北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far
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しゅらまあじゃん放浪記

 気付けば、ジャギがサウザーと組んでカイオウとヒョウにボコボコにされていた。

 

 麻雀での話だけどな。

 

 やはり中央じゃあ、拳の勝負よりも麻雀が優先っぽい。

 俺もここに来るまでに、ギョウコとブルースという名持ちの修羅2人と、シエと名乗った郡将と打ってきた。

 というか、麻雀じゃなかったらヤバかった。特に修羅のギョウコの方。

 

 だってあいつ、最初は列車で轢き逃げアタックしかけてきたんだぞ?

 

 車とかトラックじゃなくて、列車でだ。線路もないのに、無茶するぜ。

 こっちもバイク取り扱いのスキルでバイクを召喚して、全力で逃げたんだがマジで怖かった。

 バイクなら小回りが利く分、逃げるのは楽だと思うだろ?

 

 地形がね。狭いところでね?

 

 しかも郡将シエが、通り道にワナ仕掛けてやんの。

 高速走行中のバイクで、トラバサミ踏んで急停止させられたら、どうなると思う?

 

 飛んだよ。ポーン、と水平に。短い距離を飛んだよ。

 南斗人間砲弾で鍛えた受身が無かったら。南斗聖拳スキルでの頑丈な体が無かったら。あるいはあそこでゲームオーバーだったかもしれない。

 

 まあ、ケガはしたんだけどね。

 でも笑ったよ。秘孔突いたらさあ。そのケガが、みるみる治るのな。

 ゲームかよ。そうツッコんでから、ああ、ゲームだったわ。と納得したね。

 ひょっとしたら、腕とか無くなっても生えてくるかもな。俺だけはさ。

 

 うん。俺だけ。たぶん、こんなんが起きてるのは、俺だけだ。

 

 だって配下のモヒカンに秘孔治療した時は、こんな回復魔法みたいな効果起きなかったもん。

 

 そんでまあ、そんな感じにショック受けてる俺に列車が近付いてきてな。轢かれるのかなー、と思ってたら、停車した。

 ワナにハメた段階で、生きていたとしても大怪我だろうから、戦うまでもなくバトルは勝利だと思ったらしい。

 そんでバトルの後は麻雀で勝負、というのが現在の修羅の国の定番。

 ケガで朦朧としている所を、カモってやろう。そんな作戦だったらしい。

 

 俺の怪我は治ってたけど、出血の跡とかはそのままなんで、イケると思ったんじゃないかな。

 

 麻雀の結果? 普通に勝ったよ。

 こっちが弱ってると思って、堂々と牌のすり替えをやりまくるハート様似のギョウコと、ヒゲ面のブルースの2人。

 その2人に「そんなお粗末なイカサマをするとは、近頃の修羅は質が落ちたガニ」と言いつつも止めない、カニみたいな顔のシエ。

 そんな3人を天和一発で斬って捨てるのは、スゲエ気持ち良かった。

 

「おう、三ピンある?」

「あいよ」

 

 そんなふうに、目の前で自分たちの手牌を交換すらしてはばからない修羅たちには、当然俺も抗議した。

 

「オイオイオイオイ、そんなんアリかよ」

「文句があるなら、力で黙らせるガニ」

 

 まあ、抗議は通らなかったわけだが。

 そしてギョウコがあがり、ブルースがあがり。俺の点棒が半分を切ったところで、俺の親が回ってきた。

 ヤツらが俺を一気に仕留めなかったのは、いたぶって遊んでいるつもりだったんだろう。

 

 それが、命取りだ。

 

 山を積み、配牌を終わらせて。さあ、ここからだ。

 まずは息を吸う。静かに、大きく。そして気を練るように、たぎらせて――― 一気に吐く!

 

 ヨガフレイム(大)!

