鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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地獄式運動会

 パン!パン!パン!

 運動会の花火が上がる。意外にも、来ているのはグリゴリ所属の神器使い、教会の悪魔祓い、一般悪魔と言った面子だ。

 地獄、北欧はゲスト組として組んでいる。

 

「私一子」

「私二子」

「私ヘル」

 

 早速仲良くなっている座敷ツインズとヘル。鬼灯はザザ、と雑音をならしながらマイクのスイッチを入れた。

 

『ではこれより、第1回勢力交流運動会を始めます。放送は私、()()()()()()()がお送りします』

 

 その言葉に、非番のため運動会に参加することになった獄卒達は顔を青くしたのだった。

 

 

 

 「奇跡の子」ことテオドロ・レグレンツィ、そして数名の悪魔祓い(エクソシスト)達は此度の運動会に参加していた。

 各々、悪魔や吸血鬼に家族を、友を殺され不満を持つ者達が殆どだ。ここで騒ぎを起こせば、あるいは和平など簡単に消えるだろう。が、ヴァスコ・ストラーダとエヴァルド・クリスタルディが顔を青くして止めた。

 特にストラーダなど、普段は心優しい老人だが強敵との戦いを誰よりも望んでいるはずなのに、日本の鬼神だけは敵に回したくないと顔を青くして言っていた。

 そして、丁度良い機会とも言っていた。それが何を意味するのかは解らない。

 

 

 

「それじゃ皆ー!騒ぎ起こしたら………テロリスト認定で殺す」

 

 キラキラした笑顔で、しかし唐突に無表情になりドスの利いた声で悪魔達を睨み付ける魔王。その横で紅髪の魔王が苦笑していた。

 

「まあまあセラフォルー、そんな脅さなくても皆解っているさ」

「あん?」

「すいませんでした」

「本当にねー。こうでも脅し……言っとかないとみーんな何かしそうだからさ………あ、ちょっと待ってて」

 

 そう言って堕天使陣営と天界陣営からそれぞれ演説していたミカエルとアザゼルを休憩用テントの裏に連れて行くセラフォルー。ドゴシャァ!と何かを殴る音が二度聞こえ、腹を押さえたアザゼルとミカエル、すっきりした顔のセラフォルーが出て来た。

 

 

 

○障害物競争

 

 地獄側からは一見子供の鬼、小鬼の唐瓜と茄子が参加することになった。悪魔側からはイッセーが出ている。

 

『位置について、よーい………』

 

 ドゴォォォォォン!!

 

 スタート位置にいた鬼灯の金棒と三子の拳がぶつかり合い、とんでもない衝撃波と爆音を響かせる。何名か吹っ飛ばされた。

 

『さあ、全員出遅れましたが現在トップを走るのは悪魔の赤龍帝。落ちたら強制足つぼマッサージの平均台を越え、粘着性はないけど何か生臭い汁が塗られたネットを潜り、地獄の亡者を蹴り進みながら最後の関門に近づく』

『何で全部地味に嫌な奴………最後の子供の教育に悪いんじゃない?』

『ですから子供は参加させてません。良いですか子供の皆さん。悪いことをすればその蹴られている亡者達のように酷い目に遭うことになるんですからね。おっと、そう言っている間に最終関門!『ふれあい☆どーぶつゾーン』です!』

 

 そこには、フェンリル、炎獅子、巨大象、スコル&ハティ、ガルム、量産型ヨルムンガンド、デイノスクス、Tレックス、スピノサウルス、ディノニクス、インドミナスレックス、サーベルタイガー等が涎を垂らしながらグルルルと唸っていた。

 

『さあ皆さん遠慮せずに触れ合ってください』

「ふ、ふざけんなぁぁぁぉ!」

 

 イッセーが叫ぶ中、唐瓜と茄子は蹴ってきた亡者を餌にすることで何とか抜けた。流石獄卒、亡者に対して慈悲はない。

 

「はい、しゅーりょー」

 

