鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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浄玻璃の鏡(レプリカ)

「リリン………!」

 

 リゼヴィムの素顔を確認した途端、アザゼルは忌々しげに顔を歪ませる。

 

「てめぇ、何で………!」

「閻魔大王殿。これは一体……」

「大戦終結後暫くして、保護を求めてきたので保護しました」

 

 と、狼狽する二人に鬼灯は淡々と応える。

 

「そゆこと。だから俺は禍の団にゃ所属してねーぜ。地獄で獄卒やってんの」

「事実です」

「そいつが実の孫に何したか知らねーのか?」

「存じてます。だから罰を与えました」

「な!?貴様、高々小国のあの世風情が偉大なるルシファーの血ぞ───!?」

 

 叫んだ上役悪魔の顔面に金棒がめり込む。鬼灯はそれを引き抜くとついた鼻血を気絶した男の服で拭く。

 

「ケケケケ!そう言うことだよん。つ・ま・り!俺は地獄所属の国賓なんだぜ?手ぇ出しちゃ駄目よん。だが俺はルシファーだ。悪魔側からしたら無視できん言葉だよねん♪」

「「「………………」」」

 

 確かにその通りだ。しかもほぼ全ての旧魔王が寝返った中禍の団に属さぬルシファーとか、ネームバリューが大きすぎる。

 

「つーわけで黒猫ちゃんは地獄で保護する。何なら地獄特製浄玻璃の鏡使う?変成王様からレプリカ借りてきたし」

 

 そう言って懐から取り出した手鏡を掲げるリゼヴィム。その中に、なにやら映像が映りだした。

 

『クレーリア・ベリアルは余計なことを知った。殺せ。幸い、理由はある』

『はっ。かしこまりましたゼクラム様』

 

 ありゃ?と首を傾げるリゼヴィム。うっかりスイッチを押してしまったらしい。

 

「停止ボタンどれやったかなぁ?」

 

 と、適当に弄ると画面が変わる。

 

『貴様等に王の駒をやろう。これがあれば、貴様等は力を手にする。が、対価として勝敗は我等に従え』

 

『素晴らしいぞ!姉でこれなのだ、まだ幼いうちに育てればあの白猫も!』

 

『ああ、サーゼクス。どうして貴方はサーゼクスなの?』

『僕の手を取ってくれグレイフィア。そうすれば、僕は君に全てを捧げよう。君が好きだ、愛している』

『嬉しい。私も、愛しているわサーゼクス』

 

『ククク!出来たぞ、これぞ(ブレイ)(ザー・)(シャイ)(ニング)(・オア)(・ダー)(クネス)(・ブ)(レード)!!』

 

『ぷぷ!アザゼル、こんなモノを……ばらまいてやりましょう』

 

『儂、格好良すぎない?眼帯に髭とかマジしぶくね?しかも普段ふざけてるとか超強いじじいキャラまんまじゃね?』

『は、はあ……』

 

 

『こうか?いや、ここはこうして………ここで黄昏を行おうではないか。ふ、流石私。どんな台詞、姿勢でも格好良すぎる。む?何だフェンリル、その顔は……』

 

『ううう、彼氏欲しい……彼氏欲しいよぅ』

 

『ああ姉さん。今日も綺麗だよ姉さん。こんな抱き枕ではなく、何時か本物も抱きに───』

 

 画面が次々変わり喧しいので鬼灯が奪い取りスイッチを切った。

 

「サンキュー鬼灯様!」

「待ってくれ。情報が多すぎて追いつかなかったが、今ゼクラム殿がクレーリア・ベリアルを殺せと言ってなかったか?いったいどういう……」

「え?そりゃゼクラムおじちゃんが王の駒の存在知られたから殺そうとしてた過去が映っただけじゃ……あ、やべ。今の無し」

 

 と、慌てて口を押さえるも多くの視線がゼクラムに向き、またゼクラムから数人の者が視線を逸らす。それが何よりの証拠。ゼクラムが何かを叫ぼうとし魔王達が反応しようとした瞬間。

 

「おらぁ!」

 

 ベリアル家当主がゼクラムの顔面をぶん殴った。

 

「殺す!覚悟しろゼクラム!」

「待て、貴様……余所の神話を信用するつもりか?」

「少なくともてめーより信用出来らぁ!」

「ぐふ!?」

 

 滅びの力で応戦しようとするも「無価値」に変えられ何度も何度も殴られる。その形相に他の者達は止められないでいる。

 

「………リリン、貴方何かしたの?」

「俺は事前に姪を殺した奴は貴族の中にいるって教えてあげただけだよん?誰かは言ってなかったけどうっかりうっかり♪」

「お前が、泣くまで、殴るのをやめない!」

「………魔王様方。この件については?」

 

 鬼灯は頭を押さえはぁ、とため息を吐きながら魔王達をジロリと見る。

 

「そ、そうだね。ゼクラム殿は、初代悪魔の生き残りで、地位もある。まずは事実と照らしあわせて検討し──」

「私は、検討すると言って何もしない輩をみると殴り飛ばしたくなるんですよね」

「今すぐ私の眷属に証拠を集めさせてこい!早急にだ!」

 

 サーゼクスの言葉に控えていた兵士が動き部屋から飛び出した。ベリアル家当主はふぅ、と血に染まった拳で額の汗を拭いていた。

 

「彼、素質ありますね。受堅苦悩不可忍耐処(じゅけんくのうふかにんたいしょ)十一炎処(じゅういちえんしょ)で働かせてみたいですが………貴族はなぁ」

「貴族じゃなかったら誘う気だったの鬼灯君?」

「ええ。あれは芥子さんタイプです」

「あー」

 

 地獄はどこまで行ってもマイペース。

 

「………ふむ。ワシ、もう入っても良いかのう?」

 

 北欧の主神は嫌味の一つでも言ってやろうとしたが、目の前に広がる混沌に顎髭を撫でた。

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