北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far
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でもたたみきれずに続いたりもする。にんげんだもの。

 

 気付けば、宴会だった。うん。いつものパターンなんだわ。すまねえ。

 今回は飲みなれてない面々が多いと思ったんで、飲みやすいヤツをと気を使ったんだ。

 その結果、死屍累々というか、うん。加減とかペースとかわかんない奴らに、飲みやすいヤツはダメだな、うん。

 

 ちなみに用意したのは一ノ蔵、鈴音(すずね)と花めく鈴音(すずね)。発泡系の日本酒だが、これ日本酒に炭酸入れただけだろ、というような、よくある不自然さを感じさせない。

 むしろ甘く感じるこの酒を、炭酸が引き締めている気がする。発泡系だと澪とかも悪くは無いが、こちらの方がいいぞ。

 

 でも甘いのはなあ。という酒飲みの舌を持ってしまった奴らには、とりあえず大五郎を出しておいた。

 評判の悪い新聞と同じ名前なんでたまに誤解している人がいるけど、実は無関係なアサヒの出している、大容量焼酎の元祖だな。

 焼酎には素材の風味が生きてる乙類と、何度も蒸留して作って水で割った甲類があって、これも甲類だな。

 甲類は雑味がしない、クリアな味わいとかメーカーは言ってるんだが……

 

 それって ただのアルコール だよな?

 

 酔えるのは確かだけども、酒と呼んでいいもんか、個人的には疑問だ。

 ジュースとかで割ると、また話は別なんだけどさ。でも俺、ジュース出せないし。

 茶も出せねえんだよなあ。飲み物関係は、調理技術と関係が無いっちゃ無いせいか、あんまり充実してないな。

 

 [P:12→22 味将軍グループを倒しました! おめでとうございます]

 

 おっ。ようやくポイント入ったか。タイミング遅かったな。

 今になって入ったという事は―――ジャギめ。やぁ~っと、あのヤロウ俺の料理を口にしやがったか。

 

「認めねえ! 認められねえ! ここで負けちまったら、全部、全部オジャンじゃねえか! ラオウの兄者がいなくなった後のこの国を、俺が手にするためにやってきた全部が!」

 

 てな具合にダダこねて、ず~~っと判定に文句言ってたからなあ。

 アイツもラオウとトキだけは一応尊敬してたっぽいし、北斗神拳を継げなかったんで、そっちだけでも継ぎたかったのかもなあ。

 

 ちなみにあいつの作った料理は、トンコツラーメンだった。

 意外なまでにシッカリ作ってあって、正直ビビった。特にわざわざ炭火焼きにしたチャーシューの香ばしさは、それだけでメシが食える絶品。

 炭もそうだが、骨や肉を取る豚。じっくりと何時間も煮込むための燃料。麺を作るカン水に小麦に鶏卵。

 この世紀末で、俺のスキルのような反則技を使わずにかき集めてこられたのは、本当にビビった。

 

 最初は、会場が突然目の前で、出来上がったんだよな。

 ターバンのガキに倒されたはずのジャギが立ち上がり、料理で倒されない限り、味将軍は死なねぇ! とブチ上げるや、モヒカンがわらわら出てきてさあ。

 手に手に資材を持ち寄って、あれよあれよと言う間にそれらが組み上がって行ってさあ。

 ライブステージみたいな、対決の場が出来上がっちゃったんだよな。

 さらにそっから、バイクやバギーやトラックやらに乗ったモヒカンたちが駆けつけてきてさあ。

 色々と持ち寄りながら、口々に言うわけよ。

 

「メン持って来ました! ちくしW2号の(小麦)粉使ったやつです!」「トンコツスープ、トンソクのやつお待ち!」「スネとゲンコツのトンコツスープも持ってきたぜ!」「カツブシとコンブお待たせ!」「ガラスープただ今!」

 

 まあ、全部モヒカン語なんで皆「ヒャッハー!」って言ってたけどな。

 ここまででもビックリなのにさあ。気が付いたら、ジャギが白い調理着に着替えてたのよ。

 なんか鉄仮面まで、新品みたいにピッカピカでさあ。

 そんでもって、届いた素材から手際良く出汁を取り始めてな。取った後は、届いた複数のトンコツスープを味見して、ブレンドし始めたのよ。

 

 ぽっかーーん。としてたね。

 

 圧倒されてたというか、目の前の出来事が脳で処理出来なかったというか。

 正直そのままだったら、俺は不戦敗になってたんじゃねえかなあ。

 

「何をやってるんだ! 戦え!」

 

 あの時、声をかけてくれたダルシムさんがいなかったら、そうなっていただろうよ。

 まあ、その後の「カレーだ! カレーを作るんだ!」っていうアドバイスは半ば無視したけども。

 

 だってお題が『メン料理』だったんだもんよ。

 まあ、少しは採用したけどな。

 

 うん。お察しの通り、俺が作ったのはうどん。のようなものだ。

 秋山師匠直伝、刀削麺。

 さすがに師匠のように、ぐるりと回りに沸騰した鍋を並べて、自分が回転しながら練った小麦粉を削り飛ばして入れていくようなマネは出来ないが、普通に削る分には大丈夫だ。

 さっき、調理技術(中華)を3にしますかって表示が出たんで、上げといたし。

 さて付けダレの用意もしないと。黒酢にゴマダレ、ポン酢にカツオとコンブに、カレー。醤油に生醤油。焼きアゴにサバ節。

 トッピングにスダチに橙、白ゴマ、鰹節、ネギ、白髪ネギ、ゴマ油、ネギ油、オリーブオイル。マヨネーズ。

 

 カカーカカカ! これだけ用意すれば、どこかに琴線がヒットする! この世紀末に、もはや遠くなった記憶の中にしかない、懐かしい味。それに抗える者のみが、ジャギに票を入れるがいいわー!

 そんなヤツが居れば、だがなぁ。カーカッカッカ!

 

 今思えばだけど、あの時の俺には秋山師匠降りてたね。ヘンな笑い方してたからね。

 料理は勝負ってああいう事なんだろうかねえ。勝つために食べる人の心に響くようにするわけだから、料理は心というのとも矛盾しないと思うんだがなあ。

 料理は心(を攻めるもの)ということで、いいんだろうか。

 孫子も城を攻めるな、心を攻めろって言ってたしなあ。

 

 実際、何がヒットしたのかは知らんけど、ジャギもどれかの味が思い出を直撃して、負けを認めたみたいだし。

 

 ふうむ。ジャギか。

 トキがアミバを弟子にして、かなり魔改造したんだよな。

 

 じゃあ俺がジャギを魔改造して、魔法戦士仕様にしちゃってもいいよな?

 

 ただの北斗使えるゴロツキのままだったなら、いっそトドメを刺しても良かったんだけど、今回オカしなまでに組織力とか見せ付けられちゃったからね。

 モヒカンの群れに、まさかあそこまでの仕事が出来ようとは思ってもいなかったぞ。

 ていうか見習え、ウチのモヒカンども。ムダに間柴になってんじゃねーぞ。

 

 さて。なんて言って、勧誘しようかね。

 北斗神拳伝承者に…… な ら な い か。とかじゃダメだろうか?

 

 

 






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