北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far
<< 前の話 次の話 >>

4 / 65
ころしてでも うばいとる

 気付けば、種モミを奪ってバイクで走っていた。

 「ヒャッハー!」と楽しそうに叫んでいる俺がいた。

 

 ボーナスポイントがついた。

 

 [P:0→4 トロフィー(銀):種モミを村長から奪う を達成しました!]

 

「アハハハハハハハ」

 

 笑いがこみ上げてきた。もう、笑うしかないだろ、こんなん。

 半ば事故で使い切っていたポイントが入ったのはうれしいが、今はそんなものはどうでもいい。

 トロフィーとかいう、新要素だってどうでもいいぞ。

 

 わけがわからないって?

 大丈夫だ。俺もわからない。

 

 だが、何があったのかを語るくらいはできる。聞いてくれ。

 頼むから聞いてくれ。一人で抱えていると、頭がオカしくなりそうだ。

 助けると思って聞いてくれ。

 

 ほら、さ。俺、スキル覚えてただろう?

 バイク取り扱いと、北斗神拳と、調理技術な。

 で、まあ、この先も増えていったら、何がどれだけのレベルなのか、把握が面倒になるな。そう思ったのが、発端だ。

 こういうゲームシステムのある世界に飛ばされたヤツ特有の、アレを唱えてみたんだよ。

 

「ステータス、オープン!」

 

 何も起きなかったんだがな。

 そうなることも見越して、酒場のマスターにムリ言って泊めてもらった部屋で、一人で実験してるんでまだいいんだが。

 やっぱり、少しばかり恥ずかしかった。

 それからも、状態確認やら、ウィンドウオープンやら、開けゴマやら、開けポン○ッキまで、思いつく限り色々言ってみたんだが、ダメだった。

 

「どうすればスキルとか確認できるんだよ……」

 

 そうボヤいた時だ。

 急にウィンドウが出てきて、そこにはこう書いてあった。

 

 [現在の所持スキルを確認しますか?(Y/N)]

 

 今思えば“スキル”“確認”の二つの単語がカギだったんじゃないか、と思うわけだが。

 あの時は色々試した後だったんで、すぐさまYを押したんだ。

 

「あなた の 現在の 所持 スキル は―――」

 

 まさかの、音声ガイダンスだった。

 しかも、合成音声だった。単語でブツ切りになった状態で、平坦な機械音声だった。

 ゆっくりかよ。いや、ゆっくり以下かよ。せめて初音ミクを見習え。

 

 そうツッコミを入れていた俺だったが、それでは聞き流せない情報も流れてきた。

 

「―――調理技術:1 モヒカン:3 を 所持 して います」

 

 聞き間違いと思いたかったが、そうではなかった。

 

 モヒカンだ。

 

 あの時は、精神的なショックで思考が止まった。

 でもそういう時ほど、直感が働いて物事がうまく進む時ってあるだろ?

 

「“スキル”“解説”モヒカン」

 

 考えた結果ではなく、単なる勘で、俺はウィンドウさんにそう聞いていた。

 

 [P:6→5 解説:1を習得しますか?(Y/N)]

 

 ああ、うん。タダじゃ教えてくれないのね。

 俺はYに指を通しながら、納得とともに精神的な再建を果たしていた。

 

 なお、解説はそのレベルまでの解説しかしてくれなかった。

 モヒカン:3の内容を知ろうとしたら、解説も3まで上げて下さいとウィンドウに出て、少しイラッとした。

 

 それで感情のままに、ウィンドウさんを平手でスパーンとやったら、解説:3が手に入っていた。

 

[P:5→3→0 解説:3を習得しました]

 

 いや、違うから。今のは、Yを選んだんじゃないから。

 そう訴えたが、キャンセルという概念は無いらしい。俺のポイントがゼロになったのは、こういうわけだ。

 

 それで、あとは種モミだが。

 

 まあ、だいたい想像が付くだろう? え、つかない?

 でもモヒカンスキルのせいだってのは、わかるよな?

 

 モヒカンは、1で髪型が整髪料も散髪もなしに、モヒカンになる。なお色も自由に決められる。

 そして2になると、飲食が不要、とまではいかなくても、かなり必要が無くなる。そして筋肉質になる。

 これは荒野でヒャッハースタイルで生存するには、必須のスキルかもしれない。

 

 デメリットとしては、行動がモヒカンになる。

 つまり普通には働かなくなり、略奪で生きていこうとしてしまうようになる。らしい。

 

 だが3になると、このデメリットも軽減されるようだ。チンピラとは違い、幹部は軽々しく動かないということだろうか。

 

 

 その軽減された衝動でも、種モミに対するソレはかなり強烈だった。

 

 

 なんか疲れたんで、外の空気でも吸おう。そんな軽い気持ちで外に出た俺の前に、村長らしき他人がいたんだ。

 でもって、手に袋を持っててね。

 「来年の実りが、今から楽しみじゃ」とか言ってんの。

 

 ふ~ん。麦かな? 種モミかなんかか?

 

 そう思った瞬間。それが欲しくて欲しくて、仕方が無くなった。

 確かに原作の北斗の拳でも、それは畑にまく種モミだからという村長から、強引に奪っていた敵キャラはいた。

 だがまさか、ここまで強烈な衝動ということは、まさか俺、そのキャラだったりするの?

 さすがに、そんな一発キャラの顔とか覚えてないぞ?

 

 考えを逸らそうとしたが、ダメだった。

 衝動に、どうしても逆らえない。

 このままだと、村長を殺してでも奪い取ろうとしてしまう。

 

 せめて理性が残っているうちにと、村長を不意打ちで気絶させて、袋を奪い取った。

 

 そこで袋を返して、何食わぬ顔で部屋に戻れば、村で生きていく道もあったかもしれない。

 だが、ダメだ。モヒカンとして、種モミを奪わずにはいられない以上、村にいたらまた種モミを見かけるたびに、俺はそれを奪おうとしてしまうだろう。

 

 去るしかあるまい。

 

 俺は種モミの詰まった袋を持って、バイクにまたがり、走り出した。

 

 種モミは返せって? いや、何を言っているんだ。

 世紀末では、食糧は貴重なんだぞ?

 持って行かずして、どうする。

 

 さて。逃げるぜ、ヒャッハー!

 

 

 




これでもう、書き残したネタは無いっ…!





※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。