北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~ 作:far
気付けば、ユダが酔いつぶれていた。
ついさっきまで、元気にグチをこぼしまくっていたんだがなあ。やっぱり一升瓶2本はキツかったか。
「日本酒なんぞ、下品な酒が飲めるか」
などと世間知らずな事を言うので、十四代と
やはり飲みやすい酒は、加減が難しいな。
なお獺祭は山口県の地酒で、伝統を無視した日本酒。しかも、量を増やすとか安く造るとかの商売目的ではなく、味だけを目指してそうしたという異端の酒。
酒造するにあたって日本酒を造る職人、杜氏を採用していないあたり、かなりガチである。
職人のカンでやるより、センサー使った方がいいところは使おう。搾る? いや遠心分離機でええやろ。などなどの現代的な手法と、いや、ここは人の手で無いと。という伝統的手法。
その良い方を採用して、もしくは組み合わせて造られるその味は、時の首相から各国の首脳へと贈られるほど。
獺祭 純米大吟醸 スパークリング50。個人的には、その極みと思った酒だ。酒米となる山田錦を半分磨き落として作った、クールでシャープになった、米の酒の甘酸っぱさ。
生きた酵母からなる自然発泡が、後味を爽やかなものにする。吟醸香すらも華やかで、どこか甘い。そんなシャンパンのような酒だ。
「バカなっ…! これが日本酒だというのか!?」
などとオーバーアクションで驚くユダに、たたみかけるは十四代。
長年の日本酒の主流だった端麗辛口から変わった、芳醇旨口の流行の代表とも言える有名どころだ。
どこぞの農家なアイドルのごとく「どっから作るの? (米を作る)土から?」というノリだったのかは分からない。
だが、この酒のために三種類の新たな新種の酒米が開発されたというから、ある意味4人になった彼らを超えたとも言える。
いいぞ高木○造。もっとやれ。
十四代 純米大吟醸 龍泉。旅先でふらっと立ち寄った店で飲んだっきりの、入手困難なやつだ。
そのプレミア価格は、ウン十万円に達した事もある。おのれテンバイヤー。
他にも双虹やら龍月やらあるが、酒屋などで見かけたら買って損はない酒だと断言しよう。でも転売的な意味で損しないのは、できればやめてね。
限界を見極めた低温発酵からの、圧力をかけない雫取りでの搾り、氷温貯蔵熟成という大事に気を使って作られた味は、繊細で優しい。
米の甘み、旨み。米の酒ならではの香り。水菓子(果物)のような、と例えられる、日本酒のそんな良い面を引き出した酒だ。
さて。
そもそも、なんでユダに酒を飲ませようとしたのかを話そう。
アイツなー。取り巻きの女性陣に、な? 塩対応されてやんの。
これにはこの俺も大笑い。
あの娘さんたちな。バイトなんだってさ。
そもそもはユダが美しいものが好きだからって、身の回りの世話をするメイドさん。みたいな感じで集めたらしいのよ。
外の世紀末でヒャッハーな世界から保護してもらったわけで、最初の頃は、彼女たちも大人しかったらしいよ?
でもさ。人間って何にでも慣れる生き物だし、女って群れたら変わるじゃん? ……変わるじゃん?