 柳がパンパン手を叩くと、もう少しでイッセーのアソコを噛みそうになっていたディノニクスを含めた恐竜達がピタリと止まり、全員大人しく観客席に向かった。というか観客なの彼奴等。

 

 

○借り物競争

 

「…………」

 

 ヘルは内容を確認するとフェンリルを呼び、その背に乗りゴールした。

 

「『一番好きな家族』……はい、OKです」

 

 父親がうなだれていた。参加者のみにダメージがあるわけではないようだ。

 

「『嫌いな人』………本当にこの人ですか?」

「はい。私の、子を殺した人ですので」

 

 悪魔の男性がストラーダを連れながら言う。何も家族を奪われた恨みは人間だけの特権ではない。

 

「『苦労させてくる同僚』………」

「うん☆」

 

 セラフォルーの満面の笑みにサーゼクスは何も言えなかった。

 

「『妬んでいる人』『ぶっちゃけ調子乗ってる上司』………連れてこなかった天界はゼロポイントです」

「いや、だって……」

「連れてこれるわけ、ないじゃん」

 

 

○全員参加玉入れ競争

 

『ただの玉入れ等生ぬるい!妨害行為ありです!』

 

 その言葉に子供たちを庇いながら構える悪魔達。天界陣営には子供はテオドロしかいなかったが、反射的に悪魔祓い達が囲んで守っていて、その光景に差を見つけることが出来なかった。

 因みに柳がピッピッと笛を吹くとスピノサウルスやTレックスの背中を玉を咥えた小型の恐竜が駆け、籠に入れていく。

 

「良かった~、今回の玉普通で……」

『なお、うっかり玉を落とすと三日は消えない悪臭を放つ液が放たれるのでご注意を』

『俺様が手伝ったんだぜ!』

 

 

○騎馬戦

 

「───洋服破壊(ドレスブレイク)…………って、あれ?」

 

 一向に洋服が破壊されない。一瞬だけキラキラと何かが光っていたが。イッセーは首を傾げる。

 

「………おい」

 

 ヒヤリ、どころではない寒気を背後から感じる。振り返ればサーゼクスの肩と頭に足をかけて立つセラフォルーの姿が。

 

「赤龍帝君。言ったよね☆?騒ぎ起こしたら殺すって」

 

 ニッコリ可愛らしい笑みを浮かべながら首を傾げるセラフォルー。何だろう、とても寒い。

 

「こ、これは悪魔が勝つためなんです!それに、俺はエロい堕天使のお姉さんの裸も可憐で清純な天使のお姉さんの裸も……否、おっぱいを見たい!たとえ邪魔をするのが魔王であろうと!」

「邪魔」

 

 イッセーが放ったエネルギー弾を蚊でも払うかのように片手で弾くセラフォルー。ドラゴンショットは空中で砕けキラキラと散る。

 

「………へ?」

《信じられんこの悪魔、相棒の魔力を凍らせたぞ!》

「同盟関係に亀裂を入れる悪い子には………お仕置き」

 

 パキン、とイッセーが凍り付く。木場、ギャスパーは完全にとばっちりだった。

 

「よし馬、次は元凶に決まってるアザゼルを封印しに行こっか」

「………アザゼル、君は良い奴だったよ。あ、ごめんなさい嘘です頭踏む力込めないで」

 

 

○最終種目 地獄式大玉転がし

 

『今回の人質役は魔王レヴィアタン様から提供された氷人形の、「魔王君」、「赤龍君」、「ゴミクズ総督」、「考えなし長」です』

『何か氷の人形の中にうっすら人影が』

『気のせいでしょう』

『絶対確信犯だこの子!』

『大玉は柳さんが最近覚えた龍の炎で温められています。さあ、人形手前で止めてその炎の熱で中の人を救いましょう!』

『やっぱり中にいるんじゃないか!』

 

 

 

「「「ドッと疲れた」」」

『リハーサルはこれにて終了。明日は本番ですので、キチンとやってくださいね』

「「「………え?」」」

「じゃあこの変態は明日の夜まで封印しとかなきゃ」

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