北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far

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何も考えず、走れ!

 気付けば、ファルコに殺されかけている。どうしてこうなった。

 この世紀末世界へと来てから、何度つぶやいたのかわからない。本当にどうしてこうなった。

 この先もきっと、何度もつぶやく事になるんだろうな。そんなイヤな確信がある。

 

 今回は、本気で原因不明だ。心当たりがこれっぽっちも有りはしない。

 ただなんか、問答無用で「戦え」とか言われて、襲われてしまっているのだ。

 こうしている今も、ビームがシュンシュン飛んで来ている。

 

 オカしいだろ。

 

 それもう、北斗じゃなくてドラゴンボールの戦法だろ。

 こっちもそれをヨガファイヤーで迎撃するという、ストリートファイターな戦法使ってる以上、あんま言えねえけどよ。

 それでもお前は、一応原作キャラだろう。

 そんな世界観が違うような事やってるから、作者に新章突入と同時に、カマセ扱いで消されるんだよ。

 

 あっヤベ。

 

 なんか地雷でも踏まれたかのように、いきなり攻撃が激しくなったファルコの闘気刃が飛んでくる。

 手を胸の前で、小さく前に習えのポーズをして、そのまま上下左右に手をわちゃわちゃ動かしながら「元斗流輪光斬!」とか言ってるから、奥義のひとつなのかもしれない。

 察するに、手をでたらめに動かすことでいつ闘気刃を飛ばすのかわからなくする、フェイントつきの攻撃技なんだろう。

 

 まあ、遠距離攻撃なのは変わらないんで、見てからかわすだけなんだけどね。

 

 と思っていたら、次は八つ裂き光輪が飛んできた。それも二個。

 衝の輪(しょうのりん)という技らしいが、輪が身長より大きい。面積がある分よけられないな。なら迎撃だ。

 

「ヨガフレイム!」

 

 ヨガファイヤーとは違って、相手に飛んでいかずにその場に溜まる、大きな炎を吐き出す。

 それが壁になって、俺の身を守ってくれた。

 だがヨガファイヤーも、ヨガフレイムも、ゲームと同じく吐いている間は足が止まるという欠点がある。

 これは反動に耐えたり、渾身の力で息を吐き出すためだったりするからで、仕様だからという理不尽な理由ではないとは言っておく。

 

 だからこうして、そのスキを突かれて懐に飛び込まれても、対策はある。

 

黄光刹斬(おうこうせつざん)!」

 

 闘気を込めたただのチョップという、超絶地味ながらも元斗の最終奥義らしい技を使ってきたファルコを意識から追いやり、両手を合わせる。

 目も閉じて、己の内側に意識を最速で沈めて、己を一度消す。そして解き放つ。

 

 そして目を開ければ、俺はさっきまでとは全く違う場所で、座禅を組みながら宙に浮いていた。

 

 技の原理も理屈もサッパリわからんが。

 これが、ヨガテレポートだ!

 

 うん。これでも俺は、北斗の拳士にして南斗の拳士でもある、モヒカンリーダーなんだがなあ。

 今回、ヨガしか使ってねえや。

 

 北斗世界なのに、ヨガの方が便利な可能性が……?

 

 なおヨガテレポートは、ヨガを4に上げたら生えてきた。5にしたらどうなるのか、怖くなってまだ確かめていない。

 悟りでも開けそうな気がするし、もし外見がダルシムになったら、ほら、なんかイヤじゃん?

 もしそうなったら、配下もモヒカンじゃなくてスト2軍団になるかもしれん。

 バイクという移動手段があるのと、減ってもそのへんの野良モヒカンから補充がきくだけ、モヒカン軍団の方が使い勝手がいいと思うしな。

 

 まあ、あいつらがいるからどうだって意見もあるだろうけどよ。

 あんなんでも、統治の役には立ってるんだぜ?

 間柴シリーズなんか、仕事はマジメにこなすしな。逆にルフィならぬモヒィは、全く仕事をしなくなったが。

 

 ベラボー? ベラボーは、なんか野性に返ったよ。

 

 悪党を探してシバく、ケンシロウと同じような行動をしているらしいぞ。

 ただベラボーとしかしゃべれないのと、外見が、アレだ。怪しい派手な、変わった鎧(?)の男なんで、あまり理解はされていないらしいがな。

 自主的にKING軍の領地の巡回をしてくれている、と言えなくも無いんで、まあ、ヤツについてはそれでいいとしようと思う。

 言葉が通じないんで、他にやりようが無いとも言う。

 

 さて。

 

 逃げ切ったはいいが、どうしたもんか。

 本当に、ファルコに襲われるような心当たりは無いんだが。

 ここはひとつ、上司に相談してみようかね。座禅組んで、両手合わせて、ヨガテレポートっと。

 

 そしてあのビルの最上階の、窓が無くなった吹き抜けのところに跳んだのだが、シンがいなかった。

 代わりに秘書的立場にいる、モヒカン系の人がいたので聞いてみた。

 

「ヒャッハー?」

「ヒャッハー!」

 

 相手がモヒカンだと、ひとことで全てが済むんで実に便利だ。

 それはいいんだが、聞きだした結果はいいもんじゃあなかった。

 

 シンが天帝を預かる事になったんだが、その世話係を俺に押し付けようとしたらしいのだ。

 それで預ける側のファルコが、世話係の腕を見てみたくて襲撃してみたと、そういうことらしい。

 

 そのわりには、殺意を感じられたんですけど。

 え? シンがそのくらいでやってくれってリクエストしてた? なんで?

 俺がケンシロウにバーテンのバイトを紹介して、その店でたまに飲んでるから?

 

 え? ホモの嫉妬?

 

 えっ? 俺、そんなんで死にそうな目にあったの? えっ?

 

 ……………………

 

 しばらく、旅に出ます。探しても無駄だ。

 帰ってくるかは、わからないけどな!

 

 ヒャッハー! 全部投げ捨てて、自由になるチャンス来たぜー!

 いつまでもチマチマ領地育成ゲーなんてやってられっかー!

 どこからともなく無限にわいて来る野良モヒカンがうっとうしいんじゃー!

 気を使って、陳情も聞いてやらないと、こっちの言う事を聞かなくなる住人も面倒なんじゃー!

 民忠とか治安とか生産量の数字を見せろや、ウィンドウさん!

 しかもキッチリ運営しても、今まで1ポイントもくれないのは、どういうことだー!

 

 ああ、もう、アレだ! カイオウだ!

 アレ倒しゃ、クリアできるだろ! 原作のラスボスだしな!

 このゲーム、クリアーして終わらせてやるぜ、ヒャッハー!!

 

 


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