とあるマンションの一室で、鴇という少女の1日は始まる。
顔を洗い、歯を磨き、シャワーを浴び、服を着ながら、まだ眠っている"恋人"の布団を思いっきり奪う。時刻は既に11時をすぎているが、彼女の恋人の仕事は早く起きる必要が無いのでこんな遅くまで寝ているのだ。だが流石に起こさないと、二度と起きない様子なので起こす。
「起きなさーい!もうすぐ昼なんだよ!」
「...鴇?」
「はぅ...」
起き上がった恋人の胸元が見えたので顔を赤くして鴇は顔を手で隠す。だが、指の隙間からちゃんと見ている。
恋人はスラリとした体型で、身長は180cm越えと長身だ。顔もかなり整っており、イケメンだ。
だが、"女"だ。
そう、実はこの2人、レズカップルである。
「玲子ちゃん!朝...じゃないけど、朝ご飯食べる?これから仕事でしょ?」
「...食べるわ」
朝食を済ませ、玲子はいつもの"男物"の私服に着替えて、靴を履き、愛用している仕事道具の入った大きなケースを背負う。男物の服を着ている理由は、別に彼女、朽葉玲子が男装趣味とかそういう訳ではない。彼女は服にこだわりは無く、肌の露出がある程度抑えればなんでも着るだろう。だが、彼女の身長に合った女性物の服は少なく、オーダーメイドするにも金がかかる。何より男物の方が女性物よりも安いのだ。
大きなケースの中身は、スナイパーライフルや、その弾である。銃刀法違反などという法律がある日本に喧嘩を売っているとしか思えない物を肌身離さずに持ち歩いているのだ。
そして彼女がそれで捕まることは無い。政府公認なのだ。かと言って彼女が政府の人間かと言われると、それは違う。政府が彼女を雇っているだけである為に、敵に回る事もあるだろう。
まぁ、今回は政府が依頼人だが。
玲子が向かっているのは仕事場である。大きないかにも高そうなケースを背負って、いつもの場所でとある場所で男と合流をする。
桃山照美、身長2mをこえる高身長に、フードを常につけている為にちょっと怖いが、彼は見た目の割に優しい人だ。まぁ、平気で人を殺すが、それが優しくない理由にはならないだろう。
桃山照美、桃と合流した玲子は特に挨拶もせずに歩き出す。向かうのは取引場所である喫茶店。
キリトはSAOクリア後なおVR空間に閉じ込められたアスナを助ける為に、ALOにあるクリア不可能であるはずの世界樹をクリアし、アスナらと楽しい日々を過ごすはずだった。
そんな彼は、アスナを助けるための情報をくれるなど色々助けてくれた菊岡にまたいつもの喫茶店に呼び出された。
「済まないね、和人くん。また君を呼び出す事になって」
「いえ、菊岡さんにはお世話になってばかりです。アスナの件は本当にお世話になりました。.......それで、今回は?」
「...本当に済まないね。政府だけでは手に負えないんだ。そこで英雄である君の力を貸してほしい」
「はぁ...」
「まぁ、詳しい話はもう1人が来てからにしよう」
「もう1人...ですか?」
「実は今回も君1人にやらせてもいいが、それでは流石に無責任すぎるのでね。そこで私が上を説得してもう1人雇うことになったんだ。その人が来てから君にも話すよ」
「っと、噂をすればだね」
和人が振り返ると、喫茶店の入り口から2人の身長の高い"男"が入ってきた。1人は暗い雰囲気の1、8mくらいの日本人にしては長身の持ち主。もう1人は2mを余裕で越す大男。しかもフード被っている為にちょっと怖い。
そんな失礼な事を考えてたら、いつの間にか2人とも自分と同じ側の席に座ってきた。当然だろう。依頼を聞くならば対面に座るのが当たり前なのだから。どうりで2人だけなのにわざわざ6人席を選んだと思った。
「さて、揃ったので依頼の詳しい内容を話そう。まず、ターゲットはこの人」
菊岡が出した写真は、黒いマントを羽織った機械的な赤い目をした男の画像。顔はフードでよく見えない。
「この人はGGOというVRMMOFPSに突如現れた人だ。彼は
「そんな...、電脳空間での死が現実での死に繋がるなんて...まるでSAOのような」
「和人くん。上に言われたから君を呼んだが、今回は政府も人を雇っている。君が余計に危険な思いをするだけだ。だから今回の件は受けなくてもいい。私が上に掛け合おう。安心してくれ」
「...いえ、俺、いや僕は菊岡さんには助けてもらった恩もある。このぐらいの事ならば、大丈夫ですよ」
「話は終わった...?」
ようやく後から来た2人のうち1人が喋った。
「紹介しておくよ、和人くん。彼女の名前は朽葉玲子。簡単に言うと殺し屋だよ」
「!?」
