北斗の拳メロン味 ~ただし人工着色料で緑色なだけでメロン果汁は入っておりません~   作:far
<< 前の話 次の話 >>

49 / 65
風が吹けば桶屋が儲かる、昔の人はよく言ったもんだ。

 気付けば、米の相場が高騰していた

 サザンクロスに居ついてからというもの、なんだかんだで手に入るんで調理技術スキルを上げて入手しようという熱を失ってしまっていたんだが、それが再燃する勢いだ。

 

 原因はジャギだ。

 

 と言っても、別にあいつがヒャッハーして種モミを根こそぎにしたとか、田んぼでヒャッハーして稲を燃やし尽くしたとか、村々をヒャッハーしてヒャッハーになってしまったヒャッハーではない。

 ヒャッハー。

 

 失礼。ヒャッハーヒャッハー言ってたら、ついモヒカン語で言ってしまった。

 大体の事はヒャッハーの一言で済んでしまうんで、便利すぎて困る。

 色々と語ったり、説明するのが面倒になっちまってなあ……

 

 まあ、ジャギのせいってのは、アレだ。経済と流通と需要だ。

 

 カネが価値を失った、この世紀末社会。車や列車もほぼ死んでるんで、流通も瀕死で、取り引きは物々交換のレベルにまで下がっていた。

 サザンクロスとか、聖帝領とかの都市部ですら、かろうじて旧硬貨とわずかな金貨銀貨が流通している程度だ。

 

 そこへ現れたのが、味将軍グループだ。

 

 どっから持ってきたのか、複数のトラックやら車両を使って、食品の流通網を構築しちまったんだな。

 そのガソリンとかも含めて、本当にどっから都合つけてきたんだろう、という疑問はあるが。まあ、たいしたもんだと思うぜ。

 そうして物々交換のままながらも、取り引きが活発化するとだ。価値観の統一ってやつが必要になるわけだ。

 基準というか、物の価格を決めるのに、単位というか表示というか。そういうのが欲しくなるわけよ。

 

 まあ、例えばだ。

 

 缶詰一個100円というならわかりやすいけど、それはサンマなら何匹分なんだ? 小麦粉なら何グラム分? 白菜だったら?

 お客さんたちはみーんな現金を持ってなくて、そういう物で払おうとする人しかいないぞ。

 さあ、どうする。値札には、なんと書けばいい。

 

 時価とでも書けば解決した気にはなれるけども、根本的な解決にはならないぞ。

 

 で、それを解決したのが、お米だ。

 一部では麻雀の点棒が貨幣になりかけたが、さすがに量が需要に全く足らずにポシャッたが、まあそれは置いておいてだ。

 かつて明治以前の、江戸時代よりも前の時代。我が国ではカネの価値は「それで米が買える」という意味で保証されていた、金本位制ならぬ、米本位制が確立していた。

 当然、米で買い物が出来たりもしたらしい。国力を量るのも、その土地でどれだけ米が取れるのかという石高で決まっていた。

 

 というわけで。おカネの代わりにおコメ、リターンズというわけだ。

 

 で、そうなると。お米の需要が、食べる以外で増えるじゃん?

 需要が上がるじゃん?

 高騰、待ったなしじゃん?

 

 誰が作ったのはわからんが、速攻で出来てた米相場市場、速攻で崩壊待ったなし。

 

 なお、風のヒューイが「リハクのヤロウはどこへ逃げたぁ!」と市場の周りを探し回っていたらしいが、何があったかはわからない。

 少なくとも、俺は知らんな。

 知っているのは、こういう大きな経済的な動きに対処するのも、為政者のお仕事だという事だ。

 

「と、いうわけでシン。お仕事です」

「いや、どうしろというのだ」

 

 困惑するKING軍首領、シン。

 一応核戦争前の社会を知っているとは言え、そこで政治やってたわけじゃないから、どうして良いのかわからないらしい。

 というわけで、レクチャーした。

 

 この場合、流通する通貨の量が少ないせいで、デフレみたいな現象を起こしてるわけですわ。

 なので、通貨を増やせば解決します。ただモノが米なんで、すぐには増やせません。そこで別なもの用意する必要があるわけですね。

 

「貨幣の復活か」

 

 さすがKING。頭が悪いどころか、実に出来がいい。

 こちらの言いたい事を理解して、アッサリと答えを先読みしてきた。

 なので、この先の事もあえて短く聞いてみる。

 

「紙にしますか? それともコインで?」

 

 我が上司は手をアゴにやってしばし考え、答えを出した。

 

「紙幣では偽造できぬレベルでの製造が難しかろう。流通させるための信用も、な。その裏付けを兼ねて、金貨と銀貨だ」

 

 それはそれで、作るのがめんどうなんだけどね。

 サウザーも自分の顔と、たぶんお師匠さんの顔のヤツを造ってるけど、さほど数はないみたいだし。

 というか、造るだけ造ったら、それで満足しちゃったんじゃなかろうか。もう少しがんばれよ。

 

 でも、まあ世のため人のため。やらねばならない作業ではある。

 つまりはトキ先生に頼めば、手を貸してくれそうな案件だという事。きっとアミバも付いてくる。

 まあ、丸投げとまではいかないだろうけども、かなり楽にはなるだろう。

 程ほどに、がんばってみようか。

 

 そしてジャギの流通網まで使って、金銀を俺の出した食糧と交換にしてかき集め。

 それを金貨と銀貨に変えて、当座をしのぎつつも鉱山を探す。

 普通に考えたら、この関東に金山銀山なんぞ残っていない。鉱山というか、都市鉱山。ガレキや地下に埋もれた、銀行や貸し金庫だ。

 

 ふと思ったが。北斗ワールドだけに、過酷な奴隷労働のシーンを出すための鉱山とか、どっかにありそうで怖いな。

 

 核戦争前の地図を元に、銀行を中心に発掘作業を行う。

 半裸のモヒカンたちの働く作業現場は、合っているような、何かが間違っているような。そんな微妙な感覚を覚えた。

 なお現場監督は、ハート様にお願いした。

 血の一滴でも流すとヒドい事になるんで、現場には安全第一が緊張感を持って保たれている。それでいてさっさと仕事を終わらせて解放されたいから、作業効率もいい。素晴らしいね。

 

 これが、人事の妙だ。

 

 ドヤ顔でそう自慢したんだが、誰に言っても「お、おぅ」としか返ってこなかったのは何故だろう。解せぬ。

 

 そうして生産したコインを、様子を見ながら世間へと流通させていき、ようやく米価も落ち着いてきた今日この頃。

 前回、ジャギを弟子にしたらトロフィー(金)で6ポイント入った事だし、と久々に調理技術を上げたところ。

 

 お米がね。出せるようになったんだ。

 

 今更かよ! と知り合い全員どころか、見知らぬサザンクロスの住人たちにまでツッコまれたんだが。

 俺は悪くないと思うんだ。

 間が悪かったとは思うけどもさ。

 

 あと土鍋まで含めた各種ナベやら、泡だて器に菜ばし、包丁、ナベつかみにピーラーその他の調理器具全般も出せるようになったけども。

 正直、これってもっと前のレベルで出せるようになるべきラインナップだと思うんだ。

 うん。やっぱり俺は悪くない。

 きっと、ウィンドウさんが悪い。

 

 

 






※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。