな、と思った柳。
「あとなんか極東の鬼の力を見せてみよとか言って模擬戦をすることになったんですが、時間もなかったので死神全員同時に相手にしました。しかし数も数なので手加減忘れて全員全治一ヶ月ほどの怪我をさせてしまいまして、あれは苦い思い出です」
鬼灯の言葉にリゼヴィムは腹を抱えてゲラゲラ大笑いしていた。