「腕は政府の保証つきだ。和人くん、君が言いたい事はわかる。何も殺すことは無いだろうと。だが、事はもっと深刻なんだよ。このままではVRMMOなどのゲームのみならず、VRそのものの信用が失い、世界からVRが消える可能性すらあるんだ。大げさだと思っているかもしれないが、この国の人々は包丁で人が死ぬから包丁を使うなというような事を平気で言う者が大勢だ。政府はSAOのような事件があって尚、茅場晶彦が開発したVRの世界は価値があると思っているんだ」
「話が長い」
「おっと、済まないね。これは君たちには関係無い事だ。つまり、VR空間に入りこれ以上こいつが人を殺さないように阻止する事。そしてこの
「...桃」
「あいよ。.............本物だ。それに上だけでなく、見たところ全部が本物だ」
和人は目の前に出された大金に目を見開く。
「和人くん、君にも依頼しているのだし、一応同じ額の金が用意されている。君にも「い、いえ!俺はいいから!」そうか…」
20にもなってない彼にその大金は重すぎたようだ。
「じゃあ、2人ともダイブする場所は一応用意したけど、朽葉さんは自分の部屋からダイブするんだよね?」
「そうするわ」
「ならソフトと詳しい依頼内容などの説明は後日という事で」
その後彼らが金を受け取り帰った後、キリトは久しぶりに心を踊らされていた。政府がわざわざ軍から読んできた人間でも、ゲームのプロでもない。わざわざ彼女を選んだ理由、つまり朽葉玲子という女性の強さを想像し、戦いたいと思っていた。戦闘狂である。
GGOの世界は軍人がリアルに俺TSUEEEEできる世界である。そこに軍人の一流のスナイパーですら適わない凄腕スナイパーが入ってきたら、無双するのは至極当然なのだろう。
朝田詩乃ことシノンはあまりの事態に動けずにいて、そのまま何も出来ずに殺されてしまった。
唯一の救いは、死んで落とした物がグレネードとお金だけで、明日の大会で使うへカートⅡをドロップしてない事だろうか。
事の発端は、彼女が所属するスコードローンのメンバーと共に、別のチームと戦っていた時の事だった。お互いに銃撃戦をしてて、シノンは気を伺っていたのだが、自分がスナイプしようとしていた敵チームの男が突然死んだのだ。
リーダーやメンバーから賞賛を得たが、彼女は慌てて否定する。
「今の...私じゃない!?」
じゃあ誰だと言われ、彼女は撃たれたと思われる方角にスコープを向ける。
「11時の方向に敵がいたわ。だけど、1人だけのよう。武器を見る限りスナイパーらしい」
「よし、スナイパーなら頭を出した瞬間にシノンが狙い撃ち、出さない間に俺らが距離を詰める」
「わかった...」
正直シノンは乗り気ではなかった。敵が頭を抜かれた時点で嫌な予感がしたのだ。しかも敵はまだいる為に挟み撃ちになる可能性が...
敵が全員死んだ。
理解が追いつかなかった。スナイパーの人が何かしたと思うが、何をしたかこの距離で肉眼で見るのは困難だ。GGOはステータスを振り分けるシステムなのだが、目の良さに振り分ける所はない。目を良くするスキルがあるのだが、それはスナイパーのスコープ機能を覗かなくても出来るだけであり、結果全て人が見える範囲は同じになる。
なのでスナイパーは敵を発見したらスコープで狙いを定めて打つ必要がある。そうでなければ殆ど当たらない。何故ならこの世界の銃を打つ時は従来のFPSゲームのような画面の真ん中に「・」があり、それを合わせ打つと当たるという単純なものでは無い。たしかに、
だから、シノンは理解できずにいた。
スナイパーライフルを横薙ぎに払うようにしてスナイパーが振ると、装弾数である10発と共に敵味方共に合わせて10人倒れたのだ。シノンが死んでなかったのはただの偶然である。装弾数がもう少し多ければ、シノンは死んでいただろう。
シノンが殺されていない事と、味方が全員死んだことに驚いていたが、すぐに狙いをつけ、撃った。
と同時に撃たれた。
シノンが撃った弾にピンポイントに相手は射撃してきた。
ありえない。ゲームとは言え、流石にこれは馬鹿げている。それにリロードの時間が短すぎる。
GGOのリロードはややゆっくりである。だが、これを早くする方法があり、GGOの銃は現実世界の銃と
一体どれだけリロードの練習をすればここまで早くなるのやら、想像もつかない。
さらにあの精密射撃。
位置がわかっているにもかかわらず、
すごいと思った時には、視界が暗転し、自分が死んだ事を示す文字が浮かび上がった。
シノンは強すぎる敵と戦い、なんと大会直前に自分のスナイパーの腕に少し自信を失くし、そのままログアウトした。
これが彼女、朽葉玲子の初めてのGGO戦である。
戦闘描写難しいですねぇ。GGOのシステムになるべく沿った戦いにしていますが、どうしても自己解釈があり、矛盾しているかもしれないですが見逃して下さい。