その多彩な活躍によりビーム兵器の定義が乱れる。
個人的には霞衣をもっといっぱい使ってほしかったです。
「はい、あーん」
放課後、IS学園特別医療室。
ワールドパージ事件からしばらく経って、未だにここから離れられない楯無さんの世話をする日々が続いている。
「も、もう、自分で食べられるわよ」
とかなんとか理由をつけてなかなか手作り弁当を口にしてはくれないが、これも普段のお返しだ。多少強引にでも食べてもらう。
「あーん」
「あ、あーん……」
ニコニコと笑みを浮かべたまま中身を口に運んでいれば、楯無さんは照れくさそうにしながらも食べてくれる。好物を揃えた甲斐があったというものだ。
「と、ところで一夏君」
「なんですか?楯無さん」
「どうして一夏君はお姉さんのピンチに颯爽登場!してくれたのかな?」
「それが誰かが呼んでる気がして、直感的に行かなきゃいけないと思って…」
「でた。一夏君得意の謎主人公パワー」
「なにもそんな言い方しなくてもいいじゃないですか」
「じゃあ大事な時にしか本気出さないシステム」
自分から口を開けばこれである。この人早くもペースを取り戻してきている。
「でも実際そうじゃない。授業と特訓ではみんなに負けてばっかりなくせに、ピンチの時かつ区切りのいいときだけセカンドシフトして!」
「そんなことありましたっけ?」
「アニメ1期と2期の最終話」
「いや、1期の方は展開として筋が通ってるでしょう!箒を守るために重傷を負って、それでもみんなを守るために力を欲したらISが応えてくれたんですよ!」
「俺の声に応えろ?」
「ユニコオオオオオオオオオオオン!じゃなくて!」
「すごーい、一夏君似てる~♪」
本人なのだから当たり前だ。いやむしろ俺がガンダムだ。
「で、2期の方は?」
「……」
「 2 期 の 方 は ? 」
「…ここはノベル版時空なんで知らないです」
「うわメタい」
「実際まだ修学旅行なんて行ってないじゃないですか、俺の誕生日も普通に祝ってもらいましたし」
原作のストックがなかっただけだろとか言っちゃだめだ。不可抗力だったんだ。避けられない事故だったんだ。
「うーん…それにしてもよく考えてみると一夏君、というか白式ってかなりトンデモ機体よね」
「こんな俺のために頑張ってくれてるんですからそういうこと言わないでくださいよ」
「でも実際そうじゃない、お姉さんの暇つぶしにもなるし白式について改めて詳しく見てみましょう!」
そう言って楯無さんが開いた扇子には『調査』の二文字が。こうなるとこの人は止まらないのである。暇つぶしとはっきり言われてしまったが仕方ない。
「とりあえずワールドパージ事件の時までで見ていきましょうか。最近のを取り上げるとネタバレになっちゃうものね」
「だからメタいこと言わないでくださいって」(わかりました。じゃあとりあえずデータを出しますね)
「一夏君、逆よ逆」
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和名:白式(びゃくしき)第二形態・雪羅(せつら)
世代:第三世代
装備:近接ブレード『雪片弐型(ゆきひらにがた)』
左腕部多用途武装『雪羅(せつら)』
装甲:多重ナノ結合ハイブリッド・ハニカム装甲(生体同調機能付与)
仕様:バリアー無効化攻撃『零落白夜(れいらくびゃくや)』
エネルギー無効化防御『霞衣(かすみごろも)』
備考:ワンオフ・アビリティーを第一形態から使える代償として拡張領域が埋まっているため、後付武装の量子変換が行えない。
-OL文庫 IS<インフィニット・ストラトス>4巻より抜粋-
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「確かこのデータは特訓の時にも見せてもらったわね。何か変わったところはあるかしら?」
「簪とのほほんさんのお陰でエネルギー効率が改善したくらいですかね…燃費が悪いのには変わりませんけど」
「一夏君は零落白夜の射程まで近づくのにエネルギーを使いすぎね。もっと回避技術を磨きなさいな」
返す言葉もありません。しかし改めてみるとこれは…
「白式ってかなり無茶苦茶な機体ですね」
「でしょう?お姉さんの言ったとーり」
「実際問題として防御用のシールドエネルギーを常時消費する仕様なのはどう考えてもおかしいですよこれ」
「攻撃しても防御してもヒットポイントがゴリゴリ削れていくものねえ。織斑先生が使っていた機体と同じアビリティーなだけあるわ」
「あんな人外と一緒にしないでください。俺は人生ハードモードなんて御免ですよ」
おっとなんか寒気がするぞ。この部屋エアコン効きすぎじゃないのか?
