北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~ 作:far
気付けば、サザンクロスで麻雀教室が開かれていた。
なお、講師は俺ではない模様。
じゃあ誰かって?
トキ先生です。
さすがは北斗2000年の歴史の中で、最も華麗な技を持つと言われた男。
一説によると、ジャパ○パークでフレンズやってた説までささやかれただけの事はあるぜ!
え? オカしいって?
気にするな。細かい事を気にしていたら、人生損しちゃうよって、ワイアルドさんも言ってただろ!
あのエンジョイ&エキサイティングな人なら、きっとこの世紀末世界でも楽しくやっていけるぞ!
俺もね。もうね。なんかもう、ツッコミとか、いいかなって。
いい加減、面倒になってきたんだよ。いちいちツッコミ入れるの。
まあツッコまないでいられなかったら、しょうがないけどさ。そうでなかったら、テキトーに流しても許されると思うんだ。
むしろ俺もボケを重ねても、いいんじゃなかろうか。
きっと誰か代わりにツッコミをやってくれるさ。ほら、いたじゃん。バットとか。
それでトキ先生だけどさ。
なんで、サザンクロスに来たのかって言えば、ユリアのためらしい。
なんかヨガを深く学んだら、病状が少し回復したんだそうな。それで寿命が十年くらい延びたんで、ユリアにもヨガを学ばせに来たんだってさ。
なんでさ。寿命まで延びるのはオカしいだろ―――っと、待て。違った。ツッコんじゃダメだ。ここは軽く褒めて、流すんだ。
すごいね、ヨガ。
でも肝心のユリアが1分の1フィギュアのやつしかいなかったんで、別の目的に切り替えたんだな。
その結果。弟に正座させられ、マジ説教される拳王ラオウの姿が。
ついでにケンシロウも一緒に説教されていた。
というのも、モヒカン相手にカツアゲしていたのがバレてしまったのだ。
まあ、ケンシロウがウワラバやアベシさせたモヒカンから、バットが勝手にかっぱらっていただけなんだが……
ケンシロウも基本的に無収入なので、そこから旅の費用が出ているのを見て見ぬふりをしていたのが、アウトだったらしい。
マップを歩くとエンカウントする
そしてラオウへの説教は、生活態度にまで及んだ。
修行もせずに、酒を飲んで、メシを食らって、遊んで寝る。そんな自堕落な生活してたからなあ。
うん、擁護できねえ。そもそも、する気も無かったけど。
じゃあなんで近くで聞いてるのかって言えば、単に酒のサカナにしてるだけだったりする。
ただ飯のニオイを嗅ぎつけてきたバットと、それに連れられてきたリンもいる。あとアミバも。
アミバには、ひたすらに豚肉とキャベツとニラの肉野菜炒めを作らせている。
丈夫だからか、そこらを探すと割りと出てくる中華鍋をひとつ、サビ落としをして専用に渡してやったので、それを使わせている。
なんで俺が? という顔をしていたので、トキに美味いメシを食わせたいと思わないのか? 栄養をきちんと取らないと、また病気が悪化するぞ。とダマしてやらせていたりする。
うん。ウソなんだ。すまない。
ヨガで飲食不要になってるし、その副次効果で病気も抑えられてるっぽいから、むしろ食べちゃダメだわ。たぶん。
ダマしているのは、純粋に俺のため。ポイントのためだ。
弟子を取ったら、ポイント入るかなって。そんな感じの、軽い実験だったりする。
まあ、ムダになる技術でもなし。そのまましばらく、ダマされてくれアミバよ。
こらこら。使い終わった中華鍋を洗うのはいいが、洗剤使うな。水で洗って、空焼きしろ。そして油だ。汚れを油が溶かしたら、油ごと捨てろ。
それからあらためて油を敷いて、次の調理。これが
肉と野菜には、下味を付けてあるな? なら油通ししろ。100度ちょいの油に、ざっと通すだけだ。これは
直接水に触れさせると、水が悪いんで美味しくなくなるんで、油で素材をコーティングして解決。そんな大陸の事情から生まれた技でもあるらしいがな。
あと細かいテクニックだが、
火を少なくと書いて、炒める。ザッと一気にやらないといけないんで、いちいち醤油入れて、オイスターソースいれて、と何度もやってる手間が邪魔になるんだよ。
よーし、いいぞー。中華鍋の振り方もいいぞー。はい、そのまま皿に盛って、完成!
さて。今度のはどうよ、味見役のバットくん。
「あー、ちょっと待ってくれよ。実際に食べてみないとね」
そう言ってバットは箸を使って、肉野菜炒めを口へと運んだ。
その姿勢はキレイなものではないが、コボしたりはしないだけ、及第点か。
まあ、この世紀末でそんな食糧を無駄にするような食べ方してたら、見たヤツ全員に怒られるからな。
なんせ、水を浴びるように、豪快にコボしながら飲んでたモヒカンが、仲間からタコ殴りにされた事件があったくらいだ。
色々と日本らしくは無くなった世紀末世界でも、日本らしさはまだどこかに残っているらしい。
モヒカンですらも食べる物に関してはガチなあたり、そう思う。
[P:35→37 トロフィー(銅)スキルを教える を達成しました]
チッ。シケてやがる。いや、俺の調理技術(中華)が低すぎて、弟子を取れないのか? まだ2だもんなあ。
ところでだ。やたらポイントがあるなと、思っただろ?
これな。先日の麻雀の成果なんだわ。というのも、終わった後にこんなウィンドウが出たんだ。
[P:9→19 トロフィー(虹)ラオウを倒す を達成しました!]
[P:19→29 トロフィー(虹)ケンシロウを倒す を達成しました!]
[P:29→35 トロフィー(金)シンを倒す を達成しました!]
倒すって麻雀でもいいのか。いや、確かに戦って倒すとか、限定されてないけども。
しかしシンだけ金かー。やっぱり北斗は特別なんだなー。
そんな感じに、ビックリするよりも、なんか逆にほっこりした。
あれかな。あの時が、俺がツッコミを諦めた時だったのかな。
俺もすっかりと、このオカしな世紀末に慣れたもんだぜ。
おっと、思い返してる間にバットの合格が出てる。
「よくやったな、アミバ。この短い時間で本当によくやった。その中華鍋はくれてやるから、これからも使ってくれ」
アミバは、ゆっくりと俺に頭を下げた。
あのアミバが、だ。変われば変わるもんだなあ。
これはトキ先生を褒めればいいんだろうか。それともアミバをか。
ともあれ、この師弟に乾杯。バットにも、一杯だけならやろう。リンもいってみるか? 甘口の日本酒とかあるぞ。
日本酒度っていう、辛口か甘口かの基準になる数値があるんだがな。-54という、もはや別物な花柳界ってのがあるんだ。
甘くてサラリとしてな。ちょっとニオイかいでみな。そんでイケそうなら、舐めるように少しずつ……お、イケそうか。ゆっくりやんな。
あっ。トキ先生の説教が麻雀にまで来てる。ここはちょっと言っておかねば。
「いや、違うんですよ。トキ先生。修羅の国で今、麻雀が戦闘以外の決着方法になってまして」
それを聞いたトキ先生は、なにをバカな、とは切り捨てなかった。
それどころか、なにやら心当たりがありそうな様子で、目を閉じて考え出したのだ。
え? なに? なんかあんの?
そして目を開けたトキ先生は、ひとりの男の名を口にした。
「まさか、動いたのか……
えっ。なにそのルビ。
ムダヅモ時空? まさかチベットはムダヅモ時空なの?
「だとするならば、こうしてはいられん! 私も行かねば…… だがひとりでは……」
混乱する俺たちを他所に、深刻な顔をしたトキ先生は、何かを決断したかのようにクワッと目を見開いた。
「お前たち! これから麻雀の特訓だ!」
この人は何を言っているんだろう。
その場の人間の心がひとつになったが、覚醒済みのトキ先生には通じなかった。誰だ覚醒させたヤツは。
まずは理論からだ。と座学の用意が進められていく。
あの。そのテキストどっから持ってきたんですか? まさかあなたもスキルを?
ああ、はい。わかりました。黙って授業を受けます。だからその構えを止めてください。座禅して浮かないで下さい、お願いします。
あー、もう。どうしてこうなった。
やっぱいるわ。ツッコミ、必要だわ。こうなる前に、止めるヤツがいるわ。
でも自分がそれをやるのはゴメンだけどな!
誰かー! お客様の中に、ツッコミが得意な方はいらっしゃいませんかー?