鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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夏場の心霊スポット

「イチョウ、電話取ってくれ。冥界に電話する」

 

 柳が言うとイチョウは黒電話を持ってくる。そして冥界へと繋げる。

 

『はい。外交担当のレヴィアタンです』

「どうも、レヴィアタン様。柳です」

『ひ!?柳さ……君!?あ、ご…ごめんなさい………』

「何故いきなり謝るんですか?ああ、ひょっとして其方でも探してました?」

『へ?』

 

 セラフォルーの声からは嫌な予感がする、と言いたげな気配を感じた。事実その通りだが。

 

「さっきアスタロト家を名乗るガキがアポなしで駒王に侵入した」

『へえぇぇ!?』

「侵入?アポ?何故僕等悪魔がお前達下等な神話に従わなければならない!」

「………これは悪魔の総意か?」

『ち、違──!』

「しかも何だお前?人間か?ふん、悪魔以外の下等な存在で、とりわけ下等な人間が働いているなど──」

『お前黙れよ!本当もう黙ってくれよ!柳様違うんですこれ悪魔の総意じゃありません!だからどうかお仕置きは!』

「しませんて………三子、取り敢えず黙らせろ」

「てい」

「おぶ!!」

 

 柳の言葉に三子が腹を蹴るとくの字に折れ曲がり吹き飛ぶ悪魔。

 

「取り敢えずこれ受け取りにきてください。許可は出しますけど許可証は間に合いません」

『え、その状態で神社いくと凄く熱いんですけど……』

「死にはしませんよ。実際この男も肌から煙出てますが元気で………あ」

『……?』

 

 柳が煙を出している男を見ると三子が男の口に手を突っ込んでいた。

 

「こらやめろ三子。変な黴菌持ってるかもしれない…………蛇出てきた」

「柳様、コイツ蛇持ち……」

「どうやら禍の団と繋がりのある男らしいな」

『………柳様、そいつ私の手でぶっ殺して良いですか?』

「いえ出来れば日本をなめくさったコイツは日本の地獄を骨の髄まで………あと様付けやめてください」

『すいません御主人様』

「悪化してる………」

 

 

 

 

 その後神社の神聖なオーラに肌をチリチリ焼かれながらも蛇の恩恵を失い叫び声を上げる間もなく丸焦げになった男を回収しにきたセラフォルー。魔王辞めようかなどと言っていたので全力で応援すると伝えたら泣きながら走り去っていった。

 男は縄で縛られ引きずられ、階段あたりでゴンガンなっていたが気にしなくて良いだろう。後は鬼灯達に任せて柳は柳で別の仕事に移ることにした。

 

 

 

「あれ、鬼火先生?」

「……………ああ、桐生か。夏休みデビューか?」

「うんにゃ。変装です。深夜のお出かけなので………先生に見つかってる!?」

「別に補導しねーよ。悪ささえしなければ……いや、これも悪さの範疇ではあるんだろうが」

 

 深夜一時。廃墟の前に集まった数人の男女に紛れていた柳に声をかける者がいた。眼鏡を外しお下げの髪を解いた桐生藍華だ。

 

「先生、心霊スポットとか来るんですね」

「んー、仕事柄な」

「仕事って、教師が?あ、そう言えば神社の神主でしたっけ?」

「違うけど、まあ神社の世話になってるな」

 

 表向きには神社に住む教師となっている。地方の宮司の一族だったが長男ではないので神職を継がず、教師になり上京して親戚の世話になっているという設定だ。一応一族との繋がりもあるので時折有休を取ったりしている。と、表向きにはなっている。実際仕事を片してから行くので特に文句を言われた事はない。

 

「てことは出るの、ここ?」

「さあ?入ってみないと」

 

 柳の仕事は、幽霊がいるかどうかの確認だ。夏は兎に角心霊動画や写真がテレビで放送され、その中に本物もあったりする。穏便に過ごしたくても、心霊スポットに足を運ぶ者が多く現れるので見つかることもある。なのでいっそ団体に紛れようとなったのだ。

 

「お迎え課に連絡するだけとは言え、面倒な……どうせ殆どの奴が見えないくせに」

 

 

 

 

(………あー。居るな。鬼灯様のお土産に写真撮っとこう)

 

 廃墟に来ると写真を撮るのが趣味の鬼灯の為にカメラを持参してきたが、予想以上に霊がいる。しかし、この霊達何か違和感がある。

 嫌な予感がするな。と、目を細める柳。

 

「………断ればよかった」

「ん?」

 

 と、友人達とひとかたまりになって話していた桐生がボソリと呟くのを耳にする。

 

「つーか何この幽霊達、変な格好………」

 

 見えるタイプか。

 

「まあそこそこ居るって鬼灯様も言ってたしなぁ」

 

 霊はチラホラ見かけるが、そこまで霊力はないのか一般人には見えていないようだ。取り敢えずお迎え課にメールをしておく。

 

「セーンセ、もしかして視える人?」

「視えてる。けど、なんかここの霊変な奴らばかりだ」

「うん。なんか不気味だよね………ここさ、昔火事あったんだって。その火元の部屋、行ってみない?」

 

 

 

「ふ。よく来たな生者べ!?」

 

 火元の部屋に来た瞬間、柳は代表して喋った霊のボスと思われる男を蹴り飛ばした。

 

「先生!?」

「しまった。何故かムカついて……」

 

 眼帯、包帯、カラコンをした霊の群れに異様に腹が立ったのでつい足が出てしまった。

 

「どうしたのいきなり!?そこ、幽霊居るよね?」

「………変な尋ね方するな。一目瞭然だろ?」

「私幽霊の彼処の大きさ視てるだけだから男の幽霊が沢山居ることしか解んない」

「………おかしな能力だ。ここにいる霊は皆眼帯つけたり包帯巻いたりカラコンしたりと珍妙な奴らばかりだ……」

「………センセー、ここの霊達中二病だよ。放火の原因、黒魔術とか言ってたし」

 

 桐生の言葉に幽霊達はいやー、はははと陽気に笑う。

 

「結局失敗して火事になっちゃったけどな!」

「でも幸い死者出てねーし」

「ふっ。それは我が異能のおかげよ」

「………お前等さ、家族やここの住人に迷惑かけた自覚あるか?」

「まあ若気の至りってやつだろ」

 

 

 

 

「お迎え課のおぼろ車、到着で───何じゃこりゃあ!?」

 

 沢山居るとのことでおぼろ車を連れやってきたお迎え課が見たのはボコボコにされた幽霊達と、幽霊の一人の首を掴み持ち上げる柳。その柳を観察する少女だった。

 ちなみに柳は幽霊の血を浴び血だらけだ。

 

「もういっぺん言ってみろ」

「か、へ……何……」

「もしくは今すぐ謝れととっても構わない」

「ご、ごめんなさ……」

「謝る理由を明確に述べろ首の骨へし折るぞ」

「沢山の他人や家族に迷惑かけて若気の至りで済ませてすいませんでしたぁぁぁ!」

「ねーねーセンセー。そこにも何か居るの?明らかに人のサイズじゃないけど………子犬?」

「小さいのか?いや、小鬼と子供残したこと考えると小さい方が自然か?地獄からの使者だよ」

「地獄!ついに来たか!我等が向かう煉獄が!」

「おもしろい!貴様等が我らに行う責め苦など、雨風にも劣ると知るが良い!」

 

 と、地獄という単語を聞きやたら元気になった幽霊達は柳が指をゴキバキ鳴らすと大人しくおぼろ車の中に入っていた。

 

「先生って、祓い屋?」

「今回の仕事は死神にちけーかもな。あの世に送ったわけだし………ちなみに日本地獄で働いてるだけだ」

「十分凄い気もするけど……あれ、それ言って良いの?」

「記憶消すってのは基本的にしねーのが日本神話のやり方だからな。つーか桐生、お前アレ限定とはいえ幽霊視えるみたいだし、うちで巫女やらね?」

「巫女?」

「イチョウが言うんだよ。神職が欲しいって……近いうちに祭り行いたいみたいだしな。ちなみにこれバイト代」

「うちバイト禁止されてないしねー……こんなにもらえるなら良いよ」

 

 

 

 

 

「ディオドラ・アスタロトは日本の地獄に送るのは決定として………私が一度ぶち殺して良いですか?」

 

 と、セラフォルーが死んだ目で呟く。 

 

「後にしてください」

「後なら良いのか!?」

 

 鬼灯の言葉にアザゼルが目を見開く。

 

「ディオドラを拷問してみてわかったことは殆どありませんでした。単なる下っ端………それ以下でしたね」

「そうですか……」

「取り敢えず火髻処か無間闇処かで迷いますね。天界の皆様が聖女としていた女性を多く騙しているわけですし。僧侶の男はそちらに任せます、ディオドラの手引きをしていた元神父。あなた方は領地を広げるだけ広げて管理が杜撰すぎる」

「そ、それは……システムが、その」

「言い訳するな。あ、そうだ。天照大神様からの伝言です。天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)天之尾羽張(あめのおはばり)返してください」

 

 と、鬼灯が言うと天使、堕天使の顔がひきつる。

 

「その………天叢雲剣は現在修復中でして………」

「は?折ったんですか?」

「天之尾羽張は神滅具と一体化しててよ…」

「知るか。その神滅具破壊してとっとと返せ。最悪所有者も殺すぞ」

 

 

 

「うむ。似合っておるな」

「ありがとうございます。でもこれ、巫女服じゃないんじゃ……」

 

 と、桐生は己の着た服をみてイチョウに尋ねる。綺麗な着物だがどうみても巫女服ではない。

 

「ああ。祭りじゃ良くあるだろ?神に扮して踊る奴。その役」

「本人……本神居るのに?」

「神は寧ろ人に紛れて祭りに参加する方が好きなんだ。仮面をかぶるのは、正体を隠すため。どちらもな」

「にしても急だね。役所の許可とか平気なの?」

「日本政府の一部は神話と密接してるぞ。だから戸籍とか用意して仕事に就けるし……この町の役人も神の存在を知る側。快く許可くれた」

「………神って結構身近なんだねぇ」

「何せ八百万もいるからな」

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