「初めましてだなバラキエル」
「ああ、本日は宜しく頼む柳殿」
堕天使幹部バラキエルと閻魔大王第一補佐官補佐の柳が互いに遠慮ない言葉遣いで挨拶する。直にこの駅に北欧からの国賓が来る。
「悪魔側と天界側も直にくるだろう。誰が来るかは知らんが」
「初めましてディハウザー・ベリアルと申します」
柳が言った丁度そのタイミングで灰色の髪を持つ男が現れた。
「………ディハウザー?これは意外な人物が出てきたな」
「その様子だと私を知っているご様子。お察しの通り、
そう名乗るとディハウザーは柳の前に立ち頭を下げる。
「あなた方日本の地獄のおかげで、私は従姉妹の死の真実と、その犯人を知ることが出来ました。その者も権力を失い、先日大王派の残党と共に旧魔王派に鞍替えしようとしたところをぶち殺す事が出来ました」
「そ、そうか………しかしお前ほどの奴が来るとは意外だな」
「日本から撤退した一部領主のおかげで禍の団、英雄派と名乗る連中の対応に余裕ができたのと、レーティングゲームの上位陣の殆どに不正が見つかり暫く開催出来なくなった、二つの理由で空いていた私が」
成る程。バタフライ効果という奴か、と納得する柳。そういえば駒王は三大勢力の重要な地である前に日本神話の地だと天界に言って、送ってこようとした連中を要らんと追い返したが誰が来るのだろうか。
「お久しぶりです!転生天使になったイリナです!」
「同じく、ゼノヴィアだ」
ミカエルは天界で書類の整理をしていた。和平を結んだことによる教会の悪魔祓い達の不満、それを解消させる策を見つけなくては近い内に反乱が起きるかもしれない。と、その時電話が鳴る。こんな忙しい時に誰だと苛立ちながら電話をとる。
『お前舐めてんのか?』
「…………?」
聞こえてきたのは苛立ったような聞き慣れない声。しかし聞き覚えがないわけではない。どこかで聞いたような………
『北欧の主神の護衛が新米天使二人って何だ。あれか?どうせ狙われないから良いよねってか?それとも襲ってこられた時俺達日本神話に全部押しつける用意でも出来てたか?』
思い出した。日本の、現在無限の龍神の保護者になっている鬼火柳だ。
「と、唐突に何でしょうか?」
『ああ、失礼しました。ミカエル様、オーディン様の護衛としてやってきた天界の者が転生天使二人というのは何の冗談でしょう?強いんだから自分で身を守れと?』
「彼女達は元聖剣使いでして、優秀な悪魔祓いです」
『そりゃあ悪魔の弱点を持っているんですからどんな奴でも悪魔祓いとしての結果は残せるでしょう。ですが今回は北欧の主神の護衛。来る可能性があるとしたら北欧の反対派。つまり悪魔ではない。もちろん旧魔王派の可能性もありますが、彼女達が本気で役に立つとでも?』
「い、いやしかし」
『良いからセラフの一人でも連れてこいって言ってんだよ。まさか純粋な天使が増えないから転生天使を送ってきたんじゃないでしょうね?』
「そんな事は!」
『ないのならさっさと転生天使に撤退命令だしてセラフ連れてこい。どのみち今までお前ワンマンで回してたんだろう?』
「あの~、天界から新たに派遣されましたガブリエルです」
イリナとゼノヴィアを送り返した後やってきたのはガブリエル。これで天界、悪魔、堕天使、日本神話が揃った。
「あら、そちらの犬猿雉は………もしや柳様は桃から生まれた不可思議男、桃太郎様でしたか?」
「柳様が桃太郎?ソレはないよ~。柳様あんな下膨れじゃないし」
「つーか桃太郎のお供には兎居ないしな」