 

「のうわぁ!」「ホアチャチャチャチャ!」「アビィッ!」

 

 卓上を覆った炎は、ついでに修羅たちも炙ったようで、悲鳴が上がった。よし。狙い通り。

 このスキに、手牌を麻雀スキルで出した牌に全部取り替える。さあ、くらえ。

 

「ツモ!」

 

 天和。大三元。字一色。四暗刻。(北斗神拳奥義 天破活殺)

 親の四倍役満は、64000オール。全員トビで終了だな。

 

「テメェ! こんなマネし「ヨガフレイム!」

 

 予想通りのリアクションだったので、セリフにカブせて、もう一度ヨガフレイムで炙ってみた。

 今度は直火だったせいか、静かになった。さらばギョウコ。

 

 うんうん。しっくり来るな。

 こういう分かりやすい悪役を、問答無用でヤっちゃってこその北斗ワールドだよな。

 使った技は、ヨガだけどな!

 

 それで、ついでとばかりに情報置いてけと郡将シエに尋問した結果。なんとサウザーの居場所が判明した。

 そういやどっかに出かけたっきり、行方不明だったなあ。まあ、顔くらいは見に行こうか。

 

 そんな軽い気持ちで見に来た結果が、冒頭のシーンになる。

 

 サウザーはなんでかジャギと組んでカイオウらと麻雀打ってて、暗琉天破で無双されてた。

 

 暗琉天破っていうのは、魔闘気なる、よくわからんけどスゴイ気を扱う北斗琉拳の奥義。

 魔闘気で相手をフィールドごと包み込んで、無重力状態にした上で感覚も狂わせるという、もはや拳法と関係ない域にまで突入した技だな。

 なお、その場でクルクル回ると解除できる模様。なんでや。

 

 気で無重力てオカしいやろ! という意見もあるだろうが、元斗皇拳の時点で闘気で地面凍らせたり、相手を焼き尽くす熱を発生させたりしているんで、そこは今更だ。

 ほら、俺もヨガで炎吹いたりテレポートしてるから、多少はね?

 

「ていうか、もうムリッ! 帰る!」

 

 あっ。サウザーがワガママ言ってる。

 でもダメだろ。それが通じる相手じゃないだろ、それ。

 ジャギを見てみろ。もうすっかりあきらめてるぞ? って、おや? こっち見た?

 

「あっ。テメエは…… おい、代われ! 今すぐ俺様の代わりに、ここ座れ! 代打ちだ!」

 

 ちょ、おま、何を言い出すか。

 そんな負ける寸前の点数で代われとか、しかもそんなラスボス相手に、何言ってんだ。

 

「いや、こっちだ! この帝王の代理を務めろ! 今すぐ! ナウ!」

 

 いかん。サウザーまでこっちにすがってきた。

 やっべえ。カイオウもこっち見てる。めっちゃ見てる。こっち見んな。

 

 ……今すぐ、俺だけヨガテレポートで逃げちゃダメかな?

 

「代われというなら、俺が代わってやるぜー!」

 

 うん? 誰か来た。サウザーと一緒に消えてた、レイかシュウか?

 って、どっちでもないじゃん。誰だよ。

 

 そう思ってたら、自分から名乗ってくれた。

 

「我が名はシャチ! またの名を、修羅を喰らう羅刹!」

 

 ああ、あいつか。赤シャチの息子で、かつて赤シャチが修羅の国に殴りこみに来て叩き帰された時に、取り残されたヤツ。

 それでその後、強くなったんで帰ろうと思えば帰れたのに、現地でカノジョが出来ちゃったから帰らなかった男。

 

 あっ。サウザーがいない。今のスキに逃げ出したか。だがジャギは逃げ遅れてるな…… ふむ。

 自分から飛び込んできたのと、ジャギか。よし。この2人なら俺の良心的にセーフ。ここで放置してもセーフ…!

 

 というわけで。俺も逃げよう。ジャギとシャチ。名前も似てるし、きっと相性もいいさ! いいとイイネ!

 じゃあ、そういう事で。ヨガテレポート!

 とりあえずサウザーが逃げたっぽい方へ! 合流だヒャッハー!

 

 



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