「あ、しまったこれ一応機密だった」
『軽!神の死って、ええ!?いや、そんな秘密を………ええー!?』
鬼灯の言葉に叫ぶ八重垣。
そりゃそうだ、生前信じ込まされたモノが、実は偽りだったと言われたのだから。
『それじゃあ、クレーリアどころか僕も、意味もなく殺されたのか!?』
「まあ意味はあると思いますよ。聖書の神って術式作ることに関しては天才的で、最高傑作であるシステムっていうのは信仰心を動力源にしてるので。悪魔と聖職者が結ばれて何も起きなかったら神の存在を疑われますからね。まあ、悪魔と悪魔祓いが組んでいたなら上には内緒かもしれませんが」
『あの、ていうか本当に死んだの?』
「ええ。千年ほど前に。ほら、ジャンヌ・ダルクだって天使と話してたでしょう?あれ、信仰心を集めるためにミカエル様が行った事なんですよ。その後ジャンヌ・ダルクに色々ばれるの恐れて魂をちゃっちゃっと回収してちゃっちゃっと転生させてました」
『知りたくなかったそんな事実』
「あれでは死ぬ少し前の期間の記憶が、転生後も残りそうでしたね。火に焼かれる記憶……性格歪まなきゃ良いけど。まあ六百年も経てば代を経て精々自覚程度になっているでしょうが性格が歪んだままかもしれませんね」
「………彼奴本物だったのか」
鬼灯の言葉に遠い目をする柳。八重垣はジャンヌ・ダルクの転生者を名乗る知り合いでもいるのだろうかと思ったが、気にしないことにした。
「まあそれはどうでも良いので」
『良いんだ!?』
「気にして口出ししてもややこしくなるだけなので」
「あー、で……八重垣さんはどうします?」
『……クレーリアは………』
「たぶんもう魂は消滅してるかと。聖剣で切られたんですよね?残留思念ぐらいならあるかもしれませんが、さすがに其方は専門外なので」
『そう、か………』
柳の言葉に八重垣は弱々しく笑みを浮かべる。疲れたような、諦めたような笑み。
その後鬼灯の紹介状を受け取り地獄に向かった八重垣。
「本当に聞かないんですか?俺が知ってる理由」
「柳さんが私に恩義を感じ、手伝ってくれているのは知っています。それに……」
「それに?」
「知ろうと思えば簡単に知れますからね。特に悪魔の連中は、最近霊を視る力の使い方を忘れて行っている。バレない密偵の作りたい放題です」
「視る力?」
鬼灯の言葉に首を傾げる柳。悪魔とはそもそもがオカルトだ、ならば普通に見えるのでは?と思ったが、確かに原作でも幽霊っぽいのあまり視たことがない。あって先ほどの八重垣か邪竜の霊だ。
「ええ。転生があることから解るように、魂の総量は変わりません。昨今の人口爆発は地獄に住んでいた古代生物、人間の都市開発による伐採された森林、そこに住んでいた小動物、大型動物、汚染された水に住んでた魚や微生物の魂ですね」
「虫にも五分の魂と言いますが微生物まで………てか、人間が自然を壊せば壊すほど人間が多く生まれるんですね。いやなサイクル。あれ?でもそれと悪魔に何の関係が?」
「悪魔も元は罪を犯した魂の転生体なんですよ。さっきの説明の通り、冥界にてエネルギー化し妊婦に宿り新たな命になる。しかしトップが四大魔王に代わってからは、魂の回収が行われなくなったんです」
「それはまた、何で?」
「面倒くさいから」
「真面目に働いてる日本の地獄のお迎え課の前で一週間土下座させたいですね」
「それに、彼等は無能な四人のせいでつけあがっちゃいまして人間が悪魔の前世というのを認めたくないんですよ。そのせいで悪魔の冥界は今エネルギーがやたら不安定で………きっと魔力を持たない悪魔とか逆に異常な量の魔力を持った子供とか生まれてますよ」
「あー………」
鬼灯は全く、とため息を吐く。
「オマケに本来の歴史を結構ゆがめてますからね。サタン様を含めた悪魔って基本的に堕天使、神籍を失った土着神が主な幹部してたんですが、追い出したり闇討ちで封印したりして後からただの悪魔達が名乗りだしたんですよ。嫌気がさして出て行ったのが殆ですが、おかげでだいぶ弱体化したんですよね………何がしたかったんでしょう始まりの現悪魔世代」
「さあ?」
こればかりは本当に解らない。光や聖書、聖水が効かなかった癖にわざわざ弱点にして、本当に何がしたいのだろう?そのくせ自分達は至高の種族だなどと言っているようだし。
「まあ、それは向こうの問題ですしね。私達は私達の仕事をしましょう」
「どうする?こうなったら異教徒を脅してお金もらう?主も異教徒相手なら許してくれそうなの」
「寺を襲撃するか?それとも賽銭箱とやらを奪うか?」
「鬼灯様、十字教の言う「隣人」って、何ですかね?」
「『同じ神を信仰する者達』ですよ。異教徒は人間じゃないから何をしても許されるのです。それと、彼女達は取り敢えず十一焔処(仏像、仏塔、寺舎などを破壊したり燃やしたりした者が落ちる地獄)にでも送ってやろうか」
「まあ流石に国際問題になりそうですが………」
「取り敢えずエクスカリバー(偽)の残骸を渡すとしましょう。すいま──」
「なあ、少し良いか」
「「………ん?」」