鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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平獄卒ゼファードル

 会談の後は若手悪魔達の顔合わせ。これは悪魔の行事だ。他の種族はでない。

 

「………レーティングゲームは無しか。レヴィアタンが私情を出さなかったか?」

 

 悪魔からのレーティングゲーム見学の誘いは本来予定通りだった。そして、一端地獄に戻る事になった。ゼファードルを連れて。

 

「くそ!何で俺が雑用なんてしなけりゃなんねーんだよ!」

「はい!」

「げふぅ!?」

 

 ついていくことを嫌がり帰ろうとするゼファードルはチュンの頭突きで吹っ飛んだ。

 気絶したゼファードルを連れて一同は地獄に戻った。

 

 

 

「事情は解りました。一週間よろしくお願いしますゼファードルさん」

「はん。最初っからそうやって下手に出てりゃ良いんだ───へぶら!?」

 

 ゼファードルは鬼灯に対して偉そうに鼻を鳴らし金棒で壁まで吹き飛ばされた。

 

「て、てめぇ!俺にこんなことしてただですむと思って──!」

「黙れ」

「──!?」

「ここではお前はただの悪魔だ。ようこそ、権力の通じない地獄へ。歓迎しますよ平獄卒として」

 

 ギロリと睨まれひぃ!と後ずさるゼファードル。

 

「本来は処刑されても可笑しくない国賓、それも他国の王への無礼をたかが雑用ですませているんです。裏を返せば死なない程度ならどんな罰を与えても良いと言うこと。それがいやならキチンと働け」

 

 

 

 

「五道転輪王庁は最後の裁判所よ。ここに来る前に裁判終わる事が多いから暇と言えば暇ね。そういう時は他の庁の手伝いしたりするね」

 

 つまり基本的には他の庁の雑用みたいなもの。

 

「でも運いいね。今日は裁判あるよ」

 

 

 

「地獄はいやだぁぁぁぁ!」

「ほら、早く追いかけるよ」

 

 チュンが言うがゼファードルはふん、と鼻を鳴らし動こうとしない。

 

「行けって」

「ぬおおおお!?」

 

 チュンはゼファードルの襟を掴みぐるぐるぶん回し亡者に向かって投げつけた。

 

 

「どーもどーも。雑用頼める悪魔さんでーすね?私は芥子っていいます」

「…………兎?」

「はい。かちかち山の兎です。あ、かちかち山についてはこの本を読んでください」

 

 ゼファードルは絵本かよとぼやきながら、監視のチュンを見て大人しく読む。

 

かちかち山

 

 昔々あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。お爺さんの畑には、野菜を盗む狸がおりました。

 

「一粒の種は、一粒の種さ。芽ぇはでないよ実らないよ~」

 

「なんだこいつ、いやな奴だな」

 

 お爺さんは狸を捕まえましたが、可哀想に思ったお婆さんが縄を解いてしまいました。

 

「はっ。バカだろこの婆、また畑が荒らされるぞ」

 

 狸はお婆さんを殺し皮を剥ぎ被り、お婆さんの肉で汁を作りお爺さんに食わせました。

 

「………は?」

 

 

 

 

 兎は櫂で狸を何度も叩き、とうとう狸を殺しました。

 

「……………」

「懐かしいでーすね。でも安心してください。私はもうやりすぎたりしませーんよ」

「だ、だよな。悪いのはこの狸だし……」

「…………ぬき、狸………おのれ狸おのれ狸おのれ狸おのれ狸おのれ狸おのれ狸おのれ狸ぃぃ!」

 

 兎どんは叫ぶと亡者達を櫂で叩きました。何度も、何度も。そして藁の上に寝かせカチカチカチカチ石を鳴らし亡者を灰にしました。

 

「……………」

 

 ゼファードルは顔を青くして芥子の行いを見ていた。

 

 

 

「それはあっち、それは此方に」

「………やってられっか!」

 

 ゼファードルは巻物を地面に向かって投げつけ──ようとしてチュンの視線に気づき止める。

 

「そもそも彼奴は何もしねーんだよ!」

「チュン様はデスクワークが出来ませんから」

「俺だって出来ねーよ!出来ないからってやらなくて良いんなら俺だって何もしなくて良いだろう──がぁぁ!?」

 

 チュンの蹴りで壁にめり込むゼファードル。チュンは引っこ抜くと地面に下ろした。

 

「出来ないとやらないは違うね。私は僵尸、細かい作業は向かないではなく出来ないね」

「チュン様も昔はやろうとしていたんですよ。どうしても出来ないのでやめましたが」

「は?第一補佐官様がくだらねぇ事やるな」

「くだらなくないね。私鬼じゃなくて僵尸。でも皆受け入れてくれたよ。役に立ってあげたい、でも私暴れるしかできないね。ならそれを貫いたまでよ」

 

 

 

 柳は一週間、訪れるであろうチュンの地獄の特訓をどう切り抜けるか考える。とはいえチュンに交渉が通じるとは思えない。チュンと交際経験のある白澤に尋ねたら諦めろと言われた。

 

「ゼファードルには悪いこと───してないか。利用したとは言え本来なら極刑モノだしな」

 

 これから鬼灯と出迎えにいく。絶対反発してるだろうし、人の形を保っていると良いのだが。

 

「ゼファードルさん、一週間お疲れさまでした」

「うっす!一週間ぶりっす鬼灯さん!」

「………何でしょうこれ。一昔前のヤンキーみたいなノリ」

「何があったんすかねコイツに」

 

 ヤンキーからヤンキー(舎弟)にシフトチェンジしたゼファードルを見て困惑する二人。

 

「あ、柳。丁度良いとこ来たね。さ、さっそく修行始めるよ」

「………はい」

「柳さん。大丈夫ですよ、一度死んでも亡者になるだけなので」

「大丈夫な要素はどこに……」

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