鬼灯の冷徹かと思ったが………   作:超高校級の切望

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コカビエル

 悪魔や教会組と別れ、予約していたホテルにチェックインした鬼灯と柳。

 

「では柳さん。頼みますよ」

「はい」

 

 鬼灯の言葉に柳は巻物を取り出す。そこには大量の鳥の絵が描かれており、柳はふぅ、と息で紙面を撫でる。

 すると紙面の鳥達がまるで巻物から独立していたかのようにずれ落ち本物の鳥のように羽ばたいた。

 

「………居ました。駒王学園で、ライン引き使って魔法陣描いてます」

「堕天使の幹部が?シュールな光景ですね」

 

 柳の報告に鬼灯はライン引きを使うコカビエルを想像する。

 うん、シュールだ。

 

「それと、グレモリー眷属達が来ました。シトリー眷属達は周囲を結界で覆っています」

「シトリー眷属ですか……まあ、数秒でも足止めするのは良い判断ですね。普通に挑んだら一瞬で死ぬでしょうし」

「そうなんですか?」

「コカビエルがその気なら。ですので足止めして魔王を呼んだ方が確実です。まあ魔王は魔王でもレヴィアタンは妹のこととなると外交官という事を忘れるアホなので今回は呼ばない方が良いでしょうけど、今回はルシファーの身内も居ますからね」

「………そのルシファーの手を煩わせるわけにはいかないとか言ってるんですけど」

「行きますよ柳さん」

 

 

 

「コカビエル!バルパーは何処だ!?」

 

 駒王学園につくなり木場の第一声はそれだった。紙を見ながらライン引きを動かしていたコカビエルは顔を上げニヤリと笑った。

 

「来たか。たった今、魔法陣も完成したところだ。バルパーだったか?奴なら、死んだよ。だからこうして俺が自分で書いている」

「………え?」

 

 彼奴、今なんてった?バルパーが、死んだ?おい、それってつまり木場の復讐が……

 

「そんな、嘘だ!」

「嘘などつくか。彼奴はポックリ逝った。年のくせに無茶をするから。魂は俺が責任を持って冥界に送ってやった。最期なんか満足気だったし、怨霊になることなく冥界のエネルギーになったろうな」

「…………」

 

 その場でひざを突く木場。ずっと果たそうとしていた復讐が果たせなくなったのだ。それも、仕方ないかもしれない。

 

「あ、これ三本用だった。二本の時は………ここを消すのか」

 

 そんな木場を無視してコカビエルの野郎は魔法陣の修正してやがる!

 

「何だ?一人、明らかに戦う気がないな」

「僕は、今まで何のために……ずっと、皆のために……」

「………ああ、成る程。貴様はバルパーの被害者か」

 

 コカビエルは気付いたようにニヤリと笑う。

 

「下らん。何が皆のために、だ……死者は嘆きも苦しみもしない。そんなモノのために戦うなど実に馬鹿らしい」

「っ!てめぇ……てめぇに木場の何が解るってんだ!此奴は、仲間を殺されたんだぞ!理不尽にだ……それを恨んで、憎んで何が悪いってんだ!」

「死者が何か与えてくれるのか?何もしてくれまい。それに縛られるなど実に馬鹿らしい。それより生きている奴を見ろ。そいつ等の命を、摘むのを想像しろ。楽しいぞ、自分が強いと実感するのは。あれは生きている者しか与えてくれぬ快楽だ」

 

 楽しそうに笑うコカビエル。此奴、人を殺すことが快楽だって言うのか!そんな事の為に俺達の街を、部長の領地を襲ったのか!

 

「よし、今度こそ出来た。ああ、そう言えばバルパーがこんなモノを持ってたな。お前の同士とやらの成れの果てだ。くれてやる。それを持ったら少しは俺が楽しめるよう気張れよ?」

 

 

 

 

 鬼灯は結界の前で止まる。

 

「既に始まりましたか。まあ、町を破壊するほどの力は感じませんが………」

「あなた方は?もしや、日本の?」

「あ、アポ取ってたんですね。彼奴等の反応からてっきり……」

「一応は貸してる領地ですからね。すいませんが、結界に穴をあけてもらっても?無理なら自分で空けますがそれだと結界が壊れるかも」

「え、何この人要求と脅迫同時にしてきた。あ、失礼しました。どうぞお通りくたさい」

 

 眼鏡の女性が言うと結界の一部に穴があく。

 

「ありがとね眼鏡ちゃん」

 

 柳が礼を言って中に入ると聖なるオーラと魔力を纏った剣を持つ木場と全身からあふれる魔力を放つ紅髪の女。その他が揃っていた。

 

「あ、何気に教会組揃ってる………鬼灯様?」

 

