北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~ 作:far
気付けば、俺は南斗の拳士のひとりに認定されていた。
俺が独自の奥義にまでたどり着いた事を、なぜかシンが知っていた。きっとシステム的なアレか、ウィンドウさんの仕業だろう。
それで南斗六聖拳のひとりとして、南斗108派のひとつとして認定してくれたんだそうな。
大きなお世話にもほどがあるんだが。
というか、認定する前に俺に一応知らせろよ、と。
もう認定されたんでムダなあがきなんだろうが、新たに増やしていいのかと聞いてみた。
だが、核戦争前は1000を超える流派があったので問題が無いと、いとも簡単に答えられてしまった。
108が正統な流派の数なんだそうだけど、実際、世紀末な世になって減ってしまっているから、逆に都合がいいんだとか。
他にも独自すぎるとか、拳使ってないからとか、色々と認定を避けようとしたんだが、無駄な抵抗だったよ。
だが名前について考えたいから、と時間を稼ぐ事には成功した。
さて。この間に、だ。この間に、稼いだ時間で何とか。何とかせねばヤバい。
このままだと名前が南斗中心脚になってしまう。
ナニで斬ったり突いたりする拳法。その開祖になってしまうのだ。
クソッ。どうしてこうなった。
あの時、酔っていたとは言えなにをやっているんだ、俺は……
こうなった以上は、アレだ、特訓だ。修行だ。修練だ。実験だ。
新たな奥義を別に作って、そっちをメインに持っていくしかあるまい。
中心脚は裏奥義にでもして、隠してしまえばいい。それがいい。そうしよう。そうするしかあるまいて。
さもないと、戦闘が始まるやいなや、初手でズボンのチャックを下ろすところから入る、セクシーコマンドーの使い手な南斗の流派が出来てしまう。
しかも出すモノはそのまんまという、セクシーコマンドー以下の、ただの変態だ。
それは避けたい。本当に避けたい。というか、そもそもあの奥義がなんで通った。
いや。今はグチってる場合じゃない。奥義だ。奥義を作るんだ。
さいわい、構想はある。ポイントも豊富にある。いけるはずだ。
奥義まで行かなくとも、技をいくつか作れれば、拳の名前くらいは何とか修正できる。はず。できるといいな。
いや、やれる。やれるんだ。そう思い込め、俺。がんばれ、俺。負けるな、俺。力の限りに。
まずは修行場へ移動するか。いくつか南斗聖拳と、ヨガのスキルを上げないと……
そしてうつぶせに寝て体を反らし、背面で両足のつま先を手でつかむ、水魚のポーズこと弓のポーズをしていたら、サウザーが横でマネしようともがいているのにイラッと来たり。
ヨガを2に上げただけで、若干手足を伸ばせるようになった自分にちょっと引いていたら、横で見ていたサウザーにはもっと引かれて、少し傷付いたり。
更に柔らかい動きを求めて、ヨガを3に上げるべくヨガファイヤーからヨガフレイムへパワーアップさせようとするのを、横でサウザーがマネて炎を吐こうとしているのにイラッと来たり。
柔らかくうねる手足に、南斗独特の切れ味を両立させようと四苦八苦していると、重さを消す方向でも気を活用しろと、サウザーに有用な助言をされてイラッと来たり。
そんなストレスと引き換えに、めでたく俺の独自の流派は完成した。
[P:8→8 南斗龍舌拳 を習得しました!]
[P:8→18 トロフィー(虹):オリジナルの拳法を作る を達成しました!]
いや~。減った減った。23あったポイントが、南斗聖拳とヨガを1から3まで上げるのに、10ポイントと5ポイントで15も減りやんの。
だがその甲斐はあった。手に入れたぜ。中心脚じゃない、俺の拳法を!
良かった。ホント~… に良かった……
それと、自分の拳法って習得するのにポイントいらないし、スキルレベルもないのな。
ある意味、納得だわ。
拳法の名前は、アレだ。ヨガで手足を柔らかくして、出来れば伸ばして、それをムチみたいに扱うのが基本の拳法だから、それを龍の舌と表現したわけだな。
むしろ触手っぽい気もしたが、そこは気にするな。
元ネタは刃牙に出てきた鞭打だ。そこに南斗聖拳も混ぜたんで、殴るも良し、斬るも良し。ダルシム入ったヨガも混ざってるんで、伸びるし軌道もムチャな変化するぞ。
なお。ヨガファイヤーは技の中に入りません。アレは別枠だろう、常識的に考えて。
常識ってなんだっけ。
投げ捨てるものでいいんだっけ?
