北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~ 作:far
気付けば、俺は海辺でたそがれていた。
そうだよな。修羅の国に行くのに、船っているよな。
しかも生きてるエンジンとスクリュー付きの船とか無いもんなあ…… 原作だと帆船で移動してたっけ?
テキトーにそこらを走り回れば、放置されたFPS製の小船とかならありそう。
というかここに来る途中でも見かけたけど、マトモなモンが残ってるかは、実に怪しい。
いや、待てよ?
スキルがあるじゃん。
バイク取り扱いみたいに、船舶取り扱いみたいなスキルがあるかもしれないじゃん。
バイク取り扱いが、1でバイクの運転、整備。2でバイクの修理、呼び出し。3でガソリンの補充が出来るようになっていったんだ。
船も似たような感じだったなら、3まで上げれば行けるだろ。
え~っと。今、残りポイントが14か。1+2+3の、6あればいいから楽勝だな。
まあ、そんなスキルがあればの話だが。
デク作製とかニッチなスキルもあった事だし、たぶん大丈夫だとは思うがな。
さて。船を調達して、海辺で舟遊びをやってみようかあ。
で。結論から言うとだ。
何の! スキルも! 手に入らなかったんだよな。これが。
オール代わりの木切れで漕いで見たり、広げた布を掲げて風を受けて進んでみたりもしたんだが、ダメだった。
そんで一縷の望みに賭けて、近場の廃墟をあさったわけだ。
お目当ては、ボートのエンジン。そいつを使って動かしてもなおダメだったなら、スキル頼みで修羅の国へ行くというアイディアは、お蔵入りだ。
そん時は、どうすっかなあ。
そうだ。原作では、船乗りやってた奴らがいたな。確か。
そいつらか、それとも別の船乗りか。まあ、とにかく向こうへ渡してくれる奴らを探して、頼むしかねえな。
料金なら大丈夫だろう。こっちには、ある意味無敵の調理技術スキルがある。
この世紀末世界最強通貨の、食糧と水をいくらでも出せる。買収できるなら、拳王だって買ってみせるぜ。
いや、そういやすでにアレは買収済みだったわ。
ここんところず~っとニートやってるだけで、酒飲んでるか、遊んでるかなんで、存在自体をコロッと忘れてたわ。
そうだよな。修羅の国に行くのに、アレを連れて行かない手はないよな。
というか。俺一人で殴りこまなくてもいいよな。
うん。なんで俺、一人で行こうとしてるんだ。冷静になったら、その事実にビックリだわ。
ケンシロウじゃああるまいし、一人じゃなくていいじゃん。
いや、でも軍団作って海を渡ろうというなら、やっぱ船いるよなあ……
それに、冷静になって気付いたけどさ。俺、修羅の国の正確な場所知らねえわ。
いや、マジで。
原作で、シンの支配地域が関東とかバットが言ってたシーンもあるけども、北斗の拳の設定って、後付けだらけでガバガバだからなあ……
修羅の国も、幼いラオウらがボートでたどり着けたんで四国とか九州という説と、ケンシロウが徒歩で短期間に回れたんで沖縄か台湾説と、北斗本家の遺跡があるんで中国大陸説があって、どれなのかは分かんないんだよな。
さらに今思いついたけど、この謎のゲーム世界の独自設定で、架空の大陸か島という可能性まであるもんなあ。
うん。いるわ。道案内キャラが必要だわ、これ。
そんなふうにツラツラと考え事をしながらも、かつては港に近い街だったろう廃墟をブラついていた俺の目に、ひとつの乗り物が映った。
水上バイク。一応はバイクメーカーのヤマ○や、カナダの会社で、スノーモービルやバギーも作ってるシードゥ○。
そして目の前で、かぶせられたシートもボロボロになっている、白い水上バイク。ユーモラスにも思える、アヒルかイルカを思わせるフォルムの、1100STXを作っていたカワサk。
最終的には、この三社以外はほぼ撤退してしまった。そんなニッチなジャンルの乗り物だ。
バイクでは、専門店に持ち込んでも他のメーカーの店に持ち込んでも「kワサキか……」と言われてしまう特殊性を、むしろ誇るメーカーだが。
水上バイクではそんなことはない、らしい。
それにこれも、一応はバイク。バイク取り扱いスキルで、何とか動かせないだろうか。
水上に交差点も何もないんだよ、とばかりに、エンジンのスタートとストップボタン以外は、ウィンカーすら付いていないシンプルな仕様だしさ。
その辺、どうなのよ。ウィンドウさん。
[P:14→10 バイク取り扱い:4を習得しますか?(Y/N)]
あっ。4ならいけるんですか、そうですか。なら習得しますわ。
バイク取り扱い:4は水上バイクの召喚、整備ね。OK、OK。
個人的には水上バイクだからじゃなくて、カwサキ製だからスキルレベル上げが必要だった気がしてならないけども。深くはツッコまないでおくよ。
[P:14→10 バイク取り扱い:4を習得しました!]
この1100STXって3人乗りなんだよな。それにこれでボートでも引けば、十人前後は修羅の国に行けるだろう。
ラオウとか大男が多いけど、まあ、そこは乗っけてみないと分からんし。
だが、今は全てを棚上げしよう。
まずはこの水上バイクを、動かせるように整備しないとな。
それが終わったら、もちろんちゃんと動くか、試運転しないとな!
いやいや、これは試運転だから! あくまで試運転だから! たまには海で遊びたいってわけじゃあ、決してないから!
贅沢を言えば、メタリックでデザインも攻撃的になった、もっと先の年代のヤツが欲しかったが、そこは仕方がない。
北斗の拳は、199X年に核戦争が起こった世界という設定だったからなあ。それ以降のタイプが残っているわけが無いんだよな。
その割には、たまに核兵器のコントローラーとか、謎の巨大バイクとかよくわからんオーパーツがあるけども、まあ、北斗ワールドだしな……
週刊連載で、見切り発車でその場しのぎを繰り返して、それでも人気取って、最後まで駆け抜けたという恐ろしいまでの偉業だもんなあ。
そらボロの1ダースや2ダースも出るよ。
さて。バイク取り扱い:4になったおかげで、補修部品がどこからともなく取り出せる。
プラグやバッテリーなど、消耗しやすいパーツを取り替え、1100STXは生き返った。
回復魔法みたいに、自動で直れよと思わないでもないが、それはまあ贅沢な願いか。
さあ、試運転だ。海に行って、呼び出すぜー! 乗るぜー。超乗るぜー!
サーフボードも見つけたから、こっちにも乗っちゃうぜー!
トロピカルドリンクでも飲みたいが、無いんでビールでガマンだー! だが白ビールにしてフルーティーさは味わうぜ! ヒューガルデンだ!
さあ、海だぜヒャッハー!!