なんで2回言ったかって? トラウマだよ聞くな。
それで彼女たちだけど、なんかだんだんとビジネスライクな対応になっていって、気が付いたら倦怠期の奥さんのような対応になっていたそうな。
「よっし。飲もうか」
俺がこう言ったのも、ムリのない事だと思うんだ。
ラオウでさえも、こうするはずさ。
だが、まいったなあ。こんなつもりじゃなかったんだがなあ。
ユダならきっと女の人らを従わせているだろうから、指先ひとつでダウン(意味深)を見せるよって言えば、面白がって余興でやらせてくれると思ったんだがなあ。
原作だと、ちょっと額に傷がついただけで、完璧ではなくなったとか言って部下たちに「好きにしろ」って投げ込んでたりした暴君だったのになあ。
まさか言う事を聞かせられないとは。ナメられてるってレベルじゃねーぞ。
手を出してるとか、そういう事はないらしいが。この場合、逆にそれが悪かったんじゃあないだろうか。
南斗紅鶴拳のユダ。南斗108派の幹部、南斗六星の一人、妖星のユダ。
なお妖星は裏切りの星らしい。なぜそんな星を設定した上に、幹部として採用した。
やはり南斗は、何かやらかさないといけないという掟か宿命でもあるのだろうか。
そして実際に核戦争の後に、南斗108派を裏切ったらしい。20派以上を引き連れて、拳王軍へと合流。
そのまま美女を集めて、でもやってた事は鏡の前でフンドシ一丁でポーズキメてから「俺はこの世で誰よりも強く そして美しい!」と更なるキメポーズを取るというナルシストな行為だった。
美女たちは何に使ったかって? 彼女たちに「お前たち俺は美しいか?」って聞いて、肯定してもらうための要員だよ。
彼女たちもね。ドレスやアクセサリーで飾り立ててあってね。
そんな美しい彼女たちに、美しいですって言ってもらえるという事は、俺はもっと美しいのだ! …って実感するため。そのためなんじゃないかな。たぶん。
どう見てもヘンタイ以外の何者でもないと思うんだがな。
化粧したマッチョな男で、しかもフンドシ一丁。まごう事なきヘンタイである。どこに出しても恥ずかしいヘンタイである。
そら集められた女性たちも、だんだん冷たくなるわ。
化粧する手を止めず、鏡を向いたままで視線もよこさずに「はい、美しいです」って棒読みで言うわ。
犯人が分からないようにして、イタズラを仕掛けてからかってる2人がむしろ有情まであるぞ。
なんて残念なヤツなんだ…… 十四代と獺祭を飲ませたのが、惜しくなってきたぜ。
だがせっかく飲ませたんだ。元は取らねば。
ここへ来たメインの目的である、実験(意味深)をせねば。
ふむ。こうして酔いつぶれたんだ。起きた後に、協力してくれると言ったと言い張って、女性の誰かに秘孔()を突く許可を出してもらうとしよう。
その後の事は、許可出したユダのせいとか言っときゃいいだろ。
事前に詳細言わなきゃ、イケるイケる。命に別状は無い、と言えばいい。ウソじゃないしな。
あと、アレだ。ケンシロウも度々パクってた伝衝裂波。
五車星の風のヒューイも使ってた気がする、アレだ。あの便利技が欲しい。
腕を振るだけで遠距離攻撃が出来るあの、ガイルのソニックブームと同じアレだ。
いや、片手で撃ってるから、その相棒のナッシュの方?
あれ龍舌拳と相性いいと思うんだよな。腕なり足なりを伸ばして振る。その伸びた間合いから更に放たれる伝衝裂波。いいじゃないか。
さっき気持ちよく酔ってたなら、おだてて一発撃ってもらって水影心でパクったんだがなあ。
悪い方へ入っちゃって、グチってたからなあ。
しゃーない。これもユダが起きた後に回すか。秘孔()突いた後は逃げるから、こっちが先だな。
さて。ユダが起きるまで、俺もひと眠りするか。
バイクの運転も、意外と疲れるしなあ。デコボコの地面を走ると、なおさらだぜ。
だがここで寝ると、ユダのように女たちに落書きされそうだから、一度ヨガテレポートでマイルームに帰るとしよう。
その前に俺もユダの顔に何か書こうと思うんだが。
さて、なんて書こうかなあ。すでに「ユダってJUDAで、UDだとウダだよね(笑)」と、UDマークのブレスレットをはめた腕に書いてあるんで、地味にハードルが高いんだよな。
だが書かないというのも、惜しいんだよな。せっかくの機会だしさ。
どーしたもんかなあ。