まあ、常識はいいや。これで万一お披露目とか言われても、困らないぞ。
集まった南斗の拳士の面々の中で、下半身スッポンポンになってナニを振り回す俺なんて、もうどこにもいないんだ!
やったぜ。
まあ、作ったはいいけど、正直あんまり使わない気もする。
殴った方が早い、とはトキ流北斗神拳の基本だけど、殴るより撃ったほうがもっと早いんだよな。
モヒカンリーダースキルで出せる、ボウガン便利です。
ネームドキャラなら斬って防ぐし、北斗の拳士に至っては二指真空把で跳ね返してくるけど、そんな相手とはそもそも戦わないで逃げるしなあ。
そういうわけなんで、完成したならさっそく手合わせしようぜ、と張り切っているサウザーをごまかそうと思う。
この間、出せる卵には魚卵も含まれていると気付いて、手に入るようになったタラコとイクラ、キャビア。
そのうちタラコを使った、キーマカレーならばいけるだろう。
炒めるという手法は、調理技術(中華):2の範疇だ。確実に腕は上がってきている。
「その前に、腹は空いてないか? 厨房へ行こうぜ」
さあ、付いて来いサウザー。お前にキーマカレーもアリだなと言わせてやるぜ!
ニンニク、赤唐辛子に、ショウガをラードで炒め、着実に入って来るようになった農作物の数々をみじん切りにして投入!
中華ナベが大活躍だぜ、ヒャッハー!
豚ひき肉をカレースパイスを絡めつつ投入。更に炒めて、火が通ったならば皿へ!
そこへタラコだぁー! 白ワイン代わりの日本酒、長野県は松本の大信州で伸ばして、乗っけるぜー。半熟の目玉焼きも乗っけるぜー。
っしゃ! 完成だ!
どう考えても、拳法作ってるよりも、料理作ってる方がテンション上がる件について。
なんでだろうなあ。俺、モヒカンなんだけどなあ。
ひょっとすると最初の頃に出てきた、あの選択肢のせいかなあ。
ほら、あったじゃん。あの三択。最初の同行者の正体に、ケンシロウとジャギとその他の、どれ選ぶよってヤツ。
今思えば、あれはルート選択だったのかもなあ。
ケンシロウなら正統派ルート。北斗の後継者でも目指しながら、各地の問題解決、悪党退治。
ジャギならヒャッハールート。村を襲ったり、モヒカンを束ねたり、シンやサウザーをそそのかして、ケンシロウなんかにぶつけたりする、悪党プレイ。
そしてその他のゲンジロウ。わりと自由に、この世紀末を生きてくださいというお任せプレイ? それにギャグ補正もあるよな。うん、間違いなくそれはあるわ。
このルートを選ばなかった場合は、調理技術で食糧が出てくるとかは無かった気がするんで、これはこれでいいけどさ。
このルートで本当に良かったんだろうかなあ。
この道を行けばー どうなるものかー。とプロレスラーのアントニオさんは引退する時に言っていたが。
まあ、彼の言うとおり、行けば分かるか。
そもそもエンディングがあるのか。あるとしたら、どんなエンディングなのか。ひとつ、確かめてみるとしよう。
ただ、どっちに行けばエンディングがあるのか、見当もついてないという問題があるんだけどな!
まあ、そこはそれ。
高度の柔軟性を持ちつつ、臨機応変に対応すれば、何事があっても大丈夫だ。
自由惑星同盟軍士官学校で主席を取ったフォークさんもそう言っている。
さあ、この世紀末をがんばって生きようか。
●セクシーコマンドー
セクシーコマンドー外伝すごいよ!マサルさんより。作中に登場する流派である。
格闘技かどうかはかなり怪しい。フェイントのみに特化した流派。
「はぁぁぁぁぁ」と気合を入れて怪しげな動作をしたあと……ズボンをヒザまで下げて、そのままダバダバと奇妙な動きで走り寄ったりする。そしてあっけに取られた相手に一撃を入れる。
おもむろにズボンのチャックを下ろし、そこから何か小物を取り出し、やはりあっけに取られた相手に一撃を入れる。そんな流派。
●フォーク
銀河英雄伝説より。
戦犯です。