「俺行く必要あったかな?そりゃ、少しは説明とかしたけど今回の事件に関しちゃ大した活躍してない気がする」
「そんな事より我お腹すいた。ご飯ご飯。材料ある」
「はいはい。うお、映画とかのアナコンダ級………これで調理しろと?」
「楽しみ」
柳ははぁ、とため息を吐いて蛇の首を切り落とす。ビチビチと動き絡みついてくる蛇の体を引き剥がし頭を放り捨てる。
切れ込みを入れて靴下を脱がすように皮を剥がし腹に切れ込みをいれ内臓を取り出し(以下省略
「出来たぞ」
「わーい、わーい」
無表情で万歳する三子。この辺りはあの座敷童子達に似てきた。
「ハンバーグに唐揚げ、生姜焼き、蛇カツ、蛇肉コロッケ……………保存すりゃ暫く食いつなげそうだが、これ全部今夜のぶんなんだろ?」
「とーぜん」
机を覆い尽くす量の料理を前に無表情のまま胸を張る三子。柳が肩をすくめながら両手を会わせると三子も真似をする。
「「いただきます」」
「…………柳様。命、肉をいただくというなら我言う必要ない気がする」
「調味料も野菜も水もガス代も俺だ」
「そうだった」
三子はそういうとまず唐揚げの皿に手を伸ばし、小さな口を大きく開けて皿を傾け中身を全部入れる。物理法則が仕事してない気がする。
そのまま口をモゴモゴ動かしゴクリと飲み込むと次の料理を手を伸ばす。柳も自分の分が無くならないウチに食べ始めることにした。
「むぐむぐ………そういや三子って普段何して過ごしてるんだ?たまーに一子達と一緒にいないことあるよな?」
「お香姐さんのところ。ちっちゃいドラゴンになると鱗撫でてくれる」
「あー、あの人蛇好きだもんな」
「柳様は?」
「動物全般好きだよ。ただ、艶々よりモフモフが好きなんだ。たまーに恐竜や蛇を撫でに行くけど基本等活地獄で犬猫とか猿とかゴリラとかイエティとかの毛繕いしてる。一番気持ちいいのは妲己様。気ぃ使ってくれてんのか毛繕いに行く時、香水つけないでくれるんだよ。ま、それでも良い匂いなんだが」
「二番は?」
「フレミッシュジャイアント。今度三子ももふりに行くか?」
「「「行きたい行きたい」」」
「増えた!?」
食器を片付けようとしていた柳は何時の間にか部屋に侵入した一子と二子の姿に思わずギョッとする柳。落ちた皿は全て三子がキャッチした。
「ここだ。おーい、芥子ちゃーん」
「おやこれは柳様。毛繕いは明後日では?」
「そうだよ。今日は別の用件、この前連れてきた新人は役に立ってるー?」
大叫喚地獄の一角で真っ白な体に耳の先端だけが黒く、櫂を持った兎が柳達を出迎えた。
「ええ、ハッピーちゃんいい子ですよ。飲み込みも早い。何処で見つけてきたんです?」
「元々は等活地獄の獄卒だったんだけど。人の良い主人が騙され金を貸し続けて到頭食うに困り預かってくれると言った友人に預けられ、そのまま国外に売られそうになった子だよ。名前の割にだいぶアンハッピーな子だけど芥子ちゃんと同じく嘘をつく政治家とか大っ嫌いみたいでね。呼べる?」
「はいはーい。ハッピーちゃーん!」
芥子が叫ぶとノソノソと大きな兎が現れた。人間の幼児ぐらいはある巨大な兎だ。
「世界最大の兎、フレミッシュジャイアントのハッピーだ。まず高い。すごく高い。餌代だって通常の倍以上。ぶっちゃけ何で飼うことにしたのか本兎も疑問に思って───聞いてねーし」
「でかーい」
「フワフワ」
「モフモフ」
三人仲良くハッピーを持ち上げる一子、二子、三子。
「くすぐったいですよ~」
と、ホンワカ返すハッピー。とても獄卒とは思えない。
「この子ホンワカ」
「本当に獄卒?」
「罪人罰せる?」
「罰せるぞ、ほら例えば──」
一子達の言葉に柳は地面を這う亡者を指さす。
「た、助けてくれ………私は確かに横領したけど、金は全て国民に──」
「渡すことなく私欲に使った。しかも高校時代に友人から預かった三毛猫が雄だと知ると売っぱらって友人には逃げられたと嘘の報告をした狸だ」
「おらぁぁぁ!このクソ狸がぁぁぁ!」
「ペットにだって意志はあるんだよド畜生めが!」
と、柳の言葉と同時に櫂で叩き体重を乗せたキックを喰らわせる芥子とハッピー。亡者はあっと言う間にボロボロになった。
「ほら、地獄らしいだろ?」
「「「うん」」」
「向こうの主張なんて聞く必要ないしな。きっちり判決を受け、必要な期間罰を受けることが決まったんだし。そうだ、少し体験していこう。鬼灯様からもらったモーニングハンマーは持ってきてるよな?」
「あ、柳さんここにいたんですか」
「鬼灯様。ご用で?」
「ええ。何でもあの後三大勢力が会談を開くらしいので、我々日本側からも使者を出すことにしました。絶対何か起きるので」
「使者?」
「まあ日本の神々も忙しいですし、取り敢えずニニギ様が行くことに…………成ったんですがあのヘタレだと不穏なので五道転輪王様に代わっていただきました…」
「仮にも天照大神の天孫に………いや、気持ちは分かりますけど」
神をも恐れぬとはきっと鬼灯の為にある言葉だろう。素直にそう思った。
「そこで護衛として私と柳さんが」
「俺必要ですかね?」
「必要になると思います。特に、三子さんとアナタは……」
「ああ、納得」