北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far
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唐突に麻雀出したのはアリだったのか、実は自信が無いです。
あと今回ちょっとアンチ入ってるかも。


疑惑の兄弟たち!

 気付けば、俺はとっさにバイクを呼び出していた。

 上家(かみちゃ)の修羅候補さんに親番が回って、配牌が終わった瞬間に、とてつもなくイヤな予感が走ったんだよ。

 そんで直感に従って左隣の席を見ると、案の定修羅候補さんが、仮面越しでも分かるほどに悪い笑顔をしていたんだな。

 

「ツモ、天ほ―――」

 

 そして修羅候補さんが宣言して、一つも牌を捨てる事無く牌を前に倒そうとしたのを見ての、とっさの行動だった。

 目の前に呼び出されたバイクは雀卓を倒して牌をバラ撒き、彼が最後まで言い終わる前に、この勝負を無かった事にしてくれた。

 

 これぞ将棋やオセロなどのボードゲームや、カードゲーム全般に共通する、禁断の奥義。ちゃぶ台返しである。

 

 これをやってしまうと、次からは相手が遊んでくれなくなるという意味でも禁断の奥義。

 今回は、呼び出したバイクを即座に消す事で証拠も隠滅しているので、そこは大丈夫だ。

 バイク取り扱い:4で水上バイクの扱い、召喚と一緒に出来るようになった、バイクの召喚の応用だ。

 今までも召喚出来ていたと言えば、出来ていたんだが。あれはどこからともなく走って来るという、言わば登場シーンが必要だったからなあ。

 今は、空間からフッと現れる。マジで召喚だな。

 

「まさか修羅の国でも、暴れバイクが出るとはな。犠牲者が出なくて、良かったぜ」

「あ、暴れバイク?」

 

 テキトーこいてごまかそうとしたら、なんかもっとテキトーなヨタを飛ばすヤツがいた。対面(といめん)の席に座った、赤い髪の男だった。

 

「知らんのか? 暴れ馬と同じく、たまにいきなり出現しては、運が悪いヤツを轢いてどこかへと消えていく、謎の多いバイクの事だ」

「いや、知らんぞ。そんな話は。ウソだろう?」

 

 簡単にはダマされない。というか、信じがたいウソを受け入れてくれない修羅候補さんを、下家(しもちゃ)の席の、青い髪の男も説得する。

 

「信じようが信じまいが、現に暴れバイクは居たではないか。まあ、誰のチョンボでも無いただの事故だし、仕切りなおしといこうか」

 

 ここで当然、俺は天和をあがっていたと主張する修羅候補さんだが、そんな確認していない役満なんぞ、誰も認めない。

 というか、あれ、たぶんイカサマだろうし。

 運が大いにカラむ麻雀で、100回連続でトップ取れとか、イカサマでもなきゃあ無理だろう。10回でも無理だわ。

 そんなムチャ振りをされてしまったひとりである、この修羅候補さんが対策として身に付けたのが、さっきのあの天和なんだろう。

 それだけが武器かどうかは、わからないが。

 だが一応、こっちも命がかかった勝負(という建て前)だ。そういうのは容赦なく、ツブさせてもらおうか。

 

「ああ、妙なマネをするヤツがいなきゃあ、暴れバイクも出ないんじゃねえかな? うん、そんな気がするぜ」

「そうだな。妙なマネをするヤツがいなければ、な」

「いやあ、こんな真剣勝負の場で、そんな事をするヤツなど、いるわけも無かろう」

 

 それもそうだなHAHAHA と、わざとらしい笑いを上げる、修羅候補さん以外の俺ら3人。その目は、誰一人として笑っていなかった。

 

 さて。そろそろ皆に彼らのことを紹介しようと思う。

 修羅候補さんの事は、俺もわかんないから飛ばすとしてだ。

 

 赤い髪の彼の名は、シュレン。南斗五車星のひとりで、火燐拳の使い手らしい。

 拳法に南斗とも五車星とも名前がつかないので、元は他流派の人だったのを、リハクあたりがスカウトした可能性がある。

 原作では拳王ラオウに、自分の命を捨てて、己の体そのものを燃やして相打ちを狙った熱い男。

 その結果は、乗ってた馬の黒王号のタテガミ一本こがせなかったという、しょっぱいにも程があるものだったが、その熱さは一瞬だけ輝いていた。

 その輝きはラオウの心をも動かし、ここまでして守ろうとする南斗最後の将とは一体? と興味をそそらせることに成功する。ってダメじゃねーか。今思えば、逆効果満点だなオイ。

 

 炎も、火『燐』拳って言ってるし、闘気とかの応用じゃなくて、マッチの先っぽにも入ってるリンを使ってるんだろう。

 それじゃあ人を焼き殺せるほどの火力が出せないから、火を出して脅かして、そのスキに攻撃を入れるというコンセプトの拳法なんじゃなかろうか。

 

 つまり、カッコいいセクシーコマンドーの使い手か。

 

 それと青い髪の人こと、風のヒューイを弟星とか言ってるけども。義兄弟なのか、それとも実の兄弟なのか。

 実の兄弟だった場合は、兄弟なのに髪の毛の色がかなり違うので、また世紀末家庭板案件になってしまうんだが、そこのところはどうなんだろう。

 両方目の前にいるから、聞こうと思えば聞けるんだが……

 

 うん。気付かなかった事にしよう。

 

 ラオウの所の兄弟も、カイオウラオウと来て……トキ? みたいな家庭板案件疑惑があるしな。

 カイオウとラオウはうり二つと言っていいほど似ているが……トキ? みたいな。

 

 世の中。知らない方がいい事というのは、意外と転がっている。

 それらを見て見ぬ振りができる事も、大人になるという事なんだろう。

 

 スルー技能は、人生で大事。モヒカン、覚えた。

 

 

 ああ、そういえば。

 

 

「アンタも修羅の国の人間じゃないんだよな? なんでこの国に?」

 

 青い髪のヒューイに聞いてみた。

 この人はやはり南斗五車星のひとりで、五車風裂拳だか五車風仁拳だかの使い手で、風の中に真空を走らせ、鋼鉄をも断つという強そうな売り文句の持ち主だ。

 その鋼鉄の厚みとかを言わないあたりが、少し怪しいが。

 風を操り、スッパスッパ切り裂く、遠距離攻撃主体の人なんじゃなかろうか。

 

 原作では、なぜかラオウに直接飛びかかっていって、カウンターで殴られて死んでたけどな。

 

 その前に拳王侵攻隊を襲いまくって、ラオウに「南斗最後の将が動いたか。ウザそうだからツブしとこ」と思わせ、それまでノーマークだった最後の将が、ラオウに目を付けられるキッカケを作った男でもある。

 しかもバカ正直に、自分の所属と名前と目的を全部ラオウにしゃべっちゃっていたという、もう、何と言っていいのか分からん男でもある。

 最後の将を守る事が彼ら五車星の使命、のはずなのだが。なぜ兄弟そろって命を無駄に捨てて、守るどころか逆に危機にさらしていくスタイルなのだろうか。

 もしかして、これも策がことごとく裏目に出るという、海のリハクってヤツのしわざなんだろうか。

 

 ここで天才軍師という肩書きだった、海のリハク。彼の全盛期の伝説をごらんいただこう。

 

 自分以外の五車星がラオウひとりにことごとく破れる。ただし、なぜかひとりずつ送り出した模様。

 それだけの犠牲を払って考え付いた策が「せや。ワナだらけの城におびきだせばイケるやろ」だった。なお、ワナは当然のように全部乗り越えられた。

 そしてラオウに自分が殺されそうになるも、ケンシロウに助けられ、そのままケンシロウが勝ちそうになった所で、リハク最後のワナが発動。勝負はウヤムヤに。

 それどころか、その結果ラオウが最後の将であるユリアのもとに移動してしまい、そのままさらわれるというミラクルを起こす。

 

 うん。コイツ実はラオウのスパイだったと言われても、信じられるかもしれん。

 

 そんな海のリハクの下に未だにいるらしい、この世界の五車星のメンツだ。

 目的くらいは把握しておかないと、なんかヘンな事に巻き込まれる恐れしかないからなあ。

 ここはちゃんと確認しておかないと。

 

 正直者のヒューイは、実にアッサリと答えてくれた。

 

「シュレンがな。自分とお前のキャラがカブってるかもしれないから確認に行くと言って、聞かなくてな」

 

 えっ。俺?

 カブってるって、えっ。

 

 もしかして:ヨガファイヤー

 

「燐や油などを使わず、炎を操ると知ってからは技を盗むのだと、ずっと観察していたぞ」

 

 えっ。ストーカー?

 なにそれ怖い。

 ちょっとそっち系の技の…… ヨガの師匠のダルシムさんを紹介するんで、勘弁してください。

 手足が伸びるようになったり、テレポートしたりするようになるかもしれませんが、副作用なんで、そこはあきらめて下さいね。

 

「じゃ、帰るとしますか。元の国へ。国なんざ無いけどな」

 

 こいつらと一緒に居るのも怖いし、修羅どころか、その候補に負けるってアカンやろ。ここは一時撤退しないと。

 

 しかし国かあ。自分のトコを国だと認識してる集団って、ほとんどないからなあ……

 

 えっ、修羅候補の人、何? まだなんかあんの?

 

「何を終わったような気になっている。勝負はまだこれからだろう」

 

 ああ、そういやそうだったね。ちゃっちゃと終わらせようか。

 牌をかき混ぜ、山を積む。サイコロを振り、手元に牌を取る。うん。終わったな、これ。

 

「なあ。アンタさっき、勝負はまだこれからって言ってたけどさあ……」

 

 他所の卓の客からスッたタバコを、シュレンに火をつけてもらって一口だけ吸う。

 このセリフを言うには、タバコが必須なのだ。

 

「なあ、アンタ…………背中が、煤けてるぜ」

 

 なぜかニヤリとする、ヒューイとシュレン。えっ。お前ら知ってんのか?

 

 だが修羅候補さんは知らなかったらしい。前の局の俺のように最初の捨て牌を横に曲げて、ニヤリと笑った。

 

「ダブルリーチだ。もし今度もまた暴れバイクなんぞが出ようとも、跳ね飛ばしてやるわ」

 

 勝ち誇る修羅候補さんの様子から見るに、よほどいい手か、上がりやすい手でも入っているんだろう。

 でもゴメンな。もうこれ、終わってるんだわ。

 

 北斗神拳 水影心

 

 相手の動きを水面に映すように、心に写し取ってパクるという、最悪の奥義だ。

 お前のツミコミはもう、手に入れている。

 そこに俺の竜舌拳の伸びる手と、柔軟な動きを混ぜれば―――

 

「ご無礼。その牌いただきます。人和(レンホウ)、32000」

 

 えっ、人和ナシ? 聞いてないんだけど。

 まあいいや。そんじゃあ、トイトイ小三元ホンイツ白発ドラ3の三倍満な。

 どっちにしろあんたの負けだよ。トビだろ?

 

 安心しな。不意打ちとは言え、こっちも拳で負けて命をとられなかったから、こっちも何も取らんよ。

 ただ自由にはさせてもらうけどな。

 じゃあ、サヨナラだ。もう会わない事を祈ってるぜ。アバヨッ。

 

 

 



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