「当てるか死ぬか、やることはっきりしてるんだからいいじゃない」
「命はおもちゃじゃないんですよ」
「ちゃんと防御装備もあるでしょう?ライフ削れるけど」
「しかもこれエネルギー兵装相手じゃないと意味がないんですよ」
「あらそうなの?私はてっきりVガン〇ムとかガ〇ダムSEEDとかに出てくるビームシールド的なあれかと思ってたんだけど」
「そうだったらどんなに良かったか…おかげで実弾主体のシャル相手にはさっぱりですよ」
ちなみに防御だけでいうと簪相手にも不利が付く。セシリアは有利、ラウラは五分といったところか。箒と鈴は近接型だから霞衣はあまり使わない。
「そもそも零落白夜ってどうなってるのかしら?見た目は完全にビームサーベルだけれどエネルギーは無効化するのよね?」
「えっと…『エネルギー質のものならばそれがなんであれ消滅させることが可能であり、相手のISのシールドエネルギー残量にかかわらず、直接本体を攻撃することができる。』だそうです」
「ちょっと待って?本体を攻撃できるってことは零落白夜は実体があるものに干渉が可能ってことじゃないかしら?」
「え?あー…そういえばアニメ版のクラス代表戦でセシリアと戦った時にミサイルを零落白夜で切ったような気が…」
「あとはゴーレムの腕を切り落としてたわよね。オータムのISの脚もビームクローで壊してたかしら」
「銀の福音相手の時は普通に刃刺しましたね」
「ということは競技としてのダメージ判定じゃなくて実際にダメージが発生しているってことなんじゃないかしら」
「つまり零落白夜はビームが効かないビーム?でも霞衣じゃ実弾は防げないし…」
「それも本当か怪しいわよ。そもそも霞衣を使ってる場面が少ない上に実弾相手には構えたこともないんだから」
考えれば考えるほど謎は深まるばかりである。これは気になって夜眠れなくなるやつだ。
「というか一夏君、よく考えたらキャノンボール・ファストの時に雪羅のビームクローでレーザー弾いてるじゃない」
「その後に霞衣も使いましたけどすぐエネルギーが切れちゃいましたね」
「うーん…とりあえずまとめてみましょうか」
・零落白夜はビームが効かないビーム兵器
・雪羅の機能であり零落白夜を使ってる霞衣は実体に干渉できない(?)
・雪羅のビームクロー、ビームブレードの方は実体に干渉できる
「新装備の雪羅はビームしか干渉できないってわけでもないし…これは迷宮入りかしらね」
「束さんに聞けば詳しくわかるんだろうけど、あの人どこにいるかわからないからなあ」
「お姉さん残念だわぁ」
「…ところで楯無さん、ちょっと近くないですか?」
「あら、そうかしら?」
ちょっとというかだいぶ近い。誰か来たら確実に誤解されるだろう。
「…お前達、病室で淫行とはいい度胸だな」
「げっ!千冬姉!」
「織斑先生だ馬鹿者」
俺の脳天にいかりのてっついが炸裂する。いのちをだいじに。
「淫行だなんて滅相もない、一夏君のISについてお話していたんですよ」
「そ、そうだ千冬姉、暮桜の零落白夜って実弾に干渉できたのか?」
「だから織斑先生と…まあいい、私が現役のころは試したことがないから知らん」
「試したことがないって…ミサイルとかどうしてたんだ?」
「避けた」
「実体剣は?」
「雪片で受けてからバリアー無効化攻撃だ」
「千冬姉…」
「さ、さすがブリュンヒルデ…」
俺の姉にはまだまだ敵いそうにない。
「おお、そうだ一夏」
「なんだ?千冬姉」
「実の姉に向かって人外とは、お前もなかなかいい身分になったものだな?」
ポキポキと指を鳴らしながら鬼が近づいてくる。
「ご、ご愁傷様…」
俺の体がInto the Sky。IS学園は今日も平和です。