鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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祭り

「祭りだー!」

「よっしゃー!見ろ元浜、浴衣美人が沢山だ!」

 

 松田の言葉にメガネを光らせ周囲を見回す元浜。とある神社で行われる数年ぶりの祭りだ。イッセーも誘ったが気分が悪いと言うことで来なかった。

 

「イッセーの分まで、俺達で楽しむぞ!あわよくば、ナンパに成功して林の中でぐへへへ」

 

 と、イヤラシい視線を辺りに振りまく松田と元浜。救いようがない。

 

「待て、ていうかこの神社鬼火の神社じゃね?バレたらヤバいぞ」

「確かに………つまり、バレなければ良いというわけか」

「………お前、天才か?」

 

 と、バカがバカな会話をしている中、祭りは始まる。

 

 

「イチョウさん数年ぶりの祭事ですね。おめでとうございます」

「ありがとう木霊。この賑わい、人の気配、懐かしいわ」

 

 小さな少年の言葉に目を細めるイチョウ。人が神の領域に集い、神に感謝を表す日。それが祭りだ。

 

「………先生、あの子は?」

「木霊さん。世界に木が存在した頃から居る神霊で、イチョウよりずっと年上」

「え、あの見た目で!?」

 

 桐生は思わず木霊を見る。どう見ても子供にしか見えない。あれで本当に年上なのだろうか?木が存在した頃からって何億歳なのだろう。

 

「因みにイチョウは500年ほどの神木だ。まあ絶対さば読んでて500後半だろうが」

「喧しい!」

 

 柳の言葉に叫ぶイチョウ。木でも女は女なのだろう。

 

「あ、どうも貴方が桐生さんですね。木霊と申します」

「あ、これはご丁寧に。桐生藍華です」

「本日はありがとうございます。神事など本当に何時以来か。いやまあ、私達からすれば本当はあっという間ではあるんですけど」

「そりゃ時間の感覚違いますからね」

「イチョウさんにとってはまあ少し長いのかもしれませんがね。今日は舞、頑張ってください」

「はーい。あれ、そういえば木が存在した頃からって、神話以前の生まれなんじゃ………」

「そうですよ。ただ、あまり力はありませんしね。なので日本神話の神々の手伝いをしています。まあマザーコンピューターと端末みたいな関係ですよ」

 

 良く解らないが多分、山の神とかに山の現状を伝えるための役目を担ったとかそう言うことだろうか?

 

「因みに木霊さん以外にも日本の祭りをみたいって人が来てる」

 

 と、柳が言うと二足歩行の黒い犬が現れた。

 

「やーやーどーもどーも。私こういう者です」

「すっごい良く解った!」

 

 その犬人間が横向きになるとエジプトの壁画の完全再現になった。確か、死者を裁く裁判所で秤に心臓を乗せる神だ。名前は

 

「アヌビス……様でしたっけ」

「知っていてくれてありがとうございます日本のクレオパトラ!」

「く、クレ……?」

 

 誉められているんだろうか?

 

「そう言えば以前行った神事では褌一丁の男達が百人で唐辛子を煮詰めて丸太に塗って山まで運ぶという事をしてましたが、ここではするんですか?」

「何その訳わかんないイベント」

「私もそこの土地神も首傾げてました」

「…………昔、村の中で特にがたいのいい男が十人ほど銀杏の実を体に塗りつけて踊るという悪夢のようなイベントが……」

 

 と、アヌビスと桐生の言葉にイチョウはゲッソリした顔で呟くのだった。

 

「銀杏と言えばお前もう実を付けないんだな」

「昔は喜んでくれたけど今は異臭騒ぎだし……」

「時代もうつろうな……」

 

 柳はしみじみ呟いた。

 

「さて、私は祭りを回るとしよう。アヌビス殿も如何か?」

「では御一緒させていただきます!」

「え、その姿で!?」

「大丈夫、人間に化けるので!」

 

 と、アヌビスが叫ぶと褐色肌のまあ人間に見えなくはない男に変身した。

 

「では行きましょう!私射的とかやってみたいです。前回は閻魔大王の意外な変装に度肝を抜かれているウチに終わってしまいましたから」

「………神様って、祭り楽しむんだ」

 

 走り去っていくアヌビスを見て頭をかく桐生。というかアヌビスって死の神では?正確には死者を導く神なのだろうが。

 

「神が祭りを楽しむってのは昔からだ。人は神に扮して舞を踊り神に捧げ、神は人に扮してそれをみる。仮面はそれを隠すためのもの。だからほら、イチョウも仮面して祭りに………ドラ○もん?」

「何故そのチョイス………」

 

 手を振り屋台に向かって歩き出したイチョウを見て呆れる柳と桐生。まあ昨今の祭りのお面屋はキャラものも多いし、不思議ではないか。

 

「因みに彼処にいるのが鬼灯様」

「わー。すっごい満喫してる」

 

 金魚が入った袋と水風船と林檎飴と綿飴と袋に入った焼きそばたこ焼きお好み焼き鯛焼きを持った鬼の仮面をした黒い和服の男、鬼灯を見て鬼も神も人もあんま変わんないんだなぁ、と思った桐生であった。

 

「後、地獄のテレビ局が舞を放送したいってよ。どうする?」

「んー。まあどうせ仮面で顔を隠すわけだし別に良いけど」

「まあその後インタビュー来るだろうけど。現世も地獄も要するに顔の良い女だしてりゃ視聴率が上がるんだ」

「喜ぶべき、なのかな?」

 

 

 

「くそぅ!何故だ、何故誰も誘いに乗ってくれない!」

「俺達の何がいけないと言うんだ!」

「っ!待て松田、みろ!あの妖艶な美女を!」

「おお!」

 

 松田と元浜は青い髪の美女を見つけ早速ナンパしようとする。が、先に数人の男達に絡まれていた。

 

「良いじゃん。ちょっと遊ぶだけだって」

「奢るからさ。ね?」

 

 気安く肩に手をかけてくる男。美女は迷惑そうに顔をしかめる。

 

「………松田」

「ああ、ここは助けて好感度を……!」

 

 と、言った時青い髪の美女が片手で男を投げ飛ばした。

 

「ごめんなさいね。私、しつこい男は嫌いなの」

「…………帰るか」

「だな」

 

 

 

「あ、お香姐さん」

「あら柳ちゃん」

 

 柳がステージの見渡せそうな所を探しているとお香に出会った。先程男が吹っ飛んでいたがお香をナンパでもしてたのだろう。

 

「そろそろね」

「ん。しかし、結構来てるな」

「数年ぶりの神社ですもの」

 

 辺りを見渡せばこの地域に住んで居るであろう八百万の神々が来ていた。植物の神が治める神社だからか、花や木の精が多い。

 

「あ、始まるわよ」

 

 お香が言うと仮面を付け銀髪のカツラを被った桐生がステージの中央に立つ。

 

「ここの神様は恵まれてるわねぇ。キチンと本来の姿が伝わってるんだもの」

「伝わっていると言うより一部の人間と繋がりがあるからですね。人の世にはもう姿を現さない神も少なくない」

「それだけ神を敬う人が減ったという事ですよ」

 

 と、柳の言葉に鬼灯が付け足す。

 

「ま、でも俺や桐生みたいに、見える奴らが繋がりを保ってくれると思いますけどね」

「そうね。そうだと嬉しいわ」

「………所で鬼灯様、それなんです?」

「先程木の上から降ってきて。別段怪我する高さでも無かったので避けたらその人達の連れが絡んできましてね。しつこかったので」

「あらごめんなさい」

「何故お香さんが謝るんです?」

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