猿の言うようにここには犬猿雉以外に兎も交じっていた。何故か櫂を背負っている。
「ヘル様の要望でね。葛は補佐官だから呼べなかったけど」
「ああ、ケモレンジャーの………」
柳の連れてきた動物達を見て納得するディハウザー。冥界のテレビのCMで見た。
と、その時駅のホームからオーディン達が姿を現す。北欧側の護衛であろう銀髪の戦乙女も居る。
「おお、こりゃまた豪勢な面子じゃのぅ」
「ふああああ。ケモレンジャーだあああ♡」
と、そのオーディンの横をすり抜けヘルがシロ達に抱きつく。
「かあいいようかあいいよう」
抑揚のない声でナデナデとシロ達を撫で回すヘル。どうやらケモレンジャーのファンらしい。
「確かに可愛いですね」
「可愛いなんてよしてください。これでも獄卒なので~すよ」
ガブリエルも芥子の頭をなでると芥子は恥ずかしそうに前足をパタパタ振った。
「すまんな。ウチの娘がどうしてもナマで会いたいと………まああの兎の実力なら護衛も果たせるだろうが」
「お気になさらずロキ様。それと、芥子ちゃんも悪いな。クロ君だっけ?ソイツとデートの約束あったんだろ?」
「もー。違いますよー。クロ君は武者修行の旅で出会った修行友達ですって~」
柳の言葉に芥子はいやだなもう、と前足で両頬を押さえるのだった。
「クロ君?黒兎か?」
「さあ。俺も会ったことないんですよ」
「世間話はそれぐらいにしてはよ案内せい。儂は風俗店を回りたいな。日本のヤマトナデシコを見てみたい」
「おいこらジジイ、私の娘がいるのにどこ回る気だ貴様!」
「んー?ならそこの娘同士遊ばせておれば良いであろう?ほれ、早速仲良くなってる」
「我三子。お前は?」
「ヘル。ミキちゃん好き?」
「大好き」
「「にゃー」」
三子達を神社に預けオーディンの行きたがった風俗店に向かう一同。道中ラブホが立ち並ぶ場所で柳がオーディンに頼まれ自販機でコーヒーを買って戻ると兵藤一誠と姫島朱乃が居た。
何やらバラキエルと言い合っている。
「とにかく、ここはお前にはまだ早い!それに、聞けば今代の赤龍帝は女の乳を糧にして……お前が卑猥な目にあっていないか心配なんだ」
「噂や風聞で人を判断するのね。最低だわ………やっぱり、貴方のことを許すなんて………それに、私が彼と何処にいようと関係ないでしょう!」
「噂や風聞は全て事実だし教師として俺には関係あるけどな」
と、柳が言うとイッセーと朱乃が振り返りばつの悪そうな顔をした。
「不純異性交遊は禁止だ。お前等が正式につきあってんなら、まあ目をつぶってやらなくもねーけどそうじゃねーしな。それと姫島。兵藤一誠は間違いなくお前の父親よりずっと最低な男だ。女の着替えは覗くし階段下から下着を覗こうとするしプールで着替え盗もうとするし体育で痴漢するし……前任の校長が証拠消してなけりゃ即行でムショ送りにしてやるレベルの犯罪者だ」
「そんなの、彼の一面にすぎませんわ。彼は誰よりも優しくて、勇敢で……」
「それこそ一側面だろ。やらかした数の方がずっと多い…………ん?あれ、姫島……バラキエル………ああ、思い出した。すっかり忘れてた………あんた等
「「………へ?」」
「いやだから、姫島朱璃の家族だろ?」
「し、朱璃を知っているのか!?」
「鬼灯様曰わく裁判が難しくて、衆合地獄で働かせている亡者。良く旦那さんと再会した時の為にもと言って鞭を振るって亡者を真っ二つにする姿を見るたんびに何をとち狂っているんだろうと思ったけど、そうか。旦那が飛びっきり丈夫なド変態だったのか。そりゃあんな威力が必要なわけだ」