転生じゃなくて転送されたみたいだけど、頑張ってみる。 作:甘々胡麻ざらし
作者の中では1,簪2,ラウラ3,鈴ちゃんで好みです
一夏のクラス代表就任パーティーの翌日。流斗が学校に着くと教室が賑わっていた。
「なんだこの賑わいっぷりは…?」
「あ、宇田君聞いた?今日二組に転校生が来るんだってさ!」
「途中入学ってことはどこかの国の代表候補生なのか?」
「確か中国だったはずだよ」
「中国か…。よし、検索を始めよう」
流斗は鞄から分厚いファイルを取り出しパラパラと捲り始めた。
「それ何?」
「これ?代表候補生リストだよ。インフィニット・ストライプスとかネットとかで検索して纏めたやつ。うーん、俺の予想が正しかったら恐らくその転校生は…」
ガララとドアが開きツインテールの少女がドアの所にもたれていた。恐らくカッコつけているのであろうが身長が低いためあまり似合っていない。
「
「え?何?あんた誰?」
どうやら正解だったらしくカッコつけていた少女こと鈴音は流斗を見た。すかさず流斗は鞄から雑誌を取りだし鈴音に差し出した。
「中国代表候補生の凰鈴音さん!これにサインしてください!」
「え、サイン?別に良いけどあんまりサインとかやったこと無いのよね…」
そう言いながらも雑誌の表紙にスラスラとサインを書き上げ流斗に渡した。
「これでいい?」
「あざーっす!いやっふぅぅぅ!」
流斗はテンションを高くしてサインをしてもらった雑誌をファイルの中に慎重に仕舞った。
「で、あんた誰なの?」
「あ、えーっとチューツージェンメン…」
「日本語で十分伝わるわよ」
流斗の下手くそすぎる中国語に鈴音はため息を吐いた。
「二番目の男性操縦者の宇田流斗です。よろしくお願いします」
「あんたが二人目ね。ところで一夏いる?」
「…いますよ」
少し顔を歪めるがすぐに一夏の居るところを指差して教えた。鈴音はありがとと短く言って一夏の元に向かう。そして仲良く話していると後ろからやってきた千冬に頭を叩かれた。
「もうすぐHRの時間だ。さっさとクラスに戻れ」
「は、はい…。またあとでね一夏!」
その後箒とセシリアは一夏に詰め寄ったが同時に千冬から首席簿を喰らい席に戻った。放課後の時間になり流斗はアリーナで準備体操をしていた。目的はベルナージュの操縦訓練とトランスチームガンを試すためだ。ちなみにトランスチームガンのことは真耶にはベルナージュから出てきましたと言ったら納得してもらった。
「それじゃあいきますよ!」
「いつでも構いませんよ!」
流斗はシャカシャカとベルナージュの待機状態であるフルボトルを振りキャップを開ける。そしてトランスチームガンのスロットにセットした。
《フルボトル!》
トランスチームガンから音声が鳴り待機音が流れ始める。そして流斗は真耶に狙いを定めトリガーを引く。
《スチームアタック!》
しかし銃口からは何も射出されず、代わりに大量の煙が放出された。煙は周りに広がらず何故か流斗の周りに漂った。そして次の瞬間流斗は激しい激痛を感じ地面に倒れる。
「う、宇田君!?」
「ぐぁぁぁぁぁ!あああああ!」
「こ、このままでは危険です!早くボトルを抜いてください!」
しかし流斗は激痛のせいで上手く動けず苦しみは続けていた。
「このままじゃ…。いえ、私は宇田君の先生です!私が止めます!」
真耶は覚悟を決め流斗に向かっていきトランスチームガンからボトルを引き抜いた。ボトルを抜くと煙は消え去り流斗は荒い息づかいをしていた。
「はぁ…はぁ…。助かりました…山田先生…」
「もうビックリしましたよ!とりあえず保健室に向かいましょう!」
真耶の肩に掴まりフラフラと保健室へと向かった。流斗は平気だと言ったが真耶は頑なに拒否し、調べるためトランスチームガンを没収させられた。保険医からは体に異常が見つからないことから部屋で安静に寝ているようにと言われ流斗は自分の部屋へと戻ることにした。
「…なんであのとき煙が出たんだ?もしかしてベルナージュのボトルの力って撃った本人に激痛を喰らわせるとか?ウィザードのスリープ並みにクセ強すぎだろ…。もしくはあれか?ローグからもらったトランスチームガンが気に入らなかったとか?嫉妬とかだったりしてな(笑)。…まさかねぇ」
意外とあり得るかもしれないと考えたがすぐに頭を振り自販機から自分と本音用にピーチソーダとメロンソーダを購入する。どうやら自販機が当たったらしく流斗はついでにレモンソーダを手に入れたが、何故か残りのチェリーソーダも気になり結局四本の炭酸飲料を手に入れてしまった
「やっちまった…。はぁ…。相川ちゃんと谷本ちゃんにでもあげるか」
「うっ…。ぐすっ!」
どこからか女の泣き声が聞こえ流斗はゾッとする。怪談系などが大の苦手な流斗は辺りを慎重に見渡しその声の正体を見つけた。
「ヒッグ…。一夏のバカァ…」
「どうしたの凰鈴音さん?」
「あんたは…」
「宇田です。とりあえず何かあったの?」
流斗は鈴音に泣いている理由を聞こうとしたが遠くから生徒の声が聞こえたので、ひとまず本音に連絡を取り自分の部屋で話を聞くことにした。