 と、そんな一同を前に不適に笑うコカビエル。一触即発の空気の中鬼灯は紅髪の悪魔、リアス・グレモリーに近付く。

 

「すいません。ここの現領主のリアス・グレモリーさんで間違いありませんか?あ、柳さん良い機会なんで妖力の使い方覚えてください。ほら、的もありますし」

「え、あれ堕天使幹部………」

「鬼神になるなら堕ちた天使如き倒せないと」

「スパルタ!?なるとか言ったことないし………ああ、もう……やりますよ!どうせやらせるんでしょ!」

 

 柳は叫ぶと構えをとる。

 

「ほう?カンフーか……」

「あの人手加減とか出来ないし、教えるの下手だから見様見真似だけどな」

 

「さてリアス・グレモリーさん。まず貴方に言いたいことが」

「あの、それよりコカビエルが……」

「あれは柳さんに任せます。それより言いたいことが」

「あの、だから……」

「黙って聞け」

「………はい」

 

「ふはは!やるな人間!いや、この感覚、半魔か?」

「うお、っと……」

「ち、獄卒と共に……日本の鬼の血か?妖怪どもの上位種のくせに光による効力は期待できん。ならば、質より量か」

 

「我々はあなた方に言ったはずです。死者が出たら報告をしろと。それなのに何故はぐれ悪魔、はぐれ悪魔祓い、堕天使に殺された事件が13件もあったのですか?報告にないんですがね」

「じ、事後処理は此方で行ったので。借り受けているとは言え自分の領地。お任せするのもあれかと思いまして」

「志は立派ですが我々の目的は魂の回収です。それと、むやみやたらと記憶を消さないでください。裁判の時大変なんですよ、本人が覚えがない、捏造だと言い張るし本人からすれば嘘ではないし」

「そ、そんな事私達に言われても」

「はい?そんな事の原因は貴方達なんですが?」

 

「ふん。地を這う虫では、この程度か」

「攻撃当たって死ぬのが怖くて空に逃げたくせに何を偉そうに」

「やすい挑発だな。そんな言葉では降りんぞ」

「降りてこないとこの魔法陣消すぞ」

「貴様!それを書くのにどれだけかかったと思っている!」

 

「とにかく賠償を払えとは言いません。今後このようなことが無いようにしてもらいたい。それと、貴方は仮にもこの街の管理者を名乗っているのだからくだらない見栄だの家族愛なんて明後日に放ってください」

「え、えっと……」

「魔王を呼ばなかったそうですね?迷惑になるとか何とか……それよりまずこの街と、ついでに我々地獄にも迷惑をかけることを先に考えていただきたい」

「………自分達は魔王より上だと言いたいのかしら?」

「少なくともここは我々の管轄。貸してもらっている分際で我々より上だと言いたいのですか?」

 

「貴様、何だそのオーラは……!?」

「おお、出せた………」

「何者だ、貴様は一体何処の誰だ!」

「さっきから五月蠅い!」

「ぐは!」

「えぇ!?」

 

 鬼灯がぶん投げた金棒はスピンを描きながらコカビエルの顔面にぶち当たった。吹っ飛ばされるコカビエルを前に呆然とする柳。

 

「さあ、今回はもう帰りますよ。コカビエル持ってきてください」

「連れてくんですかこれ?」

「この街で大量殺戮を行おうとしたんですから、日本で裁いたとしても罰は当たらないでしょう」

「ああー……じゃあ……」

 

 鬼灯の言葉に柳はコカビエルの足を掴み引きずる。

 

「取り敢えず焦熱地獄の炎で燃やしましょう」

「うわ、えげつないですね」

「ところで彼って何がしたかったんですか?聖剣の復活?」

「ああ、単純に戦争を起こす口実作りですよ。教会の至宝を堕天使が奪って魔王の身内を殺すっていうシナリオで」

「居ますよねぇ。雨とかで試合が中止になると特に勝ってた訳でもないのにあのままなら自分達が勝ってたとか熱くなる人」

「それでいいのかな?いや、解りやすいけど」

 

 と、柳がうーんと唸っていると空から白い閃光が降りてきて、鬼灯に吹っ飛ばされた。

 

『ヴァーリ!おいヴァーリしっかりしろ!くそ、だから言ったんだ!そいつは容赦なく大焦熱地獄の炎(豆粒サイズで地上全てを焼き尽くす焦熱地獄の炎より熱い)を平然と使うし俺達の口の中に屎泥処の泥(苦くて臭いウンコ)を突っ込んで来たんだぞ!此奴には、容赦という言葉がない!その上実行するだけの力を持ってる!』

「ああ、白龍皇ですか。懐かしい………まあ良いか。帰りますよ」

「え、あれ放置?」

「ええ」

